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後日談、一幕
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数日間に渡り行われた、歴史ある音楽の街で起きてしまう連続殺人事件。犯行の方法や証拠が掴めず捜査は難航しており、解決されないまま事件に幕が降りてしまうのではないかと思われていたある日、突然犯人逮捕の一報が届く。
犯人はアルバの街一大きな音楽学校の職員であった“ヨルダン・クリストフ・ベルツ”という人物だった。
彼は以前から式典の日を犯行の決行日として計画しており、その特異な能力によって捜査を撹乱させ、証拠すら残さず巧みな犯行を実現した。そんな彼が何故突然捕まったのか。
そして意外な事に、捕まったクリストフは直ぐに犯行を自供したのだそうだ。現場の様子やこれまでの捜査と照らし合わせると、どれもこれも辻褄の合う話ばかりで、その時の捜査員達も何か企んでいるのではないかと不気味に感じていたという。
宮殿での出来事が一般にも公開されたのは、犯人が捕まってから二日ほど経ってからだった。事件の間、宮殿入りを許されなかった音楽学校の生徒達の元にも、宮殿内で何が起きていたのか、そして犯人が何者かだったのかなどの一報が届けられていた。
「まぁ殺人事件ですって!怖いわねぇ」
「折角観光地としても栄えてきたのに、これでまた人が来なくなるのだけは勘弁してもらいたいわ」
「・・・・・」
使用人達が話している所に偶然現れたレオン。それに気がついた使用人達が、主人の息子である彼が通う学校の職員が犯人だった事を口にしながらレオンに挨拶を交わし、仕事へと戻っていく。
「クリストフさんが・・・どうして?取り敢えずジル達と合流してみるか」
宮殿の事件での件もあり、音楽学校も数日の間休みとなった。犯人のクリストフが通う職場に、他に彼の犯行を促す証拠や動機に繋がる何かがあるかも知れない。
現場をそのままの状態に保存し、職員室は立ち入り禁止になっている。恐らくジルやカルロスの所にも同じ報告がいっている筈だろう。彼らの記憶は別の世界線で宮殿内に侵入した時のものは一切無くなっており、パーティー後の宮殿に立ち入れない事に疑問を抱いていた頃の記憶で止まってしまっていた。
家を飛び出したレオンがジルの自宅へと向かう道中、宮殿を遠くから眺めるカルロスを見つけた。丁度彼との記憶の共有を考えていたレオンは、ここで何をしているのかとカルロスに問う。
「レオンか。宮殿での殺人事件が起きてたって話だぜ・・・」
「あぁ、俺も聞いた」
「だから入れなかったんだな。街の人達も、隠してたんじゃなくて知らなかったらしいし、あの時の胸のざわめきって言うの?あれ・・・俺の気のせいだったのか?」
いつにもなく塩らしいカルロスの言葉に、レオンも同じ感想を抱いていた。何か腑に落ちない。あれだけ謎に包まれたアルバの街で起きていたのか異変。それが一人の人間によって引き起こされた事件であったなんて。
何よりも彼らにそう思わせたのは、クリストフ・ベルツという人物が、これ程の大事件を引き起こせるような人物に思えなかったからだった。学校では職員として目立つような事もなく、あまり生徒達と関わる事もなかった。
マティアス司祭とはよく会っていたようだが、彼らにはそれ以上の印象が全くない。
「そういえばお前、何処かへ行くんじゃないのか?俺なんかと話してていいのかよ」
「いや、丁度お前とも話そうと思ってたんだ。一緒に来てくれ、ジルのところへ行って彼女にもその違和感について聞いてみよう」
「それじゃぁやっぱりお前も感じてたのか・・・。まぁいい、それじゃみんな集まってからもう一回話そうぜ」
レオンは宮殿の見える大通りでカルロスと合流し、当初の目的であるジルの家へと向かう。彼女の家は大通りからそう遠くはなかった。道中、二人は特に何も会話をする事もなく、ただ黙々と歩みを進めた。
ジルの家に着くと、早速呼び鈴を鳴らすと中から出てきたのは、レオンの家と同様に彼女の家で働いている使用人だった。以前にも訪れていたことがあるので、使用人はレオンの事を知っているようだ。
事情を話すと彼女は少し前に出掛けてしまったらしい。それも誰にも行き先を告げずに出て行ってしまった為、何処へ向かったのかも分からないのだという。ただ日の出ているうちに戻るとだけ使用人に伝えてはいたらしい。
「マジかよ、こんな時に・・・。何処へ行ったんだ?ジルの奴」
「きっとジルも俺達と同じ違和感を持っている筈だ。事件について詳しくて、俺達でも面会出来そうな人に事情を聞きに行ったんじゃないか?」
「なるほどな。それじゃぁ教会とかか?マティアス司祭とかまさに条件にピッタリだな!」
「またどっかに行かれる前に急ごう!」
カルロスの提案で、マティアス司祭が担当しているグーゲル教会へ向かう二人。ジルの家からならそれ程遠くはない。直ぐに挨拶を済ませ彼女の家を出発したレオンとカルロスは、教会に着くとそこが教会である事も忘れ、勢いよく扉を開けてジルを探す。
「ジル!居るか!?」
「おっおい、カルロス!声が大きい」
すると奥から、彼らと同じくらいの年頃の少女が現れ、二人に場をわきまえるよう声を掛ける。取り敢えずは合流できた事に安堵する二人。しかしそこにマティアス司祭の姿はなかった。
犯人はアルバの街一大きな音楽学校の職員であった“ヨルダン・クリストフ・ベルツ”という人物だった。
彼は以前から式典の日を犯行の決行日として計画しており、その特異な能力によって捜査を撹乱させ、証拠すら残さず巧みな犯行を実現した。そんな彼が何故突然捕まったのか。
そして意外な事に、捕まったクリストフは直ぐに犯行を自供したのだそうだ。現場の様子やこれまでの捜査と照らし合わせると、どれもこれも辻褄の合う話ばかりで、その時の捜査員達も何か企んでいるのではないかと不気味に感じていたという。
宮殿での出来事が一般にも公開されたのは、犯人が捕まってから二日ほど経ってからだった。事件の間、宮殿入りを許されなかった音楽学校の生徒達の元にも、宮殿内で何が起きていたのか、そして犯人が何者かだったのかなどの一報が届けられていた。
「まぁ殺人事件ですって!怖いわねぇ」
「折角観光地としても栄えてきたのに、これでまた人が来なくなるのだけは勘弁してもらいたいわ」
「・・・・・」
使用人達が話している所に偶然現れたレオン。それに気がついた使用人達が、主人の息子である彼が通う学校の職員が犯人だった事を口にしながらレオンに挨拶を交わし、仕事へと戻っていく。
「クリストフさんが・・・どうして?取り敢えずジル達と合流してみるか」
宮殿の事件での件もあり、音楽学校も数日の間休みとなった。犯人のクリストフが通う職場に、他に彼の犯行を促す証拠や動機に繋がる何かがあるかも知れない。
現場をそのままの状態に保存し、職員室は立ち入り禁止になっている。恐らくジルやカルロスの所にも同じ報告がいっている筈だろう。彼らの記憶は別の世界線で宮殿内に侵入した時のものは一切無くなっており、パーティー後の宮殿に立ち入れない事に疑問を抱いていた頃の記憶で止まってしまっていた。
家を飛び出したレオンがジルの自宅へと向かう道中、宮殿を遠くから眺めるカルロスを見つけた。丁度彼との記憶の共有を考えていたレオンは、ここで何をしているのかとカルロスに問う。
「レオンか。宮殿での殺人事件が起きてたって話だぜ・・・」
「あぁ、俺も聞いた」
「だから入れなかったんだな。街の人達も、隠してたんじゃなくて知らなかったらしいし、あの時の胸のざわめきって言うの?あれ・・・俺の気のせいだったのか?」
いつにもなく塩らしいカルロスの言葉に、レオンも同じ感想を抱いていた。何か腑に落ちない。あれだけ謎に包まれたアルバの街で起きていたのか異変。それが一人の人間によって引き起こされた事件であったなんて。
何よりも彼らにそう思わせたのは、クリストフ・ベルツという人物が、これ程の大事件を引き起こせるような人物に思えなかったからだった。学校では職員として目立つような事もなく、あまり生徒達と関わる事もなかった。
マティアス司祭とはよく会っていたようだが、彼らにはそれ以上の印象が全くない。
「そういえばお前、何処かへ行くんじゃないのか?俺なんかと話してていいのかよ」
「いや、丁度お前とも話そうと思ってたんだ。一緒に来てくれ、ジルのところへ行って彼女にもその違和感について聞いてみよう」
「それじゃぁやっぱりお前も感じてたのか・・・。まぁいい、それじゃみんな集まってからもう一回話そうぜ」
レオンは宮殿の見える大通りでカルロスと合流し、当初の目的であるジルの家へと向かう。彼女の家は大通りからそう遠くはなかった。道中、二人は特に何も会話をする事もなく、ただ黙々と歩みを進めた。
ジルの家に着くと、早速呼び鈴を鳴らすと中から出てきたのは、レオンの家と同様に彼女の家で働いている使用人だった。以前にも訪れていたことがあるので、使用人はレオンの事を知っているようだ。
事情を話すと彼女は少し前に出掛けてしまったらしい。それも誰にも行き先を告げずに出て行ってしまった為、何処へ向かったのかも分からないのだという。ただ日の出ているうちに戻るとだけ使用人に伝えてはいたらしい。
「マジかよ、こんな時に・・・。何処へ行ったんだ?ジルの奴」
「きっとジルも俺達と同じ違和感を持っている筈だ。事件について詳しくて、俺達でも面会出来そうな人に事情を聞きに行ったんじゃないか?」
「なるほどな。それじゃぁ教会とかか?マティアス司祭とかまさに条件にピッタリだな!」
「またどっかに行かれる前に急ごう!」
カルロスの提案で、マティアス司祭が担当しているグーゲル教会へ向かう二人。ジルの家からならそれ程遠くはない。直ぐに挨拶を済ませ彼女の家を出発したレオンとカルロスは、教会に着くとそこが教会である事も忘れ、勢いよく扉を開けてジルを探す。
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