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第2章「カラプト攻略」
第23話「白主土城の戦い――緒戦」
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ヤムワッカナイで用意されたカラプトに渡るための船は、丸木舟に板を張り付けて強化した物で、時光が予想していた船よりもずっと立派なものである。単なる丸木舟あたりを予想していたのだ。
確かに丸木舟も使われるが、それは湖沼や川で使われることが多く、外洋で使われる船は板で強化されている物がほとんどだ。彼らはこの様な船で日本やカラプトや、場合によっては大陸と交易しているので、信頼性は保証されていると言っても良い。
ヤムワッカナイからカラプトまで最短で約十里程度なので、それ程時間がかからず到着する。意外と近い。
何せ天気が良ければ、ヤムワッカナイからカラプトを見ることが出来る程なのだ。
「あれか。本当にカラプトの最南端に建っているんだな」
海上を進む時光は、次第に大きく見えて来るカラプトの島の中に、柵などで囲まれた高台を確認した。恐らくこれが蒙古のカラプトにおける軍事拠点である白主土城なのだろう。
西方は海に面しており、海岸段丘になっているため、直接船を乗り付けることは出来ない。そして、海から確認できる範囲では周囲に土塁らしきものが築かれている。現時点では見えないがさらにその周囲には空堀が掘られているはずで、中々に固い守りだと言えるだろう。
この時代の武士の居館に似た作りになっているが、周囲が開けた高台で見通しが良く防御に適しており、土塁の長さが一辺で一町程度(約百メートル)で規模がそれなりに大きい。これを落とすのは中々に難しいだろう。
「ここら辺は視界を遮るものが無いから、もう少し北まで船を進めた所にある森の近くに集結することになっていた。そこまで進むぞ」
「ああ。そうしてくれ」
時光一行は二十人程いるし、馬や荷物を積んでいるので数隻に分乗している。単独で隠密に行動するのならともかく、大人数で敵の拠点の前を通過するなど無謀である。
そのまま白主土城の近くの海域を通過していると、白主土城の近くで土煙が上がっているのが見えてきた。土煙の塊は二つあり、それぞれの土煙の中には武装した男達の姿が見える。
「なんと、もう戦い始めたのか!」
「少し無謀ではないか?」
アイヌの戦士団の主力がカラプトに渡ったのは一昨日の事である。それではまだ攻め込む準備が整っているとは思えない。城攻めとは準備に多大な時間を要するものなのだ。
「いや、待てよ? 人数は双方百人位か……読めた。これは敵の手の内を探るための小手調べと、築城の妨害を兼ねた攻撃なのだろう」
アイヌの戦士団は数千人規模であることを、時光はエコリアチから聞いていた。その規模の軍勢にしては今見える勢力は余りにも少ない。そして、白主土城側は城の規模からして、駐屯兵力は千人から二千人程度である。こちらも反撃に全力を尽くしているようには見えない。
要は、お互いの手の内を探り合っているのだ。
「エコリアチ、戦いの様子が見たい。近づけるか?」
「いいぞ。実は俺もモンゴルとの本格的な戦いはしたことがないからな。気になる」
時光達が近づいていく間にも、アイヌと蒙古の軍勢は近づいていく。それぞれ徒歩の弓兵ばかりでお互いを射程に収めるべく慎重に歩みを進めていた。
蒙古の主力たる騎馬弓兵は、出陣していなかった。大陸から連れてこれなかったのかもしれない。
互いに間合いを詰めていくと、先手は蒙古側がとって矢を放った。細かく相手を狙うのでななく、斜め上に集団で射かけることにより面で制圧するような射撃方法で、上方を狙う分射距離が延びる。
個別に狙わずに集団で制圧すると聞くと、個々の技量が大したことが無いように思えてしまうがそうではない。号令の下に、相手を倒すのに丁度良い密度の矢をほとんど同時に射撃するというのは、厳しい訓練を積んだ精鋭にのみ可能な技だ。現代における榴弾砲の様に点ではなく面を制圧する兵器と同じ様な機能を、訓練によって発揮しているのだ。
もし技量の伴っていない軍隊が同じような事をした場合、指揮官が意図しているのとは違う場所に矢が集中したり、ばらばらに射撃してしまったりして、効率的に敵を倒すことは出来ない。
そして驚嘆すべきは、敵が迫ってくる圧力に屈することなく、訓練と同じ様に統制の取れた動きをしていることだ。よほど厳格に統制された先頭集団なのだろう。単なる馬や弓が得意な蛮族とは訳が違う。
しかし、アイヌ側もやられてばかりではない。上空から降り注ぐ矢の雨を手にした木製の盾で防ぎながら前進を続ける。蝦夷ヶ島での戦いで時光が見た限りでは、アイヌに盾を使用する文化は無かった。恐らく蒙古に対抗するために独自に開発したのだろう。必要に迫られると誰に教わった訳でもなく、似たような物を作り始めるというのは人間の面白い所である。
蒙古まで距離にして、およそ数十歩といった所まで近づいたアイヌの戦士たちは、反撃に移った。盾で守る者と弓を構える者ととで役割を分担し、次々と矢を放った。
アイヌ側の射撃の仕方は、蒙古側と違って統制はとれていなかった。しかし、各人は正確に狙っており、次々と蒙古兵を打ち倒していく。
「前に見た時も思ったけど、凄いもんだ」
アイヌの弓の腕前を見て、時光は感心した。
アイヌは交易によっても生活の糧を得ているが、やはり基本は狩猟採集なのだ。厳しい北の大地で育つという事は、戦いの技術を向上させる事に繋がるのである。
「そりゃあ。弓が下手で獲物が採れない奴は、女にもてないからな。若い男は皆必死だ」
そういう事情もあるらしい。当の発言をしたエコリアチは弓の腕前も一流だし、堂々たる偉丈夫だし、長の息子で財産を持っているしとさぞ女にもてるのだろう。声色から自信の程がにじみ出ている。
それに対して時光は、弱小御家人の十四男で相続すべき土地すら危うい状況であるため、浮いた話は一切ない。四人張りの強弓を扱う戦闘技術はかなりのものだし、和漢の古典に通じているので個人の資質としては悪くないのだが、いかんせん将来性が壊滅的だ。なお、顔も悪い訳ではない。
この状況も、北方における蒙古の活動を探るという任務を見事果たせば、恩賞が約束されていることから改善される予定である。
この地で誰も真似のできない武功を立てれば、北条氏一門などの有力御家人や公家などから縁談が殺到することであろう。
「おっ。モンゴルどもが逃げ出したぞ」
エコリアチの言葉によって、余計な事を考えていた時光の思考が、戦場に引き戻された。
エコリアチの言う通り、蒙古兵はアイヌの矢によって損耗していき、背を向けて逃げ出した。
「これは……まずいかもな。何処か上陸できるところは無いか? 加勢が必要かもしれない」
「あそこに砂浜があるから、そこに船をつけることが出来るが、何故だ? 勝っているのは我々だから加勢が必要とも思えんが……」
「そうかもしれないが、何か嫌な予感がする」
時光はエコリアチに船を陸地に近づけさせながら、蒙古兵の逃げる様子を観察し続けた。
時光の目には、逃げる蒙古兵の統制があまりにも取れすぎているように見えた。敵に押されて逃げるというのは、もっと混乱状態にあっても良いのではないだろうか。不利にあっても壊乱状態にならない精鋭だという考えもあるが、それだけには思えない。
「おい。あれを見ろ!」
時光の疑問は正解だった。今アイヌの戦士団が攻め立てているのとは別の方向の柵が解放され、騎兵が出撃したのだった。
「撤退は偽装だったんだ。引き付けた所を騎兵で包囲して殲滅するのだろう。急ぐぞ!」
味方に危機が迫っているのを見て取った時光一行は、船の速度を上げて救援に向かうのであった。
確かに丸木舟も使われるが、それは湖沼や川で使われることが多く、外洋で使われる船は板で強化されている物がほとんどだ。彼らはこの様な船で日本やカラプトや、場合によっては大陸と交易しているので、信頼性は保証されていると言っても良い。
ヤムワッカナイからカラプトまで最短で約十里程度なので、それ程時間がかからず到着する。意外と近い。
何せ天気が良ければ、ヤムワッカナイからカラプトを見ることが出来る程なのだ。
「あれか。本当にカラプトの最南端に建っているんだな」
海上を進む時光は、次第に大きく見えて来るカラプトの島の中に、柵などで囲まれた高台を確認した。恐らくこれが蒙古のカラプトにおける軍事拠点である白主土城なのだろう。
西方は海に面しており、海岸段丘になっているため、直接船を乗り付けることは出来ない。そして、海から確認できる範囲では周囲に土塁らしきものが築かれている。現時点では見えないがさらにその周囲には空堀が掘られているはずで、中々に固い守りだと言えるだろう。
この時代の武士の居館に似た作りになっているが、周囲が開けた高台で見通しが良く防御に適しており、土塁の長さが一辺で一町程度(約百メートル)で規模がそれなりに大きい。これを落とすのは中々に難しいだろう。
「ここら辺は視界を遮るものが無いから、もう少し北まで船を進めた所にある森の近くに集結することになっていた。そこまで進むぞ」
「ああ。そうしてくれ」
時光一行は二十人程いるし、馬や荷物を積んでいるので数隻に分乗している。単独で隠密に行動するのならともかく、大人数で敵の拠点の前を通過するなど無謀である。
そのまま白主土城の近くの海域を通過していると、白主土城の近くで土煙が上がっているのが見えてきた。土煙の塊は二つあり、それぞれの土煙の中には武装した男達の姿が見える。
「なんと、もう戦い始めたのか!」
「少し無謀ではないか?」
アイヌの戦士団の主力がカラプトに渡ったのは一昨日の事である。それではまだ攻め込む準備が整っているとは思えない。城攻めとは準備に多大な時間を要するものなのだ。
「いや、待てよ? 人数は双方百人位か……読めた。これは敵の手の内を探るための小手調べと、築城の妨害を兼ねた攻撃なのだろう」
アイヌの戦士団は数千人規模であることを、時光はエコリアチから聞いていた。その規模の軍勢にしては今見える勢力は余りにも少ない。そして、白主土城側は城の規模からして、駐屯兵力は千人から二千人程度である。こちらも反撃に全力を尽くしているようには見えない。
要は、お互いの手の内を探り合っているのだ。
「エコリアチ、戦いの様子が見たい。近づけるか?」
「いいぞ。実は俺もモンゴルとの本格的な戦いはしたことがないからな。気になる」
時光達が近づいていく間にも、アイヌと蒙古の軍勢は近づいていく。それぞれ徒歩の弓兵ばかりでお互いを射程に収めるべく慎重に歩みを進めていた。
蒙古の主力たる騎馬弓兵は、出陣していなかった。大陸から連れてこれなかったのかもしれない。
互いに間合いを詰めていくと、先手は蒙古側がとって矢を放った。細かく相手を狙うのでななく、斜め上に集団で射かけることにより面で制圧するような射撃方法で、上方を狙う分射距離が延びる。
個別に狙わずに集団で制圧すると聞くと、個々の技量が大したことが無いように思えてしまうがそうではない。号令の下に、相手を倒すのに丁度良い密度の矢をほとんど同時に射撃するというのは、厳しい訓練を積んだ精鋭にのみ可能な技だ。現代における榴弾砲の様に点ではなく面を制圧する兵器と同じ様な機能を、訓練によって発揮しているのだ。
もし技量の伴っていない軍隊が同じような事をした場合、指揮官が意図しているのとは違う場所に矢が集中したり、ばらばらに射撃してしまったりして、効率的に敵を倒すことは出来ない。
そして驚嘆すべきは、敵が迫ってくる圧力に屈することなく、訓練と同じ様に統制の取れた動きをしていることだ。よほど厳格に統制された先頭集団なのだろう。単なる馬や弓が得意な蛮族とは訳が違う。
しかし、アイヌ側もやられてばかりではない。上空から降り注ぐ矢の雨を手にした木製の盾で防ぎながら前進を続ける。蝦夷ヶ島での戦いで時光が見た限りでは、アイヌに盾を使用する文化は無かった。恐らく蒙古に対抗するために独自に開発したのだろう。必要に迫られると誰に教わった訳でもなく、似たような物を作り始めるというのは人間の面白い所である。
蒙古まで距離にして、およそ数十歩といった所まで近づいたアイヌの戦士たちは、反撃に移った。盾で守る者と弓を構える者ととで役割を分担し、次々と矢を放った。
アイヌ側の射撃の仕方は、蒙古側と違って統制はとれていなかった。しかし、各人は正確に狙っており、次々と蒙古兵を打ち倒していく。
「前に見た時も思ったけど、凄いもんだ」
アイヌの弓の腕前を見て、時光は感心した。
アイヌは交易によっても生活の糧を得ているが、やはり基本は狩猟採集なのだ。厳しい北の大地で育つという事は、戦いの技術を向上させる事に繋がるのである。
「そりゃあ。弓が下手で獲物が採れない奴は、女にもてないからな。若い男は皆必死だ」
そういう事情もあるらしい。当の発言をしたエコリアチは弓の腕前も一流だし、堂々たる偉丈夫だし、長の息子で財産を持っているしとさぞ女にもてるのだろう。声色から自信の程がにじみ出ている。
それに対して時光は、弱小御家人の十四男で相続すべき土地すら危うい状況であるため、浮いた話は一切ない。四人張りの強弓を扱う戦闘技術はかなりのものだし、和漢の古典に通じているので個人の資質としては悪くないのだが、いかんせん将来性が壊滅的だ。なお、顔も悪い訳ではない。
この状況も、北方における蒙古の活動を探るという任務を見事果たせば、恩賞が約束されていることから改善される予定である。
この地で誰も真似のできない武功を立てれば、北条氏一門などの有力御家人や公家などから縁談が殺到することであろう。
「おっ。モンゴルどもが逃げ出したぞ」
エコリアチの言葉によって、余計な事を考えていた時光の思考が、戦場に引き戻された。
エコリアチの言う通り、蒙古兵はアイヌの矢によって損耗していき、背を向けて逃げ出した。
「これは……まずいかもな。何処か上陸できるところは無いか? 加勢が必要かもしれない」
「あそこに砂浜があるから、そこに船をつけることが出来るが、何故だ? 勝っているのは我々だから加勢が必要とも思えんが……」
「そうかもしれないが、何か嫌な予感がする」
時光はエコリアチに船を陸地に近づけさせながら、蒙古兵の逃げる様子を観察し続けた。
時光の目には、逃げる蒙古兵の統制があまりにも取れすぎているように見えた。敵に押されて逃げるというのは、もっと混乱状態にあっても良いのではないだろうか。不利にあっても壊乱状態にならない精鋭だという考えもあるが、それだけには思えない。
「おい。あれを見ろ!」
時光の疑問は正解だった。今アイヌの戦士団が攻め立てているのとは別の方向の柵が解放され、騎兵が出撃したのだった。
「撤退は偽装だったんだ。引き付けた所を騎兵で包囲して殲滅するのだろう。急ぐぞ!」
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