屋上でポテチ

ノコギリマン

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ヤミヲカルモノ➁

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※ぜんぶで10話にしようと思っています。でも2345はまだ考え中なので、書けそうな第六章と第十章を先に書きました。


  第六章 VS四天王


「おはよう」

 学校一かわいい百合ゆりちゃんがおれに朝のあいさつをした。

 おれは百合ちゃんがおれを好きなのを知っていたけど、おれはヤミヲカルモノだったので付き合うことはできない。だから心の中で「ごめん」と言って、無視して通りすぎた。

 百合ちゃんは通り過ぎていくおれをうしろで悲しい顔で見ていた。

 教室に入って席に座ると、となりの席のイルゼが「おはよう」と言った。イルゼはなんだかんだ同級生になっているので、周りにバレないようにおれも「おはよう」って言った。廊下から百合ちゃんがおれを悲しそうに見ているけど、おれはヤミヲカルモノなので百合ちゃんにはやっぱりリアクションできない。

 ボカーン! ドンドンドーン!

 運動場が爆発して、一年生がいっぱい吹き飛んでいる。

 運動場にはジョン・マッスルとピストルマシーンZがいたので、おれはびっくりした。(ダークモンスターは夜しか動けないはず)

「ヘイヘイ、ペーボーイ! デテキナサーイ!」
「タイラフミマロ、オマエヲマッサツスル」

 ダークモンスターがなんで動けているのかは分からないけどチャンスだと思ったので、おれはロッカーにかくしていたヤミノカタナを出して、窓からジャンプしてヤミノカタナをかまえた。

「ぺーがダークモンスターと戦おうとしているぞ、ガラシ!」
「ほんとだ。すごいな、ミヤオ!」

 友だちのミヤオとガラシがおれをリスペクトした。二人はおれがヤミヲカルモノだと知らないので、ビックリしている。

「ヒトリデクルナンテ、ミータチヲナメテマースカ?」

 ジョンが言い終わる前にヤミノイアイを出したけど、ガードされておれは吹きとんだ。

「くそ、ひとりではどうにもならない」

 と言っているおれに、Zがいっぱい弾をうってきた。

 シュン、シュン、シュン。

 おれはZの弾をぜんぶよけたので、一発も当たらなかった。

 立ち上がったおれは、マックスとZが朝なのに動けていることがふしぎだったので「なんで朝なのに動けるんだ?」と聞いた。

「オシエテアゲマース。ミータチハ、アサデモウゴケルヨウニシュギョウヲシタノデース」
「ソウダ。ワタシタチハ、シュギョウヲシタ」

 修行をしたのが分かったので、おれはヤミノカタナをかまえた。

「修行なら、おれの方がしているぜー!」

 バッ、ヒュン、ガキーン、シュッ、ズバッ、バンバンバン!

 おれとマックスとZはすごい戦いをした。

 だけど相手は二人だったので苦労した。

 ヒュン!

 おれは二人からはなれて二人をにらみつけた。

「お前たちは二人だからヒキョーだ!」
「ダークモンスターハ、ヒキョーモノナノデース」

 マックスが楽しそうに笑った。

 悔しかったので、おれはイルゼを呼んだ。

 ヒュン!

 イルゼが来た。

「ちょっと、呼ぶのが遅いわよ!」
「ヘヘヘ、おれは戦いが好きなんだ」
「バカ! わたしがいないと、なにもできないんだから」
「はいはい」

 イルゼはヤミカンフーで戦うので、カンフーみたいにかまえた。

 おれもヤミノカタナをかまえた。

 イルゼはZと戦って、おれはマックスと戦った。

 それぞれの戦いが始まる。

 バン。ブシュ。ドゴオッ! シュンシュンシュン! バン!

 おれはなんとかマックスを倒してイルゼは勝ったかなと思ってイルゼの方を見たら、イルゼも勝っていた。

「これであと二人だな」
「そうね。あと二人ね」

 でももう学校のみんなにおれとイルゼがヤミヲカルモノのだということがバレてしまったので、あとの二人を倒してからじゃないとまた学校に行けないと思った。

 学校の方を見ると、みんなが窓から見ていて百合ちゃんも悲しそうな顔でこっちを見ていた。

「行こう、イルゼ」
「そうね。それがわたしたちの運命なのよね」

 おれとイルゼが学校を去ろうとしていると、同じ天体観測同好会の森田と山中とサノチンが来ておれたちを止めた。

「行っちゃうのか?」(森田)
「さみしくなっちゃうわ」(山中)
「そうだそうだ」(サノチン)

 東初菜先生もやって来て「ダークモンスターを倒して、わたしたちを救って!」と言った。(先生は大人だから、ヤミヲカルモノの責任を分かっています)

 悲しいけど、行かないといけない。

 おれは、ヤミヲカルモノだから。


 ◆◆◆


 律儀と言うかなんというか、私に言われたとおりしっかりと平くんの周りの人たちが出ている。まさか私まで出て来るとは思わなかったけれど。

 ここまで読んでみて、とても読みづらい文章のはずなのに何故かスラスラと読めていることには単純に驚いている。頻発する「ちなみに~」や「心の中で~と思った」等の言い回しはさすがに指摘してあげたほうがいいのだろうけれど、もしかしたら平くんには物語を作る才能があるのかもしれない。

 加えて驚いたのは、第一章のあとに間を飛ばして第六章を書き上げる度胸だ。常識にとらわれずに書けるところから書いていくのは、もしかしたら理に適った方法なのかもしれない。

 手渡された小説は、あと一章ある。

 タイトルは「第十章 戦いの終わり」

 果たしてヤミヲカルモノはダークモンスターを倒すことができたのか、期待しながら私は第十章を読み始めた。

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