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グループ分けと設定
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その道中、ルーカスはシン達一行にある注意事項を伝える。それは宴の場に潜入する際のカモフラージュに関する事だった。このままルーカスの知り合いだと会場へ入れなくもないが、これだけの人数を会場へ招くとなると、その関係性について問われてしまう事もあるだろう。
そこで彼が用意した設定は、一行を二つのグループに分けるというものだった。
「このまま会場に入るのも不可能ではありませんが、この人数を引き連れるとなると流石に目立ってしまいます。そこで皆さんを二つくらいのグループに分けようかと考えていたのですが・・・如何でしょう?」
「まぁ・・・確かに関係性を問われたら“旅の者“だと正直に答えるのも、面倒事になりそうではあるか。またいつもの家族設定で行くか?」
ミアの言う家族設定の分け方というのは、ツバキとアカリという若い二人をツクヨに任せ、シンとミアでチームを組むというものだった。グループ分けにこだわりを持つ者もいなかったが、ツクヨは少し不服そうな表情をしていた。
「君達ねぇ・・・私が家庭持ちだからって二人を任せ過ぎなんじゃない?」
「でも慣れてるんだろ?これまでだって上手くやってたし。それにあの二人もアンタの言う事の方が聞きそうだしな」
そう言ってミアはツクヨの腕を肘で突く。彼も今更何か新しい案があるわけでもなく、小さくため息をついて覚悟を決める。
「何だ?俺達とじゃ不安だってのかぁ?」
「大丈夫ですよ?ツクヨさん。私だってこう見えて色々と知識をつけてきてますから!」
「うっうん、そうだね・・・大丈夫だ、きっと・・・」
言葉とは裏腹に全然大丈夫そうではないツクヨを尻目に、グループ分けは済んだがどう言う設定で他の者達に紹介するのか気になったシンは、ルーカスに現状の考えを聞いた。
「グループ分けに関しては問題ないが、どうやって紹介するつもりなんだ?俺達のことを」
「随分と若い方もいらっしゃるようなので、人組は音楽家の一家として。後は夫婦なり恋人なり、アルバへ移住しようとする教団に興味のある者達・・・というのでは如何ですか?」
「こっ恋人・・・!」
このチーム分けからすれば、シンとミアがルーカスの言う後者の役割になる。これまであまり意識してこなかったシンだが、いざ第三者の口からそのように言われると、他人からはそう見えるのだろうかと、ミアとの関係性について妄想するシン。
「そいつは都合がいいな!」
「っ!?」
ミアの発言に驚くシンに対し、何故そのような反応を取ると眉を潜ませるミアは、そのまま自身の考えを述べる。
「教団に興味があるとなれば、向こうから勝手に話してくれそうなものじゃねぇか。要するに、自分達のサークルに興味があるって連中が来たんなら、その魅力を話したくなるって寸法だろ?」
「そっそうか!なるほど・・・」
てっきり自分達の関係性のことを都合がいいと言ったのかと勘違いしたシンは、少しだけ肩を落としながら彼女の考えに賛同する。
「では設定は先程話したもので良いですかな?間も無く会場です。入り口で身分の証明を求められますので、宮殿の外で更新されたカードをご準備しておいて下さい」
仕切りに身分の確認と証明を求めているあたり、ジークベルトやその護衛隊の警戒度が伺える。一行はカードを手に持ち準備を整えると、会場の入り口付近に立っている警備の者達にカードを見せ、本人の確認とルーカスがの紹介で会場へ連れてきた事を伝えると、それ以上詮索される事もなく扉の奥へと通された。
会場の広さ的には一階の一般会場とそれほど変わらないが、置いてある物の違いや装飾の違い、用意されている食事の違いなどは当然ながら見受けられる。
そして会場に入って真っ先に目についた大きな違いといえば、中央に中庭を覗くかのように大きな空間があり、一階から三階まで筒抜けになっていたのだ。つまり上からは下の様子が見えるということになる。
まさに権力の縮図かのように、身分や権力を持つ者は上に通され、一般客は下の階層でそこが豪勢な宴の場であるかのように料理や雑談を楽しんでいる。
「上から見えていたのか・・・」
「いいですか?私が案内できるのはここまでです。これからツクヨさん達はアルバの街医者であるカールさんのところへお連れします。話を合わせた後、私とシンさんとミアさんは別の場所へと移動します」
「そっから俺達の腕の見せ所って訳だな?」
「頼むからあまりはしゃがないでくれよぉ~・・・?」
心配そうな声でツバキを静止するツクヨだったが、ツバキは何も心配はいらないと彼の不安を一蹴する。一方のアカリは、それなりにツバキよりも見た目も精神的にも大人に近いと言うこともあり、すっかり落ち着いたどこかのお嬢様のような振る舞いを見せる。
「カールさんなら、私達も面識がありますので安心ですね。彼も協力者なのですか?」
「いえ、彼は私があなた方に依頼をしている事など知りません。それに顔見知りであるのなら好都合です。彼の協力を仰げれば、より大司教へも近づけましょう。私と違って警戒もされてないでしょうし」
ツクヨとアカリは、二人でアルバの街を散策した際に、式典の準備で立ち入り禁止となっていた博物館に入る大司教のことを、偶然そこへ向かう途中の街医者であるカールと遭遇する事で聞かされていた。
そこで彼が用意した設定は、一行を二つのグループに分けるというものだった。
「このまま会場に入るのも不可能ではありませんが、この人数を引き連れるとなると流石に目立ってしまいます。そこで皆さんを二つくらいのグループに分けようかと考えていたのですが・・・如何でしょう?」
「まぁ・・・確かに関係性を問われたら“旅の者“だと正直に答えるのも、面倒事になりそうではあるか。またいつもの家族設定で行くか?」
ミアの言う家族設定の分け方というのは、ツバキとアカリという若い二人をツクヨに任せ、シンとミアでチームを組むというものだった。グループ分けにこだわりを持つ者もいなかったが、ツクヨは少し不服そうな表情をしていた。
「君達ねぇ・・・私が家庭持ちだからって二人を任せ過ぎなんじゃない?」
「でも慣れてるんだろ?これまでだって上手くやってたし。それにあの二人もアンタの言う事の方が聞きそうだしな」
そう言ってミアはツクヨの腕を肘で突く。彼も今更何か新しい案があるわけでもなく、小さくため息をついて覚悟を決める。
「何だ?俺達とじゃ不安だってのかぁ?」
「大丈夫ですよ?ツクヨさん。私だってこう見えて色々と知識をつけてきてますから!」
「うっうん、そうだね・・・大丈夫だ、きっと・・・」
言葉とは裏腹に全然大丈夫そうではないツクヨを尻目に、グループ分けは済んだがどう言う設定で他の者達に紹介するのか気になったシンは、ルーカスに現状の考えを聞いた。
「グループ分けに関しては問題ないが、どうやって紹介するつもりなんだ?俺達のことを」
「随分と若い方もいらっしゃるようなので、人組は音楽家の一家として。後は夫婦なり恋人なり、アルバへ移住しようとする教団に興味のある者達・・・というのでは如何ですか?」
「こっ恋人・・・!」
このチーム分けからすれば、シンとミアがルーカスの言う後者の役割になる。これまであまり意識してこなかったシンだが、いざ第三者の口からそのように言われると、他人からはそう見えるのだろうかと、ミアとの関係性について妄想するシン。
「そいつは都合がいいな!」
「っ!?」
ミアの発言に驚くシンに対し、何故そのような反応を取ると眉を潜ませるミアは、そのまま自身の考えを述べる。
「教団に興味があるとなれば、向こうから勝手に話してくれそうなものじゃねぇか。要するに、自分達のサークルに興味があるって連中が来たんなら、その魅力を話したくなるって寸法だろ?」
「そっそうか!なるほど・・・」
てっきり自分達の関係性のことを都合がいいと言ったのかと勘違いしたシンは、少しだけ肩を落としながら彼女の考えに賛同する。
「では設定は先程話したもので良いですかな?間も無く会場です。入り口で身分の証明を求められますので、宮殿の外で更新されたカードをご準備しておいて下さい」
仕切りに身分の確認と証明を求めているあたり、ジークベルトやその護衛隊の警戒度が伺える。一行はカードを手に持ち準備を整えると、会場の入り口付近に立っている警備の者達にカードを見せ、本人の確認とルーカスがの紹介で会場へ連れてきた事を伝えると、それ以上詮索される事もなく扉の奥へと通された。
会場の広さ的には一階の一般会場とそれほど変わらないが、置いてある物の違いや装飾の違い、用意されている食事の違いなどは当然ながら見受けられる。
そして会場に入って真っ先に目についた大きな違いといえば、中央に中庭を覗くかのように大きな空間があり、一階から三階まで筒抜けになっていたのだ。つまり上からは下の様子が見えるということになる。
まさに権力の縮図かのように、身分や権力を持つ者は上に通され、一般客は下の階層でそこが豪勢な宴の場であるかのように料理や雑談を楽しんでいる。
「上から見えていたのか・・・」
「いいですか?私が案内できるのはここまでです。これからツクヨさん達はアルバの街医者であるカールさんのところへお連れします。話を合わせた後、私とシンさんとミアさんは別の場所へと移動します」
「そっから俺達の腕の見せ所って訳だな?」
「頼むからあまりはしゃがないでくれよぉ~・・・?」
心配そうな声でツバキを静止するツクヨだったが、ツバキは何も心配はいらないと彼の不安を一蹴する。一方のアカリは、それなりにツバキよりも見た目も精神的にも大人に近いと言うこともあり、すっかり落ち着いたどこかのお嬢様のような振る舞いを見せる。
「カールさんなら、私達も面識がありますので安心ですね。彼も協力者なのですか?」
「いえ、彼は私があなた方に依頼をしている事など知りません。それに顔見知りであるのなら好都合です。彼の協力を仰げれば、より大司教へも近づけましょう。私と違って警戒もされてないでしょうし」
ツクヨとアカリは、二人でアルバの街を散策した際に、式典の準備で立ち入り禁止となっていた博物館に入る大司教のことを、偶然そこへ向かう途中の街医者であるカールと遭遇する事で聞かされていた。
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