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神出鬼没なメイド長登場です。
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「さて、メイド長は後であっちから来るだろうから先に君の部屋へ案内しよう。」
美しい庭を歩き屋敷に戻る最中ウィリアムはジュリエットに言った。
「ありがとうございます、メイド長の所へはこちらから出向かなくてよろしいのですか?」
「ああ、彼女の居場所は私にもわからないんだ。メイド達への指示出しなどで屋敷中を移動しているから、こっちが呼ぼうと思うと気付いたら近くにいるから多分今日も君の部屋を見てたら挨拶に来るよ。」
「あら、そうなんですの?お忙しいのでしたらしょうがないですわね。」
「ああ、彼女は有能だから助けられてるが気付いて後ろに立ってるから驚かされるよ。」
少し笑いながら扉を開け屋敷内に入り、正面に見える階段から二階に上がる。
勿論その時ジュリエットの手を取り、エスコートをするのを忘れない。
自然にエスコートをするウィリアムに礼を言う。
「今頃アンナが君の荷物を部屋で整理してくれてるよ。」
「そういえば結納金に沢山の贈り物ありがとうございました。それに私の服や装飾品まで、みんな喜んでいましたわ!」
ふと思い出し礼を言うとウィリアムは
「いや、男爵家にとって一人娘を嫁に出すのはとても勇気のいる決断だっただろう。逆にあれでも足りないくらいだ。」
と当然のように言う。
二階に上がり右に進むと一つの部屋の前で立ち止まる。
「ここがジュリエットの部屋だ。開けてごらん。」
そう言い扉の前をジュリエットに譲る。
「ありがとうございます、それでは失礼しますね。」
そう言い扉を開けると目の前に白とピンクで統一された可愛らしい部屋が広がっていた。
「わあ!とっても可愛らしいですわ!」
ジュリエットは興奮しながら部屋を見回している。
「君の好きな色が分からなかったから勝手に選んでしまったが、気に入って貰えたなら良かった。」
「はい、ありがとうございます!特に天蓋付きのベッドはレースとフリルがあしらってあってお姫様になった気分です!」
ニコニコとご機嫌に言うジュリエットをみて、ウィリアムも満足気だ。
「お嬢様、お待ちしておりました。こちらの衣装部屋も凄いですよ!」
部屋の奥にある扉から侍女のアンナが出てきて言った。
「アンナ!少し離れてただけなのに久しぶりに会った気がするわ!」
「私もです。屋敷内の方にはご挨拶出来ましたか?」
「ええ、皆さんとても良い方ばかりでしたわ!アンナもきっと仲良くやれるわ!」
慣れ親しんだアンナと会話するジュリエット。
アンナが出てきた扉を見て「そっちにも部屋があるの?」と問いかける。
「ああ、そっちにはジュリエットの衣装と装飾品を仕舞う衣装部屋がある。」
ジュリエットの後ろから近づきながらウィリアムが言う。
「服も勝手に色々と揃えたから見てみてくれ。」
その言葉を聞き、ジュリエットは衣装部屋へ入る。
「服まで揃えてくださったなんて、結納金と一緒に頂いた服だけでも沢山ありましたのに。」
「これから社交界に出るに当たって必要になるからな。私も舞踏会は好まないが、この地位故に出なければならないときもある。それには君にも付き合ってもらいたいからこの位は当たり前だ。」
ウィリアムの言葉を聞きながら部屋を見回すジュリエット。
アンナの言葉の通り部屋一面にドレスがかかっており、装飾品も数多く飾ってあった。
そのどれも可愛らしいデザインでジュリエットの好みに合っている。
「どれも私の好みのデザインですわ!それにこんなにも沢山!なんとお礼を言っていいものか…。」
嬉しく思いながらも申し訳なくなり複雑な表情をするジュリエットにウィリアムは
「気にしなくていい。それにまだ結婚式用にドレスと指輪をオーダーするつもりだから、そのつもりでいてくれ。」
と、当然のように言うウィリアム。
「仕立て屋は明日来るからそのつもりで。私は付き添えないが、アンナとメイド長が付き添ってくれるから安心してくれ。」
「わかりました。わざわざオーダーして下さるだなんてありがとうございます!」
「当然のことです。貴女様は公爵家夫人となるのですから、一々礼を言わずともどしっと構えて下されば良いのです。」
礼を言ったジュリエットの後に続いて知らない女性の声がしたので、声がした方を振り向く。
「ご挨拶が遅れ申し訳ございません。私公爵家メイド長のエルメールでございます。」
そう言い一発でお辞儀した30代ほどに見える女性は一つでまとめた茶色の髪に眼鏡をかけている。
つり目のせいか冷たい印象を覚える。
「こちらこそご挨拶に伺えなくてすみません。男爵家より嫁いで参りましたジュリエットと申します。」
そう謝るジュリエットに対し
「使用人である私たちに挨拶回りは不要ですわ。あまり謝りすぎるのもよくありません、他の家の者に舐められてしまいます。」
と言うエルメールに、ジュリエットは自分のことを思って言ってくれているのだとわかり嬉しく思った。
「相変わらず突然現れるな、扉を開けた音すらしなかったぞ。」
突然現れたエルメールに驚いていたウィリアムは感心しながら言う。
「お褒めいただき光栄です。気配を消すのは癖のようなものですから気になさらないでください。」
エルメールは表情を変えることなく言う。
「これで主によく関わる使用人は大抵紹介出来たな。あとは騎士団の奴らだが、それはまた追い追いこの屋敷に来た時でいいだろう。」
「はい、付き合ってくださりありがとうございました。」
礼を言うジュリエットに
「まだ書庫などは案内できてないから、それはまた後日でも良いだろう。1日で回ると疲れて仕舞うから。」
と返す。
その気遣いが嬉しく思ったジュリエットはニッコリと笑う。
美しい庭を歩き屋敷に戻る最中ウィリアムはジュリエットに言った。
「ありがとうございます、メイド長の所へはこちらから出向かなくてよろしいのですか?」
「ああ、彼女の居場所は私にもわからないんだ。メイド達への指示出しなどで屋敷中を移動しているから、こっちが呼ぼうと思うと気付いたら近くにいるから多分今日も君の部屋を見てたら挨拶に来るよ。」
「あら、そうなんですの?お忙しいのでしたらしょうがないですわね。」
「ああ、彼女は有能だから助けられてるが気付いて後ろに立ってるから驚かされるよ。」
少し笑いながら扉を開け屋敷内に入り、正面に見える階段から二階に上がる。
勿論その時ジュリエットの手を取り、エスコートをするのを忘れない。
自然にエスコートをするウィリアムに礼を言う。
「今頃アンナが君の荷物を部屋で整理してくれてるよ。」
「そういえば結納金に沢山の贈り物ありがとうございました。それに私の服や装飾品まで、みんな喜んでいましたわ!」
ふと思い出し礼を言うとウィリアムは
「いや、男爵家にとって一人娘を嫁に出すのはとても勇気のいる決断だっただろう。逆にあれでも足りないくらいだ。」
と当然のように言う。
二階に上がり右に進むと一つの部屋の前で立ち止まる。
「ここがジュリエットの部屋だ。開けてごらん。」
そう言い扉の前をジュリエットに譲る。
「ありがとうございます、それでは失礼しますね。」
そう言い扉を開けると目の前に白とピンクで統一された可愛らしい部屋が広がっていた。
「わあ!とっても可愛らしいですわ!」
ジュリエットは興奮しながら部屋を見回している。
「君の好きな色が分からなかったから勝手に選んでしまったが、気に入って貰えたなら良かった。」
「はい、ありがとうございます!特に天蓋付きのベッドはレースとフリルがあしらってあってお姫様になった気分です!」
ニコニコとご機嫌に言うジュリエットをみて、ウィリアムも満足気だ。
「お嬢様、お待ちしておりました。こちらの衣装部屋も凄いですよ!」
部屋の奥にある扉から侍女のアンナが出てきて言った。
「アンナ!少し離れてただけなのに久しぶりに会った気がするわ!」
「私もです。屋敷内の方にはご挨拶出来ましたか?」
「ええ、皆さんとても良い方ばかりでしたわ!アンナもきっと仲良くやれるわ!」
慣れ親しんだアンナと会話するジュリエット。
アンナが出てきた扉を見て「そっちにも部屋があるの?」と問いかける。
「ああ、そっちにはジュリエットの衣装と装飾品を仕舞う衣装部屋がある。」
ジュリエットの後ろから近づきながらウィリアムが言う。
「服も勝手に色々と揃えたから見てみてくれ。」
その言葉を聞き、ジュリエットは衣装部屋へ入る。
「服まで揃えてくださったなんて、結納金と一緒に頂いた服だけでも沢山ありましたのに。」
「これから社交界に出るに当たって必要になるからな。私も舞踏会は好まないが、この地位故に出なければならないときもある。それには君にも付き合ってもらいたいからこの位は当たり前だ。」
ウィリアムの言葉を聞きながら部屋を見回すジュリエット。
アンナの言葉の通り部屋一面にドレスがかかっており、装飾品も数多く飾ってあった。
そのどれも可愛らしいデザインでジュリエットの好みに合っている。
「どれも私の好みのデザインですわ!それにこんなにも沢山!なんとお礼を言っていいものか…。」
嬉しく思いながらも申し訳なくなり複雑な表情をするジュリエットにウィリアムは
「気にしなくていい。それにまだ結婚式用にドレスと指輪をオーダーするつもりだから、そのつもりでいてくれ。」
と、当然のように言うウィリアム。
「仕立て屋は明日来るからそのつもりで。私は付き添えないが、アンナとメイド長が付き添ってくれるから安心してくれ。」
「わかりました。わざわざオーダーして下さるだなんてありがとうございます!」
「当然のことです。貴女様は公爵家夫人となるのですから、一々礼を言わずともどしっと構えて下されば良いのです。」
礼を言ったジュリエットの後に続いて知らない女性の声がしたので、声がした方を振り向く。
「ご挨拶が遅れ申し訳ございません。私公爵家メイド長のエルメールでございます。」
そう言い一発でお辞儀した30代ほどに見える女性は一つでまとめた茶色の髪に眼鏡をかけている。
つり目のせいか冷たい印象を覚える。
「こちらこそご挨拶に伺えなくてすみません。男爵家より嫁いで参りましたジュリエットと申します。」
そう謝るジュリエットに対し
「使用人である私たちに挨拶回りは不要ですわ。あまり謝りすぎるのもよくありません、他の家の者に舐められてしまいます。」
と言うエルメールに、ジュリエットは自分のことを思って言ってくれているのだとわかり嬉しく思った。
「相変わらず突然現れるな、扉を開けた音すらしなかったぞ。」
突然現れたエルメールに驚いていたウィリアムは感心しながら言う。
「お褒めいただき光栄です。気配を消すのは癖のようなものですから気になさらないでください。」
エルメールは表情を変えることなく言う。
「これで主によく関わる使用人は大抵紹介出来たな。あとは騎士団の奴らだが、それはまた追い追いこの屋敷に来た時でいいだろう。」
「はい、付き合ってくださりありがとうございました。」
礼を言うジュリエットに
「まだ書庫などは案内できてないから、それはまた後日でも良いだろう。1日で回ると疲れて仕舞うから。」
と返す。
その気遣いが嬉しく思ったジュリエットはニッコリと笑う。
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