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殺害方法とその能力
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糸と音楽によって床に倒れた者達は、次々に黒い塵となって崩れ去っていく。騒然とする司令室。不気味で恐ろしい光景にアカリも口を押さえながら必死に叫び声を殺し、ふるふると震えている。
「なッ何だよ・・・コレぇ!人が・・・消えちまった!?死んだのか!?」
「いや、これは単なる俺の勘だけど、死んだんじゃないと思う」
「どうしてそう言えるんだよ!?」
「ここでこれほど多くの人を巻き込んだ殺害が可能なら、もっとベストなタイミングと場所があっただろ」
シンの言葉に記憶を辿るツクヨとアカリ。多くの人が一か所にまとまるタイミング、そしてその場所や機会はいくらでもあった。式典の時やパーティーで人が集まっていた時などだ。
「じゃぁどうして今何だ?」
「目的が達成された・・・。或いはその必要がなくなったか・・・」
しかしそれでは殺していない理由にはならない。寧ろその逆で、用済みになった者達が邪魔になり一辺に消しに掛かったとも考えられる。しかしそれでは、ターゲットをわざわざ別に殺す必要はないとシンは語る。
ならば何故、ジークベルト大司教やルーカス司祭、ベルベルトなどを別々に殺したのか。あくまで犯人は、ターゲットだけを殺害する目的の為に動いており、他のその他大勢を殺す事は目的には入らないのではないかと考えていた。
「でも生かしておいたら邪魔になるだろ?犯人探しをする奴だって出るだろう。ってか現に犯人探しが始まってるし・・・」
ツバキの質問にシンは明確な回答をする事はできなかった。そもそもできる筈もない。犯人の思考など犯人にしか分からず、どんな目的があるのかなどその人物の過去や話でも聞かない限り理解する事も出来ないのだから。
司令室襲撃を受け、バルトロメオや紅葉のの活躍により生き残った一部の者達は、それぞれに犯人の犯行の考察をするが不思議と彼らの考えは同じような結論へと向かっていた。
ターゲット以外に向けられるこの音による衝撃の攻撃は、死を与えるものではなくこの場から退場させる為の攻撃であるのだと。そしてその攻撃によって姿を消したものが何処へ行くのかを口にしたのが、昨日の記憶の一部を今日に持ち込んだ唯一の人物であるブルース・ワルターだった。
「安心しろ、消えた者達は死んじゃいない」
「何故そう言い切れる?」
オイゲンがブルースの言葉にその真意を問う。それにブルースは、この場に昨日の出来事を鮮明に思い出せる者はいるかと問い返す。ブルースの問いかけを聞いていた者達は、その場ですぐに昨日の記憶を思い返すのだが、それらはとても曖昧で自分でもおかしいと思えるような記憶を持っている者が殆どだった。
記憶が曖昧になっているのは昨日だけで、それ以前の大司教殺害の日の事や、ルーカス司祭とベルベルト殺害の出来事もしっかりと思いだせているのが、更に不気味さを増す要因となっていた。
「何故思い出せないか・・・簡単だ。昨日の記憶が改竄されている。いや、言い方を変えよう。昨日我々は今と同じように犯人のものと思われる襲撃を受けた。そして未知なる能力と力に我々は敗北し、彼らと同じように塵に変えられ記憶を改竄された」
そう言ってブルースは、今まで床に倒れていた者達の方へ視線を送る。そこには既に彼らの姿はない。僅かに残っているのは、塵に変わった彼らの肉体の一部のみ。
「敵の持つ能力は、音によって生じる“振動“だ。対象を外傷もなく攻撃出来たのは、振動を直接体内へ伝え内部から破壊を発生させたからだ。その一端を担っているのが、一部の者達も既に目にしているだろうが、その“糸“だ」
あの時胸に走った激痛は、糸を通じて彼らの体内に道標を作り出し、音のシャボン玉が発する音楽を利用し振動を糸へと流し込む。そして振動は目的地である各々の胸、つまり心臓付近へと向かい内部破壊を起こさせていたというのが、ブルースの語る犯人の手口だった。
「音・・・。確かにそれなら証拠は残らない。心不全などという死因も納得がいきますね」
「だがそんな奴とどうやって戦う?目に見えぬ攻撃など厄介極まりないぞ・・・」
宮殿入り口で戦っている霊体のアンナによる音の攻撃のように、強力で広範囲のものであれば振動は空気中を伝い、歪みを生み出すので肉眼でも僅かながら確認は可能だが、糸という媒体を利用し振動を送り込むことで、振動の伝わりを限りなく肉眼では確認出来ないように仕向けている。
オイゲンのいうように苦戦は必至だった。現に昨日の彼らも、その厄介な攻撃と能力の前に次々に倒れていった。昨日の戦闘とは違い、戦闘戦闘方法が分かったという違いこそあれど攻略法を見出した訳ではない。
こちらにある敵対できる武器として有効だと考えられるのは、糸を燃やすことのできるバルトロメオと紅葉の炎。そして糸自体を触れさせないようにする、シンの影のスキルによるコーティングくらいしかない。
そしてブルース自体は、肉体が自身の物ではない為、他の者達のように内部破壊を行なわれても、動きに支障のある部分さえ壊されなければ戦闘は可能。その間に何処からか攻撃を仕掛けてくる本体を見つけ出し、叩くことさえできれば事件は解決するのだが・・・。
「なッ何だよ・・・コレぇ!人が・・・消えちまった!?死んだのか!?」
「いや、これは単なる俺の勘だけど、死んだんじゃないと思う」
「どうしてそう言えるんだよ!?」
「ここでこれほど多くの人を巻き込んだ殺害が可能なら、もっとベストなタイミングと場所があっただろ」
シンの言葉に記憶を辿るツクヨとアカリ。多くの人が一か所にまとまるタイミング、そしてその場所や機会はいくらでもあった。式典の時やパーティーで人が集まっていた時などだ。
「じゃぁどうして今何だ?」
「目的が達成された・・・。或いはその必要がなくなったか・・・」
しかしそれでは殺していない理由にはならない。寧ろその逆で、用済みになった者達が邪魔になり一辺に消しに掛かったとも考えられる。しかしそれでは、ターゲットをわざわざ別に殺す必要はないとシンは語る。
ならば何故、ジークベルト大司教やルーカス司祭、ベルベルトなどを別々に殺したのか。あくまで犯人は、ターゲットだけを殺害する目的の為に動いており、他のその他大勢を殺す事は目的には入らないのではないかと考えていた。
「でも生かしておいたら邪魔になるだろ?犯人探しをする奴だって出るだろう。ってか現に犯人探しが始まってるし・・・」
ツバキの質問にシンは明確な回答をする事はできなかった。そもそもできる筈もない。犯人の思考など犯人にしか分からず、どんな目的があるのかなどその人物の過去や話でも聞かない限り理解する事も出来ないのだから。
司令室襲撃を受け、バルトロメオや紅葉のの活躍により生き残った一部の者達は、それぞれに犯人の犯行の考察をするが不思議と彼らの考えは同じような結論へと向かっていた。
ターゲット以外に向けられるこの音による衝撃の攻撃は、死を与えるものではなくこの場から退場させる為の攻撃であるのだと。そしてその攻撃によって姿を消したものが何処へ行くのかを口にしたのが、昨日の記憶の一部を今日に持ち込んだ唯一の人物であるブルース・ワルターだった。
「安心しろ、消えた者達は死んじゃいない」
「何故そう言い切れる?」
オイゲンがブルースの言葉にその真意を問う。それにブルースは、この場に昨日の出来事を鮮明に思い出せる者はいるかと問い返す。ブルースの問いかけを聞いていた者達は、その場ですぐに昨日の記憶を思い返すのだが、それらはとても曖昧で自分でもおかしいと思えるような記憶を持っている者が殆どだった。
記憶が曖昧になっているのは昨日だけで、それ以前の大司教殺害の日の事や、ルーカス司祭とベルベルト殺害の出来事もしっかりと思いだせているのが、更に不気味さを増す要因となっていた。
「何故思い出せないか・・・簡単だ。昨日の記憶が改竄されている。いや、言い方を変えよう。昨日我々は今と同じように犯人のものと思われる襲撃を受けた。そして未知なる能力と力に我々は敗北し、彼らと同じように塵に変えられ記憶を改竄された」
そう言ってブルースは、今まで床に倒れていた者達の方へ視線を送る。そこには既に彼らの姿はない。僅かに残っているのは、塵に変わった彼らの肉体の一部のみ。
「敵の持つ能力は、音によって生じる“振動“だ。対象を外傷もなく攻撃出来たのは、振動を直接体内へ伝え内部から破壊を発生させたからだ。その一端を担っているのが、一部の者達も既に目にしているだろうが、その“糸“だ」
あの時胸に走った激痛は、糸を通じて彼らの体内に道標を作り出し、音のシャボン玉が発する音楽を利用し振動を糸へと流し込む。そして振動は目的地である各々の胸、つまり心臓付近へと向かい内部破壊を起こさせていたというのが、ブルースの語る犯人の手口だった。
「音・・・。確かにそれなら証拠は残らない。心不全などという死因も納得がいきますね」
「だがそんな奴とどうやって戦う?目に見えぬ攻撃など厄介極まりないぞ・・・」
宮殿入り口で戦っている霊体のアンナによる音の攻撃のように、強力で広範囲のものであれば振動は空気中を伝い、歪みを生み出すので肉眼でも僅かながら確認は可能だが、糸という媒体を利用し振動を送り込むことで、振動の伝わりを限りなく肉眼では確認出来ないように仕向けている。
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そしてブルース自体は、肉体が自身の物ではない為、他の者達のように内部破壊を行なわれても、動きに支障のある部分さえ壊されなければ戦闘は可能。その間に何処からか攻撃を仕掛けてくる本体を見つけ出し、叩くことさえできれば事件は解決するのだが・・・。
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