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失踪した協力者と捜索依頼
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アクセルら一行が八号目付近と思われる辺りで野営を築いている頃、三号目付近で捜索を行っていたギルドの捜索隊は、無事を知らせる報告の役割にもなっていたアクセルらの狼煙が途絶えた事で、彼らも捜索の対象としてギルドに申請の準備を進めていた。
「結局あれだけイキリ散らかしておいて、お前らも迷子とはな・・・」
「けど妙じゃねぇか?アクセルとケネトって言えば、ハインドの街でも指折りの冒険家で、今じゃ調査隊よりもこの山に入ってるって聞くぜ?それが迷うもんか?」
「そりゃぁ・・・俺だっておかしいとは思うけどよ。アイツらからの狼煙が途絶えたら、それが山に異変が起こった合図になるって。事前に協力の段階でそういう話だと聞いているし、俺達ぁ報告の通り本部に申請を出すだけだ」
アクセルはギルドの協力を結んだ際に、自分達の身に何かあったらそれは回帰の山に異変が起きたことを意味すると伝えていたようだ。
以前から精気の流れに異常があるとして、独自に調べていたアクセルとケネト。シン達と共にトミの依頼を受ける中で、密かにその原因についても調べようとしていた。
山の麓にまで降りて来ていた光脈の精気は、山のヌシが麓の方へ降りて来ていなければあり得ない現象だった。人に慣れている可能性のある今回の山のヌシは、人か或いは人と身近にある生き物であるとアクセル達は踏んでいた。
その推測と共に、ギルドの本部にアクセルらとシン達の捜索依頼が届けられる。
ハインドの街、ギルド本部内。
「隊長、回帰の山へ向かった捜索隊から連絡が入りました」
大柄の男の元に、捜索隊の文を受け取った隊員がやって来る。隊長と呼ばれた男は、ロビーの一席で沢山の資料を机に並べてそれを読み漁っていた。表示には調査隊の記録の文字が見える。
「捜索隊から連絡?山に変化があったって事か?」
「変化・・・ですか?」
手に持っていた資料を机に置き、隊員からの手紙を受け取る大柄の男。その文の中にはアクセル達の捜索依頼と、現場の隊員の捜索についての進捗、そして精気の様子について書き記されていた。
「以前から精気の流れに妙な違和感があると、アクセルから聞かされていた。公にはしていなかったが、街の者達に不安を与えぬよう秘密裏に調査を続けていたんだ。勿論、情報提供者であるアクセルらにも報酬を支払ってな」
「混乱を招かぬ為ですか?しかし、もし手遅れになっていたら、街の者達が逃げる時間も失われてしまいますよ?」
「責任は私が取る。それにその為に山への調査に関しては、部隊を分けて編成させて普段よりも多く人員を割いているのだ。・・・三号目に精気の反応は無し。アクセルの報告と違うな。やはりヌシが移動している・・・」
隊長と呼ばれる男は、ギルドの中でも少し変わり者の部類らしく、アクセルとケネトの推測と同じように、今の回帰の山のヌシが人間ではないかと思っているようだ。
考えを同じくするアクセルらに共鳴し、ギルドとしてではなくあくまで一個人として彼らと取引をしていた。
「ヌシ様が移動・・・。しかしここまで短期間に大勢の失踪は聞いた事がないですよ」
「私も実際に山の異変に直面するのは初めての事だ。だが嘗てのヌシの記録や代替わりの様子を記した調査記録は残されている。それらと照らし合わせて突破口を開かねば、彼らを見つける事は・・・」
「して“ライノ隊長”、捜索の部隊の編成は如何されますか?」
「おう、そうだったな。捜査の手を五号目まで進める。どうやらアクセル達からの狼煙が途絶えたのはその先らしいからな。今回は私も行こう」
「隊長自らですか!?」
ライノ隊長と呼ばれた男は、嬉しそうに口角を上げる。それはまるで冒険に胸を躍らせる少年のようでもあった。長くに渡り山の調査を進めて来た彼にとって、数十年に一度と噂されるヌシの代替わりの機会に立ち会えるのは、幸運でしかなかったのだ。
現在、ギルドの捜索隊は山の麓と三号目に部隊を分けて、隊員の捜索を行っている。今回現場の隊員やアクセルからの依頼により、隊長クラスの一人であるライノと、更に五号目に設ける中継地点の部隊編成の準備を始める。
「さて、いよいよ自分の目で確かめられるという訳だな、アクセルよ・・・。お前の読みは正しい、感謝しなければならないな」
「ライノ隊長自ら・・・ですか!?ですがッ・・・」
「私に不在の間と、後任は既に決めている。彼にこれからのハインドのギルドを任せる。勝手を言ってすまないが、他の隊員や街の者達には不便は掛けないと約束しよう」
そう言うとライノは席を立ち、隊員に調査の書類の片付けを頼むと、信頼できるライノの事情を知った隊員を数人連れて、回帰の山へと向かった。
片付けを任された隊員が机の上の書物をまとめていると、ふと気になる記事を見つけた。そこには、ミネの若かりし頃の肖像画と、今から何百年も前の西暦と日付が記されていた。
「結局あれだけイキリ散らかしておいて、お前らも迷子とはな・・・」
「けど妙じゃねぇか?アクセルとケネトって言えば、ハインドの街でも指折りの冒険家で、今じゃ調査隊よりもこの山に入ってるって聞くぜ?それが迷うもんか?」
「そりゃぁ・・・俺だっておかしいとは思うけどよ。アイツらからの狼煙が途絶えたら、それが山に異変が起こった合図になるって。事前に協力の段階でそういう話だと聞いているし、俺達ぁ報告の通り本部に申請を出すだけだ」
アクセルはギルドの協力を結んだ際に、自分達の身に何かあったらそれは回帰の山に異変が起きたことを意味すると伝えていたようだ。
以前から精気の流れに異常があるとして、独自に調べていたアクセルとケネト。シン達と共にトミの依頼を受ける中で、密かにその原因についても調べようとしていた。
山の麓にまで降りて来ていた光脈の精気は、山のヌシが麓の方へ降りて来ていなければあり得ない現象だった。人に慣れている可能性のある今回の山のヌシは、人か或いは人と身近にある生き物であるとアクセル達は踏んでいた。
その推測と共に、ギルドの本部にアクセルらとシン達の捜索依頼が届けられる。
ハインドの街、ギルド本部内。
「隊長、回帰の山へ向かった捜索隊から連絡が入りました」
大柄の男の元に、捜索隊の文を受け取った隊員がやって来る。隊長と呼ばれた男は、ロビーの一席で沢山の資料を机に並べてそれを読み漁っていた。表示には調査隊の記録の文字が見える。
「捜索隊から連絡?山に変化があったって事か?」
「変化・・・ですか?」
手に持っていた資料を机に置き、隊員からの手紙を受け取る大柄の男。その文の中にはアクセル達の捜索依頼と、現場の隊員の捜索についての進捗、そして精気の様子について書き記されていた。
「以前から精気の流れに妙な違和感があると、アクセルから聞かされていた。公にはしていなかったが、街の者達に不安を与えぬよう秘密裏に調査を続けていたんだ。勿論、情報提供者であるアクセルらにも報酬を支払ってな」
「混乱を招かぬ為ですか?しかし、もし手遅れになっていたら、街の者達が逃げる時間も失われてしまいますよ?」
「責任は私が取る。それにその為に山への調査に関しては、部隊を分けて編成させて普段よりも多く人員を割いているのだ。・・・三号目に精気の反応は無し。アクセルの報告と違うな。やはりヌシが移動している・・・」
隊長と呼ばれる男は、ギルドの中でも少し変わり者の部類らしく、アクセルとケネトの推測と同じように、今の回帰の山のヌシが人間ではないかと思っているようだ。
考えを同じくするアクセルらに共鳴し、ギルドとしてではなくあくまで一個人として彼らと取引をしていた。
「ヌシ様が移動・・・。しかしここまで短期間に大勢の失踪は聞いた事がないですよ」
「私も実際に山の異変に直面するのは初めての事だ。だが嘗てのヌシの記録や代替わりの様子を記した調査記録は残されている。それらと照らし合わせて突破口を開かねば、彼らを見つける事は・・・」
「して“ライノ隊長”、捜索の部隊の編成は如何されますか?」
「おう、そうだったな。捜査の手を五号目まで進める。どうやらアクセル達からの狼煙が途絶えたのはその先らしいからな。今回は私も行こう」
「隊長自らですか!?」
ライノ隊長と呼ばれた男は、嬉しそうに口角を上げる。それはまるで冒険に胸を躍らせる少年のようでもあった。長くに渡り山の調査を進めて来た彼にとって、数十年に一度と噂されるヌシの代替わりの機会に立ち会えるのは、幸運でしかなかったのだ。
現在、ギルドの捜索隊は山の麓と三号目に部隊を分けて、隊員の捜索を行っている。今回現場の隊員やアクセルからの依頼により、隊長クラスの一人であるライノと、更に五号目に設ける中継地点の部隊編成の準備を始める。
「さて、いよいよ自分の目で確かめられるという訳だな、アクセルよ・・・。お前の読みは正しい、感謝しなければならないな」
「ライノ隊長自ら・・・ですか!?ですがッ・・・」
「私に不在の間と、後任は既に決めている。彼にこれからのハインドのギルドを任せる。勝手を言ってすまないが、他の隊員や街の者達には不便は掛けないと約束しよう」
そう言うとライノは席を立ち、隊員に調査の書類の片付けを頼むと、信頼できるライノの事情を知った隊員を数人連れて、回帰の山へと向かった。
片付けを任された隊員が机の上の書物をまとめていると、ふと気になる記事を見つけた。そこには、ミネの若かりし頃の肖像画と、今から何百年も前の西暦と日付が記されていた。
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