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雨に聴く☆
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数学の授業中、
お弁当がお腹で消化を始めたのか眠たくて仕方がない。
しかも昨日まで雨が降り続き、今日は打って変わって激しく太陽が照りつけていた為に地表の水分が一気に蒸発して今の教室内はサウナと化していた。
私の前の席の男子は眠っているようだが、暑さでうなされている。
この暑い中よく眠れたもんだと呆れながら私は伸ばしっぱなしの結んだ長い髪を手でよけて頬杖をつく。
下敷きでパタパタと顔に風を送りながら窓の外を眺めていると、今まで強い日射しが照りつけていた運動場に広がった空はいつの間にか真っ暗な雨雲で覆われているのだった。
その瞬間、ザァーーーーーーッッッ!!
土砂降りの雨が降り出して、開け放たれた窓からひんやりとした風が教室内に流れてくる。
わぁ、、、。涼しい~。
今までがサウナだったせいもあり、そこに流れ込んだ風がまるで水風呂のような爽快感を与えてくれる。
一時、教室内の音が止まって、全員が窓の外に釘付けになる。
寝ていた男子まで起き出して
「えぇ~!?まじかよ、傘持ってきてねーし!」と言う。
先生も「あらー、これは帰りが大変でしょうね。」と言う。
他の子たちも口々に「えー」とか「うわー」とか「げぇー」とか嫌そうな顔をしたり、口々に不満を漏らしたりしている。
そうしてまた先生は黒板の説明に戻り、みんなももとのように机に向かう。
ただ私はまだ窓の外を眺めていた。
私はただ、こういう土砂降りの雨を部屋の中から眺めるのが好きなのだ。
暑さの隙間をぬってくるように入ってくる冷たい風の心地良さ、激しい雨音で生活音が全部かき消される感じ、気温がゆっくり下がっていき水に濡れた地面や草が放つ匂いさえも三階の一室にも関わらず感じられるのだ。
それを楽しむ事がたまらなく好きだった。
この雨を今楽しんでいる人間がこの教室内に私以外いるのだろうか?
おそらく見る限りは一人もいない。
今この瞬間に外で仕事をしている人はびしょ濡れになって大変だろう。
食品を扱っている人や野外で催し物をしていた人は品質管理や撤収作業に追われているかもしれない。
きっとこの瞬間に苦しんでいる人はいっぱいいる。
けれど私は今の自分の、この感情を大切にしたいと思っている。
こういう瞬間にも「いやーねー」と言って同調させようとする友達や先生や周りの大人がたくさんいる。
雨の日にテレビを付けると「ご注意下さい」「危ないので」「大変ですね」と不安をあおるような事しか言わない情報番組を見て毎朝学校に来ているせいで、皆「雨は嫌だ」というおかしな感覚を刷り込まれてしまっているのだ。
そもそも人は空気を吸って生きている。
もしも雨が振らなくて植物が呼吸しなくなったら、酸素が空気中に無くなって呼吸できずに人間は死んでしまうという事を完全に忘れてやしませんか?と言いたい。
雨は世間一般では悪者扱いという事自体、人間の勝手なご都合主義が蔓延しているのを感じざるを得ない。
なので苦労している人達と、個人の感情の自由とを一緒くたにしないでもらいたいのだ。
、、、ゴロゴロゴロ、、
「いやぁー」と女子の細やかな悲鳴のような文句が聞こえる。
、、、来たな、カミナリ。と私は頬杖をついたままほくそ笑む。
雷のピシャーンといく前の、場所をあれこれ探し回ってゴロゴロ鳴る感じも良い。
一人で授業とは別の所でテンションがあがってしまって、さっきまでの眠気はすっかりと冷めてしまっていた。
終わり
お弁当がお腹で消化を始めたのか眠たくて仕方がない。
しかも昨日まで雨が降り続き、今日は打って変わって激しく太陽が照りつけていた為に地表の水分が一気に蒸発して今の教室内はサウナと化していた。
私の前の席の男子は眠っているようだが、暑さでうなされている。
この暑い中よく眠れたもんだと呆れながら私は伸ばしっぱなしの結んだ長い髪を手でよけて頬杖をつく。
下敷きでパタパタと顔に風を送りながら窓の外を眺めていると、今まで強い日射しが照りつけていた運動場に広がった空はいつの間にか真っ暗な雨雲で覆われているのだった。
その瞬間、ザァーーーーーーッッッ!!
土砂降りの雨が降り出して、開け放たれた窓からひんやりとした風が教室内に流れてくる。
わぁ、、、。涼しい~。
今までがサウナだったせいもあり、そこに流れ込んだ風がまるで水風呂のような爽快感を与えてくれる。
一時、教室内の音が止まって、全員が窓の外に釘付けになる。
寝ていた男子まで起き出して
「えぇ~!?まじかよ、傘持ってきてねーし!」と言う。
先生も「あらー、これは帰りが大変でしょうね。」と言う。
他の子たちも口々に「えー」とか「うわー」とか「げぇー」とか嫌そうな顔をしたり、口々に不満を漏らしたりしている。
そうしてまた先生は黒板の説明に戻り、みんなももとのように机に向かう。
ただ私はまだ窓の外を眺めていた。
私はただ、こういう土砂降りの雨を部屋の中から眺めるのが好きなのだ。
暑さの隙間をぬってくるように入ってくる冷たい風の心地良さ、激しい雨音で生活音が全部かき消される感じ、気温がゆっくり下がっていき水に濡れた地面や草が放つ匂いさえも三階の一室にも関わらず感じられるのだ。
それを楽しむ事がたまらなく好きだった。
この雨を今楽しんでいる人間がこの教室内に私以外いるのだろうか?
おそらく見る限りは一人もいない。
今この瞬間に外で仕事をしている人はびしょ濡れになって大変だろう。
食品を扱っている人や野外で催し物をしていた人は品質管理や撤収作業に追われているかもしれない。
きっとこの瞬間に苦しんでいる人はいっぱいいる。
けれど私は今の自分の、この感情を大切にしたいと思っている。
こういう瞬間にも「いやーねー」と言って同調させようとする友達や先生や周りの大人がたくさんいる。
雨の日にテレビを付けると「ご注意下さい」「危ないので」「大変ですね」と不安をあおるような事しか言わない情報番組を見て毎朝学校に来ているせいで、皆「雨は嫌だ」というおかしな感覚を刷り込まれてしまっているのだ。
そもそも人は空気を吸って生きている。
もしも雨が振らなくて植物が呼吸しなくなったら、酸素が空気中に無くなって呼吸できずに人間は死んでしまうという事を完全に忘れてやしませんか?と言いたい。
雨は世間一般では悪者扱いという事自体、人間の勝手なご都合主義が蔓延しているのを感じざるを得ない。
なので苦労している人達と、個人の感情の自由とを一緒くたにしないでもらいたいのだ。
、、、ゴロゴロゴロ、、
「いやぁー」と女子の細やかな悲鳴のような文句が聞こえる。
、、、来たな、カミナリ。と私は頬杖をついたままほくそ笑む。
雷のピシャーンといく前の、場所をあれこれ探し回ってゴロゴロ鳴る感じも良い。
一人で授業とは別の所でテンションがあがってしまって、さっきまでの眠気はすっかりと冷めてしまっていた。
終わり
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