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第二十三話 野宿カウント
しおりを挟む「お、俺ってここで寝てた、のか?」
「ん、あっ、はい! 寝てたというか、倒れてたというか、意識を失ってたと言うか……ま、まぁそんな感じです!」
「そ、そうか! ならこれは野宿カウントには入らないよな?」
「え、えっ? 野宿カウント? なんですかそれは?」
「いや、すまない。こちら側の話だ。ところで君はずっと俺の側についていたのか?」
「いや、どちら側ですか! あ、はいそうですよ? 目の前で人が倒れたらそりゃ看取らなきゃいけないでしょう」
「いやいやいや、俺死んでないんだが? でも、いくら目の前で倒れたと言っても、俺は自分を殺してくるんじゃないかと思った人間だろ? よくそんな奴の隣にいれたよな」
「いやまあそれは誤解を解いてくれたからですよ! 流石にあそこまでされて殺されたら仕方がないですしね!」
真っ直ぐな目でこちらを見ながら少年はそう言った。
いや、決して仕方ないで済まされることではないと思うのだが。まあ、彼が良いとするなら良いのだろう。
「そうか、ところで君は何故こんな所に?」
「え、そりゃ木の実集めに。って、いやいやいや、そっちこそ何しにこんな所にいるんですか? 見たところ普通の人間ですよね? ここは結構危険な場所なんですよ?」
「な、そうなのか? どうりであんな狼の群れがいたんだな、って、え? 普通の人間? ってことは君は普通の人間じゃないのか?」
「え! もしかして何も知らないんですか? ここはエルフの森、ですよ? そして僕はちゃんときたエルフですよ、ほら?」
そういって少年は俺に尖った長い耳を見せてきた。だが、俺が知っているエルフのイメージよりもだいぶ短いな。
「あれ、これには驚かないんですね!」
「うむ、エルフはなんとなく見たことはあるからな。だが、エルフはみんなそのくらいの耳の長さなのか?」
「なんとなくってなんですか! あぁ、耳の長さが気になったんですね。エルフは女性の方が耳が長くて、男性の方が短いんですよ? あれ、ってことは今まで女性のエルフしか見たことなかったんですか? あの人たちは滅多に里から出ないのに、どこで見たんですか? もしかして……」
「いや、変な勘違いはやめてもらおうか。俺はエルフを情報として知っていただけだ。実際にはみたことはないぞ? だからなんとなくとぼかしたんだ」
「あぁ、そういうことでしたか! って、それよりもなんで貴方がいたか教えてくださいよ! 狩りに、というには少しボロボロ過ぎますし、かと言ってあなたが狼を斬っているところか、寝ているところしか見ていないので、皆目見当もつきません。
ですが、もしエルフの里を脅かすようでしたら……」
「ようでしたら?」
「……その時はその時です」
あ、コイツまだビビってんのな。
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