86 / 528
Part1
В.б 夜会へ - 05
しおりを挟む
* * *
気絶させた男の横で膝を折り、セシルは、自分の右腿に巻き付けてある皮の紐を抜き取っていた。
男をうつぶせにさせ、男の後ろ手で、その両腕を縛り上げていく。
「マスター」
イシュトールとユーリカの二人も、先程の男達の捕縛を終えたようだった。
「あの男と一緒に、この男を中央に運んでちょうだい」
「わかりました」
ユーリカは、さっきのテーブルの場所に戻っていく。対するイシュトールは、気絶している男の首根っこを無造作に引っ張り上げ、ズルズルと中央に引っ張っていく。
セシルも身軽に立ち上がり、イシュトールの後についた。
会場内の混乱は極めていて、貴族の夫人や令嬢達からのすすり泣き、嗚咽、かすれた悲鳴が上がり、ほぼ、ほとんどの女性が腰を抜かして、床に座り込んでいる状態だ。
その横で、付き添いの男性や、夫だったり、女性の介抱をしているようだったが、その大半が青ざめた顔色を見せ、会場での惨劇を見ないように、視線をそらしたままだ。
その全員を無視して、セシル達は中央に戻ってきていた。
「イシュトール、その男は背中を向けさせて。こっちのデブ男は、賊を見せるように」
「わかりました」
混乱した会場の中で、この三人だけが、淡々と作業をし、動揺もしていない。
後ろで縛り付けられ、気絶している男達が、その場で床に転がったまま、セシルの指示通り寝かされる。
領地の騎士が着ている制服の袖口には、仕込みがしてあるのだ。袖口の裏から、皮の紐を抜き取った二人が、男達を縛り付けたのだ。
どうやら、閉鎖された扉が突破され、中になだれ込んだ王国の騎士達が、会場内の散乱した有り様を目にし、一瞬だけ怯んだその視界に、中央で剣を握っている三人を目撃し、数人の騎士が剣を抜き放った。
イシュトールとユーリカが、すぐにセシルの前に立ち、身構える。
「やめよっ――」
会場に届くほどの鋭い命令が飛ばされた。
剣を片手に走り込んできた騎士達が、ピタリ、と止まる。
セシルの元に、護衛の騎士を引き連れて、ゆっくりと、王太子殿下であるアルデーラが寄って来ていたのだ。
「やめよっ。この者達に手を出す者は、即刻、処罰する」
「――し、失礼いたしましたっ……!」
驚いて、騎士達が速攻で剣をしまいこんでいた。
「剣を引きなさい」
「はい」
イシュトールとユーリカも、剣をしまった。
それを見て、自分のレイピアも鞘に入れ直し、セシルは剣を下げる腰のベルトを、自分の腰に巻き付けた。
だが、セシルの近くに寄って来たアルデーラも、そして、セシルも、一切、互いに見向きもしない。
その間、向こうの方では、指揮を取っている数人の貴族に誘導され、ゾロゾロと、集まっていた貴族達が会場を後にしていく。
テーブルの下も騎士達に確認され、テーブルの下に隠れていた貴族達も、兢々とした様子のまま、テーブルの下から這いずり出てきていた。
夜会に集まっていた貴族達が、続々と、会場である大広間を後にし、残りは動き回る騎士達だけだ。
夜会に侵入してきた賊の一味を全員捕縛し、縄にかけ、この混乱で呼び出されたのか――会場には、ものすごい数の騎士達が揃っていた。
だが、中央で寝転がった三人を囲んでいるその場だけは、王太子殿下が揃っているせいか、会場を動き回っている騎士達が、一切、近寄ってこない。
王太子殿下の元には、まだ数人の団長なのか、副団長なのか、真っ白な騎士の制服に身をつつんだ騎士達が残っていた。
その全員が、口を開かない。
そして、あまりに不審で、あまりに――信じられない行動をした隣国の伯爵令嬢を問い詰めたいはずなのに、王太子殿下が完全に沈黙を保っている為、その騎士達も、セシルには近寄ってはこなかった。
見向きもしなかった。
会場にいた貴族達の次に、捕縛された賊共が運び出される。その全員がいなくなっていた。
今の会場は、完全に、静寂だけが降りていた。
「王太子殿下。侵入してきた賊は、全員、捕縛いたしました」
真っ白な騎士の制服を着た二人が、戻って来た。一人は年配で、もう一人は、随分、若く見える騎士だ。
先程、王太子殿下の命令で、賊を捕獲・捕縛しに、壇上から飛び出していった若い騎士だ。
数人の騎士だけは、白地の制服を着ていた。騎士の正礼装なのだろうか?
制服と言うよりは、高位貴族のイブニングコートが、少し軍服化したような見た目だ。
ジャケットの胸元には、階級章なのか、金の飾りが何個も連なり、ジャケットや袖の襟元や裾には、アクセントが入る赤地のストライプなど、威厳が更に強まった雰囲気でもある。
右肩からは金の飾緒が下がり、他の装飾や刺繍も金でなっている。中から少し覗くベストも、白地に豪奢な金の刺繍がされていた。
そして、マントの代わりに、足首まで届きそうな長い白いコートを羽織り、その肩には、金のエポレットが、裾も乱れず並んでいる。
その若い騎士の後ろにも、一人、若い騎士が影のように付き添って。
だが、真っ白な騎士の正礼装ではなく、会場に控えていた他の騎士達のように、薄紫の大きな襟のついたジャケット、首元にはクラバット、そして、真っすぐに伸びた白のトラウザーズ。
腰には、ベルトの他に、剣を下げる皮ベルトが。そして、黒い膝下のブーツである。
会場に飛び込んできた騎士達は、上下揃って濃紫の騎士服だった。どうやら、下士官の騎士達の正装は、薄紫のジャケットのようだった。
「わかった。人払いをしろ」
指示された年配の騎士は、王太子殿下の意図を探ろうと、ほんの微かにだけ眉間を寄せたようだったが、すぐに頷いた。
「わかりました。――ギルバート」
「はい」
若い騎士と影のように付き添っている騎士二人が、向こうの方に走っていった。
まだ会場に残っていた騎士達に何かの指示を出し、パラパラ、バラバラと、騎士達が会場を去っていく。
それで、二人の騎士が扉を閉め、また、王太子殿下の元に戻って来る。
「扉の外に、見張りを置いております。大広間には、誰一人、近付けないよう指示を出しました」
その報告を聞いているのかいないのか、王太子殿下からの返答はない。
それで、残った騎士団の団長格の数人が、王太子殿下の指示を待っている。
「さて」
その一言は、誰に言われたものだったのだろうか?
王太子殿下は、捕縛された三人の男達のすぐ前には立っているが、隣国からやって来た伯爵令嬢とは背を向け、互いに顔も見ていない状態だ。
気絶させた男の横で膝を折り、セシルは、自分の右腿に巻き付けてある皮の紐を抜き取っていた。
男をうつぶせにさせ、男の後ろ手で、その両腕を縛り上げていく。
「マスター」
イシュトールとユーリカの二人も、先程の男達の捕縛を終えたようだった。
「あの男と一緒に、この男を中央に運んでちょうだい」
「わかりました」
ユーリカは、さっきのテーブルの場所に戻っていく。対するイシュトールは、気絶している男の首根っこを無造作に引っ張り上げ、ズルズルと中央に引っ張っていく。
セシルも身軽に立ち上がり、イシュトールの後についた。
会場内の混乱は極めていて、貴族の夫人や令嬢達からのすすり泣き、嗚咽、かすれた悲鳴が上がり、ほぼ、ほとんどの女性が腰を抜かして、床に座り込んでいる状態だ。
その横で、付き添いの男性や、夫だったり、女性の介抱をしているようだったが、その大半が青ざめた顔色を見せ、会場での惨劇を見ないように、視線をそらしたままだ。
その全員を無視して、セシル達は中央に戻ってきていた。
「イシュトール、その男は背中を向けさせて。こっちのデブ男は、賊を見せるように」
「わかりました」
混乱した会場の中で、この三人だけが、淡々と作業をし、動揺もしていない。
後ろで縛り付けられ、気絶している男達が、その場で床に転がったまま、セシルの指示通り寝かされる。
領地の騎士が着ている制服の袖口には、仕込みがしてあるのだ。袖口の裏から、皮の紐を抜き取った二人が、男達を縛り付けたのだ。
どうやら、閉鎖された扉が突破され、中になだれ込んだ王国の騎士達が、会場内の散乱した有り様を目にし、一瞬だけ怯んだその視界に、中央で剣を握っている三人を目撃し、数人の騎士が剣を抜き放った。
イシュトールとユーリカが、すぐにセシルの前に立ち、身構える。
「やめよっ――」
会場に届くほどの鋭い命令が飛ばされた。
剣を片手に走り込んできた騎士達が、ピタリ、と止まる。
セシルの元に、護衛の騎士を引き連れて、ゆっくりと、王太子殿下であるアルデーラが寄って来ていたのだ。
「やめよっ。この者達に手を出す者は、即刻、処罰する」
「――し、失礼いたしましたっ……!」
驚いて、騎士達が速攻で剣をしまいこんでいた。
「剣を引きなさい」
「はい」
イシュトールとユーリカも、剣をしまった。
それを見て、自分のレイピアも鞘に入れ直し、セシルは剣を下げる腰のベルトを、自分の腰に巻き付けた。
だが、セシルの近くに寄って来たアルデーラも、そして、セシルも、一切、互いに見向きもしない。
その間、向こうの方では、指揮を取っている数人の貴族に誘導され、ゾロゾロと、集まっていた貴族達が会場を後にしていく。
テーブルの下も騎士達に確認され、テーブルの下に隠れていた貴族達も、兢々とした様子のまま、テーブルの下から這いずり出てきていた。
夜会に集まっていた貴族達が、続々と、会場である大広間を後にし、残りは動き回る騎士達だけだ。
夜会に侵入してきた賊の一味を全員捕縛し、縄にかけ、この混乱で呼び出されたのか――会場には、ものすごい数の騎士達が揃っていた。
だが、中央で寝転がった三人を囲んでいるその場だけは、王太子殿下が揃っているせいか、会場を動き回っている騎士達が、一切、近寄ってこない。
王太子殿下の元には、まだ数人の団長なのか、副団長なのか、真っ白な騎士の制服に身をつつんだ騎士達が残っていた。
その全員が、口を開かない。
そして、あまりに不審で、あまりに――信じられない行動をした隣国の伯爵令嬢を問い詰めたいはずなのに、王太子殿下が完全に沈黙を保っている為、その騎士達も、セシルには近寄ってはこなかった。
見向きもしなかった。
会場にいた貴族達の次に、捕縛された賊共が運び出される。その全員がいなくなっていた。
今の会場は、完全に、静寂だけが降りていた。
「王太子殿下。侵入してきた賊は、全員、捕縛いたしました」
真っ白な騎士の制服を着た二人が、戻って来た。一人は年配で、もう一人は、随分、若く見える騎士だ。
先程、王太子殿下の命令で、賊を捕獲・捕縛しに、壇上から飛び出していった若い騎士だ。
数人の騎士だけは、白地の制服を着ていた。騎士の正礼装なのだろうか?
制服と言うよりは、高位貴族のイブニングコートが、少し軍服化したような見た目だ。
ジャケットの胸元には、階級章なのか、金の飾りが何個も連なり、ジャケットや袖の襟元や裾には、アクセントが入る赤地のストライプなど、威厳が更に強まった雰囲気でもある。
右肩からは金の飾緒が下がり、他の装飾や刺繍も金でなっている。中から少し覗くベストも、白地に豪奢な金の刺繍がされていた。
そして、マントの代わりに、足首まで届きそうな長い白いコートを羽織り、その肩には、金のエポレットが、裾も乱れず並んでいる。
その若い騎士の後ろにも、一人、若い騎士が影のように付き添って。
だが、真っ白な騎士の正礼装ではなく、会場に控えていた他の騎士達のように、薄紫の大きな襟のついたジャケット、首元にはクラバット、そして、真っすぐに伸びた白のトラウザーズ。
腰には、ベルトの他に、剣を下げる皮ベルトが。そして、黒い膝下のブーツである。
会場に飛び込んできた騎士達は、上下揃って濃紫の騎士服だった。どうやら、下士官の騎士達の正装は、薄紫のジャケットのようだった。
「わかった。人払いをしろ」
指示された年配の騎士は、王太子殿下の意図を探ろうと、ほんの微かにだけ眉間を寄せたようだったが、すぐに頷いた。
「わかりました。――ギルバート」
「はい」
若い騎士と影のように付き添っている騎士二人が、向こうの方に走っていった。
まだ会場に残っていた騎士達に何かの指示を出し、パラパラ、バラバラと、騎士達が会場を去っていく。
それで、二人の騎士が扉を閉め、また、王太子殿下の元に戻って来る。
「扉の外に、見張りを置いております。大広間には、誰一人、近付けないよう指示を出しました」
その報告を聞いているのかいないのか、王太子殿下からの返答はない。
それで、残った騎士団の団長格の数人が、王太子殿下の指示を待っている。
「さて」
その一言は、誰に言われたものだったのだろうか?
王太子殿下は、捕縛された三人の男達のすぐ前には立っているが、隣国からやって来た伯爵令嬢とは背を向け、互いに顔も見ていない状態だ。
1
お気に入りに追加
80
あなたにおすすめの小説
半妖の狐耳付きあやかし令嬢の婚約事情 ~いずれ王子(最強魔法使い)に婚約破棄をつきつけます!~
百門一新
恋愛
大妖怪の妖狐「オウカ姫」と、人間の伯爵のもとに生まれた一人娘「リリア」。頭には狐耳、ふわふわと宙を飛ぶ。性格は少々やんちゃで、まだまだ成長期の仔狐なのでくしゃみで放電するのもしばしば。そんな中、王子とのお見合い話が…嫌々ながらの初対面で、喧嘩勃発!? ゆくゆく婚約破棄で、最悪な相性なのに婚約することに。
※「小説家になろう」「カクヨム」にも掲載しています。
※ベリーズカフェに修正版を掲載、2021/8/31こちらの文章も修正版へと修正しました!
婚約破棄されたら魔法が解けました
かな
恋愛
「クロエ・ベネット。お前との婚約は破棄する。」
それは学園の卒業パーティーでの出来事だった。……やっぱり、ダメだったんだ。周りがザワザワと騒ぎ出す中、ただ1人『クロエ・ベネット』だけは冷静に事実を受け止めていた。乙女ゲームの世界に転生してから10年。国外追放を回避する為に、そして后妃となる為に努力し続けて来たその時間が無駄になった瞬間だった。そんな彼女に追い打ちをかけるかのように、王太子であるエドワード・ホワイトは聖女を新たな婚約者とすることを発表した。その後はトントン拍子にことが運び、冤罪をかけられ、ゲームのシナリオ通り国外追放になった。そして、魔物に襲われて死ぬ。……そんな運命を辿るはずだった。
「こんなことなら、転生なんてしたくなかった。元の世界に戻りたい……」
あろうことか、最後の願いとしてそう思った瞬間に、全身が光り出したのだ。そして気がつくと、なんと前世の姿に戻っていた!しかもそれを第二王子であるアルベルトに見られていて……。
「……まさかこんなことになるなんてね。……それでどうする?あの2人復讐でもしちゃう?今の君なら、それができるよ。」
死を覚悟した絶望から転生特典を得た主人公の大逆転溺愛ラブストーリー!
※最初の5話は毎日18時に投稿、それ以降は毎週土曜日の18時に投稿する予定です
長い眠りのその後で
maruko
恋愛
伯爵令嬢のアディルは王宮魔術師団の副団長サンディル・メイナードと結婚しました。
でも婚約してから婚姻まで一度も会えず、婚姻式でも、新居に向かう馬車の中でも目も合わせない旦那様。
いくら政略結婚でも幸せになりたいって思ってもいいでしょう?
このまま幸せになれるのかしらと思ってたら⋯⋯アレッ?旦那様が2人!!
どうして旦那様はずっと眠ってるの?
唖然としたけど強制的に旦那様の為に動かないと行けないみたい。
しょうがないアディル頑張りまーす!!
複雑な家庭環境で育って、醒めた目で世間を見ているアディルが幸せになるまでの物語です
全50話(2話分は登場人物と時系列の整理含む)
※他サイトでも投稿しております
ご都合主義、誤字脱字、未熟者ですが優しい目線で読んで頂けますと幸いです
乙女ゲーのモブデブ令嬢に転生したので平和に過ごしたい
ゆの
恋愛
私は日比谷夏那、18歳。特に優れた所もなく平々凡々で、波風立てずに過ごしたかった私は、特に興味のない乙女ゲームを友人に強引に薦められるがままにプレイした。
だが、その乙女ゲームの各ルートをクリアした翌日に事故にあって亡くなってしまった。
気がつくと、乙女ゲームに1度だけ登場したモブデブ令嬢に転生していた!!特にゲームの影響がない人に転生したことに安堵した私は、ヒロインや攻略対象に関わらず平和に過ごしたいと思います。
だけど、肉やお菓子より断然大好きなフルーツばっかりを食べていたらいつの間にか痩せて、絶世の美女に…?!
平和に過ごしたい令嬢とそれを放って置かない攻略対象達の平和だったり平和じゃなかったりする日々が始まる。
乙女ゲームで唯一悲惨な過去を持つモブ令嬢に転生しました
雨夜 零
恋愛
ある日...スファルニア公爵家で大事件が起きた
スファルニア公爵家長女のシエル・スファルニア(0歳)が何者かに誘拐されたのだ
この事は、王都でも話題となり公爵家が賞金を賭け大捜索が行われたが一向に見つからなかった...
その12年後彼女は......転生した記憶を取り戻しゆったりスローライフをしていた!?
たまたまその光景を見た兄に連れていかれ学園に入ったことで気づく
ここが...
乙女ゲームの世界だと
これは、乙女ゲームに転生したモブ令嬢と彼女に恋した攻略対象の話
平凡地味子ですが『魔性の女』と呼ばれています。
ねがえり太郎
恋愛
江島七海はごく平凡な普通のOL。取り立てて目立つ美貌でも無く、さりとて不細工でも無い。仕事もバリバリ出来るという言う訳でも無いがさりとて愚鈍と言う訳でも無い。しかし陰で彼女は『魔性の女』と噂されるようになって―――
生まれてこのかた四半世紀モテた事が無い、男性と付き合ったのも高一の二週間だけ―――という彼女にモテ期が来た、とか来ないとかそんなお話
※2018.1.27~別作として掲載していたこのお話の前日譚『太っちょのポンちゃん』も合わせて収録しました。
※本編は全年齢対象ですが『平凡~』後日談以降はR15指定内容が含まれております。
※なろうにも掲載中ですが、なろう版と少し表現を変更しています(変更のある話は★表示とします)
修羅場を観察していたら巻き込まれました。
夢草 蝶
恋愛
異様な空気の社交場。
固まる観衆。
呆然とする第三王子。
そして──、その中央でキャットファイトを繰り広げる二人の少女。
片や、名門貴族のご令嬢。
片や、平民ながらに特別な魔力を持つ少女。
その口からは泥棒猫やら性悪女やらと品に欠ける言葉が飛び出す。
しかし、それに混じってヒロインがどうの、悪役令嬢がどうの、乙女ゲームがどうのと聞こえる。
成程。どうやら二人は転生者らしい。
ゲームのシナリオと流れが違うなーって思ってたからこれで納得。
実は私も転生者。
乙女ゲームの展開を面白半分で観察してたらまさかこんなことになるなんて。
でも、そろそろ誰か止めに入ってくれないかなー?
おお! 悪役令嬢の巴投げが決まった! ヒロインが吹っ飛んで──ん? え? あれ?
なんかヒロインがこっちに飛んできたんですけど!?
王子の婚約者となったところまでは良かったのですが……なんて思っていたらより良い未来がやって来まして!?
四季
恋愛
ルージュ・ルーカスは最強の魔法の才を持って生まれた。
ゆえに国王から頼まれ王子ベルヴィオの婚約者となったのだが……。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる