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学園編 1年目

男爵家男孫の夏休み4-2

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「パカッと産まれて話す言葉がローストビーフって。その後も、外から俺が話しかけてた言葉を繰り返してたよ。すごいよな」

頭の中で思い出が駆け巡る。
掻い摘んで話しつつ、ロキの質問には答えていた。
質問以外ではロキは口を出さず、相槌を打つだけだ。

「次の日ギルドに連れてったけど、誰も分かる人が居なくて。そりゃそうだよな、ドラゴンの幼体なんて誰も知らねぇんだもん。そしたら、ドラゴンと爬虫類型の魔物で意見が真っ二つに分かれて、なぜか喧嘩が勃発した」

冒険者にハンター、ギルド員含めたいい大人が、ジンとミニドラゴンをそっちのけでギャアギャアと言い合う様は、幼心でも大人気なくて笑えた。

「言い合ってもしょうがねぇだろって事になって、魔物鑑定士呼んだんだ。結果は鑑定士が大興奮のドラゴン判定だろ。そっからまたギルド内は大騒ぎ」

「ドラゴンは目撃証言ですら遠い過去の話になってるからな。ドラゴンの誕生を目の当たりにしたのも、その手で幼体を抱いたのも、今この世界でお前だけだろう」

「当時の俺にはその有り難みが分からなかったけどな。今なら思える。本当に貴重な体験だったんだと。先生ほどの人が羨むなんてさ」

ロキの目や声には、少しだけ憧憬が乗っていた。
見れなかった誕生の瞬間を思い描くような表情に、ジンは叶いもしない思いが湧いた。

(見せてあげたい)

(先生みたいな人こそが見るべきだったんじゃないか)

産まれてすぐに言葉を話す生き物を前に、どうして良いか分からず眠気に負けてすぐに寝た10歳児には、余りにも勿体ない出会いだった気がする。

ロキは羨望について否定も肯定もしない。
目線を逸らし小さく息を整えてから、気を取り直したように、微妙に話題を逸らしてきた。

「しかしよく取り上げられなかったな。ドラゴンの赤子だぞ。魔物鑑定士まで来たのなら保護と観察の名目で国が口出して来そうだが」

「国には報告しねぇ事にしたんだよ、魔物鑑定士の爺さんの判断で」

「報告しなくて良いものなのか」

「"国"にはな。ギルドには報告しなきゃいけない。で、ギルドは年に一度だけ、その年に発見された個体や討伐数なんかを纏めて国に提出する義務がある。だからそこに纏めちまおうって事になった」

「へえ、知らなかった。てっきり国はドラゴンの存在などは把握したがるかと思っていたが、そんな事もないのか」

ロキは足を組み直し、テーブルに片肘をついた。

「あるよ。だから魔物鑑定士の爺さんが、わざわざ国に報告するなって言ったんだ。国って言っても結局は貴族の集まり、人の群れだろ。国が保護するって言っておいて、今までに何度も行方知れずになってしまった新種の魔物とかが居たんだってさ」

「…理由も原因も言わずとも分かるな。時折、魔塔ですら起こる事だ」

「ああ、魔獣の核とか?あれも貴重だもんな」

「そうだ。研究や保存を目的としているのに、盥回しにされた挙句に消失する。魔物鑑定士の気持ち、分からんでもないな」

「そこは俺も分かる。だけど、俺としてはもっと困る事が起きて」

「お前が困る事?」

ドラゴはブルーベリーを食べていた。先程まではもう少し綺麗だったのに、口周りも手も果汁でベトベトだ。
食べ方が2歳児。
手で口元を拭うと嫌そうにされた。

「魔物鑑定士とギルド長が、孵化させた俺と一緒に居るべきだって言い出したから」

あの時のギルド長は凄い剣幕だった。
偶々居合わせた数人の冒険者やハンターがドラゴを欲しがると、剣でも抜くんじゃないかと思うほどの気迫で追い返し、外部に吹聴したら登録を抹消すると無茶まで言い出した。

あの時、初めてギルド長を怖いと思った。
でもその背中に安心もしたし、格好良いとも思った。

「まあ、10歳の男児にドラゴンの世話を委ねるのは、かなり大胆と言うか、無謀にも取れるな」

「そうだろ。俺もガキながらに、俺と暮らすのはドラゴの為にならないと思ったんだよ。北部では見た事ないって言われてる生き物が、慣れない寒い土地で生きれるわけないし、ましてや魔物の事ろくに知らないガキが育てられる訳ねぇじゃん。
だから、魔物鑑定士の爺さんに譲るって言ったんだ。そうじゃなければ、ギルドで保護して貰おうと思って。本当なら、それが正しい事なんだし」

「…お前はドラゴンに全然興味なかったのか?」

「いや、物語としては知ってたし、かっこいいなとは思ってたよ。でもさ自分で育てるのは違うじゃん。一時の感情だけで育てられないだろ」

「だがドラゴは育った、お前の元で。こんなに元気に。大人達の判断は間違っていなかったのだろう」

「……それは結果論。今だから言える事で当時はマジで焦った。俺なんかが、親になれる訳ねぇ」

「ジン、これすっぱい」

「ん?」

ドラゴはブルーベリーを何粒かジンの手に置いた。

「さっきまで食ってただろ。急に要らなくなったのか。…酸っぱいのだけ俺に渡してんのか?」

「やる」

食べたら酸っぱくなく、美味しいだけのブルーベリーだった。食べずに選別する能力は流石になかったか。

「お裾分けだったか。ありがとな」

「ふん」

またブルーベリーを食べ始めた。

あの時はほっそいトカゲだった。食欲は旺盛で、何でもバクバク食べた。あの頃に食べたラズベリーが酸っぱすぎたせいで、ドラゴはベリー系を嫌っている。
ブルーベリーは葡萄の一種だと思ってるらしい。
面白いのでそのままにしている。

「…当時はこいつが何食うのかも知らなかったんだぜ。だけどギルド長達は、大人も知らねぇから一緒だよって言うんだよ。
ギルド長はさ、ドラゴがお前を選んだんだよ、お前に会いに来たんだよって、無理やりそう言う話にしてさ。協力するから本当に本当に嫌になったら、自分とこに連れて来いって魔物鑑定士の爺さんに言われるし。
…あの頃は大人の圧に勝てる歳じゃなかった」

ドラゴは空になったジンの手に、またブルーベリーを乗せていく。時々自分で食べては、ハズレを引いたのか、酸っぱそうな顔をしていた。
ロキは表情筋の少ない、だが表情豊かなドラゴを眺め、ジンの手に乗せられたブルーベリーを一粒掠め取る。

「結果が良ければ良いだろう。学園長が褒めていたぞ。昔戦った野生のドラゴンに比べ、ドラゴは魔力も性格も安定していると」

「ちょっと待って、学園長がドラゴンと対決した話の方が気になるんだけど」

朗らかで大らかな大木のような学園長が?
あの魔力だ、強いだろうとは思うが戦う姿はまるで想像つかない。
慈愛溢れる笑顔のままで倒していくのだろうか。
それは是非とも拝みたい。

「馬鹿な想像をせずに、学園長に直接聞け」

ロキはブルーベリーを噛み、ジンを見下ろす。
なぜ想像していたことがバレたのか。
ジンは「まさか」と戯(おど)けて見せたが、冷徹な紫の目には見透かされているようだ。

「俺から見ても、ドラゴもフィルも満足な生活を送っているように思う。他人との共生も上手く出来てるだろ。躾が良いと素直に賛辞を送りたいくらいにな」

「それが良いのかって話だけどな」

「うん?」

「人馴れして良いのか、ドラゴンが。俺の元にいるより、ドラゴンらしく空の下で生きる方が良いんじゃないか。これはまあ、フィルにも言える事だけど。
…1人でも死なない程度に育ったなら、野生に帰そうとずっと思ってた」

ドラゴは聞こえてない振りをしてる。こう言う話の時、ドラゴもフィルも何の反応もしない。
それがどう言う意図なのかジンにはまだ分からない。

「野生に帰す、か」

「自由な方が良いじゃん。自分らしく生きるって言うか。でも学園長にもう少し親が必要って言われたから、もう少し面倒みるけど。俺よりちゃんと出来る親がいるなら、そっちに任せるかも」

「…お前の言うちゃんと出来る親と言うのは?」

「そりゃ……しっかり運動させて、腹一杯食わせて、清潔にしてあげて……ドラゴンならドラゴンらしく、フェンリルならフェンリルらしい生き方を教えてあげられる人?」

質問に面食らう。良い親の条件など、言わずとも分かるだろうと思ったからだ。
だが思いに反して言葉は出て来なかった。

「そんなもの人の中にいる訳ないだろ。…本人に聞けばいいだろ、どうしたいのか。ドラゴは話せるし、フィルの意思も理解出来るのだから」

「こいつらは俺が良いって言うよ。ずっと一緒にいるんだから」

直接問い掛けた事はないが、断言した。
パシリとドラゴの尻尾が床を叩いた。

(あれ、そうだよな。なんで)

ふと気付く。

(なんで直接、聞かなかったんだろうか)

一瞬の動揺を、ロキの目に見抜かれた気がした。

「ずっと一緒にいても離れたいと思う関係もある。時間の長さや密度の問題じゃない。
…ドラゴやフィルの意思を無視して、決め付けてやるな」

普段、ろくに反応しない鼓動が早くなる。
悪い事がバレた子供みたいに。

「自由でありたいのはお前の方で、こいつらを要らないと言ってるみたいだぞ」

ロキの声が、身体の中心へズシリと重みを持って沈み込んだ。
自由にさせたいと話す度、そっぽ向いてたドラゴの横顔が思い浮かぶ。

「違う!」

吼えるように声が出た。誰も驚きはしなかった。ジン以外は。

「……違う、いらないだなんて思ってない。思ったことねぇよ。ただ自由にしてやろうと…」

頭を左右に振って、ロキの言葉と共に寂しげに見えてきたドラゴ達の後姿を掻き消そうとする。

カツリ、ロキが指先でテーブルを叩いた。
顔を上げると、そこには教師の顔をしたロキがいる。
冷徹で真摯な目線。

「お前の言う自由とは何だ。野原を駆け回り、空を舞えば自由なのか」

視線が痛い。

「…それぞれの生態にあった暮らしをした方が良いんじゃないかって、言いたいだけだ」

この話はもう終わりたい。誤魔化して、はぐらかして、ドラゴとフィルにはきちんと説明(いいわけ)して、それでもう終わりにしたかった。
だがロキがそうさせない。

答えを述べなければ。そんな気持ちになる。
解答するまで、きっとロキは許さない。
でもこれ以上答えたら、俺は無様なことを口にする。

「今はまだ放り出したりしない、後々の事として。…これからもっとデカくなって、もっと強くなったら、俺の傍にいる理由ないだろ。どうせ野生に帰るのなら、早い方が良いかなって思ってただけで…」

言葉にすればする程、思いから遠ざかって行く。

(そうじゃないだろ…下手くそめ)

口を噛んだ。すぐにロキの視線に気付き、表情を戻す。
だが遅いのだろう。きっと見られた。

「人の都合で使役することを、漫然と良しとする人間よりは、お前の考えは好ましい」

ロキは冷たく見えるが、他人の答えを頭ごなしに否定しない。

「だが肝心のドラゴ達を見ていない」

代わりに鋭く核心を突く。

「勝手に気持ちを決め付けてやるな。なぜお前の傍にいるのか、これからどうしたいのか。自由を尊重したいなら、意思の自由も尊重してやれ」

ドラゴを見た。下を向いて、自分で桃を剥こうとしていた。その横顔は8年前より随分と大きくなったのに、まだまだ丸い。
フィルはそっと尻尾を巻き付けてくる。小さく小さく「きゅーん」と鳴いた。

人の温かみを知ると、自分の冷たさがよく分かる。

「………俺は本当に無自覚無神経なんだな」

「うん?…何だそれは」

「ハンスに言われた」

爪でぐじゅぐじゅになった桃を、ドラゴの手から取った。何も言わずに見上げて来る目を見て小さく笑う。
片手にずっと握っていたナイフで剥いて、ドラゴへ渡した。

「…なあ、言い訳を聞いてくれるか」

ドラゴの黒い目にジンの情けない笑みが映る。
目を逸らさないドラゴは、桃を持ったまま動かない。

「あのな、違うんだよ、俺は、俺を必要とする存在に戸惑ってるだけなんだ。それがありがたい事だって分かってる。分かってるから、余計にお前らにはもっと良い道があるんじゃないかって思ったんだ。
決してお前らと離れたいと思ってる訳じゃない」

8年も一緒に居たのに、親子のように、兄弟のように、友人のように過ごして来たのに、この為体(ていたらく)。
自分にとっては最善策だと思っていた。信じていた。
勝手な理想論でドラゴ達の気持ちを傷付けていたのだと漸く気付く。

「自由に憧れているのは俺の方だ。俺が自由になりたかったんだよ。自由であることが尊い事だと思ってる。だからドラゴ達には、そう言う世界で生きて欲しいと思ったんだ。自由を選択出来るなら、するべきだと。
いつか俺も、自由を手にするつもりだから」

「その未来に、ドラゴとフィルが居たら駄目なのか」

ロキがするりと入って来る。会話に、心に。
言われてまた気付く。
思い描いた未来には、いつだってドラゴとフィルがいた。

「……そんな訳ねぇじゃん、居てくれたら、最高だよ。だけどそれは、俺の我儘だからさ…そう思ってたから」

ドラゴの顔を覗き込むように前のめりになった。

「なあ、ドラゴ。お前に帰る場所があるとしたら、帰るか?今より自由だし、もっと強くなれる場所があったとしたら」

「? ギルド?」

「なんでギルドが出てきたよ。うーん、お前が産まれるべきだった場所だ。自然がたくさんあって、何でも出来る。仲間も……仲間はいるか分かんねえが」

「?? オレ様はオマエの所で産まれた、だからオマエの所に帰る。フィルもいる」

「……うーん」

答えは予想通りだったが、真っ直ぐ見返して来る瞳に嬉しさを感じてしまう。
だがこれでは真意が聞けない。聞き方が悪いのか。
腕を組み、ナイフの刃先を揺らして唸る。ドラゴは桃を食べ始めた。

「ふっ」

笑う吐息にロキを見上げた。
ロキは愉快そうに、随分と母性(父性?)溢れる目で微笑んでいた。

「もう良いだろ。それで」

「それって、どれですか」

「お前がこいつらの帰る場所だ」

「…帰る"場所"に人は当て嵌まんの?」

「当て嵌まる。ゴチャゴチャ言うな。さっき向き合うと言っただろ。此奴らがお前の元に帰りたいと言うのなら、それで良いだろう。離れる気がないのなら、受け止めてやれ」

「……はい。 ドラゴ、フィル、嫌な気持ちにさせてごめんな」

果汁でベタベタの口元を撫でた。ドラゴは嫌がらずに見上げた後、ふんっとそっぽ向いて、食べ掛けの桃を差し出してきた。

「ジンはバカだ」

「うん、バカだった。俺が口出すことじゃなかったよ」

桃を受け取ると、振り向きながら飛び上がって来た。指を突き付け、ドラゴは怒鳴る。

「そうだ!!ジンはうるさい!ヤセイヤセイと!ヤセイてなんだ!」

鬱憤が溜まっていたようだ。

「うん、ごめんな。野生を理解してなかったか」

「ヤセイはきらいだ」

「知らないくせにか」

「きらいだからもう言うな」

「うん、言わねぇ」

ドラゴは暫くジンの目を見詰めた後、「ん」と頷いて定位置へ戻った。
その姿を見ながら桃を食べた。ぬるいし、ベチャベチャだけど甘くて美味い。
フィルが背凭れ役を解放されたがって前へとやってきたので、ナイフを持つ手を上げて身体を開けば、膝へ上半身を乗せて伏せた。

「フィルもごめんな。もう言わねぇからな」

両手で頬を掴んで撫でてやると、尾を振りしきる。

様子を黙って見詰めていたロキへ、ジンが苦笑いを向ける。肩を竦めた後に、ふっと笑い返してくれた。

「あー…まさかこんな話になるなんて。恥ずかしいのに、今すげぇ先生にキスしたい。こう言うの、なんて言うの。高揚感?」

「衝動を抑えるのも魔力制御の練習になる。勉強だと思って頑張りなさい」

ロキは立ち上がり、ジンの手からナイフを取るとローブの中へ戻す。
代わりにとタオルを出してくれたので、受け取ってドラゴの口と手を拭う。

「面白い話が聞けた。そろそろ明日の為にも早めに休んでコンディションを整えろ。1ミリも誤差が出ないように」

「難しい事言ってんな。……なあ、先生」

「なんだ」

「ありがと」

テーブルと椅子をローブへ戻していたロキは、外していた目線をジンへと向け直した。

「礼にさ、手間循環でもしましょうか。循環、試したいのは本当だろ?」

ジンは掌を差し出すがロキは動かず、暫く見詰め合った後、眉を顰めて冷たい目線を送る。

「………断る」

「ホント頑な」

掌をひらつかせて、ジンは笑う。

「その辺りのお前の自制心を俺は信じていない」

「…先生に無理やり魔力流して、その気にさせるって思われてんの俺」

「そうだ」

「自衛できる人を落とすのって難しいな」

笑うまま、ジンは果汁や果肉やらで汚れた床を見て、戻って来た魔力で清潔魔術を掛ける。

「自覚がある事が恐ろしいんだよお前は」

「俺良い子ではないからな」

綺麗になった床へ、バタリと倒れ込んだ。足の上にいたフィルは身動ぎして更に乗って来た。居心地良い位置を見つけたらしい。
ロキが上から見下ろしてくる。

「おい、此処で寝る気か。早く帰れ」

「先生は?」

「お前がぶち壊してくれた結界魔術を掛け直してから戻る。五大属性、原初属性、無属性の計8種の属性防御もな。時間が掛かるから先に帰りなさい」

「………手伝えることは?」

「あるぞ、帰ってゆっくり休む事だ」

「壊してすんませんでした」

「反省は必要ない。次は『咆哮』を食らっても壊れないようにしておこう。だからまた、遠慮なく俺に掛けてくれ」

「……」

ムラッとした。
気を付けろと自分に言い聞かす。
この人には他意も自覚もない。

「場所を変えるのも悪くないな。外で思いっ切りイクのも良い」

「………」

腹の上で手を組んで、硬く目を瞑った。
疲れてるのに下半身がそわそわしそうだ。

「何してる、早く帰れ」

「…寝ます、終わったら起こして」

ロキの溜息が聞こえて、カツカツと遠ざかる音がした。
瞼の裏にロキのいかがわしい姿を思い描いてしまう。

(はー…自制心、褒められても良いと思うんだけど)
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