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Part 3
В.д 後祭りも、お楽しみ満載 - 06
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セシルに連れられて、お店の奥に入って行くと、二階に上がって行く階段が見えて来た。
おもちゃコーナーは二階にあるらしく、セシルと一緒に、オスミンがゆっくりと階段を登る。
階段を登り切ると、二階の部屋は広々としていた。
二回全部をおもちゃ―コーナーに使っているらしい。
だから、一階のようにたくさんの大きな棚が並んでいたりはしていない。
低いテーブルの上におもちゃが飾られていたり、壁側の棚もそれほど高いものでもなく、まだまだ、空間には余裕がある場所だった。
「では、端から順々に、見て行きましょう」
「はい」
セシルは階段のすぐ手前の左に寄って行った。
「これは、なんですか?」
「風車です」
「かざぐるま?」
「ええ。これは、風に当たると、クルクルと回るんですのよ」
壁の一画には、一列、ズラリと風車が飾られている。
色付きの紙を精製するのは難しく、厚手の白い紙を使い、ペンキで色を塗り込んでいる方法だ。
ペンキが渇くまで時間がかかり、その後も、紙が丸くならないようにきちんと伸ばし、少々、時間がかかってしまう作業だが、現代と変わらない「風車」 ができた。
セシルが一本の風車を壁から引き抜いて、
「見ててくださいね? こうやって、息を吹きかけると、クルクルと回るんですのよ」
ふーっと、勢いよくセシルが息を吹きかけると、青く塗られた風車が、クルクルと、勢いよく回った。
「うわぁ……!」
「さあ、オスミンさまも、どうぞ」
「はいっ……」
自分の顔の前に風車を向けられたので、オスミンも、思いっきり息を吸い込んだ。
ふーっ!
頬を膨らませ、かなりの勢いで息を吐きだしたオスミンの前で、風車がクルクルと勢いよく回って行く。
「うわぁっ……! せしるじょう、かざぐるまが、まわっています」
「ええ、おもしろいでしょう?」
オスミンが、またも、挑戦する。
くすくすと、セシルも笑いながら、
「そんなに息を吹きかけてばかりいては、息が苦しくなってしまいますわよ。一度、休憩してくださいね」
「はい」
「お二人も、手に取って試してみてはいかがですか?」
やはり、自分の興味心には勝てないのだ。
ギルバートが風車を一本抜き取り、自分の顔の前で、息を吹きかけてみた。
赤い風車がクルクルと回る姿を見て、ギルバートの顔も、自然、嬉しそうに緩んでくる。
「クリストフ、お前も挑戦してみるべきだ」
「そうですか」
クリストフも、風車を一本引き抜いていた。
ふーっと、息を吹き替えた風車が、クルクルと回る。
「模様がついていると――回ると、こういう風に見えるんですねえ」
クリストフのは、一色の色だけではなく、カーブに沿って線を引いた模様入りだ。
「ぼくも、みたいですっ。みせてください」
「はい、わかりました」
クリストフが少しだけ屈み、オスミンに見せるようにして、息を吹きかけた。
「うわぁ……! まるに、なっています」
「そうですね。回転しているから、線が繋がって見えるようになるんですのよ」
「すごいですっ。ぼくは、これがほしいですっ」
「そうですか。それなら、風車は目を付けておきましょう」
「めをつける? なぜですか?」
「“目を付ける”とは、興味があって、欲しいものだなと、覚えおくことですのよ」
「なぜですか?」
「あら? オスミン様は、まだ、全部のおもちゃを見ていませんわ。まだまだ、たくさん見るものもあるのですよ。今、ここで買い物をしてしまったら、荷物が増えてしまって、遊ぶこともできませんでしょう?」
「あっ、そうか」
「ですから、全部を見終わってから、もう一度、ここに戻って来ましょう」
「はいっ。セシルじょう、つぎは、なんですか?」
「次は、木製のおもちゃですのよ」
鉄製の機材は、まだまだお値段が張る。鉄の精製に時間がかかるからだ。
だが、木製のものとなると、セシルの領地にいる技術者が、結構、なんでも簡単に作ってくれる。腕のいい技術者がいると、本当に大助かりだ。
それで、木製のおもちゃは――前世(なのか現世) でもレトロ商品として、懐かしグッズとして人気があったから、
「それなら簡単かしら?」
と即実行で、早くから、領地でも紹介している。
木製のけん玉、だるま落とし、ヨーヨー、こま。特に、こまは、紐付き、手回し用、真ん丸の底でひっくり返る逆立ちこまもある。
四角い板をリボンで繋げたパタパタ。最初は、構造が思い出せず、セシルは紙を小さく切って、折り目がどうか、どこでひっくり返るかなど、色々と試したものだ。
たわらころがし。でも、「たわら」 がなにか解っていない領民なので、ただ、そういった名前なんだな、とおもちゃの名前だけ憶えている(笑)。
でんでん太鼓、やじろべえ、輪投げ、木登りおサル、みんみんゼミ、リンリン カチカチ、カタカタ人形など、かなりのおもちゃが作られている。
木製おもちゃの棚の前には、子供用にローテーブルが設置され、その上で、サンプルのおもちゃを遊べるようにしてある。
それで、セシルが一つ一つおもちゃを説明する度に、オスミンがテーブルの上で色々挑戦している。
ギルバートとクリストフも一緒になって、三人は、随分、満喫しているようだった。
シンプルだけど、懐かしく、遊び道具もないこの時代、ほんわかと遊べるおもちゃは、領地でも段々と人気を上げてきている。
子供達も、自分達のお小遣いを貯めて、豊穣祭以外でも、おもちゃを購入するようになった。
親子連れの観光客も、物珍しそうに、持ち運びができるだるま崩しや、こまなどを購入し、結構、売れ行きは好調だ。
領地にある工房村の方では、子供用の視察の一環として、木工パズルに色を塗る遊びも紹介した。
今度は、こまやヨーヨーの色塗りもしようかなあ、なんてセシルは考えている。
あとは、“あいうえおパズル”に習い、この世界の言語を覚えられるような、絵付きの文字パズルも考えているが、文字に当てはまる名詞となる物を選ぶのが難しく、その制作はまだはかどっていない。
~・~・~・~・~・~・~・~・
読んでいただき、ありがとうございます。
გმადლობთ ამ რომანის წაკითხვისთვის
~・~・~・~・~・~・~・~・
おもちゃコーナーは二階にあるらしく、セシルと一緒に、オスミンがゆっくりと階段を登る。
階段を登り切ると、二階の部屋は広々としていた。
二回全部をおもちゃ―コーナーに使っているらしい。
だから、一階のようにたくさんの大きな棚が並んでいたりはしていない。
低いテーブルの上におもちゃが飾られていたり、壁側の棚もそれほど高いものでもなく、まだまだ、空間には余裕がある場所だった。
「では、端から順々に、見て行きましょう」
「はい」
セシルは階段のすぐ手前の左に寄って行った。
「これは、なんですか?」
「風車です」
「かざぐるま?」
「ええ。これは、風に当たると、クルクルと回るんですのよ」
壁の一画には、一列、ズラリと風車が飾られている。
色付きの紙を精製するのは難しく、厚手の白い紙を使い、ペンキで色を塗り込んでいる方法だ。
ペンキが渇くまで時間がかかり、その後も、紙が丸くならないようにきちんと伸ばし、少々、時間がかかってしまう作業だが、現代と変わらない「風車」 ができた。
セシルが一本の風車を壁から引き抜いて、
「見ててくださいね? こうやって、息を吹きかけると、クルクルと回るんですのよ」
ふーっと、勢いよくセシルが息を吹きかけると、青く塗られた風車が、クルクルと、勢いよく回った。
「うわぁ……!」
「さあ、オスミンさまも、どうぞ」
「はいっ……」
自分の顔の前に風車を向けられたので、オスミンも、思いっきり息を吸い込んだ。
ふーっ!
頬を膨らませ、かなりの勢いで息を吐きだしたオスミンの前で、風車がクルクルと勢いよく回って行く。
「うわぁっ……! せしるじょう、かざぐるまが、まわっています」
「ええ、おもしろいでしょう?」
オスミンが、またも、挑戦する。
くすくすと、セシルも笑いながら、
「そんなに息を吹きかけてばかりいては、息が苦しくなってしまいますわよ。一度、休憩してくださいね」
「はい」
「お二人も、手に取って試してみてはいかがですか?」
やはり、自分の興味心には勝てないのだ。
ギルバートが風車を一本抜き取り、自分の顔の前で、息を吹きかけてみた。
赤い風車がクルクルと回る姿を見て、ギルバートの顔も、自然、嬉しそうに緩んでくる。
「クリストフ、お前も挑戦してみるべきだ」
「そうですか」
クリストフも、風車を一本引き抜いていた。
ふーっと、息を吹き替えた風車が、クルクルと回る。
「模様がついていると――回ると、こういう風に見えるんですねえ」
クリストフのは、一色の色だけではなく、カーブに沿って線を引いた模様入りだ。
「ぼくも、みたいですっ。みせてください」
「はい、わかりました」
クリストフが少しだけ屈み、オスミンに見せるようにして、息を吹きかけた。
「うわぁ……! まるに、なっています」
「そうですね。回転しているから、線が繋がって見えるようになるんですのよ」
「すごいですっ。ぼくは、これがほしいですっ」
「そうですか。それなら、風車は目を付けておきましょう」
「めをつける? なぜですか?」
「“目を付ける”とは、興味があって、欲しいものだなと、覚えおくことですのよ」
「なぜですか?」
「あら? オスミン様は、まだ、全部のおもちゃを見ていませんわ。まだまだ、たくさん見るものもあるのですよ。今、ここで買い物をしてしまったら、荷物が増えてしまって、遊ぶこともできませんでしょう?」
「あっ、そうか」
「ですから、全部を見終わってから、もう一度、ここに戻って来ましょう」
「はいっ。セシルじょう、つぎは、なんですか?」
「次は、木製のおもちゃですのよ」
鉄製の機材は、まだまだお値段が張る。鉄の精製に時間がかかるからだ。
だが、木製のものとなると、セシルの領地にいる技術者が、結構、なんでも簡単に作ってくれる。腕のいい技術者がいると、本当に大助かりだ。
それで、木製のおもちゃは――前世(なのか現世) でもレトロ商品として、懐かしグッズとして人気があったから、
「それなら簡単かしら?」
と即実行で、早くから、領地でも紹介している。
木製のけん玉、だるま落とし、ヨーヨー、こま。特に、こまは、紐付き、手回し用、真ん丸の底でひっくり返る逆立ちこまもある。
四角い板をリボンで繋げたパタパタ。最初は、構造が思い出せず、セシルは紙を小さく切って、折り目がどうか、どこでひっくり返るかなど、色々と試したものだ。
たわらころがし。でも、「たわら」 がなにか解っていない領民なので、ただ、そういった名前なんだな、とおもちゃの名前だけ憶えている(笑)。
でんでん太鼓、やじろべえ、輪投げ、木登りおサル、みんみんゼミ、リンリン カチカチ、カタカタ人形など、かなりのおもちゃが作られている。
木製おもちゃの棚の前には、子供用にローテーブルが設置され、その上で、サンプルのおもちゃを遊べるようにしてある。
それで、セシルが一つ一つおもちゃを説明する度に、オスミンがテーブルの上で色々挑戦している。
ギルバートとクリストフも一緒になって、三人は、随分、満喫しているようだった。
シンプルだけど、懐かしく、遊び道具もないこの時代、ほんわかと遊べるおもちゃは、領地でも段々と人気を上げてきている。
子供達も、自分達のお小遣いを貯めて、豊穣祭以外でも、おもちゃを購入するようになった。
親子連れの観光客も、物珍しそうに、持ち運びができるだるま崩しや、こまなどを購入し、結構、売れ行きは好調だ。
領地にある工房村の方では、子供用の視察の一環として、木工パズルに色を塗る遊びも紹介した。
今度は、こまやヨーヨーの色塗りもしようかなあ、なんてセシルは考えている。
あとは、“あいうえおパズル”に習い、この世界の言語を覚えられるような、絵付きの文字パズルも考えているが、文字に当てはまる名詞となる物を選ぶのが難しく、その制作はまだはかどっていない。
~・~・~・~・~・~・~・~・
読んでいただき、ありがとうございます。
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