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Part 3

В.в 豊穣祭 - 05

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 騎士達に護衛されながら、他の観光客にならい、全員が公園を後にして大通りの方に進む。

 観光情報館に向けて進んでいく中でも、通りにはすでにたくさんの出店や露店がズラリと並んでいる。

 領民達は、豊穣祭の開会式が終わると同時に、猛ダッシュ並みで公園を後にし、自分達のお店へと駆けつけていったのだ。

 食事処の露店では、昨夜から仕込んでおいたたくさんの料理が準備されていて、早速、すでに料理が始まっている。

 大通りを歩いていくだけでも、食欲をそそる匂いが立ち上がり、それぞれの鼻に届く。

「……こんなに、たくさんですか、セシルじょう?」

「ええ、そうです。ここは、宿場町の大通りになりまして、この通りに、ズラリと露店が並びますのよ。食事だけではなく、日常品やお役立ちグッズ、飾り物や家具、お花や植物もあり、イベントとしてゲームなども用意してありますの」

 セシルの説明はとても丁寧なものだったが、はっきり言って、説明の中にでてきた単語が意味不明で、オスミンの丸い瞳が更に丸くなっている。

「今日は、全部のお店をたくさん回りますのよ」
「……ほんとう、ですかっ?」

「ええ、そうです。ですから、オスミン様も、なにか面白いものや、興味の引かれるものがあったら、教えてくださいね」
「ぼくも、かっても、いいのですか?」
「もちろんです」

 その一言で、うわあぁ……と感激してしまったオスミンの顔が最高潮に緩んでいる。

「レイフ様も、リドウィナ様も、どうぞ、色々なものを試してみてくださいね」
「ええ、もちろんです」
「……あっ、あの、えーと……ありがとうございます」

 もちろん、レイフなど最初からやる気満々、見る気満々なので、セシルがわざわざ勧めなくても、レイフの興味は誰にも止められない。

 長年、その兄の行動を経験しているギルバートは、無言でその話を持ち出さないが、今日は、兄のレイフがセシルに迷惑をかけるまえに、自分が兄を押さえておかないといけないだろうな、と心に刻む。

 レイフを止められる者は誰もいないのだが、コトレア領にやって来てまで、セシルに迷惑をかけたくはない……。

 対するリドウィナと言えば、すでに、ものすごい数の露店に圧倒されて、その通りを歩いている観光客に圧倒されて、珍しく、慎ましやかな令嬢の行動も忘れ、キョロキョロと通り過ぎていく光景を凝視している。

 その瞳が真ん丸である。

 観光情報館の手前にはテントが張られ、豊穣祭用の観光登録手続きが済ませるように、スタッフが全員外に出ている状態だ。

 昨夜にコトレア領に到着した観光客は、係員達から勧められて、大抵は観光の登録手続きを済ませていることが多い。

 それでも、観光情報館の前には、すでにかなりの数の行列ができ始めていた。

「やはり、観光情報館が込み始めていましたね。全員でこの行列に並んでいては、護衛にも差し支えてしまうでしょう?」
「ええ、まあ……」

 深くは言わないが、行列や団体に囲まれてしまうのは、ギルバート達としても避けたいのだ。

 護衛達で周囲を囲ったとしても、団体に押されたりすれば、行列が乱れ、その間に隙ができてしまう。

「ユーリカ、ここは、皆様の登録を先に済ませてしまいましょう。行列を離れ、テントの横端で済ませてしまえば、団体に囲まれなくて済むと思いますの」
「わかりました」

 セシルやユーリカ達も、ある程度の混雑を予想していたので、普段は貴族だけの優先順位を優遇しない領地ではあるが、今日は特別である。

 スタッフの一人を連れて戻ってきたユーリカと共にテントの横に移動し、今回のゲスト達は豊穣祭の説明を聞き、注意事項も説明され、観光登録を一応済ませることができたのだった。

「では、露店回りを始めましょう」
「はいっ!」


* * *


 大通りに並ぶ露店はたくさんあり、目移りするものばかりだ。

 その上、区画、区画毎に、なにかのイベントが始まっていて、ゲストを含めたセシル達一行は、イベントを覗いては、次の露店を覗き込み、それから次へと、混雑した通りでそれぞれの体を寄せ合いながら、露店回りを満喫している。

 レイフなど、(ギルバートの予想通り) “豊穣祭のしおり”に記載されている内容をすでに読み終わり、簡単に記憶しているだけに、イベント回りに余念がない。

 次から次へと、


「さあ、次のイベントを見に行こう」


などと、立ち寄っている露店からさっさと離れて、イベント側に向かってしまうのである。

 本来なら、通りに沿って片方の露店側を見て回り、通りの最後でUターンをして、反対側の通りの露店を見て回る方法が効率的だ。

 でも、レイフの要望で、あっちに行ったり、こっちに行ったりと、ジグザグ並みの移動をさせられて、そのレイフに付き添っている全員は大変な目に遭っている……。

 幸い、豊穣祭に興奮して喜んでいるオスミンは、歩き疲れた様子を見せず、しっかりと、張り切り過ぎているレイフについて回っている。

 この様子だと、オスミンは、もう、これは……絶対に、夜までもたず、バタンキューだろうな……と、セシルとギルバートの独白は口に出されなかった。

 だが、二人の視線が交わされ、互いの考えていることを口に出さなくても、しっかりとお互いのことを理解している二人だった。

 歩き回っている一行でも、もうそろそろ、正午にかかる時間になり、そこでレイフはセシルに止められていた。

「今日一番の見世物がありますので、今から、パパっと移動しましょう。いい場所を取らなければ、少々、見るのも難しくなってしまうでしょうから」

 などと、意味深なことを口に出すものだから、レイフとオスミンの興味が更に膨れ上がってしまう。

 今朝、観光登録の為に連れてこられた観光情報館に戻って来て、まだも同じ場所にいる自分自身に、オスミンは不思議そうである。

 豊穣祭にやってくる観光客全員が、領地の「時計塔」 を楽しみにしているだけに、セシル達だけではなく、早くからいい場所を陣取っている観光客で、その場は溢れかえっていた。

 観光情報館のテントは、館の真ん前に設置はしていない。「時計塔」の邪魔になってしまうからだ。
 正確に言えば、館の向かい隣にテントが設置されている状態だ。

 今は、観光登録を済ます観光客がほとんどいないせいか、その場はスタッフだけで、かなり空き場がある。

 セシルの姿を目にすると、スタッフが二人駆け寄って来て、セシルと何かを話している。

 さすがに、王子殿下が豊穣祭に参加しているので、セシルはスタッフに言いつけて、初めからゲストの分の場所は確保させておいたのだ。




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読んでいただき、ありがとうございます。
Hvala što ste pročitali ovaj roman.
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