461 / 520
Part 3
Д.б 状況確認 - 06
しおりを挟む
手渡された紙を持ったまま、セシルが少し考え込んで、それからすぐに、トムソーヤが押さえている画板の上に紙を置いて、ペンを取る。
スー、スーっと、手早く、紙の上にセシルが線を書き込みだした。
「まず初めに、ここの欄が“名前”を記入するところ。一列ごとに、一緒に住んでいる家族を、全員、ひとまとめにして記入しましょう。そして、次の欄から、“ボイマレ”“コトレア”“生存者”“行方不明”“死亡”、それから“家屋”“その他”――まず初めは、これくらいかしら?」
その紙の中には何本かの縦の線が描かれていて、現代版で言えば、統計用のテーブルができていた。
「“名前”の欄には全員の名前、性別、年齢を。“ボイマレ”と“コトレア”は、現在の所在地。〇と×で区別を付けましょう? もし、コトレアの領地に移動することになったら、その日にちも、隣に記入しておいてくれたら助かるわ」
「わかりました」
「次の欄は、私達自身が確認した状況で、〇と×ね。もし、行方が分からなかったり、生存確認ができていない場合は、全部“行方不明”の欄に。私達が、きちんと、最終的に確認を終えるまでは、“死亡”欄を更新しないでね。もし――その確認ができた場合、日付けも、一応、記入しておいてね」
「はい」
「“家屋”は、家屋破損で家があるかないのかの確認。それで、“その他”の部分には、職業やできる仕事など。あとは、家の場所がどの辺だった,のかとか、そういう気づいたことを、何でも記入してね。――こういったのでどうかしら?」
「わかりました、問題ありません」
昔から、セシルは、こうやって、組織的や合理的な作成が、ものすごい得意な女性だった。
シフトの体制や組み込みなども簡単に、アッと言う間に終わらせてしまうし、こういった情報集めになると、セシルにとって何が必要なのか、どんな情報が必要なのかと、それがあまりに整然と整頓され、構成されて作られる。
トムソーヤ達が領地にやって来てからも、いつもセシルからは、情報のまとめ方、分析の仕方、統計の取り方などなど、要は、現代での情報管理やデーター管理のやり方を、直に教わって来たのだ。
「これ、番号を入れてもいいですか?」
「ええ、もちろんよ。使いやすいように、自分達で工夫してね?」
それで、トムソーヤはもう一本のペンを取り上げ、一番左側に線を加え、1番を最初の列に記入した。
「なあ? これ、他の人数で分担するなら、誰が情報集めたか、記録しておいた方がいいんじゃないか?」
「あっ、確かに」
ケルトの指摘で、右端上に、トムソーヤが“TF”のイニシャルと、ページナンバーも記録する。
「じゃあ、それをうちの騎士達と、王国騎士団の騎士の方で、分配しましょう」
「わかりました」
「きっと、生存確認をしている間、みんなから、他の名前が挙がってくる可能性が大きいと思います。「うちの兄は、妹は、母は?」 っていう感じで。もしかすると、友達の名前とかも、上がってくるかもしれませんね。その時は、もう、全部、記録してください。後々、全員を回っている間に、家族構成などがはっきりしてくるでしょうから。今は、できる限りの情報を集めることが重要です。漏らさず、全部、記録してね?」
「わかりました」
「今、現在、集まってもらった生存者達は、それぞれに家族が揃っている組と、はぐれたり、行方不明が分かっている組、それから怪我人の3グループに分かれています。うちの騎士達と、王国騎士団の騎士達で分担して、生存確認を急がせましょう」
「はい。ですが、画板は、四つしか持ってきていません」
「それなら、あなた達ともう一組がうちの騎士から、残りの二つを、王国騎士団にお任せしましょう? その指揮は、ケルト、あなたが」
「わかりました」
「では、取り掛かってください」
それで、二人はすぐに動き出す。
「クリストフ」
「わかりました」
セシルの指示を伝えに、クリストフもすぐに動いていた。
全員が動き出した中、ギルバートも、つい、手を顎に押し当てながら唸ってしまう。
「どうかなさいましたか、ギルバート様?」
「いえね――あなたの領地の騎士達は、一から十まで説明しなくても、あなたの簡単な指示だけで、何をすべきなのかすぐに理解していますし、納得しているように見えましたもので」
「そのように訓練していますので」
どのような訓練なんですか?
ついつい、ギルバートの頭にもそんな質問が浮かんできてしまう。
王国騎士団とは全く違った訓練方法をする、コトレア領の騎士達。おまけに、ゲリラ戦などという未知なる戦法を得意とする、騎士団だ。
災害地にやって来ても、指示が簡潔で、あまりに端的だ。長々と全部を説明する必要がないのが明らかなほど、指示が早くて、それを受けている騎士隊の行動が早い。
一体、それはどんな訓練を受けたら、そんな風な成果がでるのか、ギルバートも確認してみたいものである。
クリストフの指示を受けて、四組の騎士達は馬でその場を離れて行った。ケルトの説明を聞いて、「画板」を持たされた組は、トムソーヤの持っている紙を真似て、今は必至でテーブルの枠を書き込んでいる。
イシュトールとユーリカは、ケルトとトムソーヤと同じように、村人達の確認に向かわせる。
セシルの隣にはいつもギルバートとクリストフが付き添っているので、今は、セシルから別行動するように、二人は言い遣ったのだ。
最初の村人達が、セシル達が待機している場所にやって来るのに、それほど時間はかからなかった。
子供連れの親子らしく、一体、村に何が起きたから判らず、混乱して、子供達は怯えた様子があらわなほど、村人達は憔悴していた。
どうやら、土砂崩れを間近で目撃してしまったような家族である。
セシルに促され、草むらに腰を下ろし座ったようだが、ショック状態でセシル達の存在も目に入っていないようだった。
それでも、どこまでも落ち着いたセシルの静かな声が紡がれ、どこまでも落ち着いた態度が変わらず、なにか静穏――を思い浮かべるようなセシルを前に、ひどいショックは受けていても、村人達はセシルの状況説明に耳を貸しているようだった。
その間も、ゾロゾロと、ショックを受けた家族や、憔悴も露わな村人たちが、騎士達に呼びかけられて、この集合場所に集まってきている。
~・~・~・~・~・~・~・~・
読んでいただき、ありがとうございます。
Go raibh maith agat as an leabhar seo a léamh
~・~・~・~・~・~・~・~・
スー、スーっと、手早く、紙の上にセシルが線を書き込みだした。
「まず初めに、ここの欄が“名前”を記入するところ。一列ごとに、一緒に住んでいる家族を、全員、ひとまとめにして記入しましょう。そして、次の欄から、“ボイマレ”“コトレア”“生存者”“行方不明”“死亡”、それから“家屋”“その他”――まず初めは、これくらいかしら?」
その紙の中には何本かの縦の線が描かれていて、現代版で言えば、統計用のテーブルができていた。
「“名前”の欄には全員の名前、性別、年齢を。“ボイマレ”と“コトレア”は、現在の所在地。〇と×で区別を付けましょう? もし、コトレアの領地に移動することになったら、その日にちも、隣に記入しておいてくれたら助かるわ」
「わかりました」
「次の欄は、私達自身が確認した状況で、〇と×ね。もし、行方が分からなかったり、生存確認ができていない場合は、全部“行方不明”の欄に。私達が、きちんと、最終的に確認を終えるまでは、“死亡”欄を更新しないでね。もし――その確認ができた場合、日付けも、一応、記入しておいてね」
「はい」
「“家屋”は、家屋破損で家があるかないのかの確認。それで、“その他”の部分には、職業やできる仕事など。あとは、家の場所がどの辺だった,のかとか、そういう気づいたことを、何でも記入してね。――こういったのでどうかしら?」
「わかりました、問題ありません」
昔から、セシルは、こうやって、組織的や合理的な作成が、ものすごい得意な女性だった。
シフトの体制や組み込みなども簡単に、アッと言う間に終わらせてしまうし、こういった情報集めになると、セシルにとって何が必要なのか、どんな情報が必要なのかと、それがあまりに整然と整頓され、構成されて作られる。
トムソーヤ達が領地にやって来てからも、いつもセシルからは、情報のまとめ方、分析の仕方、統計の取り方などなど、要は、現代での情報管理やデーター管理のやり方を、直に教わって来たのだ。
「これ、番号を入れてもいいですか?」
「ええ、もちろんよ。使いやすいように、自分達で工夫してね?」
それで、トムソーヤはもう一本のペンを取り上げ、一番左側に線を加え、1番を最初の列に記入した。
「なあ? これ、他の人数で分担するなら、誰が情報集めたか、記録しておいた方がいいんじゃないか?」
「あっ、確かに」
ケルトの指摘で、右端上に、トムソーヤが“TF”のイニシャルと、ページナンバーも記録する。
「じゃあ、それをうちの騎士達と、王国騎士団の騎士の方で、分配しましょう」
「わかりました」
「きっと、生存確認をしている間、みんなから、他の名前が挙がってくる可能性が大きいと思います。「うちの兄は、妹は、母は?」 っていう感じで。もしかすると、友達の名前とかも、上がってくるかもしれませんね。その時は、もう、全部、記録してください。後々、全員を回っている間に、家族構成などがはっきりしてくるでしょうから。今は、できる限りの情報を集めることが重要です。漏らさず、全部、記録してね?」
「わかりました」
「今、現在、集まってもらった生存者達は、それぞれに家族が揃っている組と、はぐれたり、行方不明が分かっている組、それから怪我人の3グループに分かれています。うちの騎士達と、王国騎士団の騎士達で分担して、生存確認を急がせましょう」
「はい。ですが、画板は、四つしか持ってきていません」
「それなら、あなた達ともう一組がうちの騎士から、残りの二つを、王国騎士団にお任せしましょう? その指揮は、ケルト、あなたが」
「わかりました」
「では、取り掛かってください」
それで、二人はすぐに動き出す。
「クリストフ」
「わかりました」
セシルの指示を伝えに、クリストフもすぐに動いていた。
全員が動き出した中、ギルバートも、つい、手を顎に押し当てながら唸ってしまう。
「どうかなさいましたか、ギルバート様?」
「いえね――あなたの領地の騎士達は、一から十まで説明しなくても、あなたの簡単な指示だけで、何をすべきなのかすぐに理解していますし、納得しているように見えましたもので」
「そのように訓練していますので」
どのような訓練なんですか?
ついつい、ギルバートの頭にもそんな質問が浮かんできてしまう。
王国騎士団とは全く違った訓練方法をする、コトレア領の騎士達。おまけに、ゲリラ戦などという未知なる戦法を得意とする、騎士団だ。
災害地にやって来ても、指示が簡潔で、あまりに端的だ。長々と全部を説明する必要がないのが明らかなほど、指示が早くて、それを受けている騎士隊の行動が早い。
一体、それはどんな訓練を受けたら、そんな風な成果がでるのか、ギルバートも確認してみたいものである。
クリストフの指示を受けて、四組の騎士達は馬でその場を離れて行った。ケルトの説明を聞いて、「画板」を持たされた組は、トムソーヤの持っている紙を真似て、今は必至でテーブルの枠を書き込んでいる。
イシュトールとユーリカは、ケルトとトムソーヤと同じように、村人達の確認に向かわせる。
セシルの隣にはいつもギルバートとクリストフが付き添っているので、今は、セシルから別行動するように、二人は言い遣ったのだ。
最初の村人達が、セシル達が待機している場所にやって来るのに、それほど時間はかからなかった。
子供連れの親子らしく、一体、村に何が起きたから判らず、混乱して、子供達は怯えた様子があらわなほど、村人達は憔悴していた。
どうやら、土砂崩れを間近で目撃してしまったような家族である。
セシルに促され、草むらに腰を下ろし座ったようだが、ショック状態でセシル達の存在も目に入っていないようだった。
それでも、どこまでも落ち着いたセシルの静かな声が紡がれ、どこまでも落ち着いた態度が変わらず、なにか静穏――を思い浮かべるようなセシルを前に、ひどいショックは受けていても、村人達はセシルの状況説明に耳を貸しているようだった。
その間も、ゾロゾロと、ショックを受けた家族や、憔悴も露わな村人たちが、騎士達に呼びかけられて、この集合場所に集まってきている。
~・~・~・~・~・~・~・~・
読んでいただき、ありがとうございます。
Go raibh maith agat as an leabhar seo a léamh
~・~・~・~・~・~・~・~・
0
お気に入りに追加
77
あなたにおすすめの小説
悪役令嬢と言われ冤罪で追放されたけど、実力でざまぁしてしまった。
三谷朱花
恋愛
レナ・フルサールは元公爵令嬢。何もしていないはずなのに、気が付けば悪役令嬢と呼ばれ、公爵家を追放されるはめに。それまで高スペックと魔力の強さから王太子妃として望まれたはずなのに、スペックも低い魔力もほとんどないマリアンヌ・ゴッセ男爵令嬢が、王太子妃になることに。
何度も断罪を回避しようとしたのに!
では、こんな国など出ていきます!
【完結】野垂れ死ねと言われ家を追い出されましたが幸せです
kana
恋愛
伯爵令嬢のフローラは10歳の時に母を亡くした。
悲しむ間もなく父親が連れてきたのは後妻と義姉のエリザベスだった。
その日から虐げられ続けていたフローラは12歳で父親から野垂れ死ねと言われ邸から追い出されてしまう。
さらに死亡届まで出されて⋯⋯
邸を追い出されたフローラには会ったこともない母方の叔父だけだった。
快く受け入れてくれた叔父。
その叔父が連れてきた人が⋯⋯
※毎度のことながら設定はゆるゆるのご都合主義です。
※誤字脱字が多い作者ですがよろしくお願いいたします。
※他サイトにも投稿しています。
転生王女は異世界でも美味しい生活がしたい!~モブですがヒロインを排除します~
ちゃんこ
ファンタジー
乙女ゲームの世界に転生した⁉
攻略対象である3人の王子は私の兄さまたちだ。
私は……名前も出てこないモブ王女だけど、兄さまたちを誑かすヒロインが嫌いなので色々回避したいと思います。
美味しいものをモグモグしながら(重要)兄さまたちも、お国の平和も、きっちりお守り致します。守ってみせます、守りたい、守れたらいいな。え~と……ひとりじゃ何もできない! 助けてMyファミリー、私の知識を形にして~!
【1章】飯テロ/スイーツテロ・局地戦争・飢饉回避
【2章】王国発展・vs.ヒロイン
【予定】全面戦争回避、婚約破棄、陰謀?、養い子の子育て、恋愛、ざまぁ、などなど。
※〈私〉=〈わたし〉と読んで頂きたいと存じます。
※恋愛相手とはまだ出会っていません(年の差)
ブログ https://tenseioujo.blogspot.com/
Pinterest https://www.pinterest.jp/chankoroom/
※作中のイラストは画像生成AIで作成したものです。
義母に毒を盛られて前世の記憶を取り戻し覚醒しました、貴男は義妹と仲良くすればいいわ。
克全
ファンタジー
「カクヨム」と「小説家になろう」にも投稿しています。
11月9日「カクヨム」恋愛日間ランキング15位
11月11日「カクヨム」恋愛週間ランキング22位
11月11日「カクヨム」恋愛月間ランキング71位
11月4日「小説家になろう」恋愛異世界転生/転移恋愛日間78位
誰からも愛されない悪役令嬢に転生したので、自由気ままに生きていきたいと思います。
木山楽斗
恋愛
乙女ゲームの悪役令嬢であるエルファリナに転生した私は、彼女のその境遇に対して深い悲しみを覚えていた。
彼女は、家族からも婚約者からも愛されていない。それどころか、その存在を疎まれているのだ。
こんな環境なら歪んでも仕方ない。そう思う程に、彼女の境遇は悲惨だったのである。
だが、彼女のように歪んでしまえば、ゲームと同じように罪を暴かれて牢屋に行くだけだ。
そのため、私は心を強く持つしかなかった。悲惨な結末を迎えないためにも、どんなに不当な扱いをされても、耐え抜くしかなかったのである。
そんな私に、解放される日がやって来た。
それは、ゲームの始まりである魔法学園入学の日だ。
全寮制の学園には、歪な家族は存在しない。
私は、自由を得たのである。
その自由を謳歌しながら、私は思っていた。
悲惨な境遇から必ず抜け出し、自由気ままに生きるのだと。
婚約破棄をされ、父に追放まで言われた私は、むしろ喜んで出て行きます! ~家を出る時に一緒に来てくれた執事の溺愛が始まりました~
ゆうき@初書籍化作品発売中
恋愛
男爵家の次女として生まれたシエルは、姉と妹に比べて平凡だからという理由で、父親や姉妹からバカにされ、虐げられる生活を送っていた。
そんな生活に嫌気がさしたシエルは、とある計画を考えつく。それは、婚約者に社交界で婚約を破棄してもらい、その責任を取って家を出て、自由を手に入れるというものだった。
シエルの専属の執事であるラルフや、幼い頃から実の兄のように親しくしてくれていた婚約者の協力の元、シエルは無事に婚約を破棄され、父親に見捨てられて家を出ることになった。
ラルフも一緒に来てくれることとなり、これで念願の自由を手に入れたシエル。しかし、シエルにはどこにも行くあてはなかった。
それをラルフに伝えると、隣の国にあるラルフの故郷に行こうと提案される。
それを承諾したシエルは、これからの自由で幸せな日々を手に入れられると胸を躍らせていたが、その幸せは家族によって邪魔をされてしまう。
なんと、家族はシエルとラルフを広大な湖に捨て、自らの手を汚さずに二人を亡き者にしようとしていた――
☆誤字脱字が多いですが、見つけ次第直しますのでご了承ください☆
☆全文字はだいたい14万文字になっています☆
☆完結まで予約済みなので、エタることはありません!☆
【完結】金貨三枚から始まる運命の出会い~家族に虐げられてきた家出令嬢が田舎町で出会ったのは、SSランクイケメン冒険者でした~
夏芽空
恋愛
両親と妹に虐げられ続けてきたミレア・エルドール。
エルドール子爵家から出ていこうと思ったことは一度や二度ではないが、それでも彼女は家に居続けた。
それは、七年付き合っている大好きな婚約者と離れたくなかったからだ。
だがある日、婚約者に婚約破棄を言い渡されてしまう。
「君との婚約を解消させて欲しい。心から愛せる人を、僕は見つけたんだ」
婚約者の心から愛する人とは、ミレアの妹だった。
迷惑料として、金貨三枚。それだけ渡されて、ミレアは一方的に別れを告げられてしまう。
婚約破棄されたことで、家にいる理由を無くしたミレア。
家族と縁を切り、遠く離れた田舎街で生きて行くことを決めた。
その地でミレアは、冒険者のラルフと出会う。
彼との出会いが、ミレアの運命を大きく変えていくのだった。
完璧な姉とその親友より劣る私は、出来損ないだと蔑まれた世界に長居し過ぎたようです。運命の人との幸せは、来世に持ち越します
珠宮さくら
恋愛
エウフェシア・メルクーリは誰もが羨む世界で、もっとも人々が羨む国で公爵令嬢として生きていた。そこにいるのは完璧な令嬢と言われる姉とその親友と見知った人たちばかり。
そこでエウフェシアは、ずっと出来損ないと蔑まれながら生きていた。心優しい完璧な姉だけが、唯一の味方だと思っていたが、それも違っていたようだ。
それどころか。その世界が、そもそも現実とは違うことをエウフェシアはすっかり忘れてしまったまま、何度もやり直し続けることになった。
さらに人の歪んだ想いに巻き込まれて、疲れ切ってしまって、運命の人との幸せな人生を満喫するなんて考えられなくなってしまい、先送りにすることを選択する日が来るとは思いもしなかった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる