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学園編 2年目

男爵家男孫と商会長次男 ×

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快く部屋に招き入れられてハンスはホッとしていた。

客室の照明は既に落とされていて、ベッド脇の小さなランプだけ点いている。
もう寝る寸前だったのだろう。訪ねて大丈夫だったかな。

「今日は、大変なことに巻き込んでごめんっす」

後ろにいるジンを振り返る。
扉の前に立つジンは首を傾いだ。

「ハンスが謝る事なんもないよ。被害者なのに。…それより、大丈夫か?」

さっきとは違う服だけど、やっぱり長袖だ。袖を捲り上げてるから寒いとかじゃないんだろう。

そもそも寒いとか暑いとか感じないんだっけ?

近付いてくる手が頬に触れ、切れた口端をそっと親指が撫でて来る。
「治癒で治すから!」と親父と母さんが回復薬ポーションで手当てしようとして拒んだのだ。兄貴には「バカ」って顔された。
だってどんな感じか知りたいから。
明後日までには殆ど治りそうな気もするけど。

見上げるジンの目が、暗がりの中でランプの光を反射していていつもより優しい赤に見える。
そっと手に甘えた。

「…ん、平気っす」

「…ホント?…平気じゃねぇなら、一緒寝るよ?」

ふっと笑うジンの目が、少し意地悪に光った。

「………ず、る…」

「何が?」

普通に誘ってくれれば普通に答えたし、そもそもそのつもりで来たので自分から言うつもりだった。
なのに、わざわざねだらせるような言い回しに急に恥ずかしさを感じた。

「………へ、平気、じゃない、っす」

「ん…じゃあ、一緒寝よ」

鼻先へと口付けられて、心臓が痛いほどに高鳴った。
自覚してしまった。見ないふりをしていた感情恋心
気付かれたら嫌がられるだろうかと怖くもなったけど、テオドールの恋心に気付きながら傍に居るのを見てると、嫌がりはしないのかなと期待してしまう。

言わないけど。
拒否られたり、距離を置かれたら、俺はもう死んでしまうかもしれないから。

ベッドへ2人で入り込む。

「ハンス、腕枕は好き?」

「え?」

「好きならおいで」

横になったジンが腕を開いた。
心臓のドキドキが止まらない。そっと腕の中に入り込み、ギュッと身を寄せる。足を絡め合い、顔を上げた。額へとちゅっと口付けられて、幸福感で爆発しそうだ。

「じゃあ…」

ジンの手がランプへと伸びた。

「おやすみ」
「消さないで」

「「……」」

「え?」
「えっ!!??」

まさかの挨拶に驚き過ぎてデカい声が出た。
ジンも驚いたらしく目を丸くしてる。あ、珍しい顔だ。じゃなくて。

「…寝る時、真っ暗じゃないと寝れねぇタイプって言ってなかった?」

「あ、え?ね、寝るって…ホントに寝るだけっすか??」

「え?」

ジンがきょとんとしていて、俺は自分の勘違いと伝わってなかった事に気付いて、信じられないくらい身体が熱くなった。顔なんてきっとトマトより真っ赤だ。

「………ああ、…そっち?」

察したジンの言葉に俺は今まさに死にそうだ。
じわりと視界が滲んだ。恥ずかし過ぎると人間って、涙が出るんだと知った。慌てて顔をジンの胸に伏せて隠した。

「あ、悪い。フェロモン凄いなとは思ってたんだけど…流石に他人ひとん家だし、今日はハンス色々怖い思いもしただろうから、まさかマジで誘ってくれてると思わなくて…」

「や、せつめ、しなくて、も、い、いいっす…何でもないっす…」

言われて、そりゃそうだと思った。ここは祖母の家だし、家族は居るし、トラウマになってもおかしくない事件に巻き込まれたって言うのに、盛ってる俺は多分すごく変なんだ。

でも元々ここ東部に誘った時からジンとするつもりだったのだ。寮ではベッドすら使えず、時間や周りを気にしてばかりだったから。ここなら、もう少しゆっくり出来ると思って。

ジンが『他人の家』と気にするタイプなんて思わなかった。いや、少し型破りな所はあるけど、根は紳士的で愚直な所もある男だから、十分に考えられたんだ。

死ぬほど恥ずかしい。

「………ハンス、やろっか?」

「い、いや、も、もう良いっす。寝、寝よ…おや、おやすみ!!」

「……」

俺は頭を振りに振ってジンの胸に埋まる。
後頭部を優しく撫でられ、頭へキスされた。

「っ!」

重くて甘い、濃密なフェロモンの匂いがして、硬く閉じていた瞳を大きく開く。

ジンの匂いだ。

入り込んで来る匂いが全身を痺れさせてくる。
煽られる身体を服越しに撫でられ、絡めた足で股座を優しく押し上げられた。ビクンと腰が震える。

「…寝るなら寝ても良いけど」

甘く低いジンの声に息が詰まる。

「俺はもうその気になっちゃったよ」

「んッ…♡」

臀部の隙間へ指が滑り込み、強く揉み上げられる。何度も何度も刺激されて、ジンの太腿に当たっていたペニスが布を押し上げた。

「…寝れそ?ハンス」

「は、ッ……ね、寝れない…」

観念して顔を上げると、フェロモンのせいで男臭さが増したジンの顔があった。腹の奥が途端に疼いて、羞恥心は拭い切れないまま、唇へ吸い付いた。

「んっ、は…ッ…ジン…ッ」

「ん、……はあ、良かった。またやる気出してくれて。怪我は痛くねぇ?」

「うん…そんなに痛くねぇ、から……」

「もっと?」

「……ん」

頷くと、寝返りを打つようにジンが覆い被さり、何度も口を吸われ、吸い返す。唇が擦れる、ちりちりと痛むけど体の芯は熱くなる。
上から覗き込むジンの目が優しい。
頬から耳へと音を立てて口付けたり、甘く食まれる。

「…先に言ってくれりゃ、俺がハンスの部屋に行ったのに」

「…や、客室ここの方が、良い。上は、みんなの部屋があるし」

客室だけ一階で、孤立した場所にある。

「ああ…なるほど。ハンス、声出すの好きだもんな」

「す、好きなわけじゃ…っ!あっ…♡」

服の下に入り込んだ手が乳首を撫でた。
まだキスしかしてないのに、硬くなってる事に気付かされて恥ずかしくなる。
引っかかれるように指先で弾かれ、腰がジリジリと疼く。

「あっ…んっ…♡」

「違うの?」

「んあッ♡…ッッ!」

強めに摘まれて声が大きく出た。慌てて両手で口を塞ぐ。おかしそうに喉で笑うジンを睨んだ。

「こ、ここでも、声、聞こえるかもしんないから…!アレして…音、消えるヤツ…」

「あー…アレな」

少し逡巡した後、ジンは指を鳴らした。感覚だけだが、四角い膜のような気配を感じる。
ジンが言う『防音壁』だ。俺は安心したけど、ジンは何かを気にしてるように見えた。

「…ジン、これ、まだなんか問題あるっすか?…俺、ワガママ言った?」

「え?いや、我儘じゃねぇよ。まだ、ちょっとな。ホントは俺もガンガン使いてぇの、思いっ切り抱けるから」

「…おもいっきり……」

想像も付かないのに、言葉だけで腰の奥が疼いてしまった。カアッと頬が熱くなる。
ジンが目を細めて、カプッと首に甘く噛み付いた。

「ん……あッ♡」

ぞわりと肌が粟立った所で、乳首を捏ねられる。
膝を擦り合わせて窮屈なズボンの中を宥めようとするけど、寧ろどんどん気持ち良くなる。

「抱かれたいって顔してて可愛い。ハンス、服、脱がすよ」

起き上がったジンは返事をする前に、服の両脇を掴んで持ち上げた。素直に腕を上げて上を脱ぎ、次いで下を脱がすジンの手に甘える。
揺れる淡いランプの光の中で裸体を晒す。恥ずかしくて身体中が熱くなる。薄らと汗ばむくらいだ。
全身を舐めるように見てくるジンの目が、物理的な質量を持ってるような。視線に感じてしまう。

「……う、見過ぎ……あ、」

「ごめん、ハンスの身体ちゃんと見んの久しぶりで」

膝裏を持ち上げられ、膝にキスされた。
既に勃起したペニスが震え、それだけで先走りがツゥと漏れる。恥ずかしくて流石に手で隠したけど、ジンの目が赤みを増して笑った気がする。バレバレだって言われてるみたいだ。
膝をゆっくりと舐められる。つま先が無意識に伸びた。

「はっ…ぁ…っ」

肩に足首を乗せられて太腿を撫で下ろす手が臀部に届くと、腰をくねらせる。
ああ、違う。また飲み込まれて、グズグズになる前に、ちゃんと言おう。

「ま、待って、ジン」

「ん?」

ジンはピタリと動きを止めた。
膝を下ろして起き上がり、俺からジンの口へとキスして、彼の服の裾を掴んだ。

「ジンも、服、脱いで…俺も、ジンの、見たい…」

「俺の?…身体を?」

「う、うん…俺、1回もちゃんと見たことねぇから…」

「……見たかったの?」

こくりと頷くと面白がるような吐息で返事をされ、変なおねだりだったかと恥ずかしくなった。
顔を俯かせると、持ち上げるように下から強めに口付けられた。

「いいよ、そんなの。いくらでも。ただ…少しびっくりするかも」

ジンはそう言うと裾を掴んで一気に上を脱ぎ捨てた。
ばきばきに割れた腹筋と引き締まった腰に、鍛えられた胸筋を見て、ぶわわと全身が震えた。と言うか、感じた。腰は疼くし、腹底はきゅんきゅんするし、ペニスがぴくんと反応する。

男の身体でこんなに欲情するなんて思わなかった。

そして気付く。
本当に、予想通りに傷痕があった。予想よりも多く、深めの痕がたくさん。腕から肩に掛けてや、胸元に腹、脇腹に至るまで、何をしたらこんなに全身に残る傷が出来るのか。

「ガキの頃、ちょっとデカい事故に巻き込まれてね。後、まあ、結構やんちゃだったから。…興奮してなかったら、ここまではっきり見えないんだけど」

自分の身体を見下ろし、掌で大きめの腹の傷を撫でるジン。無意識に手を伸ばして肌に触れた。傷痕を辿ってもジンは嫌がらない。

「…痛くないっすか?」

「痛くないよ、全部古傷だから。気持ち悪くない?こんな傷だらけで」

「…全然。かっこいいっす…………あっ!かっこいいとか、失礼っすよね、こんなんめちゃくちゃ痛かっただろうに…。回復薬とか使わなかったんすか?神官とかは?」

「失礼じゃないよ、かっこいいなら良かった。使わなかったと言うか、使えなかったと言うか…純正の回復薬って高価だし、傷痕になってからだと治らないからな。…北部に神官は居ねぇの、教会もねぇし。
下も脱ぐ?」

「……そか、傷だらけでも、ジンは、…かっこいいっす。………下も、脱いで」

胸元の傷痕を撫でて、肩から背中に跨る痕へ口付けた。
実際、痛々しさよりも雄々しさを感じるのは、間違いなく欲目ってやつだろうな。

「…下にはあんま傷ないけど、良い?」

「傷が見たいんじゃないっすよ!」

「はは」

ジンが笑った。胸がきゅうんとする。
1人でときめいてるとジンの手が手首を掴んで、ズボンへと引き寄せた。

「脱がしてよ」

「う、うん…」

下着とズボンに指を引っ掛けて下そうとするんだけど、その隙に唇へ何度も口付けられて邪魔される。
脱がすだけなのに全然上手くいかない。

「んむ…っ…ジン…!」

んちゅ、とわざらしいキスに詰る。

「…脱がし慣れてねぇの可愛い」

「…そういうお前は慣れ過ぎてて可愛くない…」

「経験だけは多いから」

その言葉に少しムカついた。怒ったと言うか、多分嫉妬だ。
結局ジンは自分で下を脱いだ。下半身は確かに上半身ほどの傷痕はなかった。やたらと目立つ雄のシンボルに目がいってしまって、ちゃんと見れなかったんだけど。
お互い全裸の状態は初めてで、俺は物凄く興奮してしまってる。ジンにバレたくないけど、細められた赤目の光を見る限り、バレてる。

「ハンス、触って」

また手を掴まれて誘導される。
少し硬くなった、ジンのペニスへと。

「……ん」

指を這わせて、俺のより太いそれを握って扱く。
唇を合わせて舌を出して舐め合いながら、ジンの手も俺のを扱き出した。
既に先走りで濡れてたから、ちゅこちゅこと恥ずかしい音がする。

「ん、ふ…ッ…はあ…ッ♡…ん、ん」

なんて事ない、根本から括れまでを繰り返し擦られてるだけなのに、もう達しそうで、甘えた声が出る。
俺の手の中で硬くそそり立って来たジンのペニスのせいかもしれない。もっと勃たせたくて、両手で扱くんだけど、ジンの手の動きに翻弄されて、これも上手く出来ない。

「ぁ、あ、ジン…それ早い…ッ…い、く…ッッ♡」

我慢出来ずに出てしまった。

「手コキ気持ち良かった?」

「……ッ………う、ん」

恥ずかしい。ジンはまだ勃起し切ってないのに。
口付けに押されてベッドに寝転ぶと、ジンの手が臀部の割れ目へと入り込む。
びくりと腰が跳ねるけど、膝は招くように開いてしまう。

「脚、自分で持てる?」

「……! …う、うん…」

膝を浮かせて持ち、下半身を晒す格好に顔から火が出そうになる。ランプの光がジンの身体の陰影をはっきりと映し出すのは良いけど、俺の身体も丸ごと見られてるんだと意識してしまう。

「んんッ♡」

中指が中へと入り込んで来る。苦しさや窮屈さなんてなくて、根元まで嵌め込まれた指をちゅうちゅうと吸ってしまう窄まり。中を掻かれ、出し入れされると、腰の芯がジンジンと痺れる快感に震えた。

「はッ…♡ あ♡あ♡」

「…ハンス、すげぇ興奮してる?中もう柔らかいよ」

「う、ッ♡…や、じんの指が、えろ…い、から…ッ♡♡」

一度抜かれて、増えた指が押し込まれる。グチュグチュと中を掻き回されて、膝を持つ手に力が入る。硬くなった乳首まで舐められて、喉を反らす。ぢゅ、と強く吸われた時、先走りが噴いた気がした。

「ほんと?それだけ?」

「はッ♡はッ♡あッ♡そこだめッ♡イク…ッ♡」

ぐちゅ、と前立腺を引っ掻かれて電撃が走るようだった。

「イッて良いよ」

乳首を舐め上げられ、唆される。身体はその言葉だけで本当にイキそうだったけど、耐えた。

「やだ、ジン…♡ジンのでイキたい…♡」

「…俺の?俺の何でイキたいの?」

「…ッ♡…ん、はあッ♡わか、わかってる、くせに…っ!」

「分かんない。教えて」

ニヤニヤしながら、指の動きを早めてくる。イキそうな気配に頭がチカチカする。脚を持つ指先に力を込めて耐えるけど、腹の奥は熱くてたまらない。

「うッ…♡あ♡あッ♡イクッ♡ ち、ちんぽ…ッ♡ジンのちんぽ挿れて…ッ♡あッ♡はやく、ぅ♡」

「ん、いい子」

褒めるように頬にキスされて、指が穴から抜けた。達さずに済んだことに安堵しながら、次の刺激が早く欲しい。膝の間で身を起こしたジンの身体が大きく見える。色々遮る物があるけど、ヒクヒクと開いた窄まりへペニスの先端を押し当てられてると思うと目を離せない。

「………すっごい見るじゃん。先走りで股濡れまくってるし。ハンスこんなエッチだったっけ」

「……ッ!!」

指摘されて慌てて目を逸らした。逸らした先にジンの顔があって、熱の籠った瞳で微笑まれて、全身に力が入る。

「ほら、入るよ。見なくていいの」

「…ん、んあッッ♡ み、見ない……ッ♡ ああッッ♡♡」

「そう?ヨダレ垂れそうな顔で見てて可愛かったのに」

「そ、そんな顔…してな…ッあ♡あー…ッ♡」

ぬぷぷ…と奥に割り入ってくる感覚は見なくても分かる。窄まりがねだるようにヒクついてるのも。
目を瞑っていたけど、半分ほど入って来た時、ずしりと覆い被さる気配に目を開いた。顔の横に両肘を置かれて、閉じ込められるような錯覚。視界にはジンしか居ない。

「…はッ♡ジン…ッ♡」

突然の顔の近さに強くときめく。

「外じゃなかなか出来ないだろ、この体勢。…あと、悪い。やっぱ防音解除する。ちょっと集中出来ない」

「えっ…?」

「ごめんな」

汗の浮いた額に口付けられた。ちょろい俺はそれだけで頷いてしまった。
ジンの膝が臀部を持ち上げ、抱き込まれる。
肌と肌が触れ合い、汗ばんだ体温に恍惚感さえ覚えた時、深くに辿り着いた肉杭が抽送を開始して、俺は歯噛みして声を耐えようとしたけど、

「…ん、ッ♡く…ッ♡ぁッ♡ぁッ…んんッ♡ああッ♡あ、おく、やば…ッ♡あッッ♡いくッッッ♡♡♡」

途端に中イキしてしまった。押し出されるように射精までして。声は全然我慢出来なかった。

「はは、もうイッたの。今日めちゃくちゃ興奮してんじゃん。声大丈夫?響かない?」

優しい声なのに腰の動きは止めてくれず、どんどん強くなってきた。深い突き立てに抵抗したくて、ジンの両脇から背中に腕を回して止めようとするけど、止まってくれなくて、腰がガクガクする。

「ジンッ!じん…っ、あっ!だめッ、声出るッ、出ちゃう…ッ♡」

「はー…聞かれちゃうかな。ハンス、えっちな声でかいから…」

「待っ…い、いっかい、とま、止まって…ッ♡おねが…ッ♡あッ♡やだッ♡だめッ♡だめぇッ♡あッ♡ああッ♡♡」

しっかりと抱き込まれて、深くを穿つ腰の動きにだらしない声が漏れてしまう。聞かれたらまずいのに、余計に興奮している。

「みんな起きちゃ…起きちゃうッ♡♡」

「我慢できない?」

「できない、できなッ♡あッ♡イク♡イッちゃ♡」

「ふ、…じゃあ、口塞ごうか?」

近付いてくる唇に気付いて、両手をジンの首の後ろに回し直す。強く抱きしめて、深く口付ける。
舌を差し込み、ジンの口の中を舐め回すと、舌が絡まり合う。口の中まで気持ちよくなって、腰が勝手に揺れる。

「んッ♡んんッ♡んはッ♡はっ♡ぁ♡んッ♡」

ジンの腰の打ち付けが強くなってきて、脚を更に開いた。ピンッと伸ばした足先が快感に丸くなる。

「んあッ♡んんッッんーーー~~ッ!!…ッッ♡♡」

「ん、やべ…ッ…♡」

そのまま激しい絶頂に見舞われ、射精しながら全身をビクつかせた。同時にジンが達した事も気付けず、強い快感が抜け切った身体は脱力した。カクカクと腰を震わせて。

「はーー…中すっげ締めてくんじゃん…イッちゃった」

「はー…ッ…はー…♡」

抜こうとするジンの腰へ、力が入らないまま脚を絡めて止める。
ぎゅっと抱き締めて、ぼやける視界で見上げた。

「や…このまま…」

「……甘えんぼ」

ホールドされるような抱き込まれた体勢が、思ってる以上に嬉しい。離れたくなくてジンの顔に手を添えて、キスする。強く返されてシーツに後頭部を擦り付け、唇を離して見詰め合う。
宝石のように光る赤い目が羨ましくなる。目尻から頬を撫でて、うっとりとした顔を晒す。

「……なに、その可愛い顔」

「…目、良いなぁって…赤くて、かっこいい…」

「お前の目の方が綺麗だよ」

ジンの後頭部へ手を回して、黒髪を撫でる。
お世辞だと分かっててもジンに褒められると嬉しい。胸を押し付けて全身で甘えてると、中で太るジンのペニスに気付いた。

「……動いていい?」

「……ん、ッ♡」

初めて素肌で抱き合ってるからなのか、学園ではこんなにゆっくり過ごせなかったからか、ジンの事が好きだと自覚したからか、抱き締めた腕を離せない。でもジンは嫌がらないし、体勢を変えようともしない。嬉しい。嬉しい。

だから

「…ジンの、すきにして」

めちゃくちゃ甘えた声が出た。
一瞬ジンの全てが停止して、内心焦った。女々しかったかなとか、キモかった?とか。

「ジ……、ンアッ♡♡♡」

中を抉るように腰を打たれ、背中を仰反る。
そのままピストンが始まって全身を揺すられ、ぬぢゅぬぢゅと泡立つような音と共に腹底を何度も叩かれた。

「あ゛ッ♡お…ッ♡♡」

「はー……かわい、理性飛びそ…」

「あッ♡あ♡あッッ♡すご…ッ♡すごい、ぃ…ッ♡」

体位は変わってないのに穿ち方が変わって、さっきよりも強い刺激にジンを抱く手に力が入った。時々、我慢するためにジンの肌を噛むけど、厚みがあって噛みにくいし、口に力が入らず、垂れ流されるように声が漏れた。

「イクッ…またイク、…ジン…ッ♡」

「……!」

突然、動きが止まった。

「……ッ…、え、…じん…?」

「シイー…」

ジンが形のいい唇の前に指を立てた。
静かにして耳を澄ますと、しばらくして2階から降りて来る足音が聞こえて来た。水でも飲みに来たのだろう。
ジンはどこで気付いたのか、疑問はあるが、それどころではない。

心臓がドキドキする。様子を窺うジンの、流し目のような目付きが色っぽく見えて、思わずキスしてしまった。目線が戻って来て視線が絡む。

「……ジン…」

小さく名前を呼び、脚でジンの腰を撫でて甘えるように唇を啄む。

「ぁん…♡」

ゆっくりと抽送されるペニスの動きに足の指がヒクつく。
まだ廊下に誰か居るのに。聞かれたらまずいのに。
気持ち良くて腰が揺れ、ジンのペニスを中が強く締め上げる。

耳元に置かれた唇が笑うのが分かって、またビクンと腰が跳ねた。

「ふッ…♡…んッ♡んんッ♡」

キシキシと小さくベッドが揺れて、いやらしい音がゆっくりと鳴る。焦らされるような動きにどろどろの先走りが止まらない。

「はあ…ッ、なあ我慢して、ハンス。俺もしてるから」

「んッ♡んん…ッ♡」

じゃあ動くのやめて、って言いたいけど、俺の腰も全然言う事を聞かずにへこへこと動いてる。
何度も何度も唇を静かに強く吸い合って声を耐えるけど、どんどん頭の芯がぼうっとしてくる。

「……な、一旦魔力流すの止めてくんねぇと、俺、返しちゃうから…」

「え…まりょ、く?」

「………あ、無自覚?…そっか、無意識に魔力流してくるようになっちゃったか…えっち」

「あ、おれが…ッ…うそ、ごめッ…」

「ん、まあ、俺は良いけど、声我慢出来る?」

「でき、できな…♡」

「じゃ、魔力止めないと…腰も」

ちゅっと額にキスされる。ジンは止まってくれてる。
なのに、

「わかんな…分かんないッ♡ジン♡ジン♡」

足でシーツを押すように腰を浮かし、かくかくとみっともなく腰を振る。ぢゅぽと音が立つ度に歓喜にも似た快感に襲われて、止まらない。

「あー…も、かわいーな…」

「止め方、わかんない♡きも、きもちいい、じんっ♡イク…ッ♡またイク、おれ…ッ♡」

「ほら、声、シィって…」

「んっ♡んんッ♡んあ、ッ♡」

また唇を塞がれた。声を抑える為なのに、唇も気持ち良くて、俺は舌を差し込んだ。ジンの舌を追い掛けて絡めて、強く背中を抱き締める。
腰を押し付けるようにジンの腹でペニスを扱く。すごくみっともないのは分かってるのに止められなくて、呆れられるんじゃないかって思うのに、ジンも舌を吸って腰を俺に合わせて早めてくれる。

「だめ、我慢できな…ッ♡イクッ♡イクッ♡ジン、ジンッ♡」

腹の奥がきゅんきゅんして、そこを的確に突かれて気持ち良さに頭がおかしくなりそうだった。
何一つ我慢出来なくて、ジンの背中に爪を立てる。

「あッ♡ああッーーーー~~ッッ♡♡♡」

仰け反ってしまい、高く甘えた嬌声を漏らしてしまった。イッてるのにもう欲しい。腰が揺れるのが止まらなくて、ジンは答えるように腰を強く掴むと奥へ叩き込む。

「おっ♡おおンッ♡あっ♡あうッ♡イク、いぐッ…ぅ♡♡♡」

ここまで激しい腰の動きは初めてで、絶頂が止まらない。止めたくない。その気持ちがジンへ魔力を押し流してしまう。びゅる…っと中に射精されてるのが分かって、またイッた。

「あンッジン♡もっと♡もっとして♡おっ♡」

「ふー…ッ…」

歯を食い縛るジンのギラついた顔を見て、ぞわぞわと恍惚感と快感が背中を襲った。両手でまた抱き寄せて、唇を重ね、腰をふる。

「んっ♡ンッ♡はあッ♡ジン…ジンは、きもち、いい?」

「…ん、めちゃくちゃ気持ちいいよ」

「おれもッ♡ジンのえっちきもちい♡♡ぐちゃぐちゃにして…もっと…♡」

魔力循環のせいなのか、身体の奥から溢れ出る欲に理性が溶けて、みっともなくねだり付けた。
応えてくれるジンに甘えまくって、最終的に俺が気を失うまでヤリまくった。
その頃には薄らと窓の外が明るかった気がする。

.
.
.


母さんが起こしに来たのは昼前で、飛び起きたのだけど普通に自室に居た。ちゃんと寝巻きだ。

夢…?

と思った。だって身体はスッキリしてて、疲れもない。とぼとぼとリビングに入ると、ジンは祖母に付き合って刺繍糸を解いていた。でかい手なのに器用だ。

「おはよ、ハンス」

あまりに普通に挨拶されたので、混乱する。

「あ、おはよ…」

…マジで夢だった?

ガッカリするような、それならそれで、あの醜態が現実じゃなくて良かったような気もした。

「ハンス、ごはん食べる?」

「あ、うん…」

「じゃあ先に顔洗って来なさい」

母さんがキッチンに向かったので、とりあえず俺はへろへろと顔を洗いに行った。

「あら、怪我治ってるじゃない」

食卓につくと母さんにそう言われて、切れてたはずの口端を触った。本当だ。治ってる。頭を触っても痛くない。気付かなかった。

「???」

不思議に思いながら食事をしていたら、母さんと入れ替わりでジンが隣へ座った。

「…ごめん、絶対しんどいと思ったから手持ちの回復薬ポーション使った」

「え?」

囁く声が聞こえなかったんじゃなくて、何を言ってるのか分からなくて聞き返した。ジンは一瞬きょとんとした後に笑って「覚えてねぇなら良いや」と言って、席を立った。

そのうなじに引っ掻き傷が覗いていた。見付けた瞬間、固まってしまう。気付いたジンが肩越しにウインクして来て、一気に顔が熱くなった。

その時の朝食の味は全然覚えてない。
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