【完結】窓際おやじはスーパーヒーロー

窓際親父はスーパーヒーロー

１．窓際親父の日常

ピンピンピラピラ、ピンピンピラピン、ピンピンピラピラ、ピンピンピラピラピン
「うーん、もう朝かー、あと8時間だけ寝よ。ってあかんがなー。あー眠た、嫌やなー会社」
山本三蔵58才、バツイチ独身ハゲ親父。
会社では出世争いにそもそも関わることもなく、いわゆる窓際族ってやつである。
「まぁ、起きるしかないか。よっこいしょうきち」
基本しょーもない事言いである。
「あっ、痛ったー！また毛が薄くなったわ」
3日に1度は部屋を出るとき頭を打つやつなのである。
こんなやつですが、朝のルーティンにはうるさく、まず最初にトイレ、次に歯磨き、そして朝食は、少々焦げ色がきつめのトーストに、ハムを4枚花のように敷き詰め、マヨネーズを塗り、またトーストで挟むホットサンドとブラックコーヒーと決めている。
チンッ！「今日のトーストはと、おーナイスコンディション！焦げめは北海道やな、こっちは、おー珍しいイタリアかな？　ハムを角々にはみ出すように4枚とマヨネーズを塗り塗り、北海道とイタリアで国際サンド。はーい出来上がりー」
朝から陽気なハゲ親父である。
「やっぱり美味い。今日も仕方ないから仕事も適当に頑張ろう」
出勤時間は金曜日以外は8時と決めている。
スーツは2着、週1でクリーニングに出して交換するので木曜日の今日にはヨレヨレ。
ノーネクタイなので何ともだらしない感じ。

「あー危ない！チャリンコ気をつけろよ」
駅に向かう道は坂道なので、横道から出るときは要注意なのだ。

「あっ、あーあっ」
前を歩いていた女性に男性が激突、盛大にスマートホンを放り投げてしまった。
「あれ高いスマホやで、バリバリやがな、可哀そうに..」

駅までは歩いておよそ10分、その間でも色々な出来事がある。
今日は出勤の間スマホお姉さんの事ばかり考えている。
「もう少し早く歩いてればナイスキャッチ！はいどーぞお嬢さん。ありがとう私のヒーロー！やったのになー」
それから仲良くなって、恋愛に発展して、深い仲になって...お決まりの妄想親父なのである...

仕事は総務の窓際。
トイレットペーパーや蛍光灯など消耗品や備品の発注が主な業務。
毎日が虚しいのもわからなくもない。
ただ、何故か明るくて元気なのだけは取柄。
ハゲで窓際なのではあるが、みんなからは嫌がられてはいないのである。

仕事が終わると同じ道を帰り、スーパーでアルコール９％のチューハイ1缶と半額になった惣菜や弁当を買って帰るのが日課。
テレビはあまり見ず、ご飯を食べながら某ライブ配信のライバー、さつきちゃんの配信を見るのがお楽しみ。
節約して課金して応援するのが嬉しいらしい。

「あー今日もチューハイ美味いな！さつきちゃん見ながらの1杯は格別、特別、登別ですなー」
2度と言いませんが、基本しょーもないこと言いです。

そんなこんなで、さつきちゃんを見ながら寝落ちするのが日課。
今日までは..ね。こんなただの窓際ハゲ親父山本三蔵があんなことになろうとは...