【完結】窓際おやじはスーパーヒーロー

窓際親父はスーパーヒーロー

２４．社長室で

「いやいや大変な週末やったな...」
気持ち的には落ち込んだままではあるが、社長にはいい報告ができる。
その点は気が楽である。

「今日も月曜日やから背広は綺麗と。たださすがにこのシーズンは熱いなー。そろそろ買ったシャツだけで良いかな？今日社長に報告したらそうしよう...」

今日は月曜日の祝日なので電車は空いている。
社長に報告するためだけの出社だ。

通勤電車からは北には緑豊かな山々。
南には街とその先に海が見える。
電車が空いているだけでも見える風景が違って見える。

「海の向こうにはいくこさんがいるんだな...」
厳密に言えば、海の向こうからアメリカ大陸を横断したしたあたりである。

休みの日は、会社の裏口から入る。

「おはようございます！お休みの日にご苦労様です。社長はいらっしゃってますか？」
「先ほどいらっしゃいました。直接社長室へとおっしゃってましたよ」
「ありがとうございます、ではそうします」
三蔵は背広を羽織り足早に社長室に向かった

コンコン「失礼します！」
「おー山本くん！休みの日に悪いね」
「いえいえ、どうせ独り身ですから、時間はあるんですよ」
「ははは、再婚も考えないといかんなー」
「いや、私なんかもう無理でしょう」
再婚か...考えてもいなかったな...妄想はあったけれども...

「ところで報告と言うのはなんですか？」
「はい、土曜日に柴田取締役に自宅のBBQにご招待いただきまして行ってきました」
「おーそうか、なかなかデカい家だったろ？」
「はい、素敵なご自宅でした」
「和夫くんも当社で大活躍だから喜んでたろ？」
「はい、社長から直接褒めていただいたって凄く喜んでいらっしゃいました」
満面の笑みの社長、やはり人格者である。

「そこに八木本部長と今井工場長がいらっしゃいまして４人で話したのですが、みなさん社長とずっと仕事をするのが希望だと心の底から言っておられました」
「そうか...」
「私も含めて社長のお人柄が好きなんです。できればずっと社長でいてもらえないでしょうか」
「そうも行かないんですよ。もう８０才。いつ何があるかわからない。だからこそ杉林さんに相談したんです。お得意さんに誰なら社長を交代していいかってね」
「みなさんは社長の人望と、人を大切にするそんなところが社長として一番なんだと話していました」
「杉林さんにもそう言われましたよ。嬉しいことです」
「そうなんですね、みんな同じ思いですね」

良い報告ができて良かった。
社長も喜んでくれた。

来週の役員会で社長の交代の話をするらしい。
ひとまず社長主体で話が進みそうだ。
この社長、そして役員たちなら会社は安泰に違いない。
三蔵はそう確信するのである。

帰り道、三蔵はあるところに向かった、読みかけの漫画を読むために...ありがとうリンリン。