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修復士の助手
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首無しのモンスターを退治し終えた一行を連れ、ニコラは大穴の調査に訪れていた時に設けられた仮設の作業場へと向かう。
周囲は突如暴れ回ったモンスターによって、酷い荒らされようだった。散らばった物品や調査資料、そして調査に使う機材やテントの整理が、ニコラが連れて来たと思われる者達によって行われている。
「酷い状態だな・・・」
「あぁ、こんな状態で本当に直ぐに調査など出来るんだろうか」
改めて作業場の惨状を見て、調査や作業などを行なっている場合ではないのではないかと、心配すると共にニコラの自信をどこか疑うツクヨとルーカス。
しかし、表情を曇らせる彼らとは対照的に、何も問題はないといった様子で自信に満ち溢れているニコラは、整理する者達に目向きもせず真っ直ぐと自分の作業場へと向かい、立て直されたテントへと入る。
「見ての通り散らかっているが、好きな物に腰掛けてもらって構わない。だが、申し訳ないが気の利いたお出迎えが出来ない事だけは勘弁してくれ」
「ゆっくりするつもりはない。用が済んだら直ぐに帰るさ」
素っ気ない返事を返すルーカスに、軽い溜息をついて残念がるニコラ。彼は作業場へ帰って来るや否や、何かの機材にコードのようなものを繋ぎ始める。
ツクヨの持つ、布都御魂剣を調査する為の機材なのだろうか。その間、テント内を見渡していると、ふと小さな妖精のような者が作業場で何やら物品の移動を行なっているのが目に入った。
「あれは・・・?」
「あぁ、気にしないでくれ。危険なものじゃない。俺の助手のようなものさ。あ~・・・ただ、少し気難しい奴でね。慣れない者には冷たい態度を取るから気をつけてくれ。あと、くれぐれも彼の邪魔をしないようにね」
「いや・・・そうではなく・・・。あれは何者なんだ?」
手際よくテキパキと動きながら口も動かす器用なニコラは、ツクヨの質問に聞いてもいない形で返答する。的を射ない返答に、分かりやすくあれは何かとツクヨが質問をぶつける。
すると彼は、自分が見当違いのことをひたすら並べ連ねていたことに気付き、テント内で作業をしている妖精のような生き物について説明した。
「彼は俺の“精霊“だよ。言ったろ?修復には錬金術を用いるって。錬金術には四大元素ってのがあって、それぞれ術者の性格や性質に合った姿形で、我々の目に見える姿を形取る。俺の場合、“地“の属性に偏っているから地の精霊である彼が助手になっているって訳だ」
ニコラの助手だというソレは、ミアの使役する精霊である“ウンディーネ“と同じものだった。
より高度な錬金術を行えるようになったり、クラスの熟練度が増すことで精霊として呼び出すことが出来るようになる。自身の魔力を使い呼び出すことで、その属性に特化した魔法やエンチャント等を行う事もできる。
ニコラの精霊は、その身体に見合わぬ大きさの物を、不思議な力によって軽々と持ち運んでいた。それだけではない。彼が運び終えた物は、その道すがら淡い光に包まれると、みるみる内に元の形へと戻っていくのだ。
それこそまるで、この精霊が修復っしているかのように、あっという間の出来事だった。
「なるほど。奴が心配するような素振りを見せなかったのは、こういう事だったのか」
「修復は俺ら二人で行なっているんだ。さぁ、準備出来た!いよいよその不思議な剣の構造が見れるぞ!景気付けだ、君達お酒は?実は珍しい酒を持ち込んでいてね。滅多にお目にかかれる物じゃないんだ。折角だからどうだ?」
「私は少しなら・・・」
「俺は飲まんぞ。遊びに来ているのではないからな」
「堅い男だ。こんな男と一緒に居ては息が詰まるだろう?さぁツクヨ君、君は飲みたまえ。これを逃したら次は無いかもしれんぞ?」
頑なに断るルーカスとは違い、明らかに接待するかのようにツクヨへ取り入ろうとするニコラ。流されるまま彼にカップを渡されたツクヨは、ニコラの注ぐ珍しい酒とやらを頂くことにした。
ニコラに促されるまま、布都御魂剣は機材の上に置かれ、何かをスキャンしているかのように、端からゆっくりと光を当てられている。
「解析まで少し時間が掛かる。それまで君達の質問にでも答えよう。どうやらあまり信用されていないようだからね」
「当たり前だ。どんな回答がアンタから返ってこようが、信用するつもりもない」
「私からは何点か伺いたい事がある。貴方はアークシティから来たと言った。そのアークシティについてと、大まかな内情。そして貴方のアークシティでの立場や立ち位置について聞かせてくれないか?」
事前にアークシティの者から直接話を聞ける機会など、次にいつ訪れるか分からない。となれば、ここで聞いておかない手はないと、ツクヨは未だ謎の多いアークシティについて、直球の質問を投げ掛けた。
「アークシティについて?・・・ふ~ん、何処から話したものかねぇ・・・」
ざっくりとしたツクヨの質問に、ニコラは何処からどう話したらいいか、悩む様子を見せる。
周囲は突如暴れ回ったモンスターによって、酷い荒らされようだった。散らばった物品や調査資料、そして調査に使う機材やテントの整理が、ニコラが連れて来たと思われる者達によって行われている。
「酷い状態だな・・・」
「あぁ、こんな状態で本当に直ぐに調査など出来るんだろうか」
改めて作業場の惨状を見て、調査や作業などを行なっている場合ではないのではないかと、心配すると共にニコラの自信をどこか疑うツクヨとルーカス。
しかし、表情を曇らせる彼らとは対照的に、何も問題はないといった様子で自信に満ち溢れているニコラは、整理する者達に目向きもせず真っ直ぐと自分の作業場へと向かい、立て直されたテントへと入る。
「見ての通り散らかっているが、好きな物に腰掛けてもらって構わない。だが、申し訳ないが気の利いたお出迎えが出来ない事だけは勘弁してくれ」
「ゆっくりするつもりはない。用が済んだら直ぐに帰るさ」
素っ気ない返事を返すルーカスに、軽い溜息をついて残念がるニコラ。彼は作業場へ帰って来るや否や、何かの機材にコードのようなものを繋ぎ始める。
ツクヨの持つ、布都御魂剣を調査する為の機材なのだろうか。その間、テント内を見渡していると、ふと小さな妖精のような者が作業場で何やら物品の移動を行なっているのが目に入った。
「あれは・・・?」
「あぁ、気にしないでくれ。危険なものじゃない。俺の助手のようなものさ。あ~・・・ただ、少し気難しい奴でね。慣れない者には冷たい態度を取るから気をつけてくれ。あと、くれぐれも彼の邪魔をしないようにね」
「いや・・・そうではなく・・・。あれは何者なんだ?」
手際よくテキパキと動きながら口も動かす器用なニコラは、ツクヨの質問に聞いてもいない形で返答する。的を射ない返答に、分かりやすくあれは何かとツクヨが質問をぶつける。
すると彼は、自分が見当違いのことをひたすら並べ連ねていたことに気付き、テント内で作業をしている妖精のような生き物について説明した。
「彼は俺の“精霊“だよ。言ったろ?修復には錬金術を用いるって。錬金術には四大元素ってのがあって、それぞれ術者の性格や性質に合った姿形で、我々の目に見える姿を形取る。俺の場合、“地“の属性に偏っているから地の精霊である彼が助手になっているって訳だ」
ニコラの助手だというソレは、ミアの使役する精霊である“ウンディーネ“と同じものだった。
より高度な錬金術を行えるようになったり、クラスの熟練度が増すことで精霊として呼び出すことが出来るようになる。自身の魔力を使い呼び出すことで、その属性に特化した魔法やエンチャント等を行う事もできる。
ニコラの精霊は、その身体に見合わぬ大きさの物を、不思議な力によって軽々と持ち運んでいた。それだけではない。彼が運び終えた物は、その道すがら淡い光に包まれると、みるみる内に元の形へと戻っていくのだ。
それこそまるで、この精霊が修復っしているかのように、あっという間の出来事だった。
「なるほど。奴が心配するような素振りを見せなかったのは、こういう事だったのか」
「修復は俺ら二人で行なっているんだ。さぁ、準備出来た!いよいよその不思議な剣の構造が見れるぞ!景気付けだ、君達お酒は?実は珍しい酒を持ち込んでいてね。滅多にお目にかかれる物じゃないんだ。折角だからどうだ?」
「私は少しなら・・・」
「俺は飲まんぞ。遊びに来ているのではないからな」
「堅い男だ。こんな男と一緒に居ては息が詰まるだろう?さぁツクヨ君、君は飲みたまえ。これを逃したら次は無いかもしれんぞ?」
頑なに断るルーカスとは違い、明らかに接待するかのようにツクヨへ取り入ろうとするニコラ。流されるまま彼にカップを渡されたツクヨは、ニコラの注ぐ珍しい酒とやらを頂くことにした。
ニコラに促されるまま、布都御魂剣は機材の上に置かれ、何かをスキャンしているかのように、端からゆっくりと光を当てられている。
「解析まで少し時間が掛かる。それまで君達の質問にでも答えよう。どうやらあまり信用されていないようだからね」
「当たり前だ。どんな回答がアンタから返ってこようが、信用するつもりもない」
「私からは何点か伺いたい事がある。貴方はアークシティから来たと言った。そのアークシティについてと、大まかな内情。そして貴方のアークシティでの立場や立ち位置について聞かせてくれないか?」
事前にアークシティの者から直接話を聞ける機会など、次にいつ訪れるか分からない。となれば、ここで聞いておかない手はないと、ツクヨは未だ謎の多いアークシティについて、直球の質問を投げ掛けた。
「アークシティについて?・・・ふ~ん、何処から話したものかねぇ・・・」
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