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Part1
В.в ご冗談を - 06
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客室に続く扉の前で警護をしている騎士二人の前で、勝手に後ろの扉が開き、部屋に泊まっているセシルが顔を出したのだ。
二人の騎士が、何事かと、セシルに向き直る。
「厨房に連れていって」
「え?」
「まさか、飢え死にさせる気なの?」
「え? なにを――」
「厨房に連れて行って、と言ったの。聞こえなかったの?」
淡々と、感情の起伏も無い口調と、声音だった。
二人の騎士が、セシルの言っていることの意味が解からず、顔を見合わせる。
「厨房に連れて行って、と言ったの? 聞こえなかったの?」
「――――聞こえました」
「それなら、何? まさか、上官に問いたださなければ、その程度の護衛もできません、などと言っているの?」
「そんなことは――」
あまりに淡々としている口調でも、自分達が侮辱された、と騎士の顔が微かに怒気で紅潮した。
「だったら、何? 厨房に連れて行って。わざわざ、こんな王宮に呼び出しておいて、餓死させる気なの?」
騎士の二人はまた顔を見合わせ、その眉間がきつく寄せられている。
「一々、指示がないと動けないの? 王国の騎士団なのにね」
アホくさ。
今のは、完全に、二人の騎士を侮辱した言葉だった。
「貴様っ、偉そうに――」
「何をしているっ!」
廊下の向こうから駆けて来たもう一人の騎士が、そこで怒鳴りつけていた。
ビクッと、二人の騎士が、反射的に、そこで完全に姿勢を正し起立していた。
「何をしているっ」
「いえ――」
駆け込んできた年上っぽい騎士は、扉の前の騎士二人を睨みつけ、それから、その厳しい視線のままで、セシルの方にも、ゆっくりと振り返った。
「失礼をした。なにか、問題でもおありか?」
「厨房に連れて行って、と言っただけですよ。餓死させる気なの?」
まさか、そんなことを言われるとは予想していなかったのか、その返答を考えている騎士の間に、一拍、変な間が降りていた。
「――――わかりました。ご案内いたします」
「王国の騎士なのに、躾がなってないのね。ゲストに対して、よく、「貴様っ」 なんて、怒鳴りつけられるのね」
その騎士の瞳が、微かにだけ上がっていた。
それから、苦虫を潰したような表情を見せたが、スッと、頭を下げる。
「部下の非礼を、お詫びいたします」
「それは、必要ないです。私には、関係ないので」
王国の騎士団の騎士の躾がなっていようが、いまいが、セシルの知ったことではない。
他国の令嬢を勝手に呼びつけておいて、躾はなっていない、マナーもなっていない――など、昨夜、上官からも、これ以上王国の恥をさらすなと、きつく、厳しく、言いつけられたばかりだと言うのに。
「厨房に連れて行って」
「――わかりました。どうぞこちらへ」
騎士がセシル達を促した。
そこを去る際、騎士が厳しい目を二人の騎士に向け、
「お前たちはそこで待機していろ」
「わかりました」
「申し訳ありません……」
「言い分は後で聞く」
それだけを言い残し、騎士がセシル達をその場から連れて行く。
長い、長い、廊下を抜けていき、チラッと上を見上げると、豪奢なシャンデリアが埃一つなく飾られていて、通り過ぎていく廊下の通路の壁は、これまた豪奢で、長い、長い、通路を一行は進んでいた。
それから、壁側の模様が変わり、少しずつ質素な感じな風変りになってきだした場所で、セシルを連れている騎士が、ある扉の前に立った。
勝手に扉を開け、そして、その扉を押さえながら、後ろにいるセシルに視線を向ける。
「どうぞ、こちらです」
イシュトールがまず最初に扉の中に進んで行き、セシルがその後に続き、最後に、ユーリカがセシルの後ろから入って来た。
扉を抜けて進んで行った先には――かなりの広さの厨房があった。
そして、二十人は軽く超えるであろう、シェフやコックなどが忙しく動き回っていた。
王家の、そして、その他王宮に滞在している重鎮などの朝食作りで、ものすごい活気が上がっていた。
だが、突然、厨房への扉が開いて誰かがやってきたな――程度の認識だったのに、視界に入る、濃紫の騎士団の制服が目に飛び込んできて、一斉に、バッ――と、その場にいた全員が手を止めて、その視線が扉に集中していた。
厨房に、騎士団の騎士サマがやってくることなど前代未聞の出来事で、全員が目を丸くしている。
「――――あ、あの……、どうか、なさいましたか……?」
パタパタと大慌てで、一人が騎士の前に駆け寄って来た。
一体何事なのだろうか……と、その顔にくっきりと心配の色を濃くしている。
自分達の料理で文句があったのだろうか、不都合があったのだろうか――それとも、なにか良くないことでも……そんな心配がありありとして、セシルも、目の前のシェフに同情してしまう。
(そこまで驚かせるつもりでもなかったのですがね)
あんなに心配そうな顔をして、騎士を見上げているシェフの姿も――少々、可哀想である。
「いや――。こちらのゲストに、なにか食べるものを出してくれ」
「――――――――――――えっ……?」
優に、一分はあったはずだ。
理解に苦しんだのか、反応するまでに、なんて長い間があったのかしら?
反応はしてみたものの、それから――まだ状況が理解できなくて、意味が分からなくて、シェフの方もポカンとしている。
あまりに素直に、「ご冗談をおっっしゃって?」 というその考えが、ありありと顔に浮き出ているほどに。
その顔を見下ろしながら、(もちろん) 騎士の方だって――こんな厨房まで足を運んでくる令嬢なんて、前代未聞だろう、と驚いているシェフの気持ちが、よーく解ったものだった。
「別に、用意しなくていいです。パンをください」
「あ、あの…………ですが……」
チラッと、セシルの方に視線を向けたシェフは――セシルの姿を見て、(あまりに素直に) ものすごい顔をしかめてしまった。
一体、この令嬢? ……は、何者なんだ……?! ――との感情が、またも、まるっきり、全部、顔に出てしまった様子だ。
まあ、その程度の反応は慣れているだけに、セシルも淡々と続けていく。
「パンをください。邪魔はしませんから、そっちの隅っこの方で、食べるだけですから」
「あ、あの…………ですが…………」
なぜ、令嬢のような様相に、令嬢のような声をして――男装まがいの格好の令嬢(?)が厨房などにいるのだろう……?
その激しい葛藤の狭間で、シェフの方は動けないままだ。
ふーん。
さすが、王宮の厨房に働くシェフですね。全く見慣れない、経験したことがない場面に遭遇して、そこで、礼儀正しく固まってしまっているのですから。
本当に、躾が行き届いているんですのねえ。
ふーむと、セシルもちょっと感心してしまった。
「パンをください。それで十分です」
「あ……あの………」
「言われた通りにしてくれ」
「え? ――――あっ、はい、わかりました……」
セシルに声をかけられる度に、反応に困って固まっているシェフは、なぜか、騎士の一言で、ハッと我に返るところが、本当に良く躾されていること。
「直ちに、用意いたします…………」
「隅っこ、座っていいですか?」
「あ、はい……。どうぞ――ですが、あの……椅子が……」
「気にしていません」
なにか言いたそうなのに、言えなくて、困ってしまって、困惑してしまって――その感情が大変そうですね。
セシルは(ある意味可哀そうな) シェフを残し、隅っこにあったテーブルと椅子の方に向かった。
どうやら、ここで働いているシェフやコック達の休憩場だったようで、小さなテーブルの周りに、丸椅子が置かれていた。
セシルが椅子を引いて腰を下ろし、イシュトールとユーリカが、その隣に腰を下ろしていく。
その間も、料理中であるはずのシェフやコックの動きが、止まったままだ。
(火加減確かめなくてよろしいのですか?)
ナイフを持ったまま、手が上がっている状態で、硬直している。
朝早くから、それはもう、物珍しい客がやってきたことでしょう。でも、そこまで驚くことでもないんですけれどね。
「――――どうぞ……、これを……」
大慌てでパンを取り出し切って来たようなシェフが、皿一杯に乗ったパンを、テーブルの上に運んできた。
反対の手には、小さなパン皿が3枚。
親切に、セシル達の前に一枚ずつ並べてくれるようだ。
二人の騎士が、何事かと、セシルに向き直る。
「厨房に連れていって」
「え?」
「まさか、飢え死にさせる気なの?」
「え? なにを――」
「厨房に連れて行って、と言ったの。聞こえなかったの?」
淡々と、感情の起伏も無い口調と、声音だった。
二人の騎士が、セシルの言っていることの意味が解からず、顔を見合わせる。
「厨房に連れて行って、と言ったの? 聞こえなかったの?」
「――――聞こえました」
「それなら、何? まさか、上官に問いたださなければ、その程度の護衛もできません、などと言っているの?」
「そんなことは――」
あまりに淡々としている口調でも、自分達が侮辱された、と騎士の顔が微かに怒気で紅潮した。
「だったら、何? 厨房に連れて行って。わざわざ、こんな王宮に呼び出しておいて、餓死させる気なの?」
騎士の二人はまた顔を見合わせ、その眉間がきつく寄せられている。
「一々、指示がないと動けないの? 王国の騎士団なのにね」
アホくさ。
今のは、完全に、二人の騎士を侮辱した言葉だった。
「貴様っ、偉そうに――」
「何をしているっ!」
廊下の向こうから駆けて来たもう一人の騎士が、そこで怒鳴りつけていた。
ビクッと、二人の騎士が、反射的に、そこで完全に姿勢を正し起立していた。
「何をしているっ」
「いえ――」
駆け込んできた年上っぽい騎士は、扉の前の騎士二人を睨みつけ、それから、その厳しい視線のままで、セシルの方にも、ゆっくりと振り返った。
「失礼をした。なにか、問題でもおありか?」
「厨房に連れて行って、と言っただけですよ。餓死させる気なの?」
まさか、そんなことを言われるとは予想していなかったのか、その返答を考えている騎士の間に、一拍、変な間が降りていた。
「――――わかりました。ご案内いたします」
「王国の騎士なのに、躾がなってないのね。ゲストに対して、よく、「貴様っ」 なんて、怒鳴りつけられるのね」
その騎士の瞳が、微かにだけ上がっていた。
それから、苦虫を潰したような表情を見せたが、スッと、頭を下げる。
「部下の非礼を、お詫びいたします」
「それは、必要ないです。私には、関係ないので」
王国の騎士団の騎士の躾がなっていようが、いまいが、セシルの知ったことではない。
他国の令嬢を勝手に呼びつけておいて、躾はなっていない、マナーもなっていない――など、昨夜、上官からも、これ以上王国の恥をさらすなと、きつく、厳しく、言いつけられたばかりだと言うのに。
「厨房に連れて行って」
「――わかりました。どうぞこちらへ」
騎士がセシル達を促した。
そこを去る際、騎士が厳しい目を二人の騎士に向け、
「お前たちはそこで待機していろ」
「わかりました」
「申し訳ありません……」
「言い分は後で聞く」
それだけを言い残し、騎士がセシル達をその場から連れて行く。
長い、長い、廊下を抜けていき、チラッと上を見上げると、豪奢なシャンデリアが埃一つなく飾られていて、通り過ぎていく廊下の通路の壁は、これまた豪奢で、長い、長い、通路を一行は進んでいた。
それから、壁側の模様が変わり、少しずつ質素な感じな風変りになってきだした場所で、セシルを連れている騎士が、ある扉の前に立った。
勝手に扉を開け、そして、その扉を押さえながら、後ろにいるセシルに視線を向ける。
「どうぞ、こちらです」
イシュトールがまず最初に扉の中に進んで行き、セシルがその後に続き、最後に、ユーリカがセシルの後ろから入って来た。
扉を抜けて進んで行った先には――かなりの広さの厨房があった。
そして、二十人は軽く超えるであろう、シェフやコックなどが忙しく動き回っていた。
王家の、そして、その他王宮に滞在している重鎮などの朝食作りで、ものすごい活気が上がっていた。
だが、突然、厨房への扉が開いて誰かがやってきたな――程度の認識だったのに、視界に入る、濃紫の騎士団の制服が目に飛び込んできて、一斉に、バッ――と、その場にいた全員が手を止めて、その視線が扉に集中していた。
厨房に、騎士団の騎士サマがやってくることなど前代未聞の出来事で、全員が目を丸くしている。
「――――あ、あの……、どうか、なさいましたか……?」
パタパタと大慌てで、一人が騎士の前に駆け寄って来た。
一体何事なのだろうか……と、その顔にくっきりと心配の色を濃くしている。
自分達の料理で文句があったのだろうか、不都合があったのだろうか――それとも、なにか良くないことでも……そんな心配がありありとして、セシルも、目の前のシェフに同情してしまう。
(そこまで驚かせるつもりでもなかったのですがね)
あんなに心配そうな顔をして、騎士を見上げているシェフの姿も――少々、可哀想である。
「いや――。こちらのゲストに、なにか食べるものを出してくれ」
「――――――――――――えっ……?」
優に、一分はあったはずだ。
理解に苦しんだのか、反応するまでに、なんて長い間があったのかしら?
反応はしてみたものの、それから――まだ状況が理解できなくて、意味が分からなくて、シェフの方もポカンとしている。
あまりに素直に、「ご冗談をおっっしゃって?」 というその考えが、ありありと顔に浮き出ているほどに。
その顔を見下ろしながら、(もちろん) 騎士の方だって――こんな厨房まで足を運んでくる令嬢なんて、前代未聞だろう、と驚いているシェフの気持ちが、よーく解ったものだった。
「別に、用意しなくていいです。パンをください」
「あ、あの…………ですが……」
チラッと、セシルの方に視線を向けたシェフは――セシルの姿を見て、(あまりに素直に) ものすごい顔をしかめてしまった。
一体、この令嬢? ……は、何者なんだ……?! ――との感情が、またも、まるっきり、全部、顔に出てしまった様子だ。
まあ、その程度の反応は慣れているだけに、セシルも淡々と続けていく。
「パンをください。邪魔はしませんから、そっちの隅っこの方で、食べるだけですから」
「あ、あの…………ですが…………」
なぜ、令嬢のような様相に、令嬢のような声をして――男装まがいの格好の令嬢(?)が厨房などにいるのだろう……?
その激しい葛藤の狭間で、シェフの方は動けないままだ。
ふーん。
さすが、王宮の厨房に働くシェフですね。全く見慣れない、経験したことがない場面に遭遇して、そこで、礼儀正しく固まってしまっているのですから。
本当に、躾が行き届いているんですのねえ。
ふーむと、セシルもちょっと感心してしまった。
「パンをください。それで十分です」
「あ……あの………」
「言われた通りにしてくれ」
「え? ――――あっ、はい、わかりました……」
セシルに声をかけられる度に、反応に困って固まっているシェフは、なぜか、騎士の一言で、ハッと我に返るところが、本当に良く躾されていること。
「直ちに、用意いたします…………」
「隅っこ、座っていいですか?」
「あ、はい……。どうぞ――ですが、あの……椅子が……」
「気にしていません」
なにか言いたそうなのに、言えなくて、困ってしまって、困惑してしまって――その感情が大変そうですね。
セシルは(ある意味可哀そうな) シェフを残し、隅っこにあったテーブルと椅子の方に向かった。
どうやら、ここで働いているシェフやコック達の休憩場だったようで、小さなテーブルの周りに、丸椅子が置かれていた。
セシルが椅子を引いて腰を下ろし、イシュトールとユーリカが、その隣に腰を下ろしていく。
その間も、料理中であるはずのシェフやコックの動きが、止まったままだ。
(火加減確かめなくてよろしいのですか?)
ナイフを持ったまま、手が上がっている状態で、硬直している。
朝早くから、それはもう、物珍しい客がやってきたことでしょう。でも、そこまで驚くことでもないんですけれどね。
「――――どうぞ……、これを……」
大慌てでパンを取り出し切って来たようなシェフが、皿一杯に乗ったパンを、テーブルの上に運んできた。
反対の手には、小さなパン皿が3枚。
親切に、セシル達の前に一枚ずつ並べてくれるようだ。
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