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動かない身体
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霊体の怪物は突然、水を得た魚のように見に纏う魔力量を上げ、素早い動きをし始めたのだ。それはまるで、カプセルに閉じ込められていた先生の解放を待っていたかのように。
「なッ・・・!?まだ強くなるのかよッ・・・。もうコイツを使っても抑え切れないぞ!?」
ソウルリーパーは、その巨体で部屋中を縦横無尽に飛び回り、壁や床などお構い無しに透過していき、ツバキの狙いを定められないようにしている。
「クソッタッ・・・!こんなの相手にしてられっか!先生ってのを救出できたんなら、もうこんな所にようは無いぜ!」
ツバキはモンスターが飛び回っている内に、先生をカプセルから救出した少年の元へ向かう。一刻も早くこの場を去る為、彼は温存しておいた魔石を使い飛んでいくと、意識のない先生を抱える少年の身体を掴む。
「時間がねぇ!しっかり先生のこと、掴んでおけよ!!」
「ウンッ・・・!」
少年は徐に魔法を発動させ、先生の身体を包み込むように光で覆った。ジェットのように飛び回るツバキのガジェットの事を考えれば、空中で振り回されるのは必然。
それを考慮してのことだろうと、ツバキは少年の行動を尻目に、両足に積んだ魔石から一気に魔力を抽出し、モンスターの巨体を薙ぎ倒した時のように、エネルギーを足に集中させる。
強い光を帯び始めたツバキは、飛び込んでくるモンスターの攻撃に合わせて、文字通りロケットスタートを決めて回避し、出口の方へと突き抜けていく。
腕のガジェットを盾に扉を突き破ると、周りを見渡し上へ上がる階段を探すと、躊躇することなく階段へ向かって再び突っ込んでいく。
しかしこのままで階段に激突してしまう。ツバキはタイミングを見計らい、床ギリギリを飛びながら勢いよく床を蹴り飛ばす。彼らの身体は上手い具合に角度をつけ、見事に階段にぶつかることなく、施設の地下へと登っていく。
一息つくのも束の間、次に待ち構えているのは、入り組んだ仕掛けによって開閉する強固なハッチだった。こればかりは生身の身体で破ることは出来ない。
ツバキはすぐに腕のガジェットの準備を整えると、再びタイミングを計り丁度の力が全て乗るところで、ガジェットを起動する。
今度は地下の部屋でモンスターを薙ぎ倒した方の腕とは逆の腕に、エネルギーが集まる。続けてあんな大技を使えば、今度こそガジェットが壊れてしまう。
クールタイムが過ぎていても、ガジェットの耐久のことも考慮しなければ、すぐに戦闘不能になってしまう。それ故の左腕なのだが、いよいよこれで後がなくなる形となってしまった。
だがそれでも今は、窮地を脱することを第一に考えなければならない。彼の左腕に溜め込まれた力は、見事分厚いハッチを吹き飛ばし、漸く見慣れた施設の地下へと上がって来た。
そこで遂に、ツバキの両足に取り付けられた魔石の魔力が底をつく。ガス欠のように勢いを失って煙を噴き上げる。宙を舞ったまま勢いを失ってしまい、コントロールを無くした彼らは、まるで放り投げられるように床に落ちる。
「ぐッ・・・!ってぇ~・・・。おい、大丈夫か・・・?」
「ゥ・・・ウン・・・」
数々のモンスターとの戦闘と、地下の隠し部屋での大型ソウルリーパーとの戦いで、すでにツバキのガジェットと彼自身もボロボロだった。悲鳴をあげる身体に鞭を打って起き上がったツバキは、吹き飛ばされてしまった少年と先生の無事を確認しにいく。
先生の身体は、依然意識を取り戻さぬまま床に倒れていたが、外傷は全くなかった。これも少年の掛けた魔法のおかげだろう。実験に使われて身につけた能力のようだが、今はその能力に救われた。
少年の方は返事を返すことはできたようだが、ガジェットの速度と勢いに振り回され、いつの間にか身体のあちこちをぶつけていたのだろう。相当無理をしているようだった。
這いずりながら、床に倒れる先生の元へと向かっているが、少年の足は曲がる筈のない方向へと曲がっていた。
「お前・・・足がッ・・・!」
救出した先生の無事を確かめた少年は、安心したのか一気にその身体から力が抜け、そのまま仰向けに倒れる。すると彼は、自ら自分のフードを外し始める。
「先生・・・良かった、まだ意識が・・・」
少年は目を覆うように手を置いている。泣いているのだろう、その声色も僅かに震えているのが分かる。それだけ、先生と慕っている人が無事だったことが嬉しかったのか。
「お前・・・もういいのか?」
フードを外したということは、彼の意識がここを離れることを意味する。そしてその魂は元の身体のあるべき場所へと帰っていく。
「あぁ、もういいんだ・・・。それに、折角貰った身体も、こんなんじゃもう役に立たないしね・・・」
少年の言う通り、彼の身体はボロボロの状態で、最早戦うことは疎か真面に歩くことすら出来ない状態にある。彼もそれを分かっていてフードを外し、消える道を選んだ。
「なッ・・・!?まだ強くなるのかよッ・・・。もうコイツを使っても抑え切れないぞ!?」
ソウルリーパーは、その巨体で部屋中を縦横無尽に飛び回り、壁や床などお構い無しに透過していき、ツバキの狙いを定められないようにしている。
「クソッタッ・・・!こんなの相手にしてられっか!先生ってのを救出できたんなら、もうこんな所にようは無いぜ!」
ツバキはモンスターが飛び回っている内に、先生をカプセルから救出した少年の元へ向かう。一刻も早くこの場を去る為、彼は温存しておいた魔石を使い飛んでいくと、意識のない先生を抱える少年の身体を掴む。
「時間がねぇ!しっかり先生のこと、掴んでおけよ!!」
「ウンッ・・・!」
少年は徐に魔法を発動させ、先生の身体を包み込むように光で覆った。ジェットのように飛び回るツバキのガジェットの事を考えれば、空中で振り回されるのは必然。
それを考慮してのことだろうと、ツバキは少年の行動を尻目に、両足に積んだ魔石から一気に魔力を抽出し、モンスターの巨体を薙ぎ倒した時のように、エネルギーを足に集中させる。
強い光を帯び始めたツバキは、飛び込んでくるモンスターの攻撃に合わせて、文字通りロケットスタートを決めて回避し、出口の方へと突き抜けていく。
腕のガジェットを盾に扉を突き破ると、周りを見渡し上へ上がる階段を探すと、躊躇することなく階段へ向かって再び突っ込んでいく。
しかしこのままで階段に激突してしまう。ツバキはタイミングを見計らい、床ギリギリを飛びながら勢いよく床を蹴り飛ばす。彼らの身体は上手い具合に角度をつけ、見事に階段にぶつかることなく、施設の地下へと登っていく。
一息つくのも束の間、次に待ち構えているのは、入り組んだ仕掛けによって開閉する強固なハッチだった。こればかりは生身の身体で破ることは出来ない。
ツバキはすぐに腕のガジェットの準備を整えると、再びタイミングを計り丁度の力が全て乗るところで、ガジェットを起動する。
今度は地下の部屋でモンスターを薙ぎ倒した方の腕とは逆の腕に、エネルギーが集まる。続けてあんな大技を使えば、今度こそガジェットが壊れてしまう。
クールタイムが過ぎていても、ガジェットの耐久のことも考慮しなければ、すぐに戦闘不能になってしまう。それ故の左腕なのだが、いよいよこれで後がなくなる形となってしまった。
だがそれでも今は、窮地を脱することを第一に考えなければならない。彼の左腕に溜め込まれた力は、見事分厚いハッチを吹き飛ばし、漸く見慣れた施設の地下へと上がって来た。
そこで遂に、ツバキの両足に取り付けられた魔石の魔力が底をつく。ガス欠のように勢いを失って煙を噴き上げる。宙を舞ったまま勢いを失ってしまい、コントロールを無くした彼らは、まるで放り投げられるように床に落ちる。
「ぐッ・・・!ってぇ~・・・。おい、大丈夫か・・・?」
「ゥ・・・ウン・・・」
数々のモンスターとの戦闘と、地下の隠し部屋での大型ソウルリーパーとの戦いで、すでにツバキのガジェットと彼自身もボロボロだった。悲鳴をあげる身体に鞭を打って起き上がったツバキは、吹き飛ばされてしまった少年と先生の無事を確認しにいく。
先生の身体は、依然意識を取り戻さぬまま床に倒れていたが、外傷は全くなかった。これも少年の掛けた魔法のおかげだろう。実験に使われて身につけた能力のようだが、今はその能力に救われた。
少年の方は返事を返すことはできたようだが、ガジェットの速度と勢いに振り回され、いつの間にか身体のあちこちをぶつけていたのだろう。相当無理をしているようだった。
這いずりながら、床に倒れる先生の元へと向かっているが、少年の足は曲がる筈のない方向へと曲がっていた。
「お前・・・足がッ・・・!」
救出した先生の無事を確かめた少年は、安心したのか一気にその身体から力が抜け、そのまま仰向けに倒れる。すると彼は、自ら自分のフードを外し始める。
「先生・・・良かった、まだ意識が・・・」
少年は目を覆うように手を置いている。泣いているのだろう、その声色も僅かに震えているのが分かる。それだけ、先生と慕っている人が無事だったことが嬉しかったのか。
「お前・・・もういいのか?」
フードを外したということは、彼の意識がここを離れることを意味する。そしてその魂は元の身体のあるべき場所へと帰っていく。
「あぁ、もういいんだ・・・。それに、折角貰った身体も、こんなんじゃもう役に立たないしね・・・」
少年の言う通り、彼の身体はボロボロの状態で、最早戦うことは疎か真面に歩くことすら出来ない状態にある。彼もそれを分かっていてフードを外し、消える道を選んだ。
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