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Part 3
Д.в 災害救済 - 04
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「町の私営警備をまかされている護衛達は、通常のままで、問題ないでしょう」
宿場町には、それぞれ、私営目的で設置された共用の施設や設備がある。
その警備や護衛は、領民から訓練された者を雇っている。領地の正騎士ではない。だが、その運営と指揮は、ラソムの責任でもあった。
「わかりました」
「オスマンド」
「はい。私の元へは、通常報告以外の報告は上がっておりません。豊穣祭の後片付けも、順調のようでございますし、領地内での収穫、及び、冬支度も始まり、予定通りでございます」
「邸内で、なにか不都合は?」
「ございません」
「ああ、それを聞いて安心したわ。では、フィロ?」
「はい。ボイマレの新しい状況報告は、上がっておりません。マスターが午前中にお発ちになられましたので、そういった状況変化がなかったのでございましょう。ボイマレから避難してきた領民も、おりませんでした。引き続き、天候の確認はさせております」
「ええ、よろしく。明日から、避難民の受け入れが必要になってくるから、ボイマレからの報告が出てこなければ、フィロには、避難民受け入れの手伝いをしてもらいます」
「わかりました。マスター宛の招待状、及び、手紙が、少々、溜まっておりますが」
「でも、緊急のものでもないんでしょう?」
多忙を極めるセシルには、よほど緊急事や重要な書類または手紙以外、セシルに宛てられた手紙類は、フィロの場で差し押さえられているのだ。
「そのように判断します」
だから、多少、手紙が溜まっていようが、今は、フィロがセシルを急がせるつもりはないようだった。
おまけに、セシルに送られてくるパーティーやらお茶会の招待状など、封も空けられず、完全に無視されている傾向にあるので、フィロが(セシルに代わり) 丁重なお断りの返答を出している。
セシルは、一応、傷心して領地で閉じこもっている――というステータスなのだ。
これだけ動き回って、行動しまくりのセシルを前に、傷心、など到底言えたものではないが、一応、今のセシルはそういう理由で、領地に閉じこもっていることになっている。
「じゃあ、問題ないわね」
一通りの領地の報告会は終わったので、ふう……と、一息ついたセシルは、少し冷めてしまった紅茶に手を伸ばす。
ぬるいお茶でも、喉を潤すには十分だった。
「さて、ボイマレの災害状況ですが――トムソーヤ、統計は出ていますか?」
「はい、終わっています。現段階では、生存者が203名、行方不明者が116人、死亡が確認された死亡者が、18名ほどとなっています。合計337人の確認は、一応、完了しました。村長の話からでも、領地の人口は、300人程度だという話ですから、ほぼ、全体の人数は確認が取れたのかもしれません。明日もまた、引き続き、生存者確認の調査は続行するつもりですが」
「そうね、そうしてください」
「生存者203名のうち、親や身内と離れ離れになったのが69名。そのうち、親や保護者が見当たらない子供は、41名。怪我人は、26名。切り傷や、打ち身、打撲程度で、重症者はいませんでした、幸運なことに」
「ええ、そうね。それだけが幸いだったわ」
「はい。災害地区で土砂崩れの被害にあった家屋は、20から30軒程度という報告なのですが、その点が、少々、気になります……」
「そうね。その家屋が住居だったと考えても、一軒に家族が4~5人というところかしら? 平均して考えても、80~90人程度の被害で収まっていてもいいはずなのに」
それなのに、行方不明者は、村の人口の3分の1にも達していて、かなり割に合わない統計がでている。
「家同士が連なっていたの?」
「いいえ。集合住宅地ではなかったようです。第一確認でも、土砂崩れの被害地域は、そうですねぇ……」
それで、トムソーヤが手元にあった書類を、ペラペラとめくりだす。
「丘の傾斜が崩れて、土砂が傾斜の麓で200~300メートルに広がっている感じです」
「そうですか……。――まさか、土砂崩れの真下で、それだけの人数が一度に集まっていた、とは考えにくいんですけれどね……」
「マスター、少しよろしいですか?」
そこで静かに控えていたラソムが、口を挟んできた。
「どうしたの?」
「マスターは――そうですね、あなたは、少々、特別過ぎますので、ご存知ないかもしれませんが――」
「私が特別過ぎ?」
「ええ、そうです。まあ――その話題は、今はおいておくことにしまして――天災や、災害など、そういった大惨事を経験したことがない民など、大抵は、緊急時の対応など、簡単にできないものなのですよ。誰かに教わったのでもない、そういった知識があるわけでもない。ですから、緊急時になっても、どう行動してよいのか分らず、もしかして、立ち往生してしまっていたとしても、私には不思議はありませんが」
「――そう、なの?」
「ええ、そうです」
ものすごい力説で頷いてくるラソムに、なんだか、他の全員も同意しているようだった。
「それって――土砂崩れがなにか解らず、呆然として、逃げることに出遅れてしまったかもしれない、って言っているのかしら?」
「そうです。その可能性はあるでしょう。その統計のナンバーから考慮しましても、その可能性の方が強いのでは?」
セシルはあまり納得していなかったようだったが、残りの全員は、ラソムの憶測に賛成しているようだった。
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ही कादंबरी वाचल्या खातीर उपकार
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宿場町には、それぞれ、私営目的で設置された共用の施設や設備がある。
その警備や護衛は、領民から訓練された者を雇っている。領地の正騎士ではない。だが、その運営と指揮は、ラソムの責任でもあった。
「わかりました」
「オスマンド」
「はい。私の元へは、通常報告以外の報告は上がっておりません。豊穣祭の後片付けも、順調のようでございますし、領地内での収穫、及び、冬支度も始まり、予定通りでございます」
「邸内で、なにか不都合は?」
「ございません」
「ああ、それを聞いて安心したわ。では、フィロ?」
「はい。ボイマレの新しい状況報告は、上がっておりません。マスターが午前中にお発ちになられましたので、そういった状況変化がなかったのでございましょう。ボイマレから避難してきた領民も、おりませんでした。引き続き、天候の確認はさせております」
「ええ、よろしく。明日から、避難民の受け入れが必要になってくるから、ボイマレからの報告が出てこなければ、フィロには、避難民受け入れの手伝いをしてもらいます」
「わかりました。マスター宛の招待状、及び、手紙が、少々、溜まっておりますが」
「でも、緊急のものでもないんでしょう?」
多忙を極めるセシルには、よほど緊急事や重要な書類または手紙以外、セシルに宛てられた手紙類は、フィロの場で差し押さえられているのだ。
「そのように判断します」
だから、多少、手紙が溜まっていようが、今は、フィロがセシルを急がせるつもりはないようだった。
おまけに、セシルに送られてくるパーティーやらお茶会の招待状など、封も空けられず、完全に無視されている傾向にあるので、フィロが(セシルに代わり) 丁重なお断りの返答を出している。
セシルは、一応、傷心して領地で閉じこもっている――というステータスなのだ。
これだけ動き回って、行動しまくりのセシルを前に、傷心、など到底言えたものではないが、一応、今のセシルはそういう理由で、領地に閉じこもっていることになっている。
「じゃあ、問題ないわね」
一通りの領地の報告会は終わったので、ふう……と、一息ついたセシルは、少し冷めてしまった紅茶に手を伸ばす。
ぬるいお茶でも、喉を潤すには十分だった。
「さて、ボイマレの災害状況ですが――トムソーヤ、統計は出ていますか?」
「はい、終わっています。現段階では、生存者が203名、行方不明者が116人、死亡が確認された死亡者が、18名ほどとなっています。合計337人の確認は、一応、完了しました。村長の話からでも、領地の人口は、300人程度だという話ですから、ほぼ、全体の人数は確認が取れたのかもしれません。明日もまた、引き続き、生存者確認の調査は続行するつもりですが」
「そうね、そうしてください」
「生存者203名のうち、親や身内と離れ離れになったのが69名。そのうち、親や保護者が見当たらない子供は、41名。怪我人は、26名。切り傷や、打ち身、打撲程度で、重症者はいませんでした、幸運なことに」
「ええ、そうね。それだけが幸いだったわ」
「はい。災害地区で土砂崩れの被害にあった家屋は、20から30軒程度という報告なのですが、その点が、少々、気になります……」
「そうね。その家屋が住居だったと考えても、一軒に家族が4~5人というところかしら? 平均して考えても、80~90人程度の被害で収まっていてもいいはずなのに」
それなのに、行方不明者は、村の人口の3分の1にも達していて、かなり割に合わない統計がでている。
「家同士が連なっていたの?」
「いいえ。集合住宅地ではなかったようです。第一確認でも、土砂崩れの被害地域は、そうですねぇ……」
それで、トムソーヤが手元にあった書類を、ペラペラとめくりだす。
「丘の傾斜が崩れて、土砂が傾斜の麓で200~300メートルに広がっている感じです」
「そうですか……。――まさか、土砂崩れの真下で、それだけの人数が一度に集まっていた、とは考えにくいんですけれどね……」
「マスター、少しよろしいですか?」
そこで静かに控えていたラソムが、口を挟んできた。
「どうしたの?」
「マスターは――そうですね、あなたは、少々、特別過ぎますので、ご存知ないかもしれませんが――」
「私が特別過ぎ?」
「ええ、そうです。まあ――その話題は、今はおいておくことにしまして――天災や、災害など、そういった大惨事を経験したことがない民など、大抵は、緊急時の対応など、簡単にできないものなのですよ。誰かに教わったのでもない、そういった知識があるわけでもない。ですから、緊急時になっても、どう行動してよいのか分らず、もしかして、立ち往生してしまっていたとしても、私には不思議はありませんが」
「――そう、なの?」
「ええ、そうです」
ものすごい力説で頷いてくるラソムに、なんだか、他の全員も同意しているようだった。
「それって――土砂崩れがなにか解らず、呆然として、逃げることに出遅れてしまったかもしれない、って言っているのかしら?」
「そうです。その可能性はあるでしょう。その統計のナンバーから考慮しましても、その可能性の方が強いのでは?」
セシルはあまり納得していなかったようだったが、残りの全員は、ラソムの憶測に賛成しているようだった。
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