3 / 44
第一章「異世界転生侍」
第三話「改革の余波」
しおりを挟む
「それでさ、単に本を書いただけで捕まっちまったって訳だ。ひでえだろ?」
「と言っても、俺はその『異世界転生侍』とかいう本は読んでないからな。何がお上の気に障ったか分かんねえよ」
銭湯に入った夢野達は、風呂屋の二階にある休憩所で酒を飲みながら将棋に興じていた。
「お奉行様の言う事には、主役の玉木が次々と女を仲間にしていくのは、この前お亡くなりになられた大御所様を揶揄しているので不届きだってさ。訳分かんねえよ、なあ遠金さん」
「ああ、家斉様か。まあそういう見方も出来なくはないか? う~む」
遠金さんと呼ばれた遊び人風の男は、渋面を作って独り言ちた。
先年亡くなった十一代将軍徳川家斉は、その好色ぶりで知られている。十数人の側室を持ち、その子女は数十人にも及ぶ。もちろん子孫を残すのは将軍家として当然の役割なのだが、流石にこの数は異常である。
また、精力増強のためにオットセイの陰茎を粉末にしたものを飲んでいたとも言われ、口さがない江戸の町人からは「オットセイ将軍」などと呼ばれていた。
そのため、町奉行所も強硬な態度に出た可能性がある。
「でもよ。急度叱くらいで済んで良かったぜ、夢野さんよ」
「良かった? 何が良いって言うんでぇ」
夢野としては、判決が出るまで取り調べを受けたり、小伝馬町の牢屋にぶち込まれたりと酷い目に遭ってきた。それが良かったなどと言われるのは気に食わない。
「知らねえのか? 最近は老中の水野忠邦様の御指図で、改革改革で取り締まりが厳しいんだぞ。それで世を惑わすとか不埒であるとかの理由で、大勢の戯作者が手鎖にされたりしてるんだ。それが叱られるくらいで済んだんだ。運が良かったじゃねえか」
「手鎖? 本を書いただけだろ? そりゃあお偉い方々から見れば、馬鹿馬鹿しいだろうけどよ。だから何だってんだ」
夢野は版元の虚屋とは付き合いがあるが、その他の出版業界の人間とは全く付き合いが無い。まさか、その様な惨状になっていようとは予想だにしていなかった。
「待てよ、そういえば、お白州で俺に罵詈雑言をくれやがったあの町奉行、鳥居甲斐守とか言う奴、確か長屋の連中が妖怪とか何とか言ってた気がするぞ。その時は何とも思ってなかったけど、あれはそういう事だったのか」
「はは、酷い言われ様だな。まあ仕方ない部分も多いだろうが」
最近南町奉行に就任した鳥居甲斐守耀蔵は、町人から酷く嫌われている。老中水野忠邦の懐刀であり、その引きで町奉行に納まった男だ。そのために前の町奉行を強引に失脚させたなど、黒い噂は絶えない。そして町奉行に就任するや、上司である水野忠邦の政策を真っ向から実現し始めた。
水野忠邦の政策は、要は倹約である。倹約の推奨はこれまでの改革でも幾度となくされてきた。八代将軍徳川吉宗やその孫であり老中であった松平定信の政策が有名であろう。だが、これまでの倹約は主に武士を縛るものであり、町民は対象とされてはこなかった。もちろん、武士が人口の半分を占める江戸の町である。その武士が倹約に励んでいればその空気は町人にも伝わるし、贅沢品を扱う商家は買い手が無くなり打撃を受ける。だが、それでも町人を積極的に摘発するような事は無かったのだ。
だが、それが今回の改革では違うのである。
「は~そうなんすか。全然知らんかった」
「知らんかったって、お前も江戸に生きる町人だろうが。それに随分儲けたそうじゃねえか。贅沢してお咎めを受けたとか、贅沢するにはこっそりとやるしかなかったとか、あるだろうが」
「いや、全然。金なんか史料集めで本に使っちまうしな。それに普段は長屋で執筆してるし、外に出る時は風呂入って、飯屋に寄って、後は軽く酒を一、二杯飲めば事足りるからな。贅沢と言うほどの事はしてねえな」
「へえ、変わった奴だねえ。お前さんは」
戯作者でも役者でも、人気商売の者は売れる時には凄まじい売れ方をする。売れる前は赤貧洗うが如しの生活だったのに、急に唸るような金が懐に入ってくるのである。ついつい羽目を外して馬鹿騒ぎをしたくなるものだ。
しかるにどうやらこの夢野という男、稼いだ金の大半は本につぎ込み、普段の生活は質素そのものだった様だ。それが、他の売れっ子戯作者よりも軽い罰で済んだ理由かもしれない。
「ちょっと、御解き放ちになったなら、さっさと戻ってきなさいよ。家に全然帰って来ないから、本が絶版になったのを儚んで身投げでもしたんじゃないかと思うじゃないさ」
夢野と遠金が話し込んでいると、休憩所に上がって来た女が声をかけて来た。その女は夢野が良く知る者である。夢野が執筆する本にいつも挿絵を提供している絵師、狐日狸――本名綾女である。
「俺が身を投げて死ぬ玉に見えるか?」
「いんや」
「だろ? なら、放免祝いに風呂位入って来たっていいだろ。小伝馬町では、ほとんど入れなかったんだぜ」
多くの犯罪者が入れられる小伝馬町の牢屋であるが、衛生上の観点から一応定期的に風呂を提供される。不衛生な状態では疫病が蔓延しかねないし、それで犯罪者が死ぬだけなら兎も角役人に感染し、江戸中に広まったなら一大事であるからだ。だが、その回数は非常に限られており、風呂好きが多い江戸っ子が、到底満足は出来ないのだ。
しかも、牢の中には牢名主を頂点とした階級が暗黙の了解として存在し、夢野の様な新入りは肩身が狭い。どこぞのヤクザで兄貴分であったなら、新入りでもでかい顔を出来るのだが、生憎夢野は一戯作者に過ぎないのであった。もっとも、夢野の著作は牢名主をはじめとする何人かが読んでおり、彼らは夢野に最初から好感を持っていた。おかげで、それ程不自由はしてこなかったのだが、牢は牢である。
「でも、風呂に入ったならさっさと戻ってくれば良いじゃないさ。こんな所にいないでさ」
「まあまあ、俺が夢野さんを誘ったんだ。俺の顔に免じて許してやってくれよ」
「それなら仕方な……あんた誰さ。枕辺さん。あんたの友達?」
「おお、友達だぜ。さっき知り合ったばかりだけど。遠金さんって言うんだ。何やってるかは知らね」
「あらそ。ところで何を話してたの? なんだか楽しそうだったじゃない」
「おう、俺達はだな、文化について語っていたんだよ」
ぼろい銭湯の二階で、牢から出たばかりのむさくるしい男と遊び人が文化について語っていたなど、普通なら笑止千万である。だが、この男達は本当に文化について語り合っていた。夢野が執筆の際に参考にしている史書や、最近の出版状況などだ。もっとも、語り合うのは楽しくはあるが、改革の影響で最近の出版状況はあまり思わしくないとの結論に至っていた。夢野が捕縛されたのも、その社会的風潮のせいであろう。
「あらそうなの。枕辺さんそういうの好きだからね。話し相手が出来て良かったじゃないの」
「まあな、牢の中でこういう話を出来る奴はあまりいなかったからな。ところで、お前は無事だったのか? 俺と虚屋さんが先に引ったてられちまったから、お前がどうなったか見てなかったんだが、その分だと早めに放免されたみたいだな」
「あたし? あたしは捕まってないよ」
「はあ?」
長屋に捕り手が押し寄せた時、間違いなく絵師である狐日狸も対象にしていた。何故狐日だけ捕縛されなかったのか、理由が分からない。
「町方たちは狐日狸って絵師を捕まえに来たらしいけど、誰の事かしらね。あたしも絵師だけど画号は風谷鼬だし」
「綾女、おまえまた名前を変えたのか……」
綾女はころころとよく画号を変える。きっかけは長い付き合いがある夢野にも分からない。挿絵を提供する本ごとに画号を変えるのはまだ分かる。それに新年を機に変えるのもだ。だが、雨が降ったからとか、おいしい物を食べたからとかになると、本当にどういうつもりなのか分からなくなる。
そして奇妙な事に、画号を変えた綾女はそれまでの画号の事を一切記憶から消去してしまうのだ。
そういう訳なので、あの日町方にお前が狐日狸だなと問われた際に、綾女は本心から別人ですと答えたのだろう。だからこそ人の嘘に敏感な町方同心が、綾女の虚言を信じたのだ。
「まあ良いじゃないさ。長屋でみんながあんたを待ってるよ。酒なんか飲んでないで、早く帰ろうよ。あ、何なら遠金さんも来たら? 賑やかな方が良いし」
「いや、俺はここでお暇するとしよう。久しぶりの娑婆を楽しむんだな」
夢野は負けそうになっていた盤面の駒を何気ない素振りで払い落すと、杯に残った酒を一気に呷り立ち上がった。
「と言っても、俺はその『異世界転生侍』とかいう本は読んでないからな。何がお上の気に障ったか分かんねえよ」
銭湯に入った夢野達は、風呂屋の二階にある休憩所で酒を飲みながら将棋に興じていた。
「お奉行様の言う事には、主役の玉木が次々と女を仲間にしていくのは、この前お亡くなりになられた大御所様を揶揄しているので不届きだってさ。訳分かんねえよ、なあ遠金さん」
「ああ、家斉様か。まあそういう見方も出来なくはないか? う~む」
遠金さんと呼ばれた遊び人風の男は、渋面を作って独り言ちた。
先年亡くなった十一代将軍徳川家斉は、その好色ぶりで知られている。十数人の側室を持ち、その子女は数十人にも及ぶ。もちろん子孫を残すのは将軍家として当然の役割なのだが、流石にこの数は異常である。
また、精力増強のためにオットセイの陰茎を粉末にしたものを飲んでいたとも言われ、口さがない江戸の町人からは「オットセイ将軍」などと呼ばれていた。
そのため、町奉行所も強硬な態度に出た可能性がある。
「でもよ。急度叱くらいで済んで良かったぜ、夢野さんよ」
「良かった? 何が良いって言うんでぇ」
夢野としては、判決が出るまで取り調べを受けたり、小伝馬町の牢屋にぶち込まれたりと酷い目に遭ってきた。それが良かったなどと言われるのは気に食わない。
「知らねえのか? 最近は老中の水野忠邦様の御指図で、改革改革で取り締まりが厳しいんだぞ。それで世を惑わすとか不埒であるとかの理由で、大勢の戯作者が手鎖にされたりしてるんだ。それが叱られるくらいで済んだんだ。運が良かったじゃねえか」
「手鎖? 本を書いただけだろ? そりゃあお偉い方々から見れば、馬鹿馬鹿しいだろうけどよ。だから何だってんだ」
夢野は版元の虚屋とは付き合いがあるが、その他の出版業界の人間とは全く付き合いが無い。まさか、その様な惨状になっていようとは予想だにしていなかった。
「待てよ、そういえば、お白州で俺に罵詈雑言をくれやがったあの町奉行、鳥居甲斐守とか言う奴、確か長屋の連中が妖怪とか何とか言ってた気がするぞ。その時は何とも思ってなかったけど、あれはそういう事だったのか」
「はは、酷い言われ様だな。まあ仕方ない部分も多いだろうが」
最近南町奉行に就任した鳥居甲斐守耀蔵は、町人から酷く嫌われている。老中水野忠邦の懐刀であり、その引きで町奉行に納まった男だ。そのために前の町奉行を強引に失脚させたなど、黒い噂は絶えない。そして町奉行に就任するや、上司である水野忠邦の政策を真っ向から実現し始めた。
水野忠邦の政策は、要は倹約である。倹約の推奨はこれまでの改革でも幾度となくされてきた。八代将軍徳川吉宗やその孫であり老中であった松平定信の政策が有名であろう。だが、これまでの倹約は主に武士を縛るものであり、町民は対象とされてはこなかった。もちろん、武士が人口の半分を占める江戸の町である。その武士が倹約に励んでいればその空気は町人にも伝わるし、贅沢品を扱う商家は買い手が無くなり打撃を受ける。だが、それでも町人を積極的に摘発するような事は無かったのだ。
だが、それが今回の改革では違うのである。
「は~そうなんすか。全然知らんかった」
「知らんかったって、お前も江戸に生きる町人だろうが。それに随分儲けたそうじゃねえか。贅沢してお咎めを受けたとか、贅沢するにはこっそりとやるしかなかったとか、あるだろうが」
「いや、全然。金なんか史料集めで本に使っちまうしな。それに普段は長屋で執筆してるし、外に出る時は風呂入って、飯屋に寄って、後は軽く酒を一、二杯飲めば事足りるからな。贅沢と言うほどの事はしてねえな」
「へえ、変わった奴だねえ。お前さんは」
戯作者でも役者でも、人気商売の者は売れる時には凄まじい売れ方をする。売れる前は赤貧洗うが如しの生活だったのに、急に唸るような金が懐に入ってくるのである。ついつい羽目を外して馬鹿騒ぎをしたくなるものだ。
しかるにどうやらこの夢野という男、稼いだ金の大半は本につぎ込み、普段の生活は質素そのものだった様だ。それが、他の売れっ子戯作者よりも軽い罰で済んだ理由かもしれない。
「ちょっと、御解き放ちになったなら、さっさと戻ってきなさいよ。家に全然帰って来ないから、本が絶版になったのを儚んで身投げでもしたんじゃないかと思うじゃないさ」
夢野と遠金が話し込んでいると、休憩所に上がって来た女が声をかけて来た。その女は夢野が良く知る者である。夢野が執筆する本にいつも挿絵を提供している絵師、狐日狸――本名綾女である。
「俺が身を投げて死ぬ玉に見えるか?」
「いんや」
「だろ? なら、放免祝いに風呂位入って来たっていいだろ。小伝馬町では、ほとんど入れなかったんだぜ」
多くの犯罪者が入れられる小伝馬町の牢屋であるが、衛生上の観点から一応定期的に風呂を提供される。不衛生な状態では疫病が蔓延しかねないし、それで犯罪者が死ぬだけなら兎も角役人に感染し、江戸中に広まったなら一大事であるからだ。だが、その回数は非常に限られており、風呂好きが多い江戸っ子が、到底満足は出来ないのだ。
しかも、牢の中には牢名主を頂点とした階級が暗黙の了解として存在し、夢野の様な新入りは肩身が狭い。どこぞのヤクザで兄貴分であったなら、新入りでもでかい顔を出来るのだが、生憎夢野は一戯作者に過ぎないのであった。もっとも、夢野の著作は牢名主をはじめとする何人かが読んでおり、彼らは夢野に最初から好感を持っていた。おかげで、それ程不自由はしてこなかったのだが、牢は牢である。
「でも、風呂に入ったならさっさと戻ってくれば良いじゃないさ。こんな所にいないでさ」
「まあまあ、俺が夢野さんを誘ったんだ。俺の顔に免じて許してやってくれよ」
「それなら仕方な……あんた誰さ。枕辺さん。あんたの友達?」
「おお、友達だぜ。さっき知り合ったばかりだけど。遠金さんって言うんだ。何やってるかは知らね」
「あらそ。ところで何を話してたの? なんだか楽しそうだったじゃない」
「おう、俺達はだな、文化について語っていたんだよ」
ぼろい銭湯の二階で、牢から出たばかりのむさくるしい男と遊び人が文化について語っていたなど、普通なら笑止千万である。だが、この男達は本当に文化について語り合っていた。夢野が執筆の際に参考にしている史書や、最近の出版状況などだ。もっとも、語り合うのは楽しくはあるが、改革の影響で最近の出版状況はあまり思わしくないとの結論に至っていた。夢野が捕縛されたのも、その社会的風潮のせいであろう。
「あらそうなの。枕辺さんそういうの好きだからね。話し相手が出来て良かったじゃないの」
「まあな、牢の中でこういう話を出来る奴はあまりいなかったからな。ところで、お前は無事だったのか? 俺と虚屋さんが先に引ったてられちまったから、お前がどうなったか見てなかったんだが、その分だと早めに放免されたみたいだな」
「あたし? あたしは捕まってないよ」
「はあ?」
長屋に捕り手が押し寄せた時、間違いなく絵師である狐日狸も対象にしていた。何故狐日だけ捕縛されなかったのか、理由が分からない。
「町方たちは狐日狸って絵師を捕まえに来たらしいけど、誰の事かしらね。あたしも絵師だけど画号は風谷鼬だし」
「綾女、おまえまた名前を変えたのか……」
綾女はころころとよく画号を変える。きっかけは長い付き合いがある夢野にも分からない。挿絵を提供する本ごとに画号を変えるのはまだ分かる。それに新年を機に変えるのもだ。だが、雨が降ったからとか、おいしい物を食べたからとかになると、本当にどういうつもりなのか分からなくなる。
そして奇妙な事に、画号を変えた綾女はそれまでの画号の事を一切記憶から消去してしまうのだ。
そういう訳なので、あの日町方にお前が狐日狸だなと問われた際に、綾女は本心から別人ですと答えたのだろう。だからこそ人の嘘に敏感な町方同心が、綾女の虚言を信じたのだ。
「まあ良いじゃないさ。長屋でみんながあんたを待ってるよ。酒なんか飲んでないで、早く帰ろうよ。あ、何なら遠金さんも来たら? 賑やかな方が良いし」
「いや、俺はここでお暇するとしよう。久しぶりの娑婆を楽しむんだな」
夢野は負けそうになっていた盤面の駒を何気ない素振りで払い落すと、杯に残った酒を一気に呷り立ち上がった。
1
お気に入りに追加
13
あなたにおすすめの小説
忍者同心 服部文蔵
大澤伝兵衛
歴史・時代
八代将軍徳川吉宗の時代、服部文蔵という武士がいた。
服部という名ではあるが有名な服部半蔵の血筋とは一切関係が無く、本人も忍者ではない。だが、とある事件での活躍で有名になり、江戸中から忍者と話題になり、評判を聞きつけた町奉行から同心として採用される事になる。
忍者同心の誕生である。
だが、忍者ではない文蔵が忍者と呼ばれる事を、伊賀、甲賀忍者の末裔たちが面白く思わず、事あるごとに文蔵に喧嘩を仕掛けて来る事に。
それに、江戸を騒がす数々の事件が起き、どうやら文蔵の過去と関りが……
独裁者・武田信玄
いずもカリーシ
歴史・時代
歴史の本とは別の視点で武田信玄という人間を描きます!
平和な時代に、戦争の素人が娯楽[エンターテイメント]の一貫で歴史の本を書いたことで、歴史はただ暗記するだけの詰まらないものと化してしまいました。
『事実は小説よりも奇なり』
この言葉の通り、事実の方が好奇心をそそるものであるのに……
歴史の本が単純で薄い内容であるせいで、フィクションの方が面白く、深い内容になっていることが残念でなりません。
過去の出来事ではありますが、独裁国家が民主国家を数で上回り、戦争が相次いで起こる『現代』だからこそ、この歴史物語はどこかに通じるものがあるかもしれません。
【第壱章 独裁者への階段】 国を一つにできない弱く愚かな支配者は、必ず滅ぶのが戦国乱世の習い
【第弐章 川中島合戦】 戦争の勝利に必要な条件は第一に補給、第二に地形
【第参章 戦いの黒幕】 人の持つ欲を煽って争いの種を撒き、愚かな者を操って戦争へと発展させる武器商人
【第肆章 織田信長の愛娘】 人間の生きる価値は、誰かの役に立つ生き方のみにこそある
【最終章 西上作戦】 人々を一つにするには、敵が絶対に必要である
この小説は『大罪人の娘』を補完するものでもあります。
(前編が執筆終了していますが、後編の執筆に向けて修正中です)
西涼女侠伝
水城洋臣
歴史・時代
無敵の剣術を会得した男装の女剣士。立ち塞がるは三国志に名を刻む猛将馬超
舞台は三國志のハイライトとも言える時代、建安年間。曹操に敗れ関中を追われた馬超率いる反乱軍が涼州を襲う。正史に残る涼州動乱を、官位無き在野の侠客たちの視点で描く武侠譚。
役人の娘でありながら剣の道を選んだ男装の麗人・趙英。
家族の仇を追っている騎馬民族の少年・呼狐澹。
ふらりと現れた目的の分からぬ胡散臭い道士・緑風子。
荒野で出会った在野の流れ者たちの視点から描く、錦馬超の実態とは……。
主に正史を参考としていますが、随所で意図的に演義要素も残しており、また武侠小説としてのテイストも強く、一見重そうに見えて雰囲気は割とライトです。
三國志好きな人ならニヤニヤ出来る要素は散らしてますが、世界観説明のノリで注釈も多めなので、知らなくても楽しめるかと思います(多分)
涼州動乱と言えば馬超と王異ですが、ゲームやサブカル系でこの2人が好きな人はご注意。何せ基本正史ベースだもんで、2人とも現代人の感覚としちゃアレでして……。
毛利隆元 ~総領の甚六~
秋山風介
歴史・時代
えー、名将・毛利元就の目下の悩みは、イマイチしまりのない長男・隆元クンでございました──。
父や弟へのコンプレックスにまみれた男が、いかにして自分の才覚を知り、毛利家の命運をかけた『厳島の戦い』を主導するに至ったのかを描く意欲作。
史実を捨てたり拾ったりしながら、なるべくポップに書いておりますので、歴史苦手だなーって方も読んでいただけると嬉しいです。
朝敵、まかり通る
伊賀谷
歴史・時代
これが令和の忍法帖!
時は幕末。
薩摩藩が江戸に総攻撃をするべく進軍を開始した。
江戸が焦土と化すまであと十日。
江戸を救うために、徳川慶喜の名代として山岡鉄太郎が駿府へと向かう。
守るは、清水次郎長の子分たち。
迎え撃つは、薩摩藩が放った鬼の裔と呼ばれる八瀬鬼童衆。
ここに五対五の時代伝奇バトルが開幕する。
永き夜の遠の睡りの皆目醒め
七瀬京
歴史・時代
近藤勇の『首』が消えた……。
新撰組の局長として名を馳せた近藤勇は板橋で罪人として処刑されてから、その首を晒された。
しかし、その首が、ある日忽然と消えたのだった……。
近藤の『首』を巡り、過去と栄光と男たちの愛憎が交錯する。
首はどこにあるのか。
そして激動の時代、男たちはどこへ向かうのか……。
※男性同士の恋愛表現がありますので苦手な方はご注意下さい
霜降に紅く
小曽根 委論(おぞね いろん)
歴史・時代
常陸国に仕える仲田家の次男坊宗兵衛は、殺された父親の仇を探す放浪の旅に出ていた。ある日宗兵衛は、仇討ちを恐れる者が多数逃げ込むと言われている、その名も『仇討山』の存在を知り、足を運ぶ。そこで出会った虚無僧・宮浦から情報を聞き出そうとする宗兵衛。果たして彼は宿敵を討ち果たすことが出来るのか。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる