360 / 528
Part 3
А.б 困ったわ…… - 06
しおりを挟む
まあ、フィロにしてみたら、あれだけ、いつもテキパキと、なんでもやり遂げてしまうセシルを悩ませることができる人間がいたなんて、結構、驚きな話だな、と思っている。
フィロは、セシルの周囲に知り合いが増えようが、結婚しようが、セシルに仕えるだけだし、フィロの主はセシルだけである。
セシルを害するような、敵視するような輩は、誰だろうとフィロが許さない。
ジャン達だって許さないだろうが、フィロの――その度合いがどれくらいのものかということは、ジャン達だろうと知らないだろう。
相手が貴族だろうと、王族だろうと、フィロにとっては関係ない。
必要とあらば――フィロが許さないだけなのだ。
だから、今の所、あのなんでも卒なくこなすセシルが苦情も上げず、決心が鈍っているようで、そこまでできたギルバートは、敵とは見なしていない。
セシルの気持ちが傾く程度には、ギルバートの人柄や性格、そういったものは、セシルに信用されているだろう証拠だから。
その点では、あの隣国の王子サマなら、もう、見るからにセシルにベタ惚れしているような雰囲気ではあったし、様子でもあったから、セシルを傷つけるなんて概念さえもないことだろう。
むしろ、セシルを傷つけるような輩は――フィロ以上に冷酷に、斬り落としてしまいそうだ。
以前も、セシルが(ちょっとだけ) 傷つけられたくらいで、本気でブチ切れて、もう、凍り付きそうなほどの無表情で、容赦もなく、相手を叩きのめしていたほどだった。
身が竦むほど、全身の毛が逆立つかのような殺気をみせて。
あの時に、フィロも、あの王子サマの本気を知った。
セシル自身も、セシルの立場も責任も尊重しないようなそこらの貴族の愚息に嫁ぐよりは、隣国の王子だろうと、ギルバートの方が、(遥に) マシではあると考えていても、全くの不思議はない。
結婚話をセシルから聞かされた時も、フィロは驚くより先に、その結婚話で、これからのセシルにとってプラスになるのか、マイナスになるのか、あの場で、すでに計算していたなど――セシルだって知らないことだろう。
今の所、隣国、という点を除けば、あの王子サマは、一応、合格の方である。
セシル自身を尊重し、その立場と仕事を理解し、セシルを押さえつけず、威張り散らさず、セシルをありのままに自由にさせる為に、臣籍降下まで決意した王子サマだ。
本気の覚悟を見せる気は、あるらしい。
セシルは、(自分では全く気に掛けていないが) どうあがいても貴族の令嬢である。伯爵家のご令嬢、である。
だから、婚約解消の醜態で、今は傷心して領地で静養している(大ウソの) 理由があるから、今の所、他の貴族の子息からの縁談話が、うるさく、しつこく、上がってきてはいない。
だが、それも、あと数年もすれば、王宮でも、王都でも、その話が落ち着いて(なにしろ、次の新たな噂が飛び上がっているだろうから)、伯爵家の娘なら――と、他の貴族達が、セシルとの縁談話を推し進めても不思議はない。
そうなったら、あの侯爵家のバカ息子と一緒で、同じことの繰り返しである。
まして、またも、ノーウッド王国から(あの無能な国王のせいで) 縁談を押し付けられてしまったら、今度の時は、もう逃げ道がないだろう。
コトレアの領地は、全く見知りもしない(無能な) 貴族の子息に奪われて、この領地は滅茶滅茶になってしまう。
「セシルが自由に行動していては、家の恥だから」
「貴族の夫人らしくしなさい」
などと、無理難題を押し付けて、セシルの自由を奪ったとしても、
「貴族なんだから、我慢しなさい」
程度で、絶対に、セシルを幸せにできないことなど、目に見えている。
だから、その点では――あの王子サマは、一応、今のところ合格点ではあるのだ。
フィロがこんなことを簡単に思いついているのだから、あの勘のいいセシルが気付かないはずはない。
ギルバートとは知らない仲でもなくなったし、人となりを知るほどには、(ある程度) 親しくなった間柄だ。
それで、セシルを縛り付けない、その自由を約束してくれたギルバートの本気と誠意に、セシルの心が揺らいでいるのだろう
きっと、この先――ギルバート以上の好条件を提示できる貴族なんていないだろう、と。
セシルに害をなさないのなら、セシルがギルバートとの結婚を考えようが、フィロには全く問題にもならない。
フィロの主はセシルだけであり、セシル一人だ。
セシルの周りに誰かが集まろうが、寄ろうが、フィロの知ったことじゃない。
フィロが仕えるのは、セシルただ一人。それ以外にはいない。絶対に有り得ない。
セシルを害せず、セシルを尊重し、大切にするのなら、フィロはセシルの決断に口を挟むつもりはない。
まあ、この話は残りの四人には話してやる気はないが。
三月の繁忙期が過ぎれば、セシルも腹を決めなければならない。それまでには、まだ、二月ほどの猶予がある。
セシルは問題ごとをダラダラと先延ばしするような性格をしていない。無駄だから。
無駄を嫌うセシルなら、たぶん、二月もかからずに結論を出していることだろう。
フィロはセシルが決めたことに従うだけだ。ついていくだけだ。
残りの四人は、どうなるんだろう……と、こっそりとセシルの様子を見続けて、毎日、心配していればいいさ。
その程度の心配ごとを取り除いてやるほど、フィロはお人好しではない。
「でもさ――もし、これも、もしの話だけど、もし、マスターが結婚の話を断ったら、どうなるんだ?」
「断れるのか? 相手は王子サマなのに?」
「えっ? 断ってもいいの?」
そして、フィロを抜かした残りの全員は、まだセシルの結婚話で盛り上がったままだ。
その会話も、左程興味のないフィロには、耳から素通りしていっている。
「普通は、断れないだろ? 王子サマの命令なんだから」
「でも、命令じゃないだろ? 婚姻契約書を持ってきたくらいだから」
「そうそう」
「それに、マスターに命令してくる奴なんて、マスターが耳を貸すはずもないだろ? 完全無視だぜ、きっと」
「それは、有り得る」
まだ話題が尽きないのか、さっきから残りの四人の会話は進展をみせていない。
「どっちでも、別にいいじゃん」
「なんでだよ」
不服そうに、全員の尖った視線がフィロに向けられる。
「マスターが結婚したからって、なにかが変わるわけ?」
「変わる……って――。変わるだろ?」
「なにが? 僕は、マスターに仕えるだけだ」
「俺だってそうだ」
「俺だってそうだ」
全員がしっかりと頷き返してみせる。
「だったら、今と全然変わらないじゃん」
「まあ……そう、だけど……」
そう、きっぱりと断言されると、言い返すに言い返せない四人だ。
「マスターがアトレシア大王国に行くことになるのなら、一緒についていけばいいだけだ。マスターを護るって決めたのは、誰なのさ」
「俺たちだよ」
「じゃあ、騎士を辞めるわけ?」
「辞めないぜ。もし、騎士を辞めたとしても、目的は変わらないんだから」
「だったら、今と全然変わらないじゃん」
「まあ、そう、だけど……」
そして、すっぱり、きっぱりのフィロに、言い返すことはできない四人だった。
残りのメンバーの心配ごとを取り除いてやるほどお人好しではないが、面倒なので、さっさと話題を切り捨てるのは、やはりフィロである。
フィロは、セシルの周囲に知り合いが増えようが、結婚しようが、セシルに仕えるだけだし、フィロの主はセシルだけである。
セシルを害するような、敵視するような輩は、誰だろうとフィロが許さない。
ジャン達だって許さないだろうが、フィロの――その度合いがどれくらいのものかということは、ジャン達だろうと知らないだろう。
相手が貴族だろうと、王族だろうと、フィロにとっては関係ない。
必要とあらば――フィロが許さないだけなのだ。
だから、今の所、あのなんでも卒なくこなすセシルが苦情も上げず、決心が鈍っているようで、そこまでできたギルバートは、敵とは見なしていない。
セシルの気持ちが傾く程度には、ギルバートの人柄や性格、そういったものは、セシルに信用されているだろう証拠だから。
その点では、あの隣国の王子サマなら、もう、見るからにセシルにベタ惚れしているような雰囲気ではあったし、様子でもあったから、セシルを傷つけるなんて概念さえもないことだろう。
むしろ、セシルを傷つけるような輩は――フィロ以上に冷酷に、斬り落としてしまいそうだ。
以前も、セシルが(ちょっとだけ) 傷つけられたくらいで、本気でブチ切れて、もう、凍り付きそうなほどの無表情で、容赦もなく、相手を叩きのめしていたほどだった。
身が竦むほど、全身の毛が逆立つかのような殺気をみせて。
あの時に、フィロも、あの王子サマの本気を知った。
セシル自身も、セシルの立場も責任も尊重しないようなそこらの貴族の愚息に嫁ぐよりは、隣国の王子だろうと、ギルバートの方が、(遥に) マシではあると考えていても、全くの不思議はない。
結婚話をセシルから聞かされた時も、フィロは驚くより先に、その結婚話で、これからのセシルにとってプラスになるのか、マイナスになるのか、あの場で、すでに計算していたなど――セシルだって知らないことだろう。
今の所、隣国、という点を除けば、あの王子サマは、一応、合格の方である。
セシル自身を尊重し、その立場と仕事を理解し、セシルを押さえつけず、威張り散らさず、セシルをありのままに自由にさせる為に、臣籍降下まで決意した王子サマだ。
本気の覚悟を見せる気は、あるらしい。
セシルは、(自分では全く気に掛けていないが) どうあがいても貴族の令嬢である。伯爵家のご令嬢、である。
だから、婚約解消の醜態で、今は傷心して領地で静養している(大ウソの) 理由があるから、今の所、他の貴族の子息からの縁談話が、うるさく、しつこく、上がってきてはいない。
だが、それも、あと数年もすれば、王宮でも、王都でも、その話が落ち着いて(なにしろ、次の新たな噂が飛び上がっているだろうから)、伯爵家の娘なら――と、他の貴族達が、セシルとの縁談話を推し進めても不思議はない。
そうなったら、あの侯爵家のバカ息子と一緒で、同じことの繰り返しである。
まして、またも、ノーウッド王国から(あの無能な国王のせいで) 縁談を押し付けられてしまったら、今度の時は、もう逃げ道がないだろう。
コトレアの領地は、全く見知りもしない(無能な) 貴族の子息に奪われて、この領地は滅茶滅茶になってしまう。
「セシルが自由に行動していては、家の恥だから」
「貴族の夫人らしくしなさい」
などと、無理難題を押し付けて、セシルの自由を奪ったとしても、
「貴族なんだから、我慢しなさい」
程度で、絶対に、セシルを幸せにできないことなど、目に見えている。
だから、その点では――あの王子サマは、一応、今のところ合格点ではあるのだ。
フィロがこんなことを簡単に思いついているのだから、あの勘のいいセシルが気付かないはずはない。
ギルバートとは知らない仲でもなくなったし、人となりを知るほどには、(ある程度) 親しくなった間柄だ。
それで、セシルを縛り付けない、その自由を約束してくれたギルバートの本気と誠意に、セシルの心が揺らいでいるのだろう
きっと、この先――ギルバート以上の好条件を提示できる貴族なんていないだろう、と。
セシルに害をなさないのなら、セシルがギルバートとの結婚を考えようが、フィロには全く問題にもならない。
フィロの主はセシルだけであり、セシル一人だ。
セシルの周りに誰かが集まろうが、寄ろうが、フィロの知ったことじゃない。
フィロが仕えるのは、セシルただ一人。それ以外にはいない。絶対に有り得ない。
セシルを害せず、セシルを尊重し、大切にするのなら、フィロはセシルの決断に口を挟むつもりはない。
まあ、この話は残りの四人には話してやる気はないが。
三月の繁忙期が過ぎれば、セシルも腹を決めなければならない。それまでには、まだ、二月ほどの猶予がある。
セシルは問題ごとをダラダラと先延ばしするような性格をしていない。無駄だから。
無駄を嫌うセシルなら、たぶん、二月もかからずに結論を出していることだろう。
フィロはセシルが決めたことに従うだけだ。ついていくだけだ。
残りの四人は、どうなるんだろう……と、こっそりとセシルの様子を見続けて、毎日、心配していればいいさ。
その程度の心配ごとを取り除いてやるほど、フィロはお人好しではない。
「でもさ――もし、これも、もしの話だけど、もし、マスターが結婚の話を断ったら、どうなるんだ?」
「断れるのか? 相手は王子サマなのに?」
「えっ? 断ってもいいの?」
そして、フィロを抜かした残りの全員は、まだセシルの結婚話で盛り上がったままだ。
その会話も、左程興味のないフィロには、耳から素通りしていっている。
「普通は、断れないだろ? 王子サマの命令なんだから」
「でも、命令じゃないだろ? 婚姻契約書を持ってきたくらいだから」
「そうそう」
「それに、マスターに命令してくる奴なんて、マスターが耳を貸すはずもないだろ? 完全無視だぜ、きっと」
「それは、有り得る」
まだ話題が尽きないのか、さっきから残りの四人の会話は進展をみせていない。
「どっちでも、別にいいじゃん」
「なんでだよ」
不服そうに、全員の尖った視線がフィロに向けられる。
「マスターが結婚したからって、なにかが変わるわけ?」
「変わる……って――。変わるだろ?」
「なにが? 僕は、マスターに仕えるだけだ」
「俺だってそうだ」
「俺だってそうだ」
全員がしっかりと頷き返してみせる。
「だったら、今と全然変わらないじゃん」
「まあ……そう、だけど……」
そう、きっぱりと断言されると、言い返すに言い返せない四人だ。
「マスターがアトレシア大王国に行くことになるのなら、一緒についていけばいいだけだ。マスターを護るって決めたのは、誰なのさ」
「俺たちだよ」
「じゃあ、騎士を辞めるわけ?」
「辞めないぜ。もし、騎士を辞めたとしても、目的は変わらないんだから」
「だったら、今と全然変わらないじゃん」
「まあ、そう、だけど……」
そして、すっぱり、きっぱりのフィロに、言い返すことはできない四人だった。
残りのメンバーの心配ごとを取り除いてやるほどお人好しではないが、面倒なので、さっさと話題を切り捨てるのは、やはりフィロである。
1
お気に入りに追加
80
あなたにおすすめの小説
婚約破棄されたら魔法が解けました
かな
恋愛
「クロエ・ベネット。お前との婚約は破棄する。」
それは学園の卒業パーティーでの出来事だった。……やっぱり、ダメだったんだ。周りがザワザワと騒ぎ出す中、ただ1人『クロエ・ベネット』だけは冷静に事実を受け止めていた。乙女ゲームの世界に転生してから10年。国外追放を回避する為に、そして后妃となる為に努力し続けて来たその時間が無駄になった瞬間だった。そんな彼女に追い打ちをかけるかのように、王太子であるエドワード・ホワイトは聖女を新たな婚約者とすることを発表した。その後はトントン拍子にことが運び、冤罪をかけられ、ゲームのシナリオ通り国外追放になった。そして、魔物に襲われて死ぬ。……そんな運命を辿るはずだった。
「こんなことなら、転生なんてしたくなかった。元の世界に戻りたい……」
あろうことか、最後の願いとしてそう思った瞬間に、全身が光り出したのだ。そして気がつくと、なんと前世の姿に戻っていた!しかもそれを第二王子であるアルベルトに見られていて……。
「……まさかこんなことになるなんてね。……それでどうする?あの2人復讐でもしちゃう?今の君なら、それができるよ。」
死を覚悟した絶望から転生特典を得た主人公の大逆転溺愛ラブストーリー!
※最初の5話は毎日18時に投稿、それ以降は毎週土曜日の18時に投稿する予定です
婚約破棄されたので貴族街で薬屋を始めました
マルローネ
恋愛
「お前の技術は盗めた。もう用なしだ、婚約破棄してもらおう」
子爵令嬢のアリッサは婚約者で侯爵令息のトトメスにこんなことを言われた。
自らの持つ調合技術を盗まれ、婚約破棄を言い渡されたのだ。
悲しみに暮れながら彼女だが、家族の支えもあり貴族街で小さな薬屋を始めることにした。
その薬屋は驚くほどの盛況となっていく傍ら、トトメスの方は盗めたと思っていた技術は陰りが見え始め……。
元侯爵令嬢は冷遇を満喫する
cyaru
恋愛
第三王子の不貞による婚約解消で王様に拝み倒され、渋々嫁いだ侯爵令嬢のエレイン。
しかし教会で結婚式を挙げた後、夫の口から開口一番に出た言葉は
「王命だから君を娶っただけだ。愛してもらえるとは思わないでくれ」
夫となったパトリックの側には長年の恋人であるリリシア。
自分もだけど、向こうだってわたくしの事は見たくも無いはず!っと早々の別居宣言。
お互いで交わす契約書にほっとするパトリックとエレイン。ほくそ笑む愛人リリシア。
本宅からは屋根すら見えない別邸に引きこもりお1人様生活を満喫する予定が・・。
※専門用語は出来るだけ注釈をつけますが、作者が専門用語だと思ってない専門用語がある場合があります
※作者都合のご都合主義です。
※リアルで似たようなものが出てくると思いますが気のせいです。
※架空のお話です。現実世界の話ではありません。
※爵位や言葉使いなど現実世界、他の作者さんの作品とは異なります(似てるモノ、同じものもあります)
※誤字脱字結構多い作者です(ごめんなさい)コメント欄より教えて頂けると非常に助かります。
父の大事な家族は、再婚相手と異母妹のみで、私は元より家族ではなかったようです
珠宮さくら
恋愛
フィロマという国で、母の病を治そうとした1人の少女がいた。母のみならず、その病に苦しむ者は、年々増えていたが、治せる薬はなく、進行を遅らせる薬しかなかった。
その病を色んな本を読んで調べあげた彼女の名前は、ヴァリャ・チャンダ。だが、それで病に効く特効薬が出来上がることになったが、母を救うことは叶わなかった。
そんな彼女が、楽しみにしていたのは隣国のラジェスへの留学だったのだが、そのために必死に貯めていた資金も父に取り上げられ、義母と異母妹の散財のために金を稼げとまで言われてしまう。
そこにヴァリャにとって救世主のように現れた令嬢がいたことで、彼女の人生は一変していくのだが、彼女らしさが消えることはなかった。
どう頑張っても死亡ルートしかない悪役令嬢に転生したので、一切頑張らないことにしました
小倉みち
恋愛
7歳の誕生日、突然雷に打たれ、そのショックで前世を思い出した公爵令嬢のレティシア。
前世では夥しいほどの仕事に追われる社畜だった彼女。
唯一の楽しみだった乙女ゲームの新作を発売日当日に買いに行こうとしたその日、交通事故で命を落としたこと。
そして――。
この世界が、その乙女ゲームの設定とそっくりそのままであり、自分自身が悪役令嬢であるレティシアに転生してしまったことを。
この悪役令嬢、自分に関心のない家族を振り向かせるために、死に物狂いで努力し、第一王子の婚約者という地位を勝ち取った。
しかしその第一王子の心がぽっと出の主人公に奪われ、嫉妬に狂い主人公に毒を盛る。
それがバレてしまい、最終的に死刑に処される役となっている。
しかも、第一王子ではなくどの攻略対象ルートでも、必ず主人公を虐め、処刑されてしまう噛ませ犬的キャラクター。
レティシアは考えた。
どれだけ努力をしても、どれだけ頑張っても、最終的に自分は死んでしまう。
――ということは。
これから先どんな努力もせず、ただの馬鹿な一般令嬢として生きれば、一切攻略対象と関わらなければ、そもそもその土俵に乗ることさえしなければ。
私はこの恐ろしい世界で、生き残ることが出来るのではないだろうか。
家出した伯爵令嬢【完結済】
弓立歩
恋愛
薬学に長けた家に生まれた伯爵令嬢のカノン。病弱だった第2王子との7年の婚約の結果は何と婚約破棄だった!これまでの尽力に対して、実家も含めあまりにもつらい仕打ちにとうとうカノンは家を出る決意をする。
番外編において暴力的なシーン等もありますので一応R15が付いています
6/21完結。今後の更新は予定しておりません。また、本編は60000字と少しで柔らかい表現で出来ております
婚約者に毒を飲まされた私から【毒を分解しました】と聞こえてきました。え?
こん
恋愛
成人パーティーに参加した私は言われのない罪で婚約者に問い詰められ、遂には毒殺をしようとしたと疑われる。
「あくまでシラを切るつもりだな。だが、これもお前がこれを飲めばわかる話だ。これを飲め!」
そう言って婚約者は毒の入ったグラスを渡す。渡された私は躊躇なくグラスを一気に煽る。味は普通だ。しかし、飲んでから30秒経ったあたりで苦しくなり初め、もう無理かも知れないと思った時だった。
【毒を検知しました】
「え?」
私から感情のない声がし、しまいには毒を分解してしまった。私が驚いている所に友達の魔法使いが駆けつける。
※なろう様で掲載した作品を少し変えたものです
君は、妾の子だから、次男がちょうどいい
月山 歩
恋愛
侯爵家のマリアは、婚約中だが、彼は王都に住み、マリアは片田舎で遠いため、会ったことはなかった。でも、ある時、マリアは、妾の子であると、知られる。そんな娘は大事な子息とは、結婚させられないと、病気療養中の次男との婚約に一方的に変えさせられる。そして、次の日には、迎えの馬車がやって来た。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる