オネエとヤクザ

ちんすこう

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第二章:酒とクスリと男と男

2−14

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 写真のイケメンを顎でしゃくって、伊吹はにやりと笑う。

 「水無月が、この写真に写ってるホストクラブ【EDEN】で談合を行うって情報が入った。
 相手は麻薬売買で稼いでる中国系マフィア……。【禁じられた果実】がらみだ。間違いねえ」

 「で?」

 「当日【EDEN】に潜って、取引現場を押さえる。それしかねぇだろ」

 迷いなく言い切る伊吹に、ミフユは渋面を見せる。

 「無謀よ」

 「は、ヒヨッたか如月? 昔のお前ならノリノリで乗ってきたぜ」

 「だからいまは如月じゃないって……」

 「喧嘩。殺し合い。血みどろ。お前が好きそうなもんだ」

 「アタシを何だと……」

 言い返そうとして、額を抑える。

 (喧嘩……はさておき――ホストクラブ。イケメンホスト。……伊吹ちゃんと共同作業)

 【大冒険】の大事なキャスト・モリリンの仇討ちというのも、もちろん、もちろんあるが、というかそれが本来の目的なのだが――
 ――それを差し置いて、少しワクワクしてしまっている自分がいる。

 (人のサガってのは変えらんないものね……)

 ミフユは椅子の背もたれに寄りかかって、腕組みした。

 「分かった。談合はいつ?」

 「お前ならのってくると思った」

 にやりと笑うと、伊吹は目の前に置かれていたトーストサンドを掴んで豪快に食べ始めた。

 「一週間後の晩だ。それまでに作戦を詰めるぞ」

 「了解」

 ミフユもようやく料理に手を付けつつ、当日の計画を練り始めた。




 いつの間にか太陽が地平線から頭を出して、天に向かいつつある。
 徐々に客足も増してきた店内に煌々と朝陽が射し込む。

 「――よし。こんなとこね」

 「ああ」

 プランを固め終えた二人は、顔を上げて視線を合わせた。

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