296 / 528
Part2
Д.в 手始めに - 06
しおりを挟む
それから気まずい沈黙が降りて、口を開かない、開く様子がない『セシル』 を見下ろしている青年。その青年を淡々と見上げている『セシル』。
互いに互いを睨めっこ――が続き、青年の方が折れていた。
はっ……と、息を吐き出したかと思うと、一応、『セシル』 に向かって軽く頭を下げたのだ。
「私は、アーントソン辺境伯嫡男リソと申します」
「そうでしたか。それは、お初にお目にかかります。ヘルバート伯爵家長女、セシルと申します」
スッと『セシル』 が立ち上がり、丁寧に頭を下げながらお辞儀をした。
「いえ、その必要はありません。私の立場は、今は、ケルビーです」
「ケルビー?」
「ええ。男爵の爵位を授かりましたので、今はケルビー男爵です」
「そうでしたか」
確か、『セシル』 が必死で習ったこの国の貴族制では、辺境伯は爵位ではなく称号で、貴族の爵位の他に与えられるものだ。
だから、アーントソン辺境伯とは呼ばれているが、実際の貴族の爵位は、伯爵家と言われている。侯爵家ほどの力はあるが、アーントソン辺境伯自身は、伯爵である。
「伯爵」 と呼ばれているからと言って、辺境伯、ではない(勘違いしないように)。
それで、嫡男である目の前の青年は、今は、男爵の爵位を授かったらしい。苗字が変わっているから、領土も譲渡されているようである。
同じ辺境伯領内の領土なのだろうか?
『セシル』 は、本当に、行く場所、行く場所で、この世界の新しい知識を学んで行っている。身に着けて行っている。
行く先々で、知らない知識、新しい知識が出て来て、学ぶ意欲が更に上がって来るかのようだった。そうやって、学ぶことに多忙なおかげで、しばらくは、異世界に放り込まれた悲惨さを、少し和らげることができている。
「どうぞ、掛けてください」
椅子を勧められて、『セシル』 はゆっくりと椅子に腰を下ろした。
リソと名乗った青年も、セシルの向かい側の椅子に腰を下ろす。
「父は、今、出払っていまして、こちらに来ることはできません。それで、私が代理として、こちらに伺いました」
「そうでしたか」
「挨拶に来た、というようなお話をお聞きしましたが?」
「ええ、そうです。こちらの領地に赴くことになりましたので、一応、ご挨拶は済ませておくべきだと思いまして。先触れも立てず、突然、このように押しかけてしまいまして、謝罪致します」
「いえ……」
あまりに落ち着いた態度の、あまりに冷静な様子の『セシル』 を目の前に、リソも複雑そうな表情を見せ、そこから次の話が続かないようである。
『セシル』 はその落ち着いた態度が変わらず、ただ静かにリソと向き合っているだけだ。
まだ小さな子供なのに、見るからに、たった一人きりで護衛を連れて、こんな僻地までやって来て、それで、貴族の令嬢でありながらズボンを履き、とても令嬢とは見えない出で立ちの少女である。
だが、その子供らしい体格に反して、随分と大人びた表情に、落ち着いて冷静な態度、真っ直ぐにリソを見詰めて来る――その深い藍の瞳が強く、とても印象的だった。
少々、みすぼれた格好に見える様相でも、後ろで縛っているような髪の毛はサラサラとした銀髪で、白い肌に小さな顔。薄い桃色の唇に、印象深い藍の瞳。
なんだか――リソだって、あまりに整い過ぎた小さなお人形さんを、目の前で見ているような気分になってくる。
シーンと、気まずい沈黙だけが降りている。
「……えーっと、なぜ、伯爵令嬢であるあなたが、我々の領地にお越しになったのか、お聞きしてもよろしいですか?」
「この領地の端には、国軍が駐屯していると伺いました。そこに用がありまして」
「なぜですか?」
国軍など、子供ができるような場所ではない。令嬢が訪ねて行くような場所でもない。
それで、リソの顔つきがすぐに険しいものに変わる。
「今、私個人の護衛を増やそうかと考えておりますの。それで、実戦経験のある人材を探しています。それなら、実戦経験のある兵士が一番最適ではないかと思いまして」
まさか、そんな素っ頓狂な理由で、国境沿いにあるテヴェオス領までやって来たと言うのだろうか。
まさに、今のリソの顔が、その強い疑いをもろに現わしていた。
「……そんなことをしなくても、探せば、実戦経験のある騎士くらいはいるでしょう?」
それで、チラッと、リソの視線が、『セシル』 の後ろに控えているユーリカに向けられる。
「剣術や剣技ができ、腕が立つ騎士はたくさんいることでしょう。ですが、私は、実際の実戦経験を持つ人材を探しておりまして」
『セシル』は、剣の腕だけで自分の護衛を増やそうと考えているのではない。
これから、『セシル』 個人が動き出すことにより、きっと、危険な場面にも遭遇してくることだろう。
そう言った場面で、臨機応変に対応ができ、慌てず、冷静に、状況を対処できるような実戦経験者を、『セシル』 は望んでいるのだ。
だからと言って、傭兵を探しているのではない。
近未来――コトレア領で、『セシル』 が一生を過ごしていくこととなるのなら、『セシル』 は、いずれ、領地での騎士団成立を、もうすでに今の段階で考え始めていたのだ。
領地の安全、領民の安全は、統治において根幹となる指針だ。安全が脅かされては、生き延びることなど、到底、できない。
だから、将来、騎士団を成立するのなら、傭兵のような契約だけの人材では足りないのだ。
コトレア領に移住する決意を厭わず、領地で騎士になることを望むような人材でなければ意味がない。
長い目を見て、『セシル』 は、ただ技術面だけで、人材探しをしているのではなかったのだ。
「伯爵令嬢であられるのですから、そのようなことをする必要はないでしょう?」
父親の伯爵にでも頼めば、すぐにでも、そう言った人材は探し当ててくれそうなものだ。
その口に出されないリソの指摘も、『セシル』 は全て簡単に理解している。
だが、『セシル』 の行動理由を、リソに認められる必要もなければ、正当化される謂れだってない。
勝手にリソの常識を当てはめて、『セシル』 に押し付けないでもらいたいものだ。
静かで落ち着いた態度が変わらず、『セシル』 は特別何かを言い返すこともない。ただ、ジーっと、リソを観察しているかのような大きな瞳が揺らがず、それだけだった。
それが居心地悪いのか、リソはまた少し顔をしかめ、
「……いえ、私が伯爵家の事情に口出しすべきではありませんでした……」
『セシル』 は、特別、何も言わない。
更に、リソが顔をしかめて、
「いえ……、私が出しゃばったことを口にしました……」
「いいえ。そのように心配してくださって、ありがとうございます」
素直にお礼にとって良いのか、皮肉だったのか、リソも判断しかねている。
「――国境側の国軍に用があるとおっしゃっても、さすがに――その……子供であるご令嬢一人が向かわれても、怪しまれるだけですよ」
「そうかもしれませんね。まずは、どう出て来るのか、その出方次第でしょう。無理があれば、また、他の手を探します」
「そ、そう、ですか……?」
「ええ、そうです」
プツリ、とそこで会話が切れてしまい、リソが更に居心地悪そうに視線を泳がせている。
「今日は、ご挨拶に伺わせていただいただけですので、申し訳ございませんが、私は、そろそろお暇させていただきます」
「これから国軍に向かうのですか?」
「いえ。まず、宿泊先の宿を決めたいと考えております」
「宿……って。まさか、一人で泊る気ですか?」
「いいえ。一人ではありません」
だが、見るからに、護衛がたった一人きりだけだ。
互いに互いを睨めっこ――が続き、青年の方が折れていた。
はっ……と、息を吐き出したかと思うと、一応、『セシル』 に向かって軽く頭を下げたのだ。
「私は、アーントソン辺境伯嫡男リソと申します」
「そうでしたか。それは、お初にお目にかかります。ヘルバート伯爵家長女、セシルと申します」
スッと『セシル』 が立ち上がり、丁寧に頭を下げながらお辞儀をした。
「いえ、その必要はありません。私の立場は、今は、ケルビーです」
「ケルビー?」
「ええ。男爵の爵位を授かりましたので、今はケルビー男爵です」
「そうでしたか」
確か、『セシル』 が必死で習ったこの国の貴族制では、辺境伯は爵位ではなく称号で、貴族の爵位の他に与えられるものだ。
だから、アーントソン辺境伯とは呼ばれているが、実際の貴族の爵位は、伯爵家と言われている。侯爵家ほどの力はあるが、アーントソン辺境伯自身は、伯爵である。
「伯爵」 と呼ばれているからと言って、辺境伯、ではない(勘違いしないように)。
それで、嫡男である目の前の青年は、今は、男爵の爵位を授かったらしい。苗字が変わっているから、領土も譲渡されているようである。
同じ辺境伯領内の領土なのだろうか?
『セシル』 は、本当に、行く場所、行く場所で、この世界の新しい知識を学んで行っている。身に着けて行っている。
行く先々で、知らない知識、新しい知識が出て来て、学ぶ意欲が更に上がって来るかのようだった。そうやって、学ぶことに多忙なおかげで、しばらくは、異世界に放り込まれた悲惨さを、少し和らげることができている。
「どうぞ、掛けてください」
椅子を勧められて、『セシル』 はゆっくりと椅子に腰を下ろした。
リソと名乗った青年も、セシルの向かい側の椅子に腰を下ろす。
「父は、今、出払っていまして、こちらに来ることはできません。それで、私が代理として、こちらに伺いました」
「そうでしたか」
「挨拶に来た、というようなお話をお聞きしましたが?」
「ええ、そうです。こちらの領地に赴くことになりましたので、一応、ご挨拶は済ませておくべきだと思いまして。先触れも立てず、突然、このように押しかけてしまいまして、謝罪致します」
「いえ……」
あまりに落ち着いた態度の、あまりに冷静な様子の『セシル』 を目の前に、リソも複雑そうな表情を見せ、そこから次の話が続かないようである。
『セシル』 はその落ち着いた態度が変わらず、ただ静かにリソと向き合っているだけだ。
まだ小さな子供なのに、見るからに、たった一人きりで護衛を連れて、こんな僻地までやって来て、それで、貴族の令嬢でありながらズボンを履き、とても令嬢とは見えない出で立ちの少女である。
だが、その子供らしい体格に反して、随分と大人びた表情に、落ち着いて冷静な態度、真っ直ぐにリソを見詰めて来る――その深い藍の瞳が強く、とても印象的だった。
少々、みすぼれた格好に見える様相でも、後ろで縛っているような髪の毛はサラサラとした銀髪で、白い肌に小さな顔。薄い桃色の唇に、印象深い藍の瞳。
なんだか――リソだって、あまりに整い過ぎた小さなお人形さんを、目の前で見ているような気分になってくる。
シーンと、気まずい沈黙だけが降りている。
「……えーっと、なぜ、伯爵令嬢であるあなたが、我々の領地にお越しになったのか、お聞きしてもよろしいですか?」
「この領地の端には、国軍が駐屯していると伺いました。そこに用がありまして」
「なぜですか?」
国軍など、子供ができるような場所ではない。令嬢が訪ねて行くような場所でもない。
それで、リソの顔つきがすぐに険しいものに変わる。
「今、私個人の護衛を増やそうかと考えておりますの。それで、実戦経験のある人材を探しています。それなら、実戦経験のある兵士が一番最適ではないかと思いまして」
まさか、そんな素っ頓狂な理由で、国境沿いにあるテヴェオス領までやって来たと言うのだろうか。
まさに、今のリソの顔が、その強い疑いをもろに現わしていた。
「……そんなことをしなくても、探せば、実戦経験のある騎士くらいはいるでしょう?」
それで、チラッと、リソの視線が、『セシル』 の後ろに控えているユーリカに向けられる。
「剣術や剣技ができ、腕が立つ騎士はたくさんいることでしょう。ですが、私は、実際の実戦経験を持つ人材を探しておりまして」
『セシル』は、剣の腕だけで自分の護衛を増やそうと考えているのではない。
これから、『セシル』 個人が動き出すことにより、きっと、危険な場面にも遭遇してくることだろう。
そう言った場面で、臨機応変に対応ができ、慌てず、冷静に、状況を対処できるような実戦経験者を、『セシル』 は望んでいるのだ。
だからと言って、傭兵を探しているのではない。
近未来――コトレア領で、『セシル』 が一生を過ごしていくこととなるのなら、『セシル』 は、いずれ、領地での騎士団成立を、もうすでに今の段階で考え始めていたのだ。
領地の安全、領民の安全は、統治において根幹となる指針だ。安全が脅かされては、生き延びることなど、到底、できない。
だから、将来、騎士団を成立するのなら、傭兵のような契約だけの人材では足りないのだ。
コトレア領に移住する決意を厭わず、領地で騎士になることを望むような人材でなければ意味がない。
長い目を見て、『セシル』 は、ただ技術面だけで、人材探しをしているのではなかったのだ。
「伯爵令嬢であられるのですから、そのようなことをする必要はないでしょう?」
父親の伯爵にでも頼めば、すぐにでも、そう言った人材は探し当ててくれそうなものだ。
その口に出されないリソの指摘も、『セシル』 は全て簡単に理解している。
だが、『セシル』 の行動理由を、リソに認められる必要もなければ、正当化される謂れだってない。
勝手にリソの常識を当てはめて、『セシル』 に押し付けないでもらいたいものだ。
静かで落ち着いた態度が変わらず、『セシル』 は特別何かを言い返すこともない。ただ、ジーっと、リソを観察しているかのような大きな瞳が揺らがず、それだけだった。
それが居心地悪いのか、リソはまた少し顔をしかめ、
「……いえ、私が伯爵家の事情に口出しすべきではありませんでした……」
『セシル』 は、特別、何も言わない。
更に、リソが顔をしかめて、
「いえ……、私が出しゃばったことを口にしました……」
「いいえ。そのように心配してくださって、ありがとうございます」
素直にお礼にとって良いのか、皮肉だったのか、リソも判断しかねている。
「――国境側の国軍に用があるとおっしゃっても、さすがに――その……子供であるご令嬢一人が向かわれても、怪しまれるだけですよ」
「そうかもしれませんね。まずは、どう出て来るのか、その出方次第でしょう。無理があれば、また、他の手を探します」
「そ、そう、ですか……?」
「ええ、そうです」
プツリ、とそこで会話が切れてしまい、リソが更に居心地悪そうに視線を泳がせている。
「今日は、ご挨拶に伺わせていただいただけですので、申し訳ございませんが、私は、そろそろお暇させていただきます」
「これから国軍に向かうのですか?」
「いえ。まず、宿泊先の宿を決めたいと考えております」
「宿……って。まさか、一人で泊る気ですか?」
「いいえ。一人ではありません」
だが、見るからに、護衛がたった一人きりだけだ。
1
お気に入りに追加
80
あなたにおすすめの小説
婚約破棄されたら魔法が解けました
かな
恋愛
「クロエ・ベネット。お前との婚約は破棄する。」
それは学園の卒業パーティーでの出来事だった。……やっぱり、ダメだったんだ。周りがザワザワと騒ぎ出す中、ただ1人『クロエ・ベネット』だけは冷静に事実を受け止めていた。乙女ゲームの世界に転生してから10年。国外追放を回避する為に、そして后妃となる為に努力し続けて来たその時間が無駄になった瞬間だった。そんな彼女に追い打ちをかけるかのように、王太子であるエドワード・ホワイトは聖女を新たな婚約者とすることを発表した。その後はトントン拍子にことが運び、冤罪をかけられ、ゲームのシナリオ通り国外追放になった。そして、魔物に襲われて死ぬ。……そんな運命を辿るはずだった。
「こんなことなら、転生なんてしたくなかった。元の世界に戻りたい……」
あろうことか、最後の願いとしてそう思った瞬間に、全身が光り出したのだ。そして気がつくと、なんと前世の姿に戻っていた!しかもそれを第二王子であるアルベルトに見られていて……。
「……まさかこんなことになるなんてね。……それでどうする?あの2人復讐でもしちゃう?今の君なら、それができるよ。」
死を覚悟した絶望から転生特典を得た主人公の大逆転溺愛ラブストーリー!
※最初の5話は毎日18時に投稿、それ以降は毎週土曜日の18時に投稿する予定です
婚約破棄されたので貴族街で薬屋を始めました
マルローネ
恋愛
「お前の技術は盗めた。もう用なしだ、婚約破棄してもらおう」
子爵令嬢のアリッサは婚約者で侯爵令息のトトメスにこんなことを言われた。
自らの持つ調合技術を盗まれ、婚約破棄を言い渡されたのだ。
悲しみに暮れながら彼女だが、家族の支えもあり貴族街で小さな薬屋を始めることにした。
その薬屋は驚くほどの盛況となっていく傍ら、トトメスの方は盗めたと思っていた技術は陰りが見え始め……。
元侯爵令嬢は冷遇を満喫する
cyaru
恋愛
第三王子の不貞による婚約解消で王様に拝み倒され、渋々嫁いだ侯爵令嬢のエレイン。
しかし教会で結婚式を挙げた後、夫の口から開口一番に出た言葉は
「王命だから君を娶っただけだ。愛してもらえるとは思わないでくれ」
夫となったパトリックの側には長年の恋人であるリリシア。
自分もだけど、向こうだってわたくしの事は見たくも無いはず!っと早々の別居宣言。
お互いで交わす契約書にほっとするパトリックとエレイン。ほくそ笑む愛人リリシア。
本宅からは屋根すら見えない別邸に引きこもりお1人様生活を満喫する予定が・・。
※専門用語は出来るだけ注釈をつけますが、作者が専門用語だと思ってない専門用語がある場合があります
※作者都合のご都合主義です。
※リアルで似たようなものが出てくると思いますが気のせいです。
※架空のお話です。現実世界の話ではありません。
※爵位や言葉使いなど現実世界、他の作者さんの作品とは異なります(似てるモノ、同じものもあります)
※誤字脱字結構多い作者です(ごめんなさい)コメント欄より教えて頂けると非常に助かります。
どう頑張っても死亡ルートしかない悪役令嬢に転生したので、一切頑張らないことにしました
小倉みち
恋愛
7歳の誕生日、突然雷に打たれ、そのショックで前世を思い出した公爵令嬢のレティシア。
前世では夥しいほどの仕事に追われる社畜だった彼女。
唯一の楽しみだった乙女ゲームの新作を発売日当日に買いに行こうとしたその日、交通事故で命を落としたこと。
そして――。
この世界が、その乙女ゲームの設定とそっくりそのままであり、自分自身が悪役令嬢であるレティシアに転生してしまったことを。
この悪役令嬢、自分に関心のない家族を振り向かせるために、死に物狂いで努力し、第一王子の婚約者という地位を勝ち取った。
しかしその第一王子の心がぽっと出の主人公に奪われ、嫉妬に狂い主人公に毒を盛る。
それがバレてしまい、最終的に死刑に処される役となっている。
しかも、第一王子ではなくどの攻略対象ルートでも、必ず主人公を虐め、処刑されてしまう噛ませ犬的キャラクター。
レティシアは考えた。
どれだけ努力をしても、どれだけ頑張っても、最終的に自分は死んでしまう。
――ということは。
これから先どんな努力もせず、ただの馬鹿な一般令嬢として生きれば、一切攻略対象と関わらなければ、そもそもその土俵に乗ることさえしなければ。
私はこの恐ろしい世界で、生き残ることが出来るのではないだろうか。
家出した伯爵令嬢【完結済】
弓立歩
恋愛
薬学に長けた家に生まれた伯爵令嬢のカノン。病弱だった第2王子との7年の婚約の結果は何と婚約破棄だった!これまでの尽力に対して、実家も含めあまりにもつらい仕打ちにとうとうカノンは家を出る決意をする。
番外編において暴力的なシーン等もありますので一応R15が付いています
6/21完結。今後の更新は予定しておりません。また、本編は60000字と少しで柔らかい表現で出来ております
婚約者に毒を飲まされた私から【毒を分解しました】と聞こえてきました。え?
こん
恋愛
成人パーティーに参加した私は言われのない罪で婚約者に問い詰められ、遂には毒殺をしようとしたと疑われる。
「あくまでシラを切るつもりだな。だが、これもお前がこれを飲めばわかる話だ。これを飲め!」
そう言って婚約者は毒の入ったグラスを渡す。渡された私は躊躇なくグラスを一気に煽る。味は普通だ。しかし、飲んでから30秒経ったあたりで苦しくなり初め、もう無理かも知れないと思った時だった。
【毒を検知しました】
「え?」
私から感情のない声がし、しまいには毒を分解してしまった。私が驚いている所に友達の魔法使いが駆けつける。
※なろう様で掲載した作品を少し変えたものです
君は、妾の子だから、次男がちょうどいい
月山 歩
恋愛
侯爵家のマリアは、婚約中だが、彼は王都に住み、マリアは片田舎で遠いため、会ったことはなかった。でも、ある時、マリアは、妾の子であると、知られる。そんな娘は大事な子息とは、結婚させられないと、病気療養中の次男との婚約に一方的に変えさせられる。そして、次の日には、迎えの馬車がやって来た。
心の中にあなたはいない
ゆーぞー
恋愛
姉アリーのスペアとして誕生したアニー。姉に成り代われるようにと育てられるが、アリーは何もせずアニーに全て押し付けていた。アニーの功績は全てアリーの功績とされ、周囲の人間からアニーは役立たずと思われている。そんな中アリーは事故で亡くなり、アニーも命を落とす。しかしアニーは過去に戻ったため、家から逃げ出し別の人間として生きていくことを決意する。
一方アリーとアニーの死後に真実を知ったアリーの夫ブライアンも過去に戻りアニーに接触しようとするが・・・。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる