1,379 / 1,646
囮となる大将
しおりを挟む
音による攻撃は防ぎようがなく、単純に音の聞こえる範囲が攻撃範囲となっているようだ。それはゾルターンが攻撃を受けた時に、ブルースの咄嗟の判断により証明されている。
尚且つ、目に見える攻撃ではない為、非常に避けづらい攻撃であり、予備動作と言えるものも殆どない。強いていうのであれば、霊体のバッハがこちらを認識し、普段の演奏とは別のアクションを起こした時が合図となる事ぐらいだろうか。
そして厄介なことに、音は障害物に関係なく対象を襲う。外傷はなく、直接身体の内部に攻撃をしてくる為、防御力といった概念を貫通して攻撃されるので、鎧や防御魔法などによる外的な強化は意味をなさない。
「ちょっと・・・防ぎようのない攻撃って。それじゃぁどうするんです?」
「お前達と合流する前、俺達は一度奴らと対峙している。その時に分かったのが、その音による攻撃は一人を対象にしか出来ないということだ。勿論、他に攻撃方法が無いとも言い切れないが、少なくとも一辺に攻撃されて全滅ということはないだろう」
「でも“音“って、その場にいる全員が聞こえるものですよね?」
アカリの素朴な疑問に対し、ブルースは明確な解答を返すことが出来なかった。経験は得ているとはいえ、未だ相手のデータは少ない。だが同時に、相手の出方を見ながら戦う事のできる自信がブルースにはあった。
「確かに奴らの情報は少ない。だが、相手の手の内を探れん訳でもない」
「何か秘策が?」
「奴の攻撃は“生身“で受ければそれだけで致命傷になる。だがこちらにはそれを受けられる身体がある。俺の護衛が使う土人形と、この俺自身だ」
ブルースが他の被害者達と同じように犯人に狙われ、宮殿内で襲われたのはオイゲンらから聞いていたツクヨ達。しかし、彼がどうして無事であったのかは明かされていなかったが、本人の口振りから今も尚、教会の中で戦っている命令に従って動く土人形と同様の特徴を身体に宿している事が窺える。
「特殊な体質・・・という訳でもなさそうですが?」
「俺の肉体は既にこの世にない」
「!?」
真実を語ろうとするブルースに、秘密が世に明かされては色々と問題があるのではと止めに入るゾルターンだったが、彼らに話したところで何も問題はないと判断して、自らの存在について明かす事を決めたブルース。
それに今も尚現役で活躍する音楽家が、魂だけの存在になっているなど誰も信じるはずがないという、確信に近い自信もあるようだった。
「言うなれば、俺も奴らと同じ魂だけの存在に過ぎない。故に奴の攻撃を受けても、身体の機能に支障をきたすだけで命に別状はない。奴らの攻撃は俺達が引き受けてやる。お前達は奴らに対抗する手段を持っているか?」
霊体であるバッハも、恐らくその性質は取り巻きである謎の人物らと同じはず。物理的な攻撃は透過されてしまうので、魔力を帯びた攻撃でないと戦うことすらできない。
それについてツクヨとアカリも把握しているようで、教会で戦っていた事からも攻撃手段を持っていることは確かだと言える。
ツクヨには大海原のレースの時にグレイス・オマリーという海賊から受け取った、WoFのユーザーである彼にしか扱えない特殊な能力を備えた剣、布都御魂剣とリナムルの地下研究場で入手した未だ詳細の不明な刀だが、謎の人物達を切り伏せられる武器がある。
「まだあの大きいのに試した訳じゃないけど、他の人達は問題なく戦えます」
「十分だ、奴も恐らく性質自体は同じ筈だ。なら攻撃はお前に任せるとしよう。ゾルターン、お前はそこのお嬢さんに付いててやれ。引き続き土人形での援護を頼む」
「了解だ。よろしくな、お嬢さん」
「アカリと申します。こちらこそ宜しくお願いします」
「妙な鳥を連れているな。見たことのない種類だが・・・」
「この子は紅葉と言います。以前に助けてもらった事があって、その時は炎の魔法のようなものを使っていたのですが、戦ったのはそれっきりで・・・」
自分の話をされているのかと悟った紅葉が、羽を羽ばたかせて鳴き声を上げる。
「安心していい。俺と君達は援護に回るから、直接的な危険はない。もう少し入口の方へ離れていよう」
いつでも戦線を離脱できるよう、ゾルターンとアカリは教会の入口の方へと避難する。一行が作戦を立てている間、霊体のバッハには手を出さず謎の人物達を相手にしていた土人形とバルトロメオに合流するブルースとツクヨ。
「おう、もう話は済んだのかぁ?」
「あぁ、待たせたな。これより本格的に奴を仕留めにいくぞ」
ここからいよいよ本格的な戦闘になることを伝えると、バルトロメオは口角を上げて嬉しそうな表情を見せた。
「漸く暴れられる訳だなぁ!」
バルトロメオは能力で生み出した大きな腕で防いでいた謎の人物達を一辺に払い退ける。彼を守るようにして背後から現れている二本の腕は、バルトロメオの荒々しい性格表現するかのように拳に力を込めて相手を威嚇している。
「お前にはそこの男と協力して、あのデカブツを相手にしてもらう。攻撃は俺が引き受けるから、その隙に大いに暴れてやれ」
「協力ぅ?俺一人で十分だけどなぁ!」
「ツクヨです。頼りになる方だと伺っています」
「はっ!言ってくれるじゃねぇの。んじゃぁ俺の本領ってやつを見せてやるかぁ」
ツクヨの言葉に気分を良くしたバルトロメオは、ブルースがオルガンで演奏をする親玉の元へ向かえるように、邪魔となる取り巻き達を一人突っ走り次々に薙ぎ払っていく。
「見ての通り話を聞かん奴だが、上手いことやってくれ」
「ふふ、大丈夫です。ウチにも似たような仲間がいますから」
そう言ってツクヨは、ツバキの事を思い出していた。まさしく彼がそのまま大人になったら、丁度バルトロメオのようになりそうだなと感じていた。自信家で無鉄砲ではあるが、頼りになる潜在的に勘を兼ね備えている。
尚且つ、目に見える攻撃ではない為、非常に避けづらい攻撃であり、予備動作と言えるものも殆どない。強いていうのであれば、霊体のバッハがこちらを認識し、普段の演奏とは別のアクションを起こした時が合図となる事ぐらいだろうか。
そして厄介なことに、音は障害物に関係なく対象を襲う。外傷はなく、直接身体の内部に攻撃をしてくる為、防御力といった概念を貫通して攻撃されるので、鎧や防御魔法などによる外的な強化は意味をなさない。
「ちょっと・・・防ぎようのない攻撃って。それじゃぁどうするんです?」
「お前達と合流する前、俺達は一度奴らと対峙している。その時に分かったのが、その音による攻撃は一人を対象にしか出来ないということだ。勿論、他に攻撃方法が無いとも言い切れないが、少なくとも一辺に攻撃されて全滅ということはないだろう」
「でも“音“って、その場にいる全員が聞こえるものですよね?」
アカリの素朴な疑問に対し、ブルースは明確な解答を返すことが出来なかった。経験は得ているとはいえ、未だ相手のデータは少ない。だが同時に、相手の出方を見ながら戦う事のできる自信がブルースにはあった。
「確かに奴らの情報は少ない。だが、相手の手の内を探れん訳でもない」
「何か秘策が?」
「奴の攻撃は“生身“で受ければそれだけで致命傷になる。だがこちらにはそれを受けられる身体がある。俺の護衛が使う土人形と、この俺自身だ」
ブルースが他の被害者達と同じように犯人に狙われ、宮殿内で襲われたのはオイゲンらから聞いていたツクヨ達。しかし、彼がどうして無事であったのかは明かされていなかったが、本人の口振りから今も尚、教会の中で戦っている命令に従って動く土人形と同様の特徴を身体に宿している事が窺える。
「特殊な体質・・・という訳でもなさそうですが?」
「俺の肉体は既にこの世にない」
「!?」
真実を語ろうとするブルースに、秘密が世に明かされては色々と問題があるのではと止めに入るゾルターンだったが、彼らに話したところで何も問題はないと判断して、自らの存在について明かす事を決めたブルース。
それに今も尚現役で活躍する音楽家が、魂だけの存在になっているなど誰も信じるはずがないという、確信に近い自信もあるようだった。
「言うなれば、俺も奴らと同じ魂だけの存在に過ぎない。故に奴の攻撃を受けても、身体の機能に支障をきたすだけで命に別状はない。奴らの攻撃は俺達が引き受けてやる。お前達は奴らに対抗する手段を持っているか?」
霊体であるバッハも、恐らくその性質は取り巻きである謎の人物らと同じはず。物理的な攻撃は透過されてしまうので、魔力を帯びた攻撃でないと戦うことすらできない。
それについてツクヨとアカリも把握しているようで、教会で戦っていた事からも攻撃手段を持っていることは確かだと言える。
ツクヨには大海原のレースの時にグレイス・オマリーという海賊から受け取った、WoFのユーザーである彼にしか扱えない特殊な能力を備えた剣、布都御魂剣とリナムルの地下研究場で入手した未だ詳細の不明な刀だが、謎の人物達を切り伏せられる武器がある。
「まだあの大きいのに試した訳じゃないけど、他の人達は問題なく戦えます」
「十分だ、奴も恐らく性質自体は同じ筈だ。なら攻撃はお前に任せるとしよう。ゾルターン、お前はそこのお嬢さんに付いててやれ。引き続き土人形での援護を頼む」
「了解だ。よろしくな、お嬢さん」
「アカリと申します。こちらこそ宜しくお願いします」
「妙な鳥を連れているな。見たことのない種類だが・・・」
「この子は紅葉と言います。以前に助けてもらった事があって、その時は炎の魔法のようなものを使っていたのですが、戦ったのはそれっきりで・・・」
自分の話をされているのかと悟った紅葉が、羽を羽ばたかせて鳴き声を上げる。
「安心していい。俺と君達は援護に回るから、直接的な危険はない。もう少し入口の方へ離れていよう」
いつでも戦線を離脱できるよう、ゾルターンとアカリは教会の入口の方へと避難する。一行が作戦を立てている間、霊体のバッハには手を出さず謎の人物達を相手にしていた土人形とバルトロメオに合流するブルースとツクヨ。
「おう、もう話は済んだのかぁ?」
「あぁ、待たせたな。これより本格的に奴を仕留めにいくぞ」
ここからいよいよ本格的な戦闘になることを伝えると、バルトロメオは口角を上げて嬉しそうな表情を見せた。
「漸く暴れられる訳だなぁ!」
バルトロメオは能力で生み出した大きな腕で防いでいた謎の人物達を一辺に払い退ける。彼を守るようにして背後から現れている二本の腕は、バルトロメオの荒々しい性格表現するかのように拳に力を込めて相手を威嚇している。
「お前にはそこの男と協力して、あのデカブツを相手にしてもらう。攻撃は俺が引き受けるから、その隙に大いに暴れてやれ」
「協力ぅ?俺一人で十分だけどなぁ!」
「ツクヨです。頼りになる方だと伺っています」
「はっ!言ってくれるじゃねぇの。んじゃぁ俺の本領ってやつを見せてやるかぁ」
ツクヨの言葉に気分を良くしたバルトロメオは、ブルースがオルガンで演奏をする親玉の元へ向かえるように、邪魔となる取り巻き達を一人突っ走り次々に薙ぎ払っていく。
「見ての通り話を聞かん奴だが、上手いことやってくれ」
「ふふ、大丈夫です。ウチにも似たような仲間がいますから」
そう言ってツクヨは、ツバキの事を思い出していた。まさしく彼がそのまま大人になったら、丁度バルトロメオのようになりそうだなと感じていた。自信家で無鉄砲ではあるが、頼りになる潜在的に勘を兼ね備えている。
0
お気に入りに追加
295
あなたにおすすめの小説
re:birth 〜勇者じゃないと追放された最強職【何でも屋】は、異世界でチートスキル【DIY】で無双します~
華音 楓
ファンタジー
「役立たずの貴様は、この城から出ていけ!」
国王から殺気を含んだ声で告げられtた海人は頷く他なかった。
ある日、異世界に魔王討伐の為に主人公「石立海人」(いしだてかいと)は、勇者として召喚された。
その際に、判明したスキルは、誰にも理解されない【DIY】と【なんでも屋】という隠れ最強職であった。
だが、勇者職を有していなかった主人公は、誰にも理解されることなく勇者ではないという理由で王族を含む全ての城関係者から露骨な侮蔑を受ける事になる。
城に滞在したままでは、命の危険性があった海人は、城から半ば追放される形で王城から追放されることになる。 僅かな金銭で追放された海人は、生活費用を稼ぐ為に冒険者として登録し、生きていくことを余儀なくされた。
この物語は、多くの仲間と出会い、ダンジョンを攻略し、成りあがっていくストーリーである。
「自重知らずの異世界転生者-膨大な魔力を引っさげて異世界デビューしたら、規格外過ぎて自重を求められています-」
mitsuzoエンターテインメンツ
ファンタジー
ネットでみつけた『異世界に行ったかもしれないスレ』に書いてあった『異世界に転生する方法』をやってみたら本当に異世界に転生された。
チート能力で豊富な魔力を持っていた俺だったが、目立つのが嫌だったので周囲となんら変わらないよう生活していたが「目立ち過ぎだ!」とか「加減という言葉の意味をもっと勉強して!」と周囲からはなぜか自重を求められた。
なんだよ? それじゃあまるで、俺が自重をどっかに捨ててきたみたいじゃないか!
こうして俺の理不尽で前途多難?な異世界生活が始まりました。
※注:すべてわかった上で自重してません。
婚約解消して次期辺境伯に嫁いでみた
cyaru
恋愛
一目惚れで婚約を申し込まれたキュレット伯爵家のソシャリー。
お相手はボラツク侯爵家の次期当主ケイン。眉目秀麗でこれまで数多くの縁談が女性側から持ち込まれてきたがケインは女性には興味がないようで18歳になっても婚約者は今までいなかった。
婚約をした時は良かったのだが、問題は1か月に起きた。
過去にボラツク侯爵家から放逐された侯爵の妹が亡くなった。放っておけばいいのに侯爵は簡素な葬儀も行ったのだが、亡くなった妹の娘が牧師と共にやってきた。若い頃の妹にそっくりな娘はロザリア。
ボラツク侯爵家はロザリアを引き取り面倒を見ることを決定した。
婚約の時にはなかったがロザリアが独り立ちできる状態までが期間。
明らかにソシャリーが嫁げば、ロザリアがもれなくついてくる。
「マジか…」ソシャリーは心から遠慮したいと願う。
そして婚約者同士の距離を縮め、お互いの考えを語り合う場が月に数回設けられるようになったが、全てにもれなくロザリアがついてくる。
茶会に観劇、誕生日の贈り物もロザリアに買ったものを譲ってあげると謎の善意を押し売り。夜会もケインがエスコートしダンスを踊るのはロザリア。
幾度となく抗議を受け、ケインは考えを改めると誓ってくれたが本当に考えを改めたのか。改めていれば婚約は継続、そうでなければ解消だがソシャリーも年齢的に次を決めておかないと家のお荷物になってしまう。
「こちらは嫁いでくれるならそれに越したことはない」と父が用意をしてくれたのは「自分の責任なので面倒を見ている子の数は35」という次期辺境伯だった?!
★↑例の如く恐ろしく省略してます。
★9月14日投稿開始、完結は9月16日です。
★コメントの返信は遅いです。
★タグが勝手すぎる!と思う方。ごめんなさい。検索してもヒットしないよう工夫してます。
♡注意事項~この話を読む前に~♡
※異世界を舞台にした創作話です。時代設定なし、史実に基づいた話ではありません。【妄想史であり世界史ではない】事をご理解ください。登場人物、場所全て架空です。
※外道な作者の妄想で作られたガチなフィクションの上、ご都合主義なのでリアルな世界の常識と混同されないようお願いします。
※心拍数や血圧の上昇、高血糖、アドレナリンの過剰分泌に責任はおえません。
※価値観や言葉使いなど現実世界とは異なります(似てるモノ、同じものもあります)
※誤字脱字結構多い作者です(ごめんなさい)コメント欄より教えて頂けると非常に助かります。
※話の基幹、伏線に関わる文言についてのご指摘は申し訳ないですが受けられません
余りモノ異世界人の自由生活~勇者じゃないので勝手にやらせてもらいます~
藤森フクロウ
ファンタジー
相良真一(サガラシンイチ)は社畜ブラックの企業戦士だった。
悪夢のような連勤を乗り越え、漸く帰れるとバスに乗り込んだらまさかの異世界転移。
そこには土下座する幼女女神がいた。
『ごめんなさあああい!!!』
最初っからギャン泣きクライマックス。
社畜が呼び出した国からサクッと逃げ出し、自由を求めて旅立ちます。
真一からシンに名前を改め、別の国に移り住みスローライフ……と思ったら馬鹿王子の世話をする羽目になったり、狩りや採取に精を出したり、馬鹿王子に暴言を吐いたり、冒険者ランクを上げたり、女神の愚痴を聞いたり、馬鹿王子を躾けたり、社会貢献したり……
そんなまったり異世界生活がはじまる――かも?
ブックマーク30000件突破ありがとうございます!!
第13回ファンタジー小説大賞にて、特別賞を頂き書籍化しております。
♦お知らせ♦
余りモノ異世界人の自由生活、コミックス3巻が発売しました!
漫画は村松麻由先生が担当してくださっています。
よかったらお手に取っていただければ幸いです。
書籍のイラストは万冬しま先生が担当してくださっています。
7巻は6月17日に発送です。地域によって異なりますが、早ければ当日夕方、遅くても2~3日後に書店にお届けになるかと思います。
今回は夏休み帰郷編、ちょっとバトル入りです。
コミカライズの連載は毎月第二水曜に更新となります。
漫画は村松麻由先生が担当してくださいます。
※基本予約投稿が多いです。
たまに失敗してトチ狂ったことになっています。
原稿作業中は、不規則になったり更新が遅れる可能性があります。
現在原稿作業と、私生活のいろいろで感想にはお返事しておりません。
王太子様には優秀な妹の方がお似合いですから、いつまでも私にこだわる必要なんてありませんよ?
木山楽斗
恋愛
公爵令嬢であるラルリアは、優秀な妹に比べて平凡な人間であった。
これといって秀でた点がない彼女は、いつも妹と比較されて、時には罵倒されていたのである。
しかしそんなラルリアはある時、王太子の婚約者に選ばれた。
それに誰よりも驚いたのは、彼女自身である。仮に公爵家と王家の婚約がなされるとしても、その対象となるのは妹だと思っていたからだ。
事実として、社交界ではその婚約は非難されていた。
妹の方を王家に嫁がせる方が有益であると、有力者達は考えていたのだ。
故にラルリアも、婚約者である王太子アドルヴに婚約を変更するように進言した。しかし彼は、頑なにラルリアとの婚約を望んでいた。どうやらこの婚約自体、彼が提案したものであるようなのだ。
愛されていないはずの婚約者に「貴方に愛されることなど望んでいませんわ」と申し上げたら溺愛されました
海咲雪
恋愛
「セレア、もう一度言う。私はセレアを愛している」
「どうやら、私の愛は伝わっていなかったらしい。これからは思う存分セレアを愛でることにしよう」
「他の男を愛することは婚約者の私が一切認めない。君が愛を注いでいいのも愛を注がれていいのも私だけだ」
貴方が愛しているのはあの男爵令嬢でしょう・・・?
何故、私を愛するふりをするのですか?
[登場人物]
セレア・シャルロット・・・伯爵令嬢。ノア・ヴィアーズの婚約者。ノアのことを建前ではなく本当に愛している。
×
ノア・ヴィアーズ・・・王族。セレア・シャルロットの婚約者。
リア・セルナード・・・男爵令嬢。ノア・ヴィアーズと恋仲であると噂が立っている。
アレン・シールベルト・・・伯爵家の一人息子。セレアとは幼い頃から仲が良い友達。実はセレアのことを・・・?
私異世界で成り上がる!! ~家出娘が異世界で極貧生活しながら虎視眈々と頂点を目指す~
春風一
ファンタジー
『いーわよ、そこまで言うならもう、親子の縁なんて切ってやる!! 絶対に成功するから、今に見てなさいよ!!』
如月風歌は、考えるより先に行動する脳筋少女。中学の卒業式の日に、親と大喧嘩し、その勢いで家出する。時空航行船のチケットを握りしめ、着の身着のまま&ほぼ無一文で、異世界に向かっていった。
同じ地球でありながら、魔法で発展した平行世界エレクトラ。この世界に来たのは『シルフィード』と呼ばれる、女性だけがなれる『超人気職業』に就くためだ。
上位階級のシルフィードは、トップアイドルのような存在。また、絶大な人気・知名度・影響力を持ち、誰からも尊敬される、人生の成功者。巨万の富を築いた者も、少なくはない。
だが、お金もない・人脈もない・知識もない。加えて、女子力ゼロで、女らしさの欠片もない。全てがゼロからの、あまりにも無謀すぎる挑戦。しかも、親から勘当を言い渡され、帰る場所すらない状態。
夢に燃えて、意気揚々と異世界に乗り込んだものの、待ち受けていのは、恐ろしく厳しい現実と、パンと水だけの極貧生活だった。
『夢さえ持っていれば、気合さえあれば、絶対に上手くいく!!』と信じて疑わない、脳筋でちょっとお馬鹿な少女。だが、チート並みのコミュ力(無自覚)で、人脈をどんどん広げて行く。
ほのぼの日常系。でも、脳筋主人公のため、トラブルが発生したり、たまにシリアスだったり、スポ根っぽい熱い展開も……。
裸一貫から成り上がる、異世界シンデレラストーリー。
私とお母さんとお好み焼き
white love it
経済・企業
義理の母と二人暮らしの垣谷操。貧しいと思っていたが、義母、京子の経営手腕はなかなかのものだった。
シングルマザーの織りなす経営方法とは?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる