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窓際親父はスーパーヒーロー
30.思わぬ言葉
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「いつもお世話になっています、丸源商事の山本です。16時に杉林社長とお約束してるのですが」
「はい、お聞きしています。ご案内いたします」
いつものように社長室に案内されるようだ..
「山本さん、中もやっぱり凄いビルですね」
「そうやろ?」
受付の女性も清楚で綺麗な人やな...やっぱり
コンコン「丸源商事様をご案内しました」
「はい、どうぞお入りください」
「失礼します」
「あー山本さんいらっしゃい!」
「いつもお世話になっています。彼は来年度から杉林工業様を担当させていただきます、営業の柴田です」
「あー彼ですか?柴田取締役の息子さんは...」
「はい、そうです、ご存じでしたか?」
「聞いてますよ!大活躍したらしいね」
「ありがとうございます。でも活躍と言うほどでは...」
「いやいや大したものですよ。大口の取引らしいじゃないですか?」
やはり杉林社長は何でも良くご存じだ...
「今日はご挨拶に参りました。これはつまらないものですが..」
「つまらないものなら持って帰って!」
「はい!失礼しました...なんでやねん!」
あっ、ついノリツッコミしてもうた...
「ははは、一度して見たかったんですよ!のっていただいてありがとうございます」
「社長、焦りましたよ!つい癖でノリツッコミしましたが...」
「ごめんなさいね」
「いえいえ」
いつも和やかな雰囲気にしてもらえるのは有難い...
「それはそうと、丸源さんの社長問題、落ち着いて良かったですね」
「はい、ようやく落ち着いた感じです」
「来年度は山本さんも忙しくなりそうですね」
「えっ?僕ですか?」
「いやいや失礼、聞かなかったことにしてくださいね」
どういうことなんやろ?
「はー、良くわからないですが...」
「柴田くんも来年度はよろしくお願いします」
「こちらこそよろしくお願いします」
一通り挨拶を終え社長室を出たのだが、あの言葉が気になる三蔵であった。
「山本さん、僕は断然応援しますよ」
「何が?」
「さっきの杉林社長の言葉ですよ!」
「あれどう言う意味なんやろね?」
「取締役の話じゃないいですか?」
「誰が?」
「山本さんですよ!他に誰がいるんですか?」
「ないないないない!それはないよ!総務の窓際なんですから...」
「そんなことはないですよ、実績は十分じゃないですか?社長の信頼熱い。杉林社長にもです。それにみんなからの信頼も高いですよ」
「そうなの?」
全然意識もしていなかったのは言うまでもない...
鈍感を絵に描いたような三蔵であった...
帰り道、ガラスクリーナーと洗剤を買う予定ではあったが、あまりの重たさに断念。
翌朝会社の近くで買うことにした。
楽をすることには頭が働くやつである。
そうか、取締役か...
部長も大変そうやしな...
偉そうにもできないしな...
やっぱり向いてないよな...
パッパカパラリラ、パッパッ
「わーびっくりした!」
マックスで大音量であった!
「あーいくちゃーん!」
「メリークリスマス!返事遅れてごめんなさい。良いお年を!」
良かった元気やったー
「元気で良かったです!幸せな年末年始でありますように」
パッパカパラリラ、パッパッ
「ありがとうございます。幸せかどうかは分からないけどね...」
どうかしたのかな?
「何かあったら相談してね」
パッパカパラリラ、パッパッ
「ありがとう...」
気にはなったが、SNSが届いたことが何より嬉しい三蔵であった。
次の日の朝、三蔵はガラスクリーナーと洗剤を買って出社。
全員で大掃除をして今年の業務は終了した。
年末の三蔵は基本ノンビリ過ごす。
ただ大晦日から3日までは故郷の滋賀に帰省することにしている。
滋賀に住んでいた頃は当り前であったが、琵琶湖と比叡山、比良山を望む景色は懐かしさもあり格別である。
1日の朝は白みそのお雑煮。
軟らかめに煮たお餅が何よりの好物。
それに鰹節をたっぷりかけて食べるのである。
子供のころは父親が8人兄弟の長男であったため、正月にはたくさんの親戚が集まったものだ。
私の家はお酒もあまり飲まず、煙草も誰も吸わない家族だったため、正月のイメージはビールと煙草の匂い。
その香りがしたら楽しいと言うイメージがあるためか、嫌いな匂いではなかった。
2日には兄弟達が集まる。
母からすれば年に一度の楽しい時間であろう。
兄弟は3人、孫、玄孫合わせて全員で20人近く集まる。
3日は母と水入らずで過ごし、夜には自宅に戻る。
何ともあっさりしたものだ。
4日はもちろん岬神社に初詣。
いつもは静かな岬神社もお正月だけは賑わう。
ガネーシャ様の事はみんな当然知らないけどね...
その日の夜...
パッパカパラリラ、パッパッ
「あっ、いくちゃん」
「近々に日本に帰ることになりました。もしお時間が合えば会えないですか?」
「えー、もちろん大丈夫です!」
パッパカパラリラ、パッパッ
「帰ったら連絡しますね、楽しみにしています!」
「僕も楽しみにしています!」
何て表せばいいのだろう?
自分の中では絶対的に諦めてたことが起こった奇跡...そんな感じか?
夢のようであった...
「はい、お聞きしています。ご案内いたします」
いつものように社長室に案内されるようだ..
「山本さん、中もやっぱり凄いビルですね」
「そうやろ?」
受付の女性も清楚で綺麗な人やな...やっぱり
コンコン「丸源商事様をご案内しました」
「はい、どうぞお入りください」
「失礼します」
「あー山本さんいらっしゃい!」
「いつもお世話になっています。彼は来年度から杉林工業様を担当させていただきます、営業の柴田です」
「あー彼ですか?柴田取締役の息子さんは...」
「はい、そうです、ご存じでしたか?」
「聞いてますよ!大活躍したらしいね」
「ありがとうございます。でも活躍と言うほどでは...」
「いやいや大したものですよ。大口の取引らしいじゃないですか?」
やはり杉林社長は何でも良くご存じだ...
「今日はご挨拶に参りました。これはつまらないものですが..」
「つまらないものなら持って帰って!」
「はい!失礼しました...なんでやねん!」
あっ、ついノリツッコミしてもうた...
「ははは、一度して見たかったんですよ!のっていただいてありがとうございます」
「社長、焦りましたよ!つい癖でノリツッコミしましたが...」
「ごめんなさいね」
「いえいえ」
いつも和やかな雰囲気にしてもらえるのは有難い...
「それはそうと、丸源さんの社長問題、落ち着いて良かったですね」
「はい、ようやく落ち着いた感じです」
「来年度は山本さんも忙しくなりそうですね」
「えっ?僕ですか?」
「いやいや失礼、聞かなかったことにしてくださいね」
どういうことなんやろ?
「はー、良くわからないですが...」
「柴田くんも来年度はよろしくお願いします」
「こちらこそよろしくお願いします」
一通り挨拶を終え社長室を出たのだが、あの言葉が気になる三蔵であった。
「山本さん、僕は断然応援しますよ」
「何が?」
「さっきの杉林社長の言葉ですよ!」
「あれどう言う意味なんやろね?」
「取締役の話じゃないいですか?」
「誰が?」
「山本さんですよ!他に誰がいるんですか?」
「ないないないない!それはないよ!総務の窓際なんですから...」
「そんなことはないですよ、実績は十分じゃないですか?社長の信頼熱い。杉林社長にもです。それにみんなからの信頼も高いですよ」
「そうなの?」
全然意識もしていなかったのは言うまでもない...
鈍感を絵に描いたような三蔵であった...
帰り道、ガラスクリーナーと洗剤を買う予定ではあったが、あまりの重たさに断念。
翌朝会社の近くで買うことにした。
楽をすることには頭が働くやつである。
そうか、取締役か...
部長も大変そうやしな...
偉そうにもできないしな...
やっぱり向いてないよな...
パッパカパラリラ、パッパッ
「わーびっくりした!」
マックスで大音量であった!
「あーいくちゃーん!」
「メリークリスマス!返事遅れてごめんなさい。良いお年を!」
良かった元気やったー
「元気で良かったです!幸せな年末年始でありますように」
パッパカパラリラ、パッパッ
「ありがとうございます。幸せかどうかは分からないけどね...」
どうかしたのかな?
「何かあったら相談してね」
パッパカパラリラ、パッパッ
「ありがとう...」
気にはなったが、SNSが届いたことが何より嬉しい三蔵であった。
次の日の朝、三蔵はガラスクリーナーと洗剤を買って出社。
全員で大掃除をして今年の業務は終了した。
年末の三蔵は基本ノンビリ過ごす。
ただ大晦日から3日までは故郷の滋賀に帰省することにしている。
滋賀に住んでいた頃は当り前であったが、琵琶湖と比叡山、比良山を望む景色は懐かしさもあり格別である。
1日の朝は白みそのお雑煮。
軟らかめに煮たお餅が何よりの好物。
それに鰹節をたっぷりかけて食べるのである。
子供のころは父親が8人兄弟の長男であったため、正月にはたくさんの親戚が集まったものだ。
私の家はお酒もあまり飲まず、煙草も誰も吸わない家族だったため、正月のイメージはビールと煙草の匂い。
その香りがしたら楽しいと言うイメージがあるためか、嫌いな匂いではなかった。
2日には兄弟達が集まる。
母からすれば年に一度の楽しい時間であろう。
兄弟は3人、孫、玄孫合わせて全員で20人近く集まる。
3日は母と水入らずで過ごし、夜には自宅に戻る。
何ともあっさりしたものだ。
4日はもちろん岬神社に初詣。
いつもは静かな岬神社もお正月だけは賑わう。
ガネーシャ様の事はみんな当然知らないけどね...
その日の夜...
パッパカパラリラ、パッパッ
「あっ、いくちゃん」
「近々に日本に帰ることになりました。もしお時間が合えば会えないですか?」
「えー、もちろん大丈夫です!」
パッパカパラリラ、パッパッ
「帰ったら連絡しますね、楽しみにしています!」
「僕も楽しみにしています!」
何て表せばいいのだろう?
自分の中では絶対的に諦めてたことが起こった奇跡...そんな感じか?
夢のようであった...
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