4 / 21
願い事は、世界平和
しおりを挟む
「マジでヤバイんだよ」
って、冷や汗をかきながらデブのペーが言う。
「はあ……」
「はあ、じゃなくて。だから今日さ、夜に屋上であんじゃん、天体観測部で『流れ星を見よう』みたいなの。サノチン、頼むからそれに参加させてくれよ」
ペーが言ってる天体観測部は、ほんとうはまだ正式な部にもなってない同好会みたいなもんで、まだおれを含めて入ってるのは三人しかいない。
「いいんじゃないの? 自由参加だし」
「ひとりじゃ行けないから言ってんだよ!」
今日は一学期の終業式。
明日から夏休みで、もうみんな浮かれてるのに、なんでペーはこんなに焦ってるんだろう?
「でもお前、なんで参加したいの? 星とか興味ねえだろ?」
「ねえよ!」
なんで急に怒るの?
意味わかんねえ。
「おれさ、いつも屋上にいるだろ」
「うん」
ペーとミヤオとガラシの三人、帰宅部のくせにいっつも屋上でダラダラしてる。
「そんでさ、きのうエロ本もってったんだよ、屋上に」
「持ってくんなよ」
「しょうがねえだろ、読みてえんだから!」
だからなんで急に怒るの?
意味わかんねえ。
「で、みんなでエロ本読んでたら、小宮先生が来ちゃってさ。マジビビって上に投げちゃったんだよ、エロ本」
「上って、あの給水塔のとこ?」
「そう。そんで、そのときはなんとかごまかせたんだけど、安心しちゃって、エロ本忘れてきちゃったんだよね」
「いま取りに行けばいいじゃん」
「さっき行ったんだよ。そしたらカギ閉まってた。たぶんコミセンだな」
「明日から夏休みだから?」
「明日から夏休みだから」
「だから今日のやつ来たいってこと?」
「そう。あのエロ本、兄ちゃんのやつなんだよ。兄ちゃんの部屋あさってたらあったやつ。バレたら、おれ、殺されるぞ!」
おれにはなんの関係もない話だけど、めっちゃ青ざめてるペーがかわいそうだったから、「体験入部したがってる」ってことにして、連れてってあげることにした。
◆◆◆
で、いま、夕方の六時四十八分。
屋上には顧問の東初菜先生と、部員の森田航と山中笑美、そしておれとペーだけ。
集合時間は六時半だから、たぶんもうだれも来ない。
「うーん。やっぱり、だれも来なかったねえ」
言って、東先生が苦笑い。
無地の黒いTシャツに下は黒いジャージ、いつもの格好だ。
「でもあれだねえ、平くんが星に興味あるなんて、意外だねえ」
急に話を振られたペーが、完全にテンパりながら、
「ぜんぶ興味あります」
って、よくわからないことを言った。
「いいねえ。ぜんぶに興味があるのはいいことだよ。人生、勉強だからねえ」
言って笑う東先生の、生徒を全肯定してくれる感じと語尾を伸ばすクセが、おれは大好きだった。
十コ上の東先生は、ショートヘアに黒ぶちメガネで、オシャレな服のときをぜんぜん知らない。
だからほかの男子は東先生をそういう気持ちで見たことがないんだろう。でもおれは、ペーじゃないけど、東先生のぜんぶに興味がある。
「先生、これでいいっすか?」
東先生の私物の天体望遠鏡をセッティングしていた森田が言う。
「そうだねえ、いいよお。大丈夫」
森田はおれとちがってマジで星に興味があって、だから東先生とよく話が合った。
ちょっとそれは悔しいんだけど、おれもいま星の勉強をがんばってしてる。
「まあ、きょうは天体望遠鏡はあんまり使わない予定なんだけどねえ。『流れ星を見よう』の回だからさあ。結局、だれも来なかったけど」
自虐みたいなこと言って、東先生が足元の段ボールを見た。
中には小さな双眼鏡がいっぱい入っていて、この日のために東先生がいろんなとこから集めてきた物だとかで、「これも無駄になっちゃったねえ」って言いながら、中から取り出した双眼鏡をおれらに配っていく。
「先生、ほんとに見られるんですか? 流れ星」
山中が疑いの目を向けて言う。山中は占いとかロマンチックなものが好きなヤツで、それで星とか星座に興味をもって入ってきたヤツだ。
「大丈夫でしょー。流れ星ってけっこうあるし。一時間もあれば、十個くらいは見られるんじゃないかなあ」
「そっか。なら、願い事し放題ですね」
「あっは、そうだねえ。時間は一時間しかないけど、いっぱい見つけて、いっぱい願い事しちゃおう」
「そうしますそうします」
呑気な会話を聞きながらペーを見ると、分かりやすすぎるくらいテンパってた。
そうだった。忘れてた。
「先生、あの、給水塔のとこ行って、そこから見てもいいですか?」
ガマンできなくなったみたいで、ペーが急に言う。
「給水塔?」
「はい。あの——」入口の脇の壁から生えたハシゴを指さすペー。「——あそこから」
「うーん。でも危なくないかなあ?」
「大丈夫です。気をつけるんで」
「うーん」
東先生が困った顔をする。
東先生を困らせるぺーにちょっとムカついたけど、それが理由で連れてきちゃったし、助けてやろう。
「先生、とりあえずぺーに行ってもらって、安全かどうか見てきてもらったらいいんじゃないすか?」
「そうだねえ。じゃあ、そうする?」
「はい! そうします!」
言って、ペーがおれに「グッジョブ!」の視線を送ってきた。
で、ふたりでハシゴのとこまで向かった。
「ありがとな」
「いいから、すぐ行って、すぐ取って、すぐ降りて来いよ。先生に迷惑かけんな」
「オーケー」
バカみたいに親指を立てて言って、ペーがハシゴを上っていった。
「あったか?」
「……あったよ」
なんか、ヘコんでんな。
「大丈夫か?」
「大丈夫じゃねえよ!」
だからなんで急に怒るの?
てか、どういうこと?
「どういう—」
「なんかあったあ?」
おれの声を、東先生の心配そうな声が遮った。
「プギッ!」
急な東先生の声に、ペーが豚声でこたえる。
「だ、大丈夫でーす。でもダメでーす。下りまーす」
言って、ペーが下りてきた。
「大丈夫だった?」
「はい、大丈夫です。でも上、めっちゃ汚かったから、ダメです」
「そっかあ。そりゃ残念だねえ。じゃあ、もどろっか」
言って、森田たちのほうにもどっていく東先生。
おれもペーと一緒にもどりながら、
「回収したか?」
って聞いた。
「うん。できたんだけどさ。上、マジで汚かったんだよ」
「さっき聞いたよ。なんだ、マジ上で見る気だったのかよ?」
「そんなわけないだろ。汚れてたんだよ、エロ本が」
「あー」
そういうことか。
「なんとかなんねえの?」
「とりあえず流れ星みつけて、願うわ」
「なんて?」
「決まってるだろ。『エロ本、キレイにしてください』ってだよ」
「ははっ」
史上最低の願い事だ。
で、もどったら、森田と東先生が並んで夜空を見上げていた。
「ありました、先生?」
森田と先生が一緒に並んでるのがなんかイヤで、つい言っちゃうと、
「うーん、ないねえ」
東先生が夜空を見上げたまま言った。
その横顔に見惚れてたら、
「ねえ、みんな願い事ってなに?」
って、山中が興味まるだしで聞いてきた。
「それ、教えたらダメなやつじゃねえの?」
森田がブスッとして言う。
「どうせ流れ星みつけたら三回いわなきゃいけないんだし、いま言っても同じでしょ。ねえ、先生も知りたいでしょ?」
「うーん、まあねえ」
「じゃあ、決まりで。ほら森田、言ってよ」
「……志望校に受かりますように、かな。あと世界平和」
「つまんねえ。なんだよ、それ」
ペーがブーイングして、森田がにらんだ。
「いいねえ。それでこそ中学生だよ」
東先生のフォロー。
「ペーは?」
山中に言われて、ペーがテンパる。
さっきペーの願い事を聞いてたおれは、笑いをこらえるのが大変だった。
「おれは……おれもあれだよ、世界平和」
「ウソつけ。一緒じゃねえかよ」
森田がブーイングして、ペーがにらむ。
「いいねえ。それでこそ中学生だよ」
「佐野は?」
山中に言われて、おれもテンパった。
ほんとの願いは「東先生のことがもっと知りたい」なんだけど、そんなこと言えるわけない。
「……おれも、世界平和かな?」
「うわーつまんない。ぜったいウソでしょ、それ。なんでみんな一緒なの?」
「うるせえな。じゃあ、お前はなんなんだよ?」
「……あたしは決まってるよ。世界平和」
「ウソつけ!」
「いいねえ。それでこそ中学生だよ」
言って、東先生が笑った。
笑ってくれたのはうれしいけど、なんか、いろいろバレてるような気がする。
「じゃあ、先生はなんなんですか? 願い事」
山中が聞く。
「うーん、なんだろ? ほとんど叶っちゃってるからなあ」
「叶ってるって、なにがですか?」
「そうだねえ。まず先生になるって夢は叶えたし、天体観測部を作るってのも叶えちゃってるしねえ」
それ聞いて、なんか……こう……胸がすげえ熱くなった。
「先生、まだ部活動になってませんよ」
森田が水を差す。バカ。
「あー、そっかあ。そうだよねえ」
「大丈夫ですよ、先生。ペーも入ってくれるし」
って、思わず言っちゃうと、
「あー、そっかあ。平くん、入ってくれるんだあ?」
って、先生が真に受けてしまった。
「はい。あ、いえ、うん、はい……」
これでペーの入部が決まってしまった。
ごめん。
「とにかくあたし、流れ星さがします」
「そうだねえ。じゃあ、みんなで探して、みんなで世界平和を願おう」
東先生に言われて、おれたちみんな夜空を見上げた。
星。
星。
星。
星。
そして、流れ星。
おれたちみんなで、世界平和を願った。
って、冷や汗をかきながらデブのペーが言う。
「はあ……」
「はあ、じゃなくて。だから今日さ、夜に屋上であんじゃん、天体観測部で『流れ星を見よう』みたいなの。サノチン、頼むからそれに参加させてくれよ」
ペーが言ってる天体観測部は、ほんとうはまだ正式な部にもなってない同好会みたいなもんで、まだおれを含めて入ってるのは三人しかいない。
「いいんじゃないの? 自由参加だし」
「ひとりじゃ行けないから言ってんだよ!」
今日は一学期の終業式。
明日から夏休みで、もうみんな浮かれてるのに、なんでペーはこんなに焦ってるんだろう?
「でもお前、なんで参加したいの? 星とか興味ねえだろ?」
「ねえよ!」
なんで急に怒るの?
意味わかんねえ。
「おれさ、いつも屋上にいるだろ」
「うん」
ペーとミヤオとガラシの三人、帰宅部のくせにいっつも屋上でダラダラしてる。
「そんでさ、きのうエロ本もってったんだよ、屋上に」
「持ってくんなよ」
「しょうがねえだろ、読みてえんだから!」
だからなんで急に怒るの?
意味わかんねえ。
「で、みんなでエロ本読んでたら、小宮先生が来ちゃってさ。マジビビって上に投げちゃったんだよ、エロ本」
「上って、あの給水塔のとこ?」
「そう。そんで、そのときはなんとかごまかせたんだけど、安心しちゃって、エロ本忘れてきちゃったんだよね」
「いま取りに行けばいいじゃん」
「さっき行ったんだよ。そしたらカギ閉まってた。たぶんコミセンだな」
「明日から夏休みだから?」
「明日から夏休みだから」
「だから今日のやつ来たいってこと?」
「そう。あのエロ本、兄ちゃんのやつなんだよ。兄ちゃんの部屋あさってたらあったやつ。バレたら、おれ、殺されるぞ!」
おれにはなんの関係もない話だけど、めっちゃ青ざめてるペーがかわいそうだったから、「体験入部したがってる」ってことにして、連れてってあげることにした。
◆◆◆
で、いま、夕方の六時四十八分。
屋上には顧問の東初菜先生と、部員の森田航と山中笑美、そしておれとペーだけ。
集合時間は六時半だから、たぶんもうだれも来ない。
「うーん。やっぱり、だれも来なかったねえ」
言って、東先生が苦笑い。
無地の黒いTシャツに下は黒いジャージ、いつもの格好だ。
「でもあれだねえ、平くんが星に興味あるなんて、意外だねえ」
急に話を振られたペーが、完全にテンパりながら、
「ぜんぶ興味あります」
って、よくわからないことを言った。
「いいねえ。ぜんぶに興味があるのはいいことだよ。人生、勉強だからねえ」
言って笑う東先生の、生徒を全肯定してくれる感じと語尾を伸ばすクセが、おれは大好きだった。
十コ上の東先生は、ショートヘアに黒ぶちメガネで、オシャレな服のときをぜんぜん知らない。
だからほかの男子は東先生をそういう気持ちで見たことがないんだろう。でもおれは、ペーじゃないけど、東先生のぜんぶに興味がある。
「先生、これでいいっすか?」
東先生の私物の天体望遠鏡をセッティングしていた森田が言う。
「そうだねえ、いいよお。大丈夫」
森田はおれとちがってマジで星に興味があって、だから東先生とよく話が合った。
ちょっとそれは悔しいんだけど、おれもいま星の勉強をがんばってしてる。
「まあ、きょうは天体望遠鏡はあんまり使わない予定なんだけどねえ。『流れ星を見よう』の回だからさあ。結局、だれも来なかったけど」
自虐みたいなこと言って、東先生が足元の段ボールを見た。
中には小さな双眼鏡がいっぱい入っていて、この日のために東先生がいろんなとこから集めてきた物だとかで、「これも無駄になっちゃったねえ」って言いながら、中から取り出した双眼鏡をおれらに配っていく。
「先生、ほんとに見られるんですか? 流れ星」
山中が疑いの目を向けて言う。山中は占いとかロマンチックなものが好きなヤツで、それで星とか星座に興味をもって入ってきたヤツだ。
「大丈夫でしょー。流れ星ってけっこうあるし。一時間もあれば、十個くらいは見られるんじゃないかなあ」
「そっか。なら、願い事し放題ですね」
「あっは、そうだねえ。時間は一時間しかないけど、いっぱい見つけて、いっぱい願い事しちゃおう」
「そうしますそうします」
呑気な会話を聞きながらペーを見ると、分かりやすすぎるくらいテンパってた。
そうだった。忘れてた。
「先生、あの、給水塔のとこ行って、そこから見てもいいですか?」
ガマンできなくなったみたいで、ペーが急に言う。
「給水塔?」
「はい。あの——」入口の脇の壁から生えたハシゴを指さすペー。「——あそこから」
「うーん。でも危なくないかなあ?」
「大丈夫です。気をつけるんで」
「うーん」
東先生が困った顔をする。
東先生を困らせるぺーにちょっとムカついたけど、それが理由で連れてきちゃったし、助けてやろう。
「先生、とりあえずぺーに行ってもらって、安全かどうか見てきてもらったらいいんじゃないすか?」
「そうだねえ。じゃあ、そうする?」
「はい! そうします!」
言って、ペーがおれに「グッジョブ!」の視線を送ってきた。
で、ふたりでハシゴのとこまで向かった。
「ありがとな」
「いいから、すぐ行って、すぐ取って、すぐ降りて来いよ。先生に迷惑かけんな」
「オーケー」
バカみたいに親指を立てて言って、ペーがハシゴを上っていった。
「あったか?」
「……あったよ」
なんか、ヘコんでんな。
「大丈夫か?」
「大丈夫じゃねえよ!」
だからなんで急に怒るの?
てか、どういうこと?
「どういう—」
「なんかあったあ?」
おれの声を、東先生の心配そうな声が遮った。
「プギッ!」
急な東先生の声に、ペーが豚声でこたえる。
「だ、大丈夫でーす。でもダメでーす。下りまーす」
言って、ペーが下りてきた。
「大丈夫だった?」
「はい、大丈夫です。でも上、めっちゃ汚かったから、ダメです」
「そっかあ。そりゃ残念だねえ。じゃあ、もどろっか」
言って、森田たちのほうにもどっていく東先生。
おれもペーと一緒にもどりながら、
「回収したか?」
って聞いた。
「うん。できたんだけどさ。上、マジで汚かったんだよ」
「さっき聞いたよ。なんだ、マジ上で見る気だったのかよ?」
「そんなわけないだろ。汚れてたんだよ、エロ本が」
「あー」
そういうことか。
「なんとかなんねえの?」
「とりあえず流れ星みつけて、願うわ」
「なんて?」
「決まってるだろ。『エロ本、キレイにしてください』ってだよ」
「ははっ」
史上最低の願い事だ。
で、もどったら、森田と東先生が並んで夜空を見上げていた。
「ありました、先生?」
森田と先生が一緒に並んでるのがなんかイヤで、つい言っちゃうと、
「うーん、ないねえ」
東先生が夜空を見上げたまま言った。
その横顔に見惚れてたら、
「ねえ、みんな願い事ってなに?」
って、山中が興味まるだしで聞いてきた。
「それ、教えたらダメなやつじゃねえの?」
森田がブスッとして言う。
「どうせ流れ星みつけたら三回いわなきゃいけないんだし、いま言っても同じでしょ。ねえ、先生も知りたいでしょ?」
「うーん、まあねえ」
「じゃあ、決まりで。ほら森田、言ってよ」
「……志望校に受かりますように、かな。あと世界平和」
「つまんねえ。なんだよ、それ」
ペーがブーイングして、森田がにらんだ。
「いいねえ。それでこそ中学生だよ」
東先生のフォロー。
「ペーは?」
山中に言われて、ペーがテンパる。
さっきペーの願い事を聞いてたおれは、笑いをこらえるのが大変だった。
「おれは……おれもあれだよ、世界平和」
「ウソつけ。一緒じゃねえかよ」
森田がブーイングして、ペーがにらむ。
「いいねえ。それでこそ中学生だよ」
「佐野は?」
山中に言われて、おれもテンパった。
ほんとの願いは「東先生のことがもっと知りたい」なんだけど、そんなこと言えるわけない。
「……おれも、世界平和かな?」
「うわーつまんない。ぜったいウソでしょ、それ。なんでみんな一緒なの?」
「うるせえな。じゃあ、お前はなんなんだよ?」
「……あたしは決まってるよ。世界平和」
「ウソつけ!」
「いいねえ。それでこそ中学生だよ」
言って、東先生が笑った。
笑ってくれたのはうれしいけど、なんか、いろいろバレてるような気がする。
「じゃあ、先生はなんなんですか? 願い事」
山中が聞く。
「うーん、なんだろ? ほとんど叶っちゃってるからなあ」
「叶ってるって、なにがですか?」
「そうだねえ。まず先生になるって夢は叶えたし、天体観測部を作るってのも叶えちゃってるしねえ」
それ聞いて、なんか……こう……胸がすげえ熱くなった。
「先生、まだ部活動になってませんよ」
森田が水を差す。バカ。
「あー、そっかあ。そうだよねえ」
「大丈夫ですよ、先生。ペーも入ってくれるし」
って、思わず言っちゃうと、
「あー、そっかあ。平くん、入ってくれるんだあ?」
って、先生が真に受けてしまった。
「はい。あ、いえ、うん、はい……」
これでペーの入部が決まってしまった。
ごめん。
「とにかくあたし、流れ星さがします」
「そうだねえ。じゃあ、みんなで探して、みんなで世界平和を願おう」
東先生に言われて、おれたちみんな夜空を見上げた。
星。
星。
星。
星。
そして、流れ星。
おれたちみんなで、世界平和を願った。
0
お気に入りに追加
3
あなたにおすすめの小説
いつか、あなたに恋をする ~終わりなき世界の鎮魂歌~
菱沼あゆ
ライト文芸
「小娘、お前は何者だ」
戦争が始まる前。
まだ華やかなりし頃の帝都にタイムスリップした真生は、美貌の軍人、高坂と出会う。
高坂は幼なじみの斗真と瓜二つなのだが。
斗真は、自分は高坂の生まれ変わりではないと言う。
過去と学園を行ったりきたりしながら、高坂と過ごすうち、タイムスリップ現象を止める方法に気づいた真生だったが――。
私は、過去という名の未来で、
いつか、あなたに恋をする――。
パパLOVE
卯月青澄
ライト文芸
高校1年生の西島香澄。
小学2年生の時に両親が突然離婚し、父は姿を消してしまった。
香澄は母を少しでも楽をさせてあげたくて部活はせずにバイトをして家計を助けていた。
香澄はパパが大好きでずっと会いたかった。
パパがいなくなってからずっとパパを探していた。
9年間ずっとパパを探していた。
そんな香澄の前に、突然現れる父親。
そして香澄の生活は一変する。
全ての謎が解けた時…きっとあなたは涙する。
☆わたしの作品に目を留めてくださり、誠にありがとうございます。
この作品は登場人物それぞれがみんな主役で全てが繋がることにより話が完成すると思っています。
最後まで読んで頂けたなら、この言葉の意味をわかってもらえるんじゃないかと感じております。
1ページ目から読んで頂く楽しみ方があるのはもちろんですが、私的には「三枝快斗」篇から読んでもらえると、また違った楽しみ方が出来ると思います。
よろしければ最後までお付き合い頂けたら幸いです。
Ambitious! ~The birth of Venus~
海獺屋ぼの
ライト文芸
松田大志は大学を卒業後、上京して機器メーカーに就職していた。
彼には地元にいた頃から、バンドをともしてきた仲間がいた。
ヴォーカルの裏月、幼なじみでベースの純。
彼らは都会の生活に押しつぶされながらもどうにか夢を掴むために奔走する。
そして神様はチャンスを与える……。
願うこととその対価について描いたライト青春小説。
《月の女神と夜の女王》のスピンオフ後日談です。
冷酷な少年に成り代わってしまった俺の話
岩永みやび
BL
気が付いたら異世界にいた主人公。それもユリスという大公家の三男に成り代わっていた。しかもユリスは「ヴィアンの氷の花」と呼ばれるほど冷酷な美少年らしい。本来のユリスがあれこれやらかしていたせいで周囲とはなんだかギクシャク。なんで俺が尻拭いをしないといけないんだ!
知識・記憶一切なしの成り代わり主人公が手探り異世界生活を送ることに。
突然性格が豹変したユリスに戸惑う周囲を翻弄しつつ異世界ライフを楽しむお話です。
※基本ほのぼの路線です。不定期更新。冒頭から少しですが流血表現あります。苦手な方はご注意下さい。
桜の華 ― *艶やかに舞う* ―
設樂理沙
ライト文芸
水野俊と滝谷桃は社内恋愛で結婚。順風満帆なふたりの結婚生活が
桃の学生時代の友人、淡井恵子の出現で脅かされることになる。
学生時代に恋人に手酷く振られるという経験をした恵子は、友だちの
幸せが妬ましく許せないのだった。恵子は分かっていなかった。
お天道様はちゃんと見てらっしゃる、ということを。人を不幸にして
自分だけが幸せになれるとでも? そう、そのような痛いことを
仕出かしていても、恵子は幸せになれると思っていたのだった。
異動でやってきた新井賢一に好意を持つ恵子……の気持ちは
はたして―――彼に届くのだろうか?
そしてそんな恵子の様子を密かに、見ている2つの目があった。
夫の俊の裏切りで激しく心を傷付けられた妻の桃が、
夫を許せる日は来るのだろうか?
―――――――――――――――――――――――
2024.6.1~2024.6.5
ぽわんとどんなstoryにしようか、イメージ(30000字くらい)。
執筆開始
2024.6.7~2024.10.5 78400字 番外編2つ
❦イラストは、AI生成画像自作
漫画の寝取り竿役に転生して真面目に生きようとしたのに、なぜかエッチな巨乳ヒロインがぐいぐい攻めてくるんだけど?
みずがめ
恋愛
目が覚めたら読んだことのあるエロ漫画の最低寝取り野郎になっていた。
なんでよりによってこんな悪役に転生してしまったんだ。最初はそう落ち込んだが、よく考えれば若いチートボディを手に入れて学生時代をやり直せる。
身体の持ち主が悪人なら意識を乗っ取ったことに心を痛める必要はない。俺がヒロインを寝取りさえしなければ、主人公は精神崩壊することなくハッピーエンドを迎えるだろう。
一時の快楽に身を委ねて他人の人生を狂わせるだなんて、そんな責任を負いたくはない。ここが現実である以上、NTRする気にはなれなかった。メインヒロインとは適切な距離を保っていこう。俺自身がお天道様の下で青春を送るために、そう固く決意した。
……なのになぜ、俺はヒロインに誘惑されているんだ?
※他サイトでも掲載しています。
※表紙や作中イラストは、AIイラストレーターのおしつじさん(https://twitter.com/your_shitsuji)に外注契約を通して作成していただきました。おしつじさんのAIイラストはすべて商用利用が認められたものを使用しており、また「小説活動に関する利用許諾」を許可していただいています。
「2人の青、金銀の護り」 それはあなたの行先を照らす ただ一つの光
美黎
ライト文芸
先祖が作った家の人形神が改築によりうっかり放置されたままで、気付いた時には家は没落寸前。
ピンチを救うべく普通の中学2年生、依る(ヨル)が不思議な扉の中へ人形神の相方、姫様を探しに旅立つ。
自分の家を救う為に旅立った筈なのに、古の予言に巻き込まれ翻弄されていく依る。旅の相方、家猫の朝(アサ)と不思議な喋る石の付いた腕輪と共に扉を巡り旅をするうちに沢山の人と出会っていく。
知ったからには許せない、しかし価値観が違う世界で、正解などあるのだろうか。
特別な能力なんて、持ってない。持っているのは「強い想い」と「想像力」のみ。
悩みながらも「本当のこと」を探し前に進む、ヨルの恋と冒険、目醒めの成長物語。
この物語を見つけ、読んでくれる全ての人に、愛と感謝を。
ありがとう
今日も矛盾の中で生きる
全ての人々に。
光を。
石達と、自然界に 最大限の感謝を。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる