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積み重なる負荷
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ツクヨの目論見は見事に的中。彼の放った衝撃波は、二人に迫るシャボン玉を悉く切り裂き、衝撃を漏らす事なく排除する事に成功した。
「これはッ・・・!?」
「彼にはあの女を抑えておくように指示したが、彼こそ支援に回ってもらった方が良さそうだ」
窮地を救われたプラチドとケイシーは、ツクヨの不可思議な戦闘方法に唖然としていた。彼はその場で浮いたり降りて来たりと、まるで重力を操るかのような不自然な動きをしている。それを初めて見るけいには、ツクヨが重力系のスキルを使うクラスに見えていた事だろう。
「二人とも!彼女の攻撃方法が変わった以上、こちらも役割を変えた方が良さそうだ。見えないシャボン玉は私に任せてくれ!」
「そりゃぁ助かる。あの女と取り巻き達は俺達に任せろ!ケイシー、アンタは主に取り巻き達を頼む」
「あぁ、任せとけ。だがアンタだけであの女をやれるのか?」
本来クレリックのクラスの役割といえば、前線で戦う仲間の支援や回復、バフ効果の付与などのサポートがメインとなるが、プラチドは錫杖を振り回して取り巻きの霊体達を振り払うと、口角を上げて不敵な笑みを浮かべる。
「俺はサポートも出来る前衛職なんだよねぇこれが!」
得意げに振るう錫杖は、宛らランサーが扱う槍のように鮮やかなもので、時折鳴らす遊環が霊を祓う浄化の効果があるのか、光の衝撃波が波紋のように広がると、謎の人物達を一時的に退けていた。
「そいつは頼もしいことで。んじゃ俺も、ご期待に添えるとしますか!」
ケイシーも負けじと植物のスキルをふんだんに使い、プラチドやツクヨが動きやすい環境づくりをしていく。彼の作り出す蔦や根っこは、ツクヨの視界に入る事で認知され、彼の瞼の裏に映る景色の中で移動を助ける足場となっていた。
再び流れが彼らの方へと向き始め、宮殿入り口の戦いにも勝機が見えてきた。だがアンナ達、バッハの一族の持つ月光写譜の真価が
発揮されるのはまだ先の話だった。
三人の動きを抑える為に、シャボン玉を生み出したり謎の人物達を召喚したりと、無尽蔵の魔力で抵抗するアンナ。時折スピーカーを地上に配置しながら迫るプラチドを牽制する手段を取る。
そんな彼女の様子は、まるで時間稼ぎでもしているかの様だった。プラチドがいいところまで接近すると、彼女は身を守るように周囲にシャボン玉を展開し、その度にツクヨが能力を使って位置を見極めると、衝撃波を飛ばして切断していたのだが、暫くしてツクヨの特異な能力の欠点が浮き彫りになる。
側から見れば、目を閉じてその場所を確認しているだけのように見えるが、実際に能力を使っているツクヨの身体は深海千メートルとはいかずとも、それに近い負荷と、息を止めなければならないという事を繰り返していたのだ。
それにより受けるダメージは目に見えるものではなく、ツクヨの身体を蝕む毒のように彼を苦しめていた。要はシャボン玉の位置を確かめるだけの為に深海へ潜り、身体はその水圧による圧迫を受けている状態なのだ。
アンナの手数に比べてツクヨからの援護が遅れ始めた事に異変を覚えたプラチドは、一体攻勢を緩めツクヨの様子を遠目から窺っていた。すると彼は、初めの方と比べ明らかにケイシーの生み出した植物にもたれ掛かる回数が増えていた。
「やはりあの力・・・ノーリスクって訳じゃなかったか。クソッ・・・!多少無茶をしてでも突っ込まないと、手が付けられなくなる・・・!」
プラチドは遊環の一つを外すと、ツクヨの方にそれを投げた。するとその遊環はツクヨの側の宙に浮遊し、彼の疲労を回復しながら緩和し始めた。それを合図にプラチドは走り出し、まだシャボン玉の排除も終えてない中を無謀にも突っ込んでいく。
爆発による衝撃を受けながらも、それを光に衝撃波で緩和しながら、接近するプラチドから逃げるように移動するアンナを追い詰めていく。
「あの野郎ッ・・・無茶し過ぎだろ!?」
「彼の無茶な特攻、私に寄越した回復・・・。そこから読み取れるもの・・・そうか!彼は私のダメージに気付いて・・・。なら期待に応えなければ・・・!」
ツクヨはプラチドが、自分のダメージについて気付いた事を知り、ツクヨが限界を迎える前に勝負に出たのだと理解した。その為に爆発に巻き込まれながらも突っ込み、道を切り開いているのを知る。
そして彼の期待とは、シャボン玉を全て排除するのではなく、あくまでプラチドにとって致命傷になるものだけを選抜し破壊してくれというメッセージだったのだ。
「分かったよ、貴方が覚悟を決めたのなら私もそれに付き合おう」
ツクヨは再び布都御魂剣の能力を発動し深海へ潜ると、アンナとプラチドの間合いで邪魔となるシャボン玉だけを見極めると、目を開きそのシャボン玉の場所目掛けて剣撃から生じる衝撃波を放つ。
プラチドの意図は見事にツクヨにつたわり、彼の放った衝撃波がそれを証明してみせた。ツクヨが作戦を察してくれた事に感謝しながら、プラチドは他のシャボン玉の破裂には目もくれず身を守りながら突っ込んで行くと、遂に手の届くところにまでアンナを捉えたのだった。
「これはッ・・・!?」
「彼にはあの女を抑えておくように指示したが、彼こそ支援に回ってもらった方が良さそうだ」
窮地を救われたプラチドとケイシーは、ツクヨの不可思議な戦闘方法に唖然としていた。彼はその場で浮いたり降りて来たりと、まるで重力を操るかのような不自然な動きをしている。それを初めて見るけいには、ツクヨが重力系のスキルを使うクラスに見えていた事だろう。
「二人とも!彼女の攻撃方法が変わった以上、こちらも役割を変えた方が良さそうだ。見えないシャボン玉は私に任せてくれ!」
「そりゃぁ助かる。あの女と取り巻き達は俺達に任せろ!ケイシー、アンタは主に取り巻き達を頼む」
「あぁ、任せとけ。だがアンタだけであの女をやれるのか?」
本来クレリックのクラスの役割といえば、前線で戦う仲間の支援や回復、バフ効果の付与などのサポートがメインとなるが、プラチドは錫杖を振り回して取り巻きの霊体達を振り払うと、口角を上げて不敵な笑みを浮かべる。
「俺はサポートも出来る前衛職なんだよねぇこれが!」
得意げに振るう錫杖は、宛らランサーが扱う槍のように鮮やかなもので、時折鳴らす遊環が霊を祓う浄化の効果があるのか、光の衝撃波が波紋のように広がると、謎の人物達を一時的に退けていた。
「そいつは頼もしいことで。んじゃ俺も、ご期待に添えるとしますか!」
ケイシーも負けじと植物のスキルをふんだんに使い、プラチドやツクヨが動きやすい環境づくりをしていく。彼の作り出す蔦や根っこは、ツクヨの視界に入る事で認知され、彼の瞼の裏に映る景色の中で移動を助ける足場となっていた。
再び流れが彼らの方へと向き始め、宮殿入り口の戦いにも勝機が見えてきた。だがアンナ達、バッハの一族の持つ月光写譜の真価が
発揮されるのはまだ先の話だった。
三人の動きを抑える為に、シャボン玉を生み出したり謎の人物達を召喚したりと、無尽蔵の魔力で抵抗するアンナ。時折スピーカーを地上に配置しながら迫るプラチドを牽制する手段を取る。
そんな彼女の様子は、まるで時間稼ぎでもしているかの様だった。プラチドがいいところまで接近すると、彼女は身を守るように周囲にシャボン玉を展開し、その度にツクヨが能力を使って位置を見極めると、衝撃波を飛ばして切断していたのだが、暫くしてツクヨの特異な能力の欠点が浮き彫りになる。
側から見れば、目を閉じてその場所を確認しているだけのように見えるが、実際に能力を使っているツクヨの身体は深海千メートルとはいかずとも、それに近い負荷と、息を止めなければならないという事を繰り返していたのだ。
それにより受けるダメージは目に見えるものではなく、ツクヨの身体を蝕む毒のように彼を苦しめていた。要はシャボン玉の位置を確かめるだけの為に深海へ潜り、身体はその水圧による圧迫を受けている状態なのだ。
アンナの手数に比べてツクヨからの援護が遅れ始めた事に異変を覚えたプラチドは、一体攻勢を緩めツクヨの様子を遠目から窺っていた。すると彼は、初めの方と比べ明らかにケイシーの生み出した植物にもたれ掛かる回数が増えていた。
「やはりあの力・・・ノーリスクって訳じゃなかったか。クソッ・・・!多少無茶をしてでも突っ込まないと、手が付けられなくなる・・・!」
プラチドは遊環の一つを外すと、ツクヨの方にそれを投げた。するとその遊環はツクヨの側の宙に浮遊し、彼の疲労を回復しながら緩和し始めた。それを合図にプラチドは走り出し、まだシャボン玉の排除も終えてない中を無謀にも突っ込んでいく。
爆発による衝撃を受けながらも、それを光に衝撃波で緩和しながら、接近するプラチドから逃げるように移動するアンナを追い詰めていく。
「あの野郎ッ・・・無茶し過ぎだろ!?」
「彼の無茶な特攻、私に寄越した回復・・・。そこから読み取れるもの・・・そうか!彼は私のダメージに気付いて・・・。なら期待に応えなければ・・・!」
ツクヨはプラチドが、自分のダメージについて気付いた事を知り、ツクヨが限界を迎える前に勝負に出たのだと理解した。その為に爆発に巻き込まれながらも突っ込み、道を切り開いているのを知る。
そして彼の期待とは、シャボン玉を全て排除するのではなく、あくまでプラチドにとって致命傷になるものだけを選抜し破壊してくれというメッセージだったのだ。
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ツクヨは再び布都御魂剣の能力を発動し深海へ潜ると、アンナとプラチドの間合いで邪魔となるシャボン玉だけを見極めると、目を開きそのシャボン玉の場所目掛けて剣撃から生じる衝撃波を放つ。
プラチドの意図は見事にツクヨにつたわり、彼の放った衝撃波がそれを証明してみせた。ツクヨが作戦を察してくれた事に感謝しながら、プラチドは他のシャボン玉の破裂には目もくれず身を守りながら突っ込んで行くと、遂に手の届くところにまでアンナを捉えたのだった。
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