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Part 3
Е. б やっと、ただいま - 04
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「セシルじょうは、となりのむらに、たすけにいったのです。ちちうえ、“さいがいきゅうさい”って、しっていますか? おじうえが、とてもたいへんなしごとなのだよ、といいました。セシルじょうは、たいへんなしごとをしているけれど……、セシルじょうのおかあさまは、ぼくは、しさつをつづけて、たくさんまなびましょう、といいました。レイフおじうえも、おどろいているから、たくさんまなんでいるんです。だから、ぼくも、たくさんまなびました」
食事の合間に飛びかうオスミンの会話で、今は、ものすごい真剣な様子でコトレアの日々を語るオスミンは、先程からフォークとナイフの手が止まっているのだったが、あまりに真剣な様子で説明してくれるものだから、アルデーラもアデラも、仕方なく……オスミンを止めることはできず。
「その話は、レイフから聞いている。オスミン、“災害”というのを学んだのか?」
「セシルじょうが、“さいがいきゅうしゅつ”にいったのです。“さいがい”は、“わざわい”や、“じこ”だったり、いろいろあるそうなのです。でも、ボイマレの“さいがい”は、しぜんからおきた“さいがい”なのです。だから、セシルじょうが、むらびとたちをたすけに、むらにいったのです」
たぶん、ほとんどの単語の意味を理解していないのだろうが、それでも、誰かに説明された内容をしっかりと記憶しているオスミンだ。
「ギルバートおじうえは、セシルじょうがたいへんつかれているから、いまは“ごろね”をしているのだ、といいました」
「――ごろ寝?」
「そうです。ゴロゴロして、なまけていることです。でも、おじうえは、セシルじょうがつかれているから、そうやって、やすむことがいちばんたいせつなのだ、といいました。セシルじょうは、ぼくも、たまに“ごろね”をして、からだをやすめてもいいんですよ、といいました」
ひくり……と、アルデーラの口端が微かにだけ引きつっていた。
セシルが災害救済で多忙であったのは予想がつくので、アルデーラも驚きではないが、だからと言って、疲労が溜まったセシルの“ごろ寝”をオスミンにも奨励するか、と言う話は、全くの別の話だ。
「ちちうえ、ぼくも、こどもようの“ハイチェア”がほしいです。ぼくは、ひとりでこどもようの“ハイチェア”にのぼりました。おちなかったんです! それから、おりるときも、ひとりでできました! だから、ぼくに、こどもようの“ハイチェア”をかってください」
そして、幼いオスミンは“ハイチェア”の虜になってしまって、コトレアを発って以来、大人用の椅子ばかりに座らされて、ものすごいがっかりしている。
あの子供用のハイチェアがあれば、オスミンは一人で登り下りができるし、視界も開けて、椅子に乗ったクッションの上で動かないように必死で大人しくしている必要もなくなってくる。
ただ、幼いオスミンは、そのような(高度な) 発明品が、セシルの領地だけにあることをしらない。
王子殿下であるから、生まれたその時から全くの不自由無しで育てられてきている。だから、王子殿下が欲しいものは、いつでもどこでも簡単に手に入るものだと信じて疑わないのだ。
「――それは、ギルバートの話を聞いてからだ」
「おじうえの? どうしてですか? セシルじょうは、こどもようの“ハイチェア”は、しっかりとしてじょうぶですよ、といいました。ぼくは、おちませんでした」
「――そうか。それは良いことだ」
はっきり言って、何が良いことなのか全く判っていないアルデーラであっても、それをオスミンの前で言いふらすことはしない国王陛下である。
「まずは、食事を終わらせなさい。長旅で疲れていることだろうから、今夜はゆっくりと休み、また、明日、話を続けなさい」
「はいっ。ぼくは、こどもようの“カトラリー”で、ちゃんと、ひとりでたべられました!」
「そうか――」
謎の単語だけではなく、謎の行動もあって、謎の物体も出て来て、理解に苦しむアルデーラとアデラだった。
その日、一日中、興奮したままのオスミンは、お付きの侍女と侍従達により、寝る準備を整えられ、やっと就寝していた。
本人は興奮していて疲れを知らずのようだったが、ベッドに入るとすぐに、オスミンは数分もしないうちに熟睡していたらしい。
オスミンの付き人の侍従からその報告を受け、“夫婦の時間”で私室に戻ってきたアルデーラとアデラも、一応の安堵をみせる。
「オスミンは、たくさん楽しいことを経験したようですわ……」
「どうやら、そのようだ」
だから、アルデーラは、しっかりとレイフとギルバートの報告を聞かなければならない。
天災など、誰にでも予測できるものではない。だから、その救済でボイマレに向かったというセシルに付き添っていたギルバートが、コトレアの領地を離れてしまったので、レイフとオスミンの滞在が延長されたことになる。
仕方がなかった状況だとしても、レイフにとっては――またとないチャンスだったことだろう。大義名分で、コトレア領に長々と滞在することができたのだから。
オスミンの説明する様子からしても、オスミンは“視察”の過程で、たくさんの場所を観て回ったようなのである。
そして、その大半以上の説明を全く理解できていないアルデーラだ。
~・~・~・~・~・~・~・~・
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Ташаккур ба шумо барои хондани ин китоб
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食事の合間に飛びかうオスミンの会話で、今は、ものすごい真剣な様子でコトレアの日々を語るオスミンは、先程からフォークとナイフの手が止まっているのだったが、あまりに真剣な様子で説明してくれるものだから、アルデーラもアデラも、仕方なく……オスミンを止めることはできず。
「その話は、レイフから聞いている。オスミン、“災害”というのを学んだのか?」
「セシルじょうが、“さいがいきゅうしゅつ”にいったのです。“さいがい”は、“わざわい”や、“じこ”だったり、いろいろあるそうなのです。でも、ボイマレの“さいがい”は、しぜんからおきた“さいがい”なのです。だから、セシルじょうが、むらびとたちをたすけに、むらにいったのです」
たぶん、ほとんどの単語の意味を理解していないのだろうが、それでも、誰かに説明された内容をしっかりと記憶しているオスミンだ。
「ギルバートおじうえは、セシルじょうがたいへんつかれているから、いまは“ごろね”をしているのだ、といいました」
「――ごろ寝?」
「そうです。ゴロゴロして、なまけていることです。でも、おじうえは、セシルじょうがつかれているから、そうやって、やすむことがいちばんたいせつなのだ、といいました。セシルじょうは、ぼくも、たまに“ごろね”をして、からだをやすめてもいいんですよ、といいました」
ひくり……と、アルデーラの口端が微かにだけ引きつっていた。
セシルが災害救済で多忙であったのは予想がつくので、アルデーラも驚きではないが、だからと言って、疲労が溜まったセシルの“ごろ寝”をオスミンにも奨励するか、と言う話は、全くの別の話だ。
「ちちうえ、ぼくも、こどもようの“ハイチェア”がほしいです。ぼくは、ひとりでこどもようの“ハイチェア”にのぼりました。おちなかったんです! それから、おりるときも、ひとりでできました! だから、ぼくに、こどもようの“ハイチェア”をかってください」
そして、幼いオスミンは“ハイチェア”の虜になってしまって、コトレアを発って以来、大人用の椅子ばかりに座らされて、ものすごいがっかりしている。
あの子供用のハイチェアがあれば、オスミンは一人で登り下りができるし、視界も開けて、椅子に乗ったクッションの上で動かないように必死で大人しくしている必要もなくなってくる。
ただ、幼いオスミンは、そのような(高度な) 発明品が、セシルの領地だけにあることをしらない。
王子殿下であるから、生まれたその時から全くの不自由無しで育てられてきている。だから、王子殿下が欲しいものは、いつでもどこでも簡単に手に入るものだと信じて疑わないのだ。
「――それは、ギルバートの話を聞いてからだ」
「おじうえの? どうしてですか? セシルじょうは、こどもようの“ハイチェア”は、しっかりとしてじょうぶですよ、といいました。ぼくは、おちませんでした」
「――そうか。それは良いことだ」
はっきり言って、何が良いことなのか全く判っていないアルデーラであっても、それをオスミンの前で言いふらすことはしない国王陛下である。
「まずは、食事を終わらせなさい。長旅で疲れていることだろうから、今夜はゆっくりと休み、また、明日、話を続けなさい」
「はいっ。ぼくは、こどもようの“カトラリー”で、ちゃんと、ひとりでたべられました!」
「そうか――」
謎の単語だけではなく、謎の行動もあって、謎の物体も出て来て、理解に苦しむアルデーラとアデラだった。
その日、一日中、興奮したままのオスミンは、お付きの侍女と侍従達により、寝る準備を整えられ、やっと就寝していた。
本人は興奮していて疲れを知らずのようだったが、ベッドに入るとすぐに、オスミンは数分もしないうちに熟睡していたらしい。
オスミンの付き人の侍従からその報告を受け、“夫婦の時間”で私室に戻ってきたアルデーラとアデラも、一応の安堵をみせる。
「オスミンは、たくさん楽しいことを経験したようですわ……」
「どうやら、そのようだ」
だから、アルデーラは、しっかりとレイフとギルバートの報告を聞かなければならない。
天災など、誰にでも予測できるものではない。だから、その救済でボイマレに向かったというセシルに付き添っていたギルバートが、コトレアの領地を離れてしまったので、レイフとオスミンの滞在が延長されたことになる。
仕方がなかった状況だとしても、レイフにとっては――またとないチャンスだったことだろう。大義名分で、コトレア領に長々と滞在することができたのだから。
オスミンの説明する様子からしても、オスミンは“視察”の過程で、たくさんの場所を観て回ったようなのである。
そして、その大半以上の説明を全く理解できていないアルデーラだ。
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