悪役令嬢の兄に転生した俺、なぜか現実世界の義弟にプロポーズされてます。

１７【お兄ちゃん、弟じゃなきゃダメなんです】

「んんぅっ、ひ、ぁ……ッ！」
「っはぁ、ユーリ、僕のユーリ、ぅっ」

　俺の尻に腰を押しつけながら、デイビッドの息も上がっていく。
　せわしい衣擦れの音がして、剥き出しの尻に生温い何かがピタ、と押し当てられた。
　目を零れ落ちんばかりに見開く。

「ひぇっ……」

　こ、これは。

「ふー……ふー……やっとだ、ついに一つになれるよ、僕たち」

　中を捏ね回していた指がつぷんと引き抜かれて、尻たぶをぐいと引っ張られる。ほぐされた孔が空気に晒され、すっと冷えた感覚が広がる。


「ああ、君にも見せてあげたいよ……。
　ユーリのここも、僕と繋がれるって喜んでるところを。
　粘液を垂らしながら、ひくひくして、『いっぱい僕を食べて』って……」


　実況すんな！！！！！！

　よくそんなキモイことばっか言えるな！？　その才能どっか別のとこで使えよ！　エロポエムが役立つ場所ってあんのか！？

　そうツッコミたいｏｆツッコミたいが、身体は媚薬で震えて使い物にならない。
　あ、この場合突っ込まれそうなのは俺の方なわけだけど。
　ていうか馬鹿なこと言ってる場合じゃねぇが！！？

「ユーリ、入るよ……？」

　開かれた孔に先端が押しつけられる。ぷちゅ、と接触音が響いて、男の熱が伝わってきた。

　――無理だろう。コレまじきしょい、無理なんだけど。

　身体が興奮状態だからって、心まで堕ちるなんて幻想だ。
　恐怖で鳥肌が立って収まらないし、こいつに対する怒りで頭が真っ白になる。
　奏としたときは変な魔法なんかなくたって、とろけそうなくらい気持ち良かったのに。

「……っやだ……」
「期待してるくせに」

　唇を噛み締める。顎を掴まれて、後ろを向かされる。
　こいつやだよ。息荒いし、目に闇しかなくて怖ぇし。
　寄ってくる唇からなるべく顔を逸らすが、すぐ手に力をこめて戻される。

「僕たち、上でも下でも繋がるんだよ、ユーリ」
「嫌だ……！」

　鼻がつんと痛んで、視界がぼやけてくる。
　俺は必死で首を振りながら、口にしていた。


「俺、あいつが好きだ……っ！

　奏がいい、奏が好き、奏じゃなきゃ絶対いやだ……っ！！」


　叫んだ、そのとき。

　すぐ横で鼓膜が破れるようなとんでもない爆発音が響いて、暗かった部屋に光が射し込んだ。