32 / 191
第二章:酒とクスリと男と男
2−14
しおりを挟む
写真のイケメンを顎でしゃくって、伊吹はにやりと笑う。
「水無月が、この写真に写ってるホストクラブ【EDEN】で談合を行うって情報が入った。
相手は麻薬売買で稼いでる中国系マフィア……。【禁じられた果実】がらみだ。間違いねえ」
「で?」
「当日【EDEN】に潜って、取引現場を押さえる。それしかねぇだろ」
迷いなく言い切る伊吹に、ミフユは渋面を見せる。
「無謀よ」
「は、ヒヨッたか如月? 昔のお前ならノリノリで乗ってきたぜ」
「だからいまは如月じゃないって……」
「喧嘩。殺し合い。血みどろ。お前が好きそうなもんだ」
「アタシを何だと……」
言い返そうとして、額を抑える。
(喧嘩……はさておき――ホストクラブ。イケメンホスト。……伊吹ちゃんと共同作業)
【大冒険】の大事なキャスト・モリリンの仇討ちというのも、もちろん、もちろんあるが、というかそれが本来の目的なのだが――
――それを差し置いて、少しワクワクしてしまっている自分がいる。
(人の性ってのは変えらんないものね……)
ミフユは椅子の背もたれに寄りかかって、腕組みした。
「分かった。談合はいつ?」
「お前ならのってくると思った」
にやりと笑うと、伊吹は目の前に置かれていたトーストサンドを掴んで豪快に食べ始めた。
「一週間後の晩だ。それまでに作戦を詰めるぞ」
「了解」
ミフユもようやく料理に手を付けつつ、当日の計画を練り始めた。
いつの間にか太陽が地平線から頭を出して、天に向かいつつある。
徐々に客足も増してきた店内に煌々と朝陽が射し込む。
「――よし。こんなとこね」
「ああ」
プランを固め終えた二人は、顔を上げて視線を合わせた。
「水無月が、この写真に写ってるホストクラブ【EDEN】で談合を行うって情報が入った。
相手は麻薬売買で稼いでる中国系マフィア……。【禁じられた果実】がらみだ。間違いねえ」
「で?」
「当日【EDEN】に潜って、取引現場を押さえる。それしかねぇだろ」
迷いなく言い切る伊吹に、ミフユは渋面を見せる。
「無謀よ」
「は、ヒヨッたか如月? 昔のお前ならノリノリで乗ってきたぜ」
「だからいまは如月じゃないって……」
「喧嘩。殺し合い。血みどろ。お前が好きそうなもんだ」
「アタシを何だと……」
言い返そうとして、額を抑える。
(喧嘩……はさておき――ホストクラブ。イケメンホスト。……伊吹ちゃんと共同作業)
【大冒険】の大事なキャスト・モリリンの仇討ちというのも、もちろん、もちろんあるが、というかそれが本来の目的なのだが――
――それを差し置いて、少しワクワクしてしまっている自分がいる。
(人の性ってのは変えらんないものね……)
ミフユは椅子の背もたれに寄りかかって、腕組みした。
「分かった。談合はいつ?」
「お前ならのってくると思った」
にやりと笑うと、伊吹は目の前に置かれていたトーストサンドを掴んで豪快に食べ始めた。
「一週間後の晩だ。それまでに作戦を詰めるぞ」
「了解」
ミフユもようやく料理に手を付けつつ、当日の計画を練り始めた。
いつの間にか太陽が地平線から頭を出して、天に向かいつつある。
徐々に客足も増してきた店内に煌々と朝陽が射し込む。
「――よし。こんなとこね」
「ああ」
プランを固め終えた二人は、顔を上げて視線を合わせた。
0
お気に入りに追加
201
あなたにおすすめの小説
校長室のソファの染みを知っていますか?
フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。
しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。
座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る
クラスの仲良かったオタクに調教と豊胸をされて好みの嫁にされたオタクに優しいギャル男
湊戸アサギリ
BL
※メス化、男の娘化、シーメール化要素があります。オタクくんと付き合ったギャル男がメスにされています。手術で豊胸した描写があります。これをBLって呼んでいいのかわからないです
いわゆるオタクに優しいギャル男の話になります。色々ご想像にお任せします。本番はありませんが下ネタ言ってますのでR15です
閲覧ありがとうございます。他の作品もよろしくお願いします
女装とメス調教をさせられ、担任だった教師の亡くなった奥さんの代わりをさせられる元教え子の男
湊戸アサギリ
BL
また女装メス調教です。見ていただきありがとうございます。
何も知らない息子視点です。今回はエロ無しです。他の作品もよろしくお願いします。
一宿一飯の恩義で竜伯爵様に抱かれたら、なぜか監禁されちゃいました!
当麻月菜
恋愛
宮坂 朱音(みやさか あかね)は、電車に跳ねられる寸前に異世界転移した。そして異世界人を保護する役目を担う竜伯爵の元でお世話になることになった。
しかしある日の晩、竜伯爵当主であり、朱音の保護者であり、ひそかに恋心を抱いているデュアロスが瀕死の状態で屋敷に戻ってきた。
彼は強い媚薬を盛られて苦しんでいたのだ。
このまま一晩ナニをしなければ、死んでしまうと知って、朱音は一宿一飯の恩義と、淡い恋心からデュアロスにその身を捧げた。
しかしそこから、なぜだかわからないけれど監禁生活が始まってしまい……。
好きだからこそ身を捧げた異世界女性と、強い覚悟を持って異世界女性を抱いた男が異世界婚をするまでの、しょーもないアレコレですれ違う二人の恋のおはなし。
※いつもコメントありがとうございます!現在、返信が遅れて申し訳ありません(o*。_。)oペコッ 甘口も辛口もどれもありがたく読ませていただいてます(*´ω`*)
※他のサイトにも重複投稿しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる