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Part2
В.д 囮に? - 10
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この程度の捕縛なら、意識もあるし、立ってもいられるのだから、必死で逃げ道を探し、どうにか縛られている状態を解放しようと試みるだろう。
だが、この時代、女性はなにかにつけてか弱く、抵抗する技術や知識を身に着けていない者が多いだけに(ほとんどで)、誘拐された場で逃げ出そうなんて、考えも及ばないことだろう。
おまけに、恐怖で身震いしている状態なら、正常な思考は働かないことが多い。
そう言った背景も考慮して、セシルが一人で部屋の中にいて、縛られていようが、気絶させられていなくても、犯人達がその状態を怪しむことはほぼないだろう、とセシルも確信していた。
常に冷静沈着で、修羅場を潜り抜けて来たセシルにとっては、この程度の芸当はお茶の子さいさいなのだ。
「なんだよ。こんな上玉、滅多にお目にかかれるもんじゃないぜ」
男が、乱暴にセシルの顎を掴み、顔を上げさせた。
内心で、こんなヤサグレチンピラに顔を触られて、その場で殴り飛ばしたい衝動を押さえ込んで、セシルがパっと顔をそむけるようにした。
セシルの行動に腹を立てた様子もなく、嫌らしく、男はニヤニヤとセシルを観察している。
「今回は、いつもの倍額でも足りねーな」
「上玉だぜー。もっと跳ね上げても、釣りが来るくらいだろうぜ」
三人目の男が、セシルの足元にある麻袋に気付き、しゃがんでいた。
「おい。もう一人いるぜ」
「二人なのか?」
「あいつら、一体、どこに行ったんだよ。全く、ブツを置き去りにして、逃げられたらどうするんだよ」
「逃げるわけねーだろうが」
「そうそう。そこのキレーな姉ちゃんも、恐怖で声なんかでないだろうぜ」
近寄って来た男が、セシルの下ろしている髪の毛を掴み、その手を髪の毛先まで滑らせていった。
この男。
絶対に叩き潰す。
これで、二人の標的が決まった。絶対に手加減なんてしてやらない。
汚らしくセシルに触った代償は、絶対に支払わせてやろう。
セシルの覚悟を知らない男達は、仲間の“仕入れ屋”がいないことを、あまり不審に思っていないのか、焦っている様子も見られない。
「あいつらなんか、待ってられるかよ」
「一体、どこうろついてんだ。まったく。なってねーな」
ぶつぶつと文句をこぼしていても、自分達で残りの仲間を探しに行く気配は見られない。
「おい、どうするよ」
「二人を担いだら目立つな。だったら、こっちの女は歩かせるか」
それを決めたらしい男が、また、セシルの前で顔を近づけて来て、スッと、目の前にナイフを出した。
「おい。うるさく騒いだら、そのキレーな顔が台無しになるぜ。傷つけられたくなかったら、大人しく言うことを聞いてろよ」
ピタっと、ナイフがセシルの頬に当てられて、セシルは、コクコクと頷いてみせる。
セシルのその様子に満足したのか、一人は麻袋に入ってる娘を背に担ぎ上げ、一人は自分が身に着けていたフード無しのマントを、ガバッと、セシルの頭の上から被せていた。
二人の男達がセシルの両脇に立ち、一人がナイフをセシルの腰に当ててきて、もう一人で、セシルの腕を取っていた。
それから、三人が家を立ち去って行く。
表通りには戻らず、家と家が建ち並ぶ隙間のような横道をずっと奥に進んで行き、それから、少し治安の悪そうな区域にも入って行く。
道端の端には浮浪者がいたり、うろついている住民も風体が悪く、通り過ぎて行く男達には目をやりもしない。
かなり遠い場所まで、歩かされているようだ。
人気も遠のいた場所にやって来ると、視界の向こうには、荷馬車が一台停まっているようだった。
「時間通りだな」
「今回は、上玉だぜ」
「へえ」
荷馬車の側で立っていた二人の男達が近寄って来た。
残念だ。
ここから荷馬車での移動なら、今日は、アジトを突き止めることはできない。
バサッと、乱暴に、男がセシルの頭の上に被せていたマントを払いのけた。
「へえ……!」
「こいつは上玉だぜ」
そして、ジロジロと舐め回すような下卑た目を向けて、セシルを品定めする。
今日は、こんな薄汚い視線ばかりを受けて、帰ったら、セシルは速攻でお風呂に入らなければ。
あまりに汚すぎる。
「残念ですね」
「あぁっ?」
移動させられている時、セシルの頭から被らされたマントのおかげで、うつむき加減で歩いていたセシルは、もうすでに、自分の猿轡と腕の布を外していたのだ。
「全員揃った場で、叩き潰してやろうと思っていましたのに」
「なんだ、この女っ――」
猿轡もなく、腕の縛りも解けていて、男達が驚きをみせた。
「まずは、一人目」
手短に、すぐ真横にいた男に、セシルの足蹴りが直撃した。
「……ぐあっ……っ!!」
角度とスピードから、股間蹴りができなかったのが、(非常に)残念である。
「なんだ、この女っ――」
「てめーっ――」
男達が一斉に色めき立った。
「ふざけんなよっ!」
セシルの予想に反して、反撃してきた男の一人は、セシルを殴りつけて来るのではなく――そのまま突進してきたのだ!
「きゃっ……!」
勢いのまま吹っ飛ばされた、セシルが地面に尻もちをついてしまった。
いや、さすがに、そんな攻撃方法はないでしょ……。
ケンカ慣れしていないのか、ゾウの突進でもあるまいし、なぜ、自分よりも体格の小さい女に向かって、体当たりなどしてくるのか。
「マスターっ――!!」
セシル達の後を尾行し、気配を殺して気取られないようについてきていた子供達が、セシルが攻撃されたのを目撃し、隠れていた場所から飛び出してきた。
だが、この時代、女性はなにかにつけてか弱く、抵抗する技術や知識を身に着けていない者が多いだけに(ほとんどで)、誘拐された場で逃げ出そうなんて、考えも及ばないことだろう。
おまけに、恐怖で身震いしている状態なら、正常な思考は働かないことが多い。
そう言った背景も考慮して、セシルが一人で部屋の中にいて、縛られていようが、気絶させられていなくても、犯人達がその状態を怪しむことはほぼないだろう、とセシルも確信していた。
常に冷静沈着で、修羅場を潜り抜けて来たセシルにとっては、この程度の芸当はお茶の子さいさいなのだ。
「なんだよ。こんな上玉、滅多にお目にかかれるもんじゃないぜ」
男が、乱暴にセシルの顎を掴み、顔を上げさせた。
内心で、こんなヤサグレチンピラに顔を触られて、その場で殴り飛ばしたい衝動を押さえ込んで、セシルがパっと顔をそむけるようにした。
セシルの行動に腹を立てた様子もなく、嫌らしく、男はニヤニヤとセシルを観察している。
「今回は、いつもの倍額でも足りねーな」
「上玉だぜー。もっと跳ね上げても、釣りが来るくらいだろうぜ」
三人目の男が、セシルの足元にある麻袋に気付き、しゃがんでいた。
「おい。もう一人いるぜ」
「二人なのか?」
「あいつら、一体、どこに行ったんだよ。全く、ブツを置き去りにして、逃げられたらどうするんだよ」
「逃げるわけねーだろうが」
「そうそう。そこのキレーな姉ちゃんも、恐怖で声なんかでないだろうぜ」
近寄って来た男が、セシルの下ろしている髪の毛を掴み、その手を髪の毛先まで滑らせていった。
この男。
絶対に叩き潰す。
これで、二人の標的が決まった。絶対に手加減なんてしてやらない。
汚らしくセシルに触った代償は、絶対に支払わせてやろう。
セシルの覚悟を知らない男達は、仲間の“仕入れ屋”がいないことを、あまり不審に思っていないのか、焦っている様子も見られない。
「あいつらなんか、待ってられるかよ」
「一体、どこうろついてんだ。まったく。なってねーな」
ぶつぶつと文句をこぼしていても、自分達で残りの仲間を探しに行く気配は見られない。
「おい、どうするよ」
「二人を担いだら目立つな。だったら、こっちの女は歩かせるか」
それを決めたらしい男が、また、セシルの前で顔を近づけて来て、スッと、目の前にナイフを出した。
「おい。うるさく騒いだら、そのキレーな顔が台無しになるぜ。傷つけられたくなかったら、大人しく言うことを聞いてろよ」
ピタっと、ナイフがセシルの頬に当てられて、セシルは、コクコクと頷いてみせる。
セシルのその様子に満足したのか、一人は麻袋に入ってる娘を背に担ぎ上げ、一人は自分が身に着けていたフード無しのマントを、ガバッと、セシルの頭の上から被せていた。
二人の男達がセシルの両脇に立ち、一人がナイフをセシルの腰に当ててきて、もう一人で、セシルの腕を取っていた。
それから、三人が家を立ち去って行く。
表通りには戻らず、家と家が建ち並ぶ隙間のような横道をずっと奥に進んで行き、それから、少し治安の悪そうな区域にも入って行く。
道端の端には浮浪者がいたり、うろついている住民も風体が悪く、通り過ぎて行く男達には目をやりもしない。
かなり遠い場所まで、歩かされているようだ。
人気も遠のいた場所にやって来ると、視界の向こうには、荷馬車が一台停まっているようだった。
「時間通りだな」
「今回は、上玉だぜ」
「へえ」
荷馬車の側で立っていた二人の男達が近寄って来た。
残念だ。
ここから荷馬車での移動なら、今日は、アジトを突き止めることはできない。
バサッと、乱暴に、男がセシルの頭の上に被せていたマントを払いのけた。
「へえ……!」
「こいつは上玉だぜ」
そして、ジロジロと舐め回すような下卑た目を向けて、セシルを品定めする。
今日は、こんな薄汚い視線ばかりを受けて、帰ったら、セシルは速攻でお風呂に入らなければ。
あまりに汚すぎる。
「残念ですね」
「あぁっ?」
移動させられている時、セシルの頭から被らされたマントのおかげで、うつむき加減で歩いていたセシルは、もうすでに、自分の猿轡と腕の布を外していたのだ。
「全員揃った場で、叩き潰してやろうと思っていましたのに」
「なんだ、この女っ――」
猿轡もなく、腕の縛りも解けていて、男達が驚きをみせた。
「まずは、一人目」
手短に、すぐ真横にいた男に、セシルの足蹴りが直撃した。
「……ぐあっ……っ!!」
角度とスピードから、股間蹴りができなかったのが、(非常に)残念である。
「なんだ、この女っ――」
「てめーっ――」
男達が一斉に色めき立った。
「ふざけんなよっ!」
セシルの予想に反して、反撃してきた男の一人は、セシルを殴りつけて来るのではなく――そのまま突進してきたのだ!
「きゃっ……!」
勢いのまま吹っ飛ばされた、セシルが地面に尻もちをついてしまった。
いや、さすがに、そんな攻撃方法はないでしょ……。
ケンカ慣れしていないのか、ゾウの突進でもあるまいし、なぜ、自分よりも体格の小さい女に向かって、体当たりなどしてくるのか。
「マスターっ――!!」
セシル達の後を尾行し、気配を殺して気取られないようについてきていた子供達が、セシルが攻撃されたのを目撃し、隠れていた場所から飛び出してきた。
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