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11話 貴族
しおりを挟む「おい、あれが噂のあのガイアから来たっていう奴か? どんな奴かと思ったがなんか大したことなさそう、ってか雑魚じゃね?」
「おいおい、ここは餓鬼がくる場所じゃねーんだが、どっかの公園と間違えたか?」
「ってか身なりが貧相すぎんだろ、ケイが推薦したってのもデマだろこれは」
❇︎
至る所から僕に対するであろう罵詈雑言が聞こえてくる。それにしても、ガイアとかケイさんってこんなに有名なんだね、知らなかった。
因みに僕は今、学園に入るための試験を受けに来ていた。そこで、どこから情報が漏れたのかいろんなことを言われてるんだけど、、
僕、親方に毎日罵られていたから全然けなされているように感じないのは気のせいだろうか。親方からは、出来損ないとか、穀潰しとか、挙げ句の果てにはこの世のゴミだとかまで言われた。
まあ、実際僕はこの世の中に何も価値を提供できていないし、少なくとも親方の方が価値を生み出していたから当然だと受け入れていたんだよね。
だって、お金を稼ぐ、頂く、っていうのは誰かに価値を認められたからでしょう? つまりお金をしっかり稼いで生活していた親方は誰かの為になってたってことだ。
だから僕なんかよりも随分と凄い人だし、尊敬すべき人なんだ。
それに比べたら、他人にゴチャゴチャ言っている人は親方よりも酷いってことになるね。うん。
『なあ、お主よ、さっきから何をゴチャゴチャ考えているのだ? 男なら実力で黙らせたらどうなんだ? ん、儂が力を貸してやろうか?』
『て、天星竜様、そんなことに力を使うのは勿体無いですよ。それに、相手にする必要すらもありませんから』
『ふむ、お主がそうなら良いのだが、儂からしても寝るのに不快なくらいは五月蝿いのだが?』
あ、天星竜様って静かな時は寝ていらっしゃるんですね、天星竜様でも睡眠はとるんだー。
『当たり前であろう、儂とて生物の頂点にたつとは言え、生物であることには変わりはないからのう。あと、寝るのは良い暇つぶしになるからのう』
あ、暇つぶしですか、そうですか。って、天星竜様には心の声もダダ漏れだから大変なんだよね、伝える必要のないことも伝わってしまうからね。っていうこれも聞かれているのか。
『っていうのも聞こえておるぞ?』
『ははははー、勘弁してくださいよもー』
そうやって、天星竜様との談義を楽しんでいたからだろうか、僕は気づかなかったのだ、喋りかけられているということに。
「おい! 貴様、何度呼べばわかる! 平民の分際で貴族である私を無視するとはなんという非礼! その罪、身をもって思い知るが良い!」
「え?」
どうやら僕は凄い人を無視した形になってしまったようだ。だって、知り合いもいないのに、喋りかけられなんて思わないじゃーん。……どうしよ。
「平民がいるということで、私が上に立つ貴族として直々に引導を渡してやろうと思ったのだが、私の逆鱗に触れてしまったようだな。貴族私刑行使権を使う! 貴様、私と決闘をするのだ!」
「ええーー!?」
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