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Part 3
В.г 後夜祭 - 04
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ギルバートとシリルの会話を聞きながら、ちょっとお行儀悪く、レイフがお皿に乗っているウェッジを一つ取り上げる。
立ち食いなんて! ――王宮では、すぐに怒鳴りつけられていた行為だろうに。
でも、今夜は無礼講。食事のマナーだって最低限でいい。
「油で揚げていなくても、なかなかおいしいですねえ。やはり、この塩味が癖になる」
「ありがとうございます」
「オーブンの普及? かまどではなく?」
「いえ、土かまども使っています。ただ、鉄製のオーブンも、かなり普及するようになりまして、薪と炭火の両方で高熱を保てるようになりましたので、ローストなども、かなり簡単にできるようになりました」
「すみび? それは何です?」
「この地では木炭――木々を燃やし、蒸し焼きにして炭化させた燃料のことですが、それを使用して、料理もするのです」
「ほう? それは知らない方法だな」
オスミンに負けず、レイフまでもその瞳をキラキラと輝かせ出す。
「領地の視察に行くと、木炭を作るかまどを見ることができますよ。ものすごい量の木々を切り倒し、それを蒸し焼きにするようなのです。真っ黒な木炭ができあがり、それを燃やすと、こう、長い間、熱い火力が保てるそうなのです」
そして、初めての視察で、ギルバート達は木炭が燃える様子を見せてもらい、そこで炭火で焼いたお肉をもらっていた。
外で焼いたお肉など、騎士団の野営以来だったギルバート達は、あまり抵抗もなくお肉を食べた。
ただ、野営で食べた時のような固いお肉ではなく、予想に反して、少し味付けがされたお肉が柔らかく、おいしくて、驚いたものだった。
「ああ、そうか。視察が楽しみだなあ」
きらりん、とレイフの瞳が好奇心で輝いたままだ。
王族の王子殿下達が揃った一行は、無事に、かなり楽しく、自分達の食事を取り終えていた。
用意されたテーブルに戻り、いそいそと待ちきれない様子で、もらった“携帯用食事セット”を、早速、全員が開けてみる。
「こんな小さなカトラリーを使ってみるのは、私も初めてです」
「これは、子供用のカトラリーに見えるものだな」
レイフとオスミンだけではなく、実は、ギルバートとクリストフも“携帯用食事セット”に大満足で、テーブルの上には、一通り、一式がきちんと並んで置かれている。
入っていた「おしぼり」 替わりのタオルは、お手拭き用にタオルを濡らす場があって、シリルの護衛についていた領地の騎士が、全員分のタオルを濡らして持ち帰ってきてくれた。
「おじうえっ、ぼくは、ちゃーんと、てをふきましたっ! みてくださいっ!」
「ああ、きれいに拭けたね。食事を始めていいよ、オスミン」
「はい、おじうえっ!」
いそいそと、満面の笑みを浮かべているオスミンは、小さな木のカトラリーを取り上げ、お皿にたくさん乗っている料理にフォークを指してみた。
「おじうえっ、おいしいですっ!」
どうやら、オスミンが選んだ今夜の最初の料理は、ウェッジ型のチップス(フライドポテト) だったらしい。
良い選択である。
ギルバートも、オスミンの気持ちがよーく判るから。
今年から出品されたらしい「フライドチキン」 と「チップス」は、ギルバートもランチにいただいている。油で揚げたチキンが柔らかくて、ほこほこと熱いながらも、ジューシーな味わいで、ギルバートも速攻で好きになっていた。
そして、塩加減が溜まらないチップスも。
だから、一番初めにオスミンがその料理を選んだとしても、なんの不思議もない。
「おじうえっ、おかわりをしてもいいですか?」
まだ食べ始めたばかりで、オスミンの皿には半分以上の料理が残っている。
「まずは、全部、皿の上の料理を食べ終えてから考えようか」
「ぼくは、できます」
ちょっと口を尖らせてみて、オスミンだってそこと強調してみせる。
「でも、料理のおかわりでもいいけれど、デザートもたくさんあるんだ。好きなデザートを食べていいんだぞ。それなら、“おかわり”ではなく、デザートを取りに行くことになるけれどね」
「デザート?」
デザート自体がどんなものなのか、オスミンだってものすごい興味がある。
うーんと、おかわりと、デザートの狭間で揺れているオスミンを静かに見守りながら、シリルがそこで口を挟んだ。
「オスミン様、料理を乗せるお皿が大きいので、おかわりをして、その隣にデザートを乗せたら、両方のことが一度にできますよ」
「りょうほうが?」
「ええ、そうです。一番おいしかった料理を、もう一度、お皿に乗せると“おかわり”ができます。そして、デザートをその横に並べてみてはいかがでしょうか?」
「わかりましたっ。ぼくは、おかわりをして、デザートを、よこにならべます」
「わかりました」
そして、難無く一件落着、である。
やはり、セシルに負けず、このシリルだって子供の扱いに慣れているではないか。子供の世話なら、この中で一番手慣れている感じだ。
「シリル殿も、やはり、ですねえ」
しっかりと、食事を取りながらも、クリストフが感心した風な態度をみせる。
「やはり? でしょうか? それは、なんでしょうか?」
「やはり、ご令嬢の弟君だけはあるなあ、という意味です」
「そうですか。私は、姉上の弟ですので」
クリストフの答えにも対した驚いた様子もないシリルは、事実を述べたのだろうが、ダブルの意味にとって聞こえそうな言い方だ。
「そのような話し方も、やはり、ですよねえ」
「そうでしょうか」
「ええ、そうですね。さすがですねえ、姉弟揃って」
「ありがとうございます」
今の会話は、特別、シリルを褒めたようには聞こえなかったが、それでも、シリルは気分を害した様子もなく、あっさりとしたものだ。
本当に、こんなところが、セシルにそっくりである。
~・~・~・~・~・~・~・~・
読んでいただき、ありがとうございます。
މި ނޮވެލް ކިޔެވީތީ ޝުކުރު އަދާކުރަމެވެ
~・~・~・~・~・~・~・~・
立ち食いなんて! ――王宮では、すぐに怒鳴りつけられていた行為だろうに。
でも、今夜は無礼講。食事のマナーだって最低限でいい。
「油で揚げていなくても、なかなかおいしいですねえ。やはり、この塩味が癖になる」
「ありがとうございます」
「オーブンの普及? かまどではなく?」
「いえ、土かまども使っています。ただ、鉄製のオーブンも、かなり普及するようになりまして、薪と炭火の両方で高熱を保てるようになりましたので、ローストなども、かなり簡単にできるようになりました」
「すみび? それは何です?」
「この地では木炭――木々を燃やし、蒸し焼きにして炭化させた燃料のことですが、それを使用して、料理もするのです」
「ほう? それは知らない方法だな」
オスミンに負けず、レイフまでもその瞳をキラキラと輝かせ出す。
「領地の視察に行くと、木炭を作るかまどを見ることができますよ。ものすごい量の木々を切り倒し、それを蒸し焼きにするようなのです。真っ黒な木炭ができあがり、それを燃やすと、こう、長い間、熱い火力が保てるそうなのです」
そして、初めての視察で、ギルバート達は木炭が燃える様子を見せてもらい、そこで炭火で焼いたお肉をもらっていた。
外で焼いたお肉など、騎士団の野営以来だったギルバート達は、あまり抵抗もなくお肉を食べた。
ただ、野営で食べた時のような固いお肉ではなく、予想に反して、少し味付けがされたお肉が柔らかく、おいしくて、驚いたものだった。
「ああ、そうか。視察が楽しみだなあ」
きらりん、とレイフの瞳が好奇心で輝いたままだ。
王族の王子殿下達が揃った一行は、無事に、かなり楽しく、自分達の食事を取り終えていた。
用意されたテーブルに戻り、いそいそと待ちきれない様子で、もらった“携帯用食事セット”を、早速、全員が開けてみる。
「こんな小さなカトラリーを使ってみるのは、私も初めてです」
「これは、子供用のカトラリーに見えるものだな」
レイフとオスミンだけではなく、実は、ギルバートとクリストフも“携帯用食事セット”に大満足で、テーブルの上には、一通り、一式がきちんと並んで置かれている。
入っていた「おしぼり」 替わりのタオルは、お手拭き用にタオルを濡らす場があって、シリルの護衛についていた領地の騎士が、全員分のタオルを濡らして持ち帰ってきてくれた。
「おじうえっ、ぼくは、ちゃーんと、てをふきましたっ! みてくださいっ!」
「ああ、きれいに拭けたね。食事を始めていいよ、オスミン」
「はい、おじうえっ!」
いそいそと、満面の笑みを浮かべているオスミンは、小さな木のカトラリーを取り上げ、お皿にたくさん乗っている料理にフォークを指してみた。
「おじうえっ、おいしいですっ!」
どうやら、オスミンが選んだ今夜の最初の料理は、ウェッジ型のチップス(フライドポテト) だったらしい。
良い選択である。
ギルバートも、オスミンの気持ちがよーく判るから。
今年から出品されたらしい「フライドチキン」 と「チップス」は、ギルバートもランチにいただいている。油で揚げたチキンが柔らかくて、ほこほこと熱いながらも、ジューシーな味わいで、ギルバートも速攻で好きになっていた。
そして、塩加減が溜まらないチップスも。
だから、一番初めにオスミンがその料理を選んだとしても、なんの不思議もない。
「おじうえっ、おかわりをしてもいいですか?」
まだ食べ始めたばかりで、オスミンの皿には半分以上の料理が残っている。
「まずは、全部、皿の上の料理を食べ終えてから考えようか」
「ぼくは、できます」
ちょっと口を尖らせてみて、オスミンだってそこと強調してみせる。
「でも、料理のおかわりでもいいけれど、デザートもたくさんあるんだ。好きなデザートを食べていいんだぞ。それなら、“おかわり”ではなく、デザートを取りに行くことになるけれどね」
「デザート?」
デザート自体がどんなものなのか、オスミンだってものすごい興味がある。
うーんと、おかわりと、デザートの狭間で揺れているオスミンを静かに見守りながら、シリルがそこで口を挟んだ。
「オスミン様、料理を乗せるお皿が大きいので、おかわりをして、その隣にデザートを乗せたら、両方のことが一度にできますよ」
「りょうほうが?」
「ええ、そうです。一番おいしかった料理を、もう一度、お皿に乗せると“おかわり”ができます。そして、デザートをその横に並べてみてはいかがでしょうか?」
「わかりましたっ。ぼくは、おかわりをして、デザートを、よこにならべます」
「わかりました」
そして、難無く一件落着、である。
やはり、セシルに負けず、このシリルだって子供の扱いに慣れているではないか。子供の世話なら、この中で一番手慣れている感じだ。
「シリル殿も、やはり、ですねえ」
しっかりと、食事を取りながらも、クリストフが感心した風な態度をみせる。
「やはり? でしょうか? それは、なんでしょうか?」
「やはり、ご令嬢の弟君だけはあるなあ、という意味です」
「そうですか。私は、姉上の弟ですので」
クリストフの答えにも対した驚いた様子もないシリルは、事実を述べたのだろうが、ダブルの意味にとって聞こえそうな言い方だ。
「そのような話し方も、やはり、ですよねえ」
「そうでしょうか」
「ええ、そうですね。さすがですねえ、姉弟揃って」
「ありがとうございます」
今の会話は、特別、シリルを褒めたようには聞こえなかったが、それでも、シリルは気分を害した様子もなく、あっさりとしたものだ。
本当に、こんなところが、セシルにそっくりである。
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読んでいただき、ありがとうございます。
މި ނޮވެލް ކިޔެވީތީ ޝުކުރު އަދާކުރަމެވެ
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