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学校捜索
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レオンが学校へ向かう一方で、ジルはその学校内で捜索を開始していた。校内は彼女が思っていた以上に生徒が多く、その中からたった一人の生徒を探すのかと思うと気が遠くなりそうな程だ。
「何・・・?自由登校なのにこんなに来てるの?でも物は考えようよね。これだけ人が多ければ、誰かしらクリスを見かけた人もいそうだし・・・」
ジルは初めに職員室を訪れた。元々生徒よりも教員と会話をする機会の多かったジルは、最も話しやすい発声の教員の元を尋ねる。職員室でその教員の名前を出すと、すぐにお目当ての教員と面会が叶った。
その教員はジルが学校に来ていることに先ず最初に驚いていた。彼女もレオンと同じく、自由登校期間となると基本的には学校を訪れない。自宅にいるものとばかりに思っていたのか、わざわざ休みの日に自分の元を訪れてくれた彼女に対し、教員は少し嬉しそうな表情を浮かべる。
「ジルさんがこの期間中に学校へ来るなんて珍しいわね。何かあったのかしら?」
「先生、すみません今日は別の用事で来ました。ヨルダン・クリストフという生徒を探しているのですが、先生はご存じないですか?」
すると教員は頭を傾げながら彼女の質問に答える。どうやら教員の間でもクリスは別の意味で有名らしく、他の生徒達とは違い教団側から特別行動を許可されている一風変わった生徒として学校側に受け入れられていたようだ。
「学校内にはいるようだけど・・・御免なさい、詳しい場所までは分からないわね」
「そうですか・・・。どなたか居場所を知っていそうな方はいらっしゃいますか?」
「そうねぇ~・・・。エントランスの職員の方に聞いてみてはどうかしら。彼、結構まめな性格なようで、エントランスの人とよく話をしているの見た覚えがあるわ。もしかしたら居場所についても何か聞いてるかもしれないわね」
「なるほど、ありがとうございます。お忙しいところ及びだてしてしまい申し訳ありません」
「いいのよ。私も普段の貴方と話せて嬉しかったわ。また学校を訪れた際は声をかけてね」
教員にクリスの行方についての手掛かりを聞くと、ジルはその足で早速エントランスへと向かった。エントランスにはカウンターが設けられており、外部からの来客などの対応もしている為、校内のことに関しては誰よりも詳しい。
用のない人物とはあまり会話をする方ではなかったジルにとっては、少し話し掛けずらいと思いつつも、今はそれどころではないと気持ちを鼓舞してカウンターへ向かう。
「すみません・・・」
「はい?・・・これは、ジルヴィアさんではありませんか」
「知っているのですか?」
「それはもう。とても優秀な方だと先生方から伺っていますよ?」
自分の知らないところで話題になっていたと知り、少し複雑そうな表情を浮かべつつも、ジルはクリスの行方について何か聞いてないかと尋ねる。
「クリスくんですか。えぇ知っていますとも」
教員の言っていた通り、エントランスにいた職員はクリスの行方について知っていた。こうもあっさりと行方が掴めるとは思っていなかったジルは、呆気にとられたかのような表情を浮かべながら、すぐに情報を整理しその行方について詳しく尋ねる。
「どこへ向かいましたか!?」
「えっ・・・と、どこか静かに話ができるところはないかった尋ねられて、今の時間だと資料室なんかがいいんじゃないかとお勧めしました。“彼ら“が向かってからそれ程時間も経っていないので、今ならまだいるんじゃないでしょうか?」
「“彼ら“?クリスは誰かと一緒だったんですか?」
エントランスの職員から、クリスに関する新たな情報が得られた。どうやら彼は何者かと行動を共にしているらしい。学校であるなら誰かと行動していてもおかしくないのだが、昨日宮殿内で大司教が死亡したという事情を知ってしまっていると、そういった当たり前のことですら疑いや疑念を抱いてしまうもの。
そして職員が答えた、クリスと行動を共にしている人物の名前を聞いて、ジルの目は大きく見開く。まるで予想していなかった人物で、まさかその二人が一緒にいるとも思っていなかったことだろう。
だがそのことは、ジルやレオンにとって好都合でもあったのだ。
「そうです。クリスは同級生の“カルロス“と一緒にいました。ただ・・・」
「ただ?」
「彼、妙に元気なかったというか・・・。本来ならクリスの方がリードされてそうなものですが、先程訪れた際はクリスの方が彼を引率しているかのような感じだでしたね・・・」
カルロスという人物の印象は、レオンよりも近寄り難い雰囲気を出してはいるが、面倒見の良さから慕われている様子もしばしば見られる。クリスとは真逆とも言える性格と風貌、雰囲気を纏っている。
そんなカルロスが、クリスにリードされている光景など確かに想像できないし、職員が奇妙に思うのも無理もないだろう。
「何・・・?自由登校なのにこんなに来てるの?でも物は考えようよね。これだけ人が多ければ、誰かしらクリスを見かけた人もいそうだし・・・」
ジルは初めに職員室を訪れた。元々生徒よりも教員と会話をする機会の多かったジルは、最も話しやすい発声の教員の元を尋ねる。職員室でその教員の名前を出すと、すぐにお目当ての教員と面会が叶った。
その教員はジルが学校に来ていることに先ず最初に驚いていた。彼女もレオンと同じく、自由登校期間となると基本的には学校を訪れない。自宅にいるものとばかりに思っていたのか、わざわざ休みの日に自分の元を訪れてくれた彼女に対し、教員は少し嬉しそうな表情を浮かべる。
「ジルさんがこの期間中に学校へ来るなんて珍しいわね。何かあったのかしら?」
「先生、すみません今日は別の用事で来ました。ヨルダン・クリストフという生徒を探しているのですが、先生はご存じないですか?」
すると教員は頭を傾げながら彼女の質問に答える。どうやら教員の間でもクリスは別の意味で有名らしく、他の生徒達とは違い教団側から特別行動を許可されている一風変わった生徒として学校側に受け入れられていたようだ。
「学校内にはいるようだけど・・・御免なさい、詳しい場所までは分からないわね」
「そうですか・・・。どなたか居場所を知っていそうな方はいらっしゃいますか?」
「そうねぇ~・・・。エントランスの職員の方に聞いてみてはどうかしら。彼、結構まめな性格なようで、エントランスの人とよく話をしているの見た覚えがあるわ。もしかしたら居場所についても何か聞いてるかもしれないわね」
「なるほど、ありがとうございます。お忙しいところ及びだてしてしまい申し訳ありません」
「いいのよ。私も普段の貴方と話せて嬉しかったわ。また学校を訪れた際は声をかけてね」
教員にクリスの行方についての手掛かりを聞くと、ジルはその足で早速エントランスへと向かった。エントランスにはカウンターが設けられており、外部からの来客などの対応もしている為、校内のことに関しては誰よりも詳しい。
用のない人物とはあまり会話をする方ではなかったジルにとっては、少し話し掛けずらいと思いつつも、今はそれどころではないと気持ちを鼓舞してカウンターへ向かう。
「すみません・・・」
「はい?・・・これは、ジルヴィアさんではありませんか」
「知っているのですか?」
「それはもう。とても優秀な方だと先生方から伺っていますよ?」
自分の知らないところで話題になっていたと知り、少し複雑そうな表情を浮かべつつも、ジルはクリスの行方について何か聞いてないかと尋ねる。
「クリスくんですか。えぇ知っていますとも」
教員の言っていた通り、エントランスにいた職員はクリスの行方について知っていた。こうもあっさりと行方が掴めるとは思っていなかったジルは、呆気にとられたかのような表情を浮かべながら、すぐに情報を整理しその行方について詳しく尋ねる。
「どこへ向かいましたか!?」
「えっ・・・と、どこか静かに話ができるところはないかった尋ねられて、今の時間だと資料室なんかがいいんじゃないかとお勧めしました。“彼ら“が向かってからそれ程時間も経っていないので、今ならまだいるんじゃないでしょうか?」
「“彼ら“?クリスは誰かと一緒だったんですか?」
エントランスの職員から、クリスに関する新たな情報が得られた。どうやら彼は何者かと行動を共にしているらしい。学校であるなら誰かと行動していてもおかしくないのだが、昨日宮殿内で大司教が死亡したという事情を知ってしまっていると、そういった当たり前のことですら疑いや疑念を抱いてしまうもの。
そして職員が答えた、クリスと行動を共にしている人物の名前を聞いて、ジルの目は大きく見開く。まるで予想していなかった人物で、まさかその二人が一緒にいるとも思っていなかったことだろう。
だがそのことは、ジルやレオンにとって好都合でもあったのだ。
「そうです。クリスは同級生の“カルロス“と一緒にいました。ただ・・・」
「ただ?」
「彼、妙に元気なかったというか・・・。本来ならクリスの方がリードされてそうなものですが、先程訪れた際はクリスの方が彼を引率しているかのような感じだでしたね・・・」
カルロスという人物の印象は、レオンよりも近寄り難い雰囲気を出してはいるが、面倒見の良さから慕われている様子もしばしば見られる。クリスとは真逆とも言える性格と風貌、雰囲気を纏っている。
そんなカルロスが、クリスにリードされている光景など確かに想像できないし、職員が奇妙に思うのも無理もないだろう。
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