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第二章:酒とクスリと男と男
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ミフユが証拠写真を転送したため、水無月が先に鳳凰組に手を出した事実はもう取り消せない。
抗争の火種を作ってしまった水無月にできることと言えば、この場で鳳凰組を制圧する力技くらいだ。
水無月の怒号が飛ぶと、強面のヤクザたちがゆらりと立ち上がり、それぞれ酒瓶や懐の小刀を手に取る。
「オラオラァ彩極組の連中はどこだぁ!」
「お、お客様っ! 困りますちょっと、うわぁっ!」
ほぼ同時に、入口から鳳凰組のメンツが襲来した。鉄パイプやドスを手にしている。
「人のシマで勝手な真似しくさって、ブッ殺すぞ!」
動揺するホストの声と女性の悲鳴が上がる中、開戦の火蓋が切って落とされた。
「死に晒せ!」
さっそく伊吹が殴りかかられるが、伊吹は彩極組員の拳を軽くかわして、顔にパンチを叩きつける。男が鼻血を噴き出して吹っ飛んでいき、床に背中から叩き付けられた。
「クソ、“オオトリの師走”が相手じゃ……!」
「何やってんだ! ひるまず攻めろッ!!」
水無月がどやしつける。
【禁断の果実】を後ろ手に抱えて、部下たちに指示を下した。
「下っ端のザコどもは宮田一人に任せとけ! あとの全員こっちに残れ……いい機会だ、このさい師走を殺っちまえ!」
「名指しよ? 恨まれたものね、伊吹ちゃん」
がなる男を尻目に笑いかけると、伊吹もまた唇に弧を描く。
「八年ありゃ出世するんだよ、俺も」
「隣のよく分からんオカマもついでだ!」
「げっ」
頬を引き攣らせるミフユに伊吹が声を上げて笑う。
「久しぶりのタッグだ。足引っ張んなよ」
構えをとりながら言う。
じりじりと囲んでくる敵の顔を見回して、ミフユはふっと息を吐き出した。
(――アタシと伊吹ちゃんなら、いける)
そして、勢いよく駆けてきた男の顎に拳を入れた。
「がっ!!」
綺麗にアッパーが決まる。男の身体が舞い上がり、手に『ゴキッ』と骨が砕ける衝撃が伝わった。
目の前の敵は倒れ伏したが、すぐに次が来る。
間髪入れずに応戦しようとした。
そのときだ。異変が起こったのは――――。
抗争の火種を作ってしまった水無月にできることと言えば、この場で鳳凰組を制圧する力技くらいだ。
水無月の怒号が飛ぶと、強面のヤクザたちがゆらりと立ち上がり、それぞれ酒瓶や懐の小刀を手に取る。
「オラオラァ彩極組の連中はどこだぁ!」
「お、お客様っ! 困りますちょっと、うわぁっ!」
ほぼ同時に、入口から鳳凰組のメンツが襲来した。鉄パイプやドスを手にしている。
「人のシマで勝手な真似しくさって、ブッ殺すぞ!」
動揺するホストの声と女性の悲鳴が上がる中、開戦の火蓋が切って落とされた。
「死に晒せ!」
さっそく伊吹が殴りかかられるが、伊吹は彩極組員の拳を軽くかわして、顔にパンチを叩きつける。男が鼻血を噴き出して吹っ飛んでいき、床に背中から叩き付けられた。
「クソ、“オオトリの師走”が相手じゃ……!」
「何やってんだ! ひるまず攻めろッ!!」
水無月がどやしつける。
【禁断の果実】を後ろ手に抱えて、部下たちに指示を下した。
「下っ端のザコどもは宮田一人に任せとけ! あとの全員こっちに残れ……いい機会だ、このさい師走を殺っちまえ!」
「名指しよ? 恨まれたものね、伊吹ちゃん」
がなる男を尻目に笑いかけると、伊吹もまた唇に弧を描く。
「八年ありゃ出世するんだよ、俺も」
「隣のよく分からんオカマもついでだ!」
「げっ」
頬を引き攣らせるミフユに伊吹が声を上げて笑う。
「久しぶりのタッグだ。足引っ張んなよ」
構えをとりながら言う。
じりじりと囲んでくる敵の顔を見回して、ミフユはふっと息を吐き出した。
(――アタシと伊吹ちゃんなら、いける)
そして、勢いよく駆けてきた男の顎に拳を入れた。
「がっ!!」
綺麗にアッパーが決まる。男の身体が舞い上がり、手に『ゴキッ』と骨が砕ける衝撃が伝わった。
目の前の敵は倒れ伏したが、すぐに次が来る。
間髪入れずに応戦しようとした。
そのときだ。異変が起こったのは――――。
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