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捜査隊結成
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顔を見合わせた二人は、互いの反応や様子から他の者達とは違うものを感じ取ると、漸く話の通じる人間に出会えたと目を輝かせる。
「ジル・・・?どうしてここに?」
「レオン・・・貴方こそ何故ここに・・・。宮殿は“片付け“で閉鎖されている筈でしょ?」
恐る恐る口にしたジルの言葉には、レオンが他の者達とは違うということを確認する為の、とある仕掛けが込められていた。二人がそれぞれの窮地を脱した後、彼ら以外の者達は宮殿内で大司教の遺体が発見されたというニュースに全く触れず、知らされてもいないといった様子だった。
レオンがこのままジルの言うように、宮殿は後片付けの為、封鎖されていると言う言葉を飲み込んだと売るならば、彼もまた真実を知らないことになる。
だが、そんなジルの不安はすぐに払い除けられる。
「片付けだって?・・・そうか、お前もそう言われた口か」
「そう言われたって?」
「嘘なんかつかなくていい。お前も知ってるんだろ?宮殿が閉鎖されてる温湯の理由・・・大司教の事について」
その言葉を聞いて初めて疑いは確信へと変わった。レオンは大司教が遺体で発見された事について知っている。周りの者達とは違う、真実を目の当たりにしてきた者だと。
自分以外に話の通じる相手がいなかったジルは、レオンがどこまで知っているのか尋ねる。しかし、彼もどうやらジルが初めて会った事件の事を知る人物だったらしく、詳しい話は知らないといった様子だった。
二人は互いに体験した話をすり合わせるように確認する。
「フェリクス先生が取り調べに・・・?」
「マジか・・・全く同じじゃないか。それで?その後カタリナさんの行方について調べたか?」
「まだよ。それに変に調べれば、私達が何か知っていると警備隊の人達に伝わってしまうかもしれないわ。だから表立った行動は出来ない・・・」
「取り敢えず、互いのその現場にもう一度行ってみないか?」
ジルの心配するように、二人以外がまるで何事もなかったかのように日常を送る街並みに、ある種の恐怖を感じつつも二人はそれぞれが窮地へ陥った現場を訪れてみる事にした。
「ジル、お前は逃げる時に警備隊に姿を見られたか?」
「いいえ、カタリナさんのおかげで見つかる事なく逃げることが出来たわ。貴方の方はどうなの?そんな民家から逃げ出すなんて、それこそ正面か裏口しか逃げ道はなかったんじゃない?」
「二階の窓から飛び降りたんだよ」
「二階から!?正気なの?怪我とかしなかった?」
「そんな事心配してる余裕はなかった。怪我は無いが、まだ足は痛むな・・・。走ったり強い衝撃があるとマズイかも・・・」
そんな話をしていると、先に向かったフェリクスの自宅の見える通りへと到着する。遠目から確認すると、彼の家は警備隊によって封鎖されていた。街行く人々は少し不思議そうな視線を向けてはいるが、大した騒ぎにはなっていない様子だった。
「やっぱり・・・。あまり近くには寄らない方が良さそうだな。犯人は現場へ戻るって奴じゃないが、話を聞きに行ったら流石に疑われそうだな」
「そうね・・・じゃぁ次は博物館の方へ行ってみましょう」
次に二人は、ジルとカタリナが警備隊の突入を受けたバッハの博物館へと向かう。場所としてはフェリクスの自宅とは正反対の位置。二人が合流した宮殿の見える通りを挟んだ向こう側に位置している。
故に来た道を戻っていく二人だったが、夢現かのような俄にはそれが現実であると信じ難い街の様子に言葉を失い、会話のないまま最初の通りへと戻って来る。
息を合わせるまでもなく、二人は自然と宮殿の方に視線を向けた。すると、丁度宮殿の前に一台の馬車が止まった。誰かが宮殿へ訪れたようだ。一旦足を止め、その真相を確かめる為、遠目から馬車から降りてくる人物を確認する二人。
宮殿の前から馬車が去ると、そこにはアルバの警備隊に挟まれるように、仕立て屋の店主である“マルコ・ハーラー“が立っていた。
「あれは・・・マルコさんか?」
「そのようね。警備隊に連れられて宮殿の中へ入っていくみたい。多分カタリナさんやフェリクス先生も同じように、宮殿内へ通されたのかもしれないわね・・・」
「宮殿の中へ?なんでわざわざそんなところに?普通に警察署へ連れて行かれたんじゃないのか?」
レオンの言うように、普通に取り調べを行うのなら警察署の方へ向かうのが当然と言えるだろう。だがジルが疑問に思っていたのは、いつも宮殿に配置されている警備隊よりも人員が多いという点だった。
式典の事もあり、それによって多く配置されているのではと思いがちだが、それにしても異様に感じるほど多くの警備隊が集まっているのだ。他にも街の各所、取り分け式典やパーティーの準備に協力していたであろう店や施設は、警備隊によって、フェリクス宅のように閉鎖されていた。
「まだ片方しか確認してないし、私の勘違いかもしれない・・・。でも博物館のある向こうの区画内でも同じように、お店や施設が閉鎖されていたら、捜査本部は宮殿の中に設けられている可能性が高いわね」
「ついでに街の外も見に行ってみないか?もしかしたら、街そのものが閉鎖されてるかもしれないし」
「まさかそんな・・・」
しかし、レオンの心配するようにアルバそのものが閉鎖されている可能性は高い。それだけ教団の大司教が亡くなったという事件は大事なのだ。ましてやカタリナやフェリクス、そして仕立て屋のマルコが宮殿内へ連れて行かれたように、取り調べは多くの人物を対象に行っており、その事からも大司教の件は他殺であることが窺える。
「ジル・・・?どうしてここに?」
「レオン・・・貴方こそ何故ここに・・・。宮殿は“片付け“で閉鎖されている筈でしょ?」
恐る恐る口にしたジルの言葉には、レオンが他の者達とは違うということを確認する為の、とある仕掛けが込められていた。二人がそれぞれの窮地を脱した後、彼ら以外の者達は宮殿内で大司教の遺体が発見されたというニュースに全く触れず、知らされてもいないといった様子だった。
レオンがこのままジルの言うように、宮殿は後片付けの為、封鎖されていると言う言葉を飲み込んだと売るならば、彼もまた真実を知らないことになる。
だが、そんなジルの不安はすぐに払い除けられる。
「片付けだって?・・・そうか、お前もそう言われた口か」
「そう言われたって?」
「嘘なんかつかなくていい。お前も知ってるんだろ?宮殿が閉鎖されてる温湯の理由・・・大司教の事について」
その言葉を聞いて初めて疑いは確信へと変わった。レオンは大司教が遺体で発見された事について知っている。周りの者達とは違う、真実を目の当たりにしてきた者だと。
自分以外に話の通じる相手がいなかったジルは、レオンがどこまで知っているのか尋ねる。しかし、彼もどうやらジルが初めて会った事件の事を知る人物だったらしく、詳しい話は知らないといった様子だった。
二人は互いに体験した話をすり合わせるように確認する。
「フェリクス先生が取り調べに・・・?」
「マジか・・・全く同じじゃないか。それで?その後カタリナさんの行方について調べたか?」
「まだよ。それに変に調べれば、私達が何か知っていると警備隊の人達に伝わってしまうかもしれないわ。だから表立った行動は出来ない・・・」
「取り敢えず、互いのその現場にもう一度行ってみないか?」
ジルの心配するように、二人以外がまるで何事もなかったかのように日常を送る街並みに、ある種の恐怖を感じつつも二人はそれぞれが窮地へ陥った現場を訪れてみる事にした。
「ジル、お前は逃げる時に警備隊に姿を見られたか?」
「いいえ、カタリナさんのおかげで見つかる事なく逃げることが出来たわ。貴方の方はどうなの?そんな民家から逃げ出すなんて、それこそ正面か裏口しか逃げ道はなかったんじゃない?」
「二階の窓から飛び降りたんだよ」
「二階から!?正気なの?怪我とかしなかった?」
「そんな事心配してる余裕はなかった。怪我は無いが、まだ足は痛むな・・・。走ったり強い衝撃があるとマズイかも・・・」
そんな話をしていると、先に向かったフェリクスの自宅の見える通りへと到着する。遠目から確認すると、彼の家は警備隊によって封鎖されていた。街行く人々は少し不思議そうな視線を向けてはいるが、大した騒ぎにはなっていない様子だった。
「やっぱり・・・。あまり近くには寄らない方が良さそうだな。犯人は現場へ戻るって奴じゃないが、話を聞きに行ったら流石に疑われそうだな」
「そうね・・・じゃぁ次は博物館の方へ行ってみましょう」
次に二人は、ジルとカタリナが警備隊の突入を受けたバッハの博物館へと向かう。場所としてはフェリクスの自宅とは正反対の位置。二人が合流した宮殿の見える通りを挟んだ向こう側に位置している。
故に来た道を戻っていく二人だったが、夢現かのような俄にはそれが現実であると信じ難い街の様子に言葉を失い、会話のないまま最初の通りへと戻って来る。
息を合わせるまでもなく、二人は自然と宮殿の方に視線を向けた。すると、丁度宮殿の前に一台の馬車が止まった。誰かが宮殿へ訪れたようだ。一旦足を止め、その真相を確かめる為、遠目から馬車から降りてくる人物を確認する二人。
宮殿の前から馬車が去ると、そこにはアルバの警備隊に挟まれるように、仕立て屋の店主である“マルコ・ハーラー“が立っていた。
「あれは・・・マルコさんか?」
「そのようね。警備隊に連れられて宮殿の中へ入っていくみたい。多分カタリナさんやフェリクス先生も同じように、宮殿内へ通されたのかもしれないわね・・・」
「宮殿の中へ?なんでわざわざそんなところに?普通に警察署へ連れて行かれたんじゃないのか?」
レオンの言うように、普通に取り調べを行うのなら警察署の方へ向かうのが当然と言えるだろう。だがジルが疑問に思っていたのは、いつも宮殿に配置されている警備隊よりも人員が多いという点だった。
式典の事もあり、それによって多く配置されているのではと思いがちだが、それにしても異様に感じるほど多くの警備隊が集まっているのだ。他にも街の各所、取り分け式典やパーティーの準備に協力していたであろう店や施設は、警備隊によって、フェリクス宅のように閉鎖されていた。
「まだ片方しか確認してないし、私の勘違いかもしれない・・・。でも博物館のある向こうの区画内でも同じように、お店や施設が閉鎖されていたら、捜査本部は宮殿の中に設けられている可能性が高いわね」
「ついでに街の外も見に行ってみないか?もしかしたら、街そのものが閉鎖されてるかもしれないし」
「まさかそんな・・・」
しかし、レオンの心配するようにアルバそのものが閉鎖されている可能性は高い。それだけ教団の大司教が亡くなったという事件は大事なのだ。ましてやカタリナやフェリクス、そして仕立て屋のマルコが宮殿内へ連れて行かれたように、取り調べは多くの人物を対象に行っており、その事からも大司教の件は他殺であることが窺える。
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