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侍女の半日
しおりを挟むジュリエットの後ろを静かについて来ていたアンナに簡単に結われていた髪の毛を解いてもらいながら午後なにをしていたのか聞く。
「今日はですね、早くこのお屋敷に慣れたくて屋敷内の散策をしておりました。」
そう言いながら櫛でジュリエットの柔らかい髪を丁寧にとかしていく。
「お嬢様が綺麗だったとおっしゃってたお庭も見て来ましたよ。そうしたらトーマスさんにハーブを頂きましたよ!」
嬉しそうに「今度ハーブティーにしてお出ししますね!」と続けて言うアンナ。
「あら、アンナが頂いたのだからアンナが飲んで良いのよ?トーマスさんもそのつもりで下さったのだろうし。」
気を使ってそう言うジュリエット。
「お嬢様にお出しするつもりで沢山頂いたので、お気になさらないでください。それに美味しいものは共有したいんです。」
「そう、それならよかったわ。それじゃあその時は私がお菓子を作るから、ウィリアム様もアーノルドさんもエルメールさんも呼んでみんなでお茶しましょう!」
ジュリエットがそう言うとアンナは「本当ですか?!」と聞き返し、それに頷いて肯定する。
「とっても嬉しいです!お嬢様の作るお菓子はどれも美味しくて、私大好きなんです!」
興奮気味に言うアンナ。
心底嬉しそうなその言葉にジュリエットも嬉しさがこみ上げてくる。
「ありがとう。男爵家にいた時にも作っていたけれど領内ではあんまり甘いものを食べられなかったのに、私達だけデザートを食べるのも憚られてたまにしか作らなかったものね。アンナがそんなに好きだったのならもっと作れば良かったわ。」
髪をとかし終わり続いてジュリエットの顔に薄く施された化粧を落とそうと、前に回り込む。
「いいえ、領内の者を気遣ってのことですからお気になさらないでください。それに私のためにお菓子を作らせたと分かったら男爵家のみんなに怒られちゃいますよ。」
そう言うと顔に触りますよと言ってから化粧を落とし始める。
サッと落とし終わると続いて寝るための着替えを用意するため衣装部屋へと入っていった。
直ぐに戻ってくるアンナの手にはネグリジェを持っている。
「それにあんまり食べると太っちゃいますしね!たまに食べるからこその楽しみですよ。」
ニッコリ笑って言うアンナに「それもそうね!」と返す。
ジュリエットにそうでしょ?と答えるとアンナは着替えの為ドレスのリボンを解きドレスを脱がせると、コルセットを外す。
「そういえば休憩中のアーノルドさんと会って色々とお話出来ましたよ。」
「あら、それは良かったわね!どんな話をしたの?」
アンナに礼を言うとネグリジェを身に纏う。
「どんなって言われると難しいですけど、お嬢様が知りたいと思ってウィリアム様の昔の話とかも伺いました。」
「ウィリアム様の昔のお話?それは気になるわね、ウィリアム様に聞いてもはぐらかされそうだし。」
話しているうちに気になって来たのかウズウズと続きを促す。
「今日はここまでです。もう遅いですからまた今度お話します。」
そう言うアンナに「話が盛り上がって来たところなのに?もう少し起きてちゃダメかしら?」と聞くが
「ダメです。明日はウィリアム様とデートをするんでしょう?早寝早起きです!」
ぴしゃりと言うアンナに「わかったわ。でも絶対今度話してね?」と返すと素直にベッドへ入る。
それを確認すると
「はい、お約束します!明日はいつもより気合を入れてオシャレをして行きましょう。少し早めに起こしに来ますからね、お休みなさい。」
そう言って電気を消し、静かに部屋を出て行った。
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