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結婚指輪の話。
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「私、石はダイヤモンドが良いですわ。」
ジュリエットはそう言って「お母様がつけていた指輪についていてとても美しかったの。」と続けた。
「ジュリエットがそう言うならばそれで行こう。」
ウィリアムがそういうとカイトが分かったと返事をしながら紙に記入する。
「デザインはどうする?」
その言葉にジュリエットは
「私はカイト様にお任せしても良いと思っておりますが、ウィリアム様は何かデザインを考えておりますか?」
とウィリアムへ聞く。
「丁度私も同じ事を考えていたんだ。長い付き合いのカイトを信頼してデザインは任せることにする。それに巷で人気になりつつあるお前のセンスは確かだからな。」
そう言ってカイトを見るウィリアムに
「それは下手なものは作れないな。責任重大だ。」
そう返して笑う。
「結婚指輪は一生ものだからな。」
と悪戯げに言うウィリアムに「プレッシャーをかけるなよ」と返した後、「お前達に似合うものを作れるよう全力は尽くす。」と続けた。
「それは頼もしいですわ!とっても楽しみにしてますわね!」
カイトの言葉にジュリエットはそう言い期待に胸を膨らませる。
「さて、思ったより早く終わったな。カイトは夕食は食べていくか?」
そう聞くウィリアムに「いや、今日はもうじき帰ろうと思う。何分にもお前達の結婚式まで1ヶ月で指輪を作らなければならないからな、直ぐに取り掛かりたい。」と言って断る。
「そうか、また次来た時にはゆっくりしていってくれ。久しぶりに酒でも呑んで語ろう。」
「ああ、その時はまたお邪魔させてもらう。」
そう言って冷めてしまった紅茶を飲み干すカイトにジュリエットが
「私もカイト様とお話ししたいですわ!カイト様とウィリアム様の昔のお話を聞かせてください。」
と言ったので、カイトは「勿論その時はジュリエット嬢も一緒に呑もう。」と答える。
「呑みたいのですが、私お酒にはとっても弱いのです。」
申し訳なさげに言ってくるジュリエットに
「それはすまない、それではまた紅茶でも飲みながらにしよう。ウィリアムとはいつでも呑めるからな。」
とカイトが言い、ウィリアムもそれに同意する。
「お気遣いいただきありがとうございます。ですがお二方はお酒を飲んでください。紅茶は私だけで十分ですわ!」
そう言ってニッコリ笑うジュリエットにそう言う訳にはと食い下がるカイト。
「私に付き合わせては申し訳ないですもの!それにお話を聞きたいのは私の我儘ですし、なにを飲んでるかなんて関係ないですわ。」
「ふむ、逆に気を遣わせてしまったようですまなかった。」
そう謝るカイトにウィリアムが「ウチの嫁はよく気遣いできるだろ」と自慢げに言う。
「はいはい、良い嫁を捕まえたな。」
軽くあしらうカイトに「お前も早く結婚しろよ。」と冗談げに言う。
「そんな暇は無い。特にいなくて困っていないしな。」
そう言って立ち上がり荷物を持つ。
「お前は本当に淡白だな。弄りがいがない。」
ウィリアムもそう返してカイトを見送るために立ち、ジュリエットへ「ジュリエットはどうする?今日は疲れただろうし、ここで待ってるか?」と聞く。
それに自分も行くと言うと、ウィリアムが手を差し出して立たせてくれた。
「わざわざ見送りしなくてもいい。昔はしょっちゅう来ていた訳だし、そんな畏まった仲でもないだろう。」
そう言うカイトに「気にするな。どうせ見送らなければまた仕事だからな、少しくらい時間を潰してもいいだろう?」と返すウィリアムは悪戯げにニヤッと笑う。
「そうか、それならばお願いしよう。」
アーノルドが扉を開けてカイト達が出れるようにする。
部屋から出た3人は玄関ホールに着くと
「それじゃあ、見送りありがとう。指輪は期待していてくれ、素晴らしい物を作る。金額はまた後日書面にて送るようにする。」
「ああ、任せたぞ。結婚式には是非来てくれよ、招待状送っとくから。」
「時間が空いていれば行こう。父上も喜ぶ。」
「私も楽しみにしていますわ!無理なさらない程度にお願いしますわ。」
「勿論だ、出来次第連絡する。ジュリエット嬢もウィリアムの相手するのが大変だったらウチへ来るといい。」
冗談げにジュリエットに言ったカイトに「私は嫌だぞ、幼馴染に婚約者を取られるなんて。」と真剣に返すウィリアム。
そんな彼の姿に
「冗談だから安心しろ。俺も人の婚約者を奪う趣味はない。」
と言って屋敷から出ようと扉に向かい歩き始める。
「お気をつけてお帰り下さい。」
そう声をかけるジュリエットに手を振って応えると扉が勝手に開き、エルメールが頭を下げていた。
「相変わらず神出鬼没だな。さっきまで俺たちと応接間にいたのに。」
エルメールの姿に思わずそう言葉を漏らし、指輪を作るために公爵家を出るのであった。
ジュリエットはそう言って「お母様がつけていた指輪についていてとても美しかったの。」と続けた。
「ジュリエットがそう言うならばそれで行こう。」
ウィリアムがそういうとカイトが分かったと返事をしながら紙に記入する。
「デザインはどうする?」
その言葉にジュリエットは
「私はカイト様にお任せしても良いと思っておりますが、ウィリアム様は何かデザインを考えておりますか?」
とウィリアムへ聞く。
「丁度私も同じ事を考えていたんだ。長い付き合いのカイトを信頼してデザインは任せることにする。それに巷で人気になりつつあるお前のセンスは確かだからな。」
そう言ってカイトを見るウィリアムに
「それは下手なものは作れないな。責任重大だ。」
そう返して笑う。
「結婚指輪は一生ものだからな。」
と悪戯げに言うウィリアムに「プレッシャーをかけるなよ」と返した後、「お前達に似合うものを作れるよう全力は尽くす。」と続けた。
「それは頼もしいですわ!とっても楽しみにしてますわね!」
カイトの言葉にジュリエットはそう言い期待に胸を膨らませる。
「さて、思ったより早く終わったな。カイトは夕食は食べていくか?」
そう聞くウィリアムに「いや、今日はもうじき帰ろうと思う。何分にもお前達の結婚式まで1ヶ月で指輪を作らなければならないからな、直ぐに取り掛かりたい。」と言って断る。
「そうか、また次来た時にはゆっくりしていってくれ。久しぶりに酒でも呑んで語ろう。」
「ああ、その時はまたお邪魔させてもらう。」
そう言って冷めてしまった紅茶を飲み干すカイトにジュリエットが
「私もカイト様とお話ししたいですわ!カイト様とウィリアム様の昔のお話を聞かせてください。」
と言ったので、カイトは「勿論その時はジュリエット嬢も一緒に呑もう。」と答える。
「呑みたいのですが、私お酒にはとっても弱いのです。」
申し訳なさげに言ってくるジュリエットに
「それはすまない、それではまた紅茶でも飲みながらにしよう。ウィリアムとはいつでも呑めるからな。」
とカイトが言い、ウィリアムもそれに同意する。
「お気遣いいただきありがとうございます。ですがお二方はお酒を飲んでください。紅茶は私だけで十分ですわ!」
そう言ってニッコリ笑うジュリエットにそう言う訳にはと食い下がるカイト。
「私に付き合わせては申し訳ないですもの!それにお話を聞きたいのは私の我儘ですし、なにを飲んでるかなんて関係ないですわ。」
「ふむ、逆に気を遣わせてしまったようですまなかった。」
そう謝るカイトにウィリアムが「ウチの嫁はよく気遣いできるだろ」と自慢げに言う。
「はいはい、良い嫁を捕まえたな。」
軽くあしらうカイトに「お前も早く結婚しろよ。」と冗談げに言う。
「そんな暇は無い。特にいなくて困っていないしな。」
そう言って立ち上がり荷物を持つ。
「お前は本当に淡白だな。弄りがいがない。」
ウィリアムもそう返してカイトを見送るために立ち、ジュリエットへ「ジュリエットはどうする?今日は疲れただろうし、ここで待ってるか?」と聞く。
それに自分も行くと言うと、ウィリアムが手を差し出して立たせてくれた。
「わざわざ見送りしなくてもいい。昔はしょっちゅう来ていた訳だし、そんな畏まった仲でもないだろう。」
そう言うカイトに「気にするな。どうせ見送らなければまた仕事だからな、少しくらい時間を潰してもいいだろう?」と返すウィリアムは悪戯げにニヤッと笑う。
「そうか、それならばお願いしよう。」
アーノルドが扉を開けてカイト達が出れるようにする。
部屋から出た3人は玄関ホールに着くと
「それじゃあ、見送りありがとう。指輪は期待していてくれ、素晴らしい物を作る。金額はまた後日書面にて送るようにする。」
「ああ、任せたぞ。結婚式には是非来てくれよ、招待状送っとくから。」
「時間が空いていれば行こう。父上も喜ぶ。」
「私も楽しみにしていますわ!無理なさらない程度にお願いしますわ。」
「勿論だ、出来次第連絡する。ジュリエット嬢もウィリアムの相手するのが大変だったらウチへ来るといい。」
冗談げにジュリエットに言ったカイトに「私は嫌だぞ、幼馴染に婚約者を取られるなんて。」と真剣に返すウィリアム。
そんな彼の姿に
「冗談だから安心しろ。俺も人の婚約者を奪う趣味はない。」
と言って屋敷から出ようと扉に向かい歩き始める。
「お気をつけてお帰り下さい。」
そう声をかけるジュリエットに手を振って応えると扉が勝手に開き、エルメールが頭を下げていた。
「相変わらず神出鬼没だな。さっきまで俺たちと応接間にいたのに。」
エルメールの姿に思わずそう言葉を漏らし、指輪を作るために公爵家を出るのであった。
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