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いざ司令室へ
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一行は荷物をまとめ、司令室に向かうため部屋を後にしようとしていた。すると、彼らの宿泊していた部屋の側でも、大きな物音が聞こえてくる。恐らくそこでも謎の人物達との戦闘が始まったのだろう。
「何の音・・・?」
「他でも襲撃が行われているんだろう。音からして割と近いな」
「貴方達は準備を。私が外の様子を見てこよう」
ニノンが彼らの代わりに外の様子を見に行ってくれた。部屋を出たニノンは廊下を見渡すと、遠くの方で戦闘が行われているのは目に入るが、先程聞こえたような近場で戦っている場面は見受けられなかった。
「・・・?」
廊下ではなく近くの部屋で戦っているのだろうか。ニノンがそう考え始めた途端、壁を突き破り大きな腕のようなものが、謎の人物達をまとめて吹き飛ばしている何者かの攻撃を目の当たりにする。
「なッ・・・!?」
「オラぁぁぁッ!とっとと出ていきやがれぇッ!!」
壊れた壁の中から現れたのは、ブルースの護衛であるバルトロメオだった。細かな状況は違うものの、奇しくも彼らの記憶から消し去られた、前日のバルトロメオの騒動と同じ光景がそこにはあった。
「貴様ッ!宮殿をッ・・・!」
「あぁ!?しょうがねぇだろ。先に仕掛けて来やがったのはコイツらなんだからよぉ。それにテメェら教団がしっかりしてねぇから、こんな奴らに侵入されてんじゃねぇのか!?」
「何をッ・・・!」
バルトロメオの挑発に反す言葉が出てこなかった。彼のいう通り、ここ数日の間宮殿の守りを担当していたのは、アルバの警備隊と教団の護衛隊だった。無論、気配の感知や宮殿のセキュリティに問題はなかった。
しかし、それを難なく掻い潜って来たのが今も尚宮殿を襲撃している、この謎の人物達だった。霊体であれば感知できる能力を持つ者も教団の中にはいた筈。なのに何故それを突破できたのか、ニノンにもそれが不思議でならなかった。
口論を繰り広げようとしていたところに、バルトロメオが突き破った壁の穴から別の人物の声で、彼を止めようとする人物が姿を現す。
「よせ、バルトロメオ。奴らの気配が掴めなかったのは我々も同じこと・・・」
「あぁそうだな。じゃぁオメェも無能ってこった!」
「野獣のように暴れるお前にだけは言われたくないな」
「あぁ!?」
その男はバルトロメオに言いたいことだけ言うと、今度はニノンの方を向き宮殿の壁を破壊した件についての謝罪と、修復についても説明する。彼は造形師のクラスであり、土や粘土などを使って様々なモノを作り出すことが出来るらしい。
その情報に関しては、ニノンも教団の資料で事前に調査済みだったのだが、そう簡単に全ての人間、全ての能力を把握しておくのは難しい。それでもブルースの護衛で造形師という単語を聞いただけで、ニノンにはその人物が何者であるのかを悟った。
「私はゾルターン。造形師のクラスに就いている。あなた方のお陰で壁を見る機会も長かったので、私が責任を持って直しておく。それでいいかな?」
「あっ・・・あぁ、それh助かるが・・・」
「話は以上だ。大将が少し体調が悪くてね。コイツには気をつけるよう伝えておくから、これで失礼する」
「あぁ、ちょっと!ブルースさんの体調が悪いとはッ・・・」
話を聞こうとしたニノンだったが、ゾルターンはバルトロメオを連れて部屋へと戻って行く。その直後、彼らが壊した壁が床から染み出してくるように現れた泥によって塞がれ、模様や汚れまでそっくりそのまま元通りに修復された。
大したものだと感心していると、準備を済ませたシン達が部屋から出てきた。それなりの人数がいる為、出来るだけ最短で司令室に向かいたいと説明するニノン。
それならシンとニノンが部屋に戻って来たように、窓から中庭を抜け司令室前の廊下に出るのが早いだろうと、ミアはアカリと紅葉を、ツクヨはツバキを、そしてシンは一行の荷物を担当することになり、それぞれ窓から飛び降りていく。
ニノンが先導し中庭に降りると、順次彼らの誘導を行い問題なく司令室に辿り着くことが出来た。最後になったシンはまとめて置いてある荷物を影で一階へと下ろし、自身も窓から飛び降りる。
すると、どこからか吹き飛ばされて来たように飛んできた謎の人物の一体が、壁や床を通り抜け中庭にやって来るとターゲットを切り替え、飛び降りている最中のシンに攻撃を仕掛けて来たのだ。
荷物をスキルで移動させているので、戦闘に使うことは出来ない。謎の人物の攻撃に合わせて壁を蹴ると、シンは宙で身を翻し謎の人物の背後に回る。と、同時に懐からロープの付いた短剣を謎の人物に向けて投擲する。
スキルは別に使っている為、魔力を他に割くことが出来ず投擲した短剣は謎の人物の身体を擦り抜け、壁に突き刺さる。しかしシンの投擲は攻撃が目的ではなく、壁を蹴ったことによって外に広がる身体の勢いを殺す為にロープを使っていた。
謎の人物もそのまま壁をすり抜け、シンを無視して次のターゲットを探しに行ったようだ。シンも無事に着地できたようで、異変を感じた先行組が心配そうにその様子を見ていた。
「シン!大丈夫かぁ?」
「あぁ、問題ない。荷物も・・・」
視線を上層階から下ろした荷物の方に向けると、少し雑に散らばっているのが目に入った。それ程衝撃に弱い物などはない筈だが、思いもよらぬ邪魔が入ったことによりシンのスキルの精密さが損なわれてしまったのだ。
「まぁ少しくらい問題ないだろう。それより早く司令室に」
今度は地上から荷物の影を利用し、司令室前の窓にいるミアの元に荷物を移動させると、シンも窓枠を飛び越え中へと入っていった。
「何の音・・・?」
「他でも襲撃が行われているんだろう。音からして割と近いな」
「貴方達は準備を。私が外の様子を見てこよう」
ニノンが彼らの代わりに外の様子を見に行ってくれた。部屋を出たニノンは廊下を見渡すと、遠くの方で戦闘が行われているのは目に入るが、先程聞こえたような近場で戦っている場面は見受けられなかった。
「・・・?」
廊下ではなく近くの部屋で戦っているのだろうか。ニノンがそう考え始めた途端、壁を突き破り大きな腕のようなものが、謎の人物達をまとめて吹き飛ばしている何者かの攻撃を目の当たりにする。
「なッ・・・!?」
「オラぁぁぁッ!とっとと出ていきやがれぇッ!!」
壊れた壁の中から現れたのは、ブルースの護衛であるバルトロメオだった。細かな状況は違うものの、奇しくも彼らの記憶から消し去られた、前日のバルトロメオの騒動と同じ光景がそこにはあった。
「貴様ッ!宮殿をッ・・・!」
「あぁ!?しょうがねぇだろ。先に仕掛けて来やがったのはコイツらなんだからよぉ。それにテメェら教団がしっかりしてねぇから、こんな奴らに侵入されてんじゃねぇのか!?」
「何をッ・・・!」
バルトロメオの挑発に反す言葉が出てこなかった。彼のいう通り、ここ数日の間宮殿の守りを担当していたのは、アルバの警備隊と教団の護衛隊だった。無論、気配の感知や宮殿のセキュリティに問題はなかった。
しかし、それを難なく掻い潜って来たのが今も尚宮殿を襲撃している、この謎の人物達だった。霊体であれば感知できる能力を持つ者も教団の中にはいた筈。なのに何故それを突破できたのか、ニノンにもそれが不思議でならなかった。
口論を繰り広げようとしていたところに、バルトロメオが突き破った壁の穴から別の人物の声で、彼を止めようとする人物が姿を現す。
「よせ、バルトロメオ。奴らの気配が掴めなかったのは我々も同じこと・・・」
「あぁそうだな。じゃぁオメェも無能ってこった!」
「野獣のように暴れるお前にだけは言われたくないな」
「あぁ!?」
その男はバルトロメオに言いたいことだけ言うと、今度はニノンの方を向き宮殿の壁を破壊した件についての謝罪と、修復についても説明する。彼は造形師のクラスであり、土や粘土などを使って様々なモノを作り出すことが出来るらしい。
その情報に関しては、ニノンも教団の資料で事前に調査済みだったのだが、そう簡単に全ての人間、全ての能力を把握しておくのは難しい。それでもブルースの護衛で造形師という単語を聞いただけで、ニノンにはその人物が何者であるのかを悟った。
「私はゾルターン。造形師のクラスに就いている。あなた方のお陰で壁を見る機会も長かったので、私が責任を持って直しておく。それでいいかな?」
「あっ・・・あぁ、それh助かるが・・・」
「話は以上だ。大将が少し体調が悪くてね。コイツには気をつけるよう伝えておくから、これで失礼する」
「あぁ、ちょっと!ブルースさんの体調が悪いとはッ・・・」
話を聞こうとしたニノンだったが、ゾルターンはバルトロメオを連れて部屋へと戻って行く。その直後、彼らが壊した壁が床から染み出してくるように現れた泥によって塞がれ、模様や汚れまでそっくりそのまま元通りに修復された。
大したものだと感心していると、準備を済ませたシン達が部屋から出てきた。それなりの人数がいる為、出来るだけ最短で司令室に向かいたいと説明するニノン。
それならシンとニノンが部屋に戻って来たように、窓から中庭を抜け司令室前の廊下に出るのが早いだろうと、ミアはアカリと紅葉を、ツクヨはツバキを、そしてシンは一行の荷物を担当することになり、それぞれ窓から飛び降りていく。
ニノンが先導し中庭に降りると、順次彼らの誘導を行い問題なく司令室に辿り着くことが出来た。最後になったシンはまとめて置いてある荷物を影で一階へと下ろし、自身も窓から飛び降りる。
すると、どこからか吹き飛ばされて来たように飛んできた謎の人物の一体が、壁や床を通り抜け中庭にやって来るとターゲットを切り替え、飛び降りている最中のシンに攻撃を仕掛けて来たのだ。
荷物をスキルで移動させているので、戦闘に使うことは出来ない。謎の人物の攻撃に合わせて壁を蹴ると、シンは宙で身を翻し謎の人物の背後に回る。と、同時に懐からロープの付いた短剣を謎の人物に向けて投擲する。
スキルは別に使っている為、魔力を他に割くことが出来ず投擲した短剣は謎の人物の身体を擦り抜け、壁に突き刺さる。しかしシンの投擲は攻撃が目的ではなく、壁を蹴ったことによって外に広がる身体の勢いを殺す為にロープを使っていた。
謎の人物もそのまま壁をすり抜け、シンを無視して次のターゲットを探しに行ったようだ。シンも無事に着地できたようで、異変を感じた先行組が心配そうにその様子を見ていた。
「シン!大丈夫かぁ?」
「あぁ、問題ない。荷物も・・・」
視線を上層階から下ろした荷物の方に向けると、少し雑に散らばっているのが目に入った。それ程衝撃に弱い物などはない筈だが、思いもよらぬ邪魔が入ったことによりシンのスキルの精密さが損なわれてしまったのだ。
「まぁ少しくらい問題ないだろう。それより早く司令室に」
今度は地上から荷物の影を利用し、司令室前の窓にいるミアの元に荷物を移動させると、シンも窓枠を飛び越え中へと入っていった。
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