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連携する獣達
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彼らとの戦闘の影で成長を続けていた変異種が、自分の番が来たかと言わんばかりに峰闇らの前へと躍り出る。姿形こそ変わらぬものの、その身に纏う雰囲気はこれまでの個体とは違うということを彼らも僅かに感じていた。
「妙だな・・・」
「え?どうしたんですか?」
「アイツ、他のと違って妙に間合いを気にしているみたいな動きをしてる・・・」
変異体との戦闘経験のないマキナには、その違いが分からなかった。無理もない話だ。現実世界での戦闘に慣れている峰闇ですら、断言出来ないほどの僅かな空気感の違いでしかない。
嫌な予感を感じていた峰闇に変わり、マキナが別の間合いから銃による攻撃を仕掛けてみる。峰闇が向く先にいる個体へ、銃口を構える。
しかし、その様子を見ていた変異体は突如彼に向かって、左右に揺さぶりを掛けながら駆けていく。
「なッ!?コイツっ・・・!」
「おいッ!落ち着け!そいつはッ・・・!」
マキナはこれまでよりも早く、そして計画的に動くモンスターに惑わされ、何発も銃弾を撃ち込む。だがそれらが命中することはなく、そして遂には目の前まで接近を許してしまった。
向けられた血に飢える獣の眼に、血の気の引いた表情を浮かべるマキナ。すると、突然彼の身体が横へ押し出される。変異体の攻撃をくらいそうになっているところへ、側にいた峰闇が自らが変わり身にならんと体当たりをしていた。
押し出されたマキナは、そのまま床に倒れる。何が起きたのかと顔を上げる彼が見たのは、変異体の鋭い爪を剣で受け止める峰闇の後ろ姿。
彼の剣が変異体の攻撃を受け止めた衝撃で、辺りに残留していたイルの靄が吹き飛ばされていった。
「なっ何だよコイツ!他のと全然違うじゃないか!?」
二人の身に起きた異変に気がついたにぃなやケイルが、慌てて視線を向ける。影に隠れていた変異体達は、その一撃を皮切りに一斉に動き出す。
まだ残っている通常の個体らの間を縫うように駆け抜け、一箇所にまとまる彼らを四方八方から取り囲むようにして襲い掛かる。
包囲された彼らに逃げ道などなかった。だが、ここへ集まったのは彼らにとってそれが、生き残るための最善の行動だったからだ。その為ににぃなは、重傷の蒼空よりも先にケイルを回復させていた。
今こそその借りを返す時と、ケイルは変異体からの攻撃を防ぐ為の半球状のシールドを展開する。
突如現れた光の壁に、飛び掛かろうとしていた変異体達の攻撃が受け止められる。
しかし、峰闇が唯一攻撃を受け止めていた変異体だけは、ケイルの展開したシールドの内側に入り込んでいる。
連携を仕掛けてきた変異体だが、孤立してしまったモンスターに遅れをとる彼らではなかった。
一発の銃弾が、峰闇と競り合う変異体の身体を貫く。すると、身体に命中した箇所に何かの刻印のようなマークが付く。これはマキナのマーシナリーのクラススキルである、ウィークショットによるものだった。
弾自体には、銃弾としての威力しかないが、対象の命中した箇所に弱点部位を付与するスキルで、変異体に刻まれた刻印はそこが暫くの間、弱点部位に追加されたという可視化された目印となったのだ。
「さっきはビビっちまったがよぉ・・・。下手こいた分はきっちり自分の手で返すぜ!峰闇さん!」
「あぁ、分かってるッ!」
銃弾を受けて蹌踉めく変異体に、素早い踏み込みで急接近すると、紫黒のオーラを放つ剣でマキナの付与した弱点部位へ斬りかかる。
刃が触れる寸前、変異体の身体に異変が起きた。身体からパキパキと、湖に氷が張るような音が聞こえ出す。斬りつけようとしていた峰闇のみが、その変化に気がつく。
変異体は自らの身体を硬質化させようとしていたのだ。一体どこでそんなスキルを身につけたのかは分からないが、峰闇の自傷スキルによる火力と、マキナの弱点部位によるサポートにより、硬質化したところで防ぎ切れるものではなくなっていた。
通常の個体よりも大きなその身体は、剣の切り口から見事に裂け真っ二つになる。変異体の身体は血飛沫を上げながら、退治した通常個体と同じように消滅していった。
「今のは・・・」
峰闇がたった今見たことを他の者達に伝えようとしたところで、苦しそうな声色をしたケイルが口を開く。
「マズイッ・・・!抑えきれなッ・・・」
ケイルのその声と同時に、彼らを囲っていた半球状のシールドが、まるでガラスのように打ち砕かれてしまった。
病み上がりのケイルのスキルでは、パワーアップした変異体の複数による一斉攻撃を受け切れるだけの、耐久力のあるシールドを構成出来なかったようだ。
そして、シールドが破壊されたと同時に、まるでそれまで待機させられていたかのように、様子を見ていた通常個体のモンスター達が襲い掛かる。
それまでの野生生物のように、ただ向かってくるだけの通常個体とは違い、今回はまるで見計らっていたかのような動き。それを見たにぃなは、そこで初めて気がつくことになる。
これらが、シンと共にプレジャーフォレスで戦った時のモンスターと同じ、変異種である個体なのだということを。
「これ!変異種かもッ・・!」
「“変異種“!?何だ、そりゃぁ」
あくまで変異種という名称は、シン達がそう呼んでいるだけで、それを知らないケイルやマキナらには一体何の事を言っているのかが分からない。
しかし、変異体の一体を倒した峰闇には、うっすらと彼女の言う変異種が一体何を指す言葉なのか、気づき始めていた。
「妙だな・・・」
「え?どうしたんですか?」
「アイツ、他のと違って妙に間合いを気にしているみたいな動きをしてる・・・」
変異体との戦闘経験のないマキナには、その違いが分からなかった。無理もない話だ。現実世界での戦闘に慣れている峰闇ですら、断言出来ないほどの僅かな空気感の違いでしかない。
嫌な予感を感じていた峰闇に変わり、マキナが別の間合いから銃による攻撃を仕掛けてみる。峰闇が向く先にいる個体へ、銃口を構える。
しかし、その様子を見ていた変異体は突如彼に向かって、左右に揺さぶりを掛けながら駆けていく。
「なッ!?コイツっ・・・!」
「おいッ!落ち着け!そいつはッ・・・!」
マキナはこれまでよりも早く、そして計画的に動くモンスターに惑わされ、何発も銃弾を撃ち込む。だがそれらが命中することはなく、そして遂には目の前まで接近を許してしまった。
向けられた血に飢える獣の眼に、血の気の引いた表情を浮かべるマキナ。すると、突然彼の身体が横へ押し出される。変異体の攻撃をくらいそうになっているところへ、側にいた峰闇が自らが変わり身にならんと体当たりをしていた。
押し出されたマキナは、そのまま床に倒れる。何が起きたのかと顔を上げる彼が見たのは、変異体の鋭い爪を剣で受け止める峰闇の後ろ姿。
彼の剣が変異体の攻撃を受け止めた衝撃で、辺りに残留していたイルの靄が吹き飛ばされていった。
「なっ何だよコイツ!他のと全然違うじゃないか!?」
二人の身に起きた異変に気がついたにぃなやケイルが、慌てて視線を向ける。影に隠れていた変異体達は、その一撃を皮切りに一斉に動き出す。
まだ残っている通常の個体らの間を縫うように駆け抜け、一箇所にまとまる彼らを四方八方から取り囲むようにして襲い掛かる。
包囲された彼らに逃げ道などなかった。だが、ここへ集まったのは彼らにとってそれが、生き残るための最善の行動だったからだ。その為ににぃなは、重傷の蒼空よりも先にケイルを回復させていた。
今こそその借りを返す時と、ケイルは変異体からの攻撃を防ぐ為の半球状のシールドを展開する。
突如現れた光の壁に、飛び掛かろうとしていた変異体達の攻撃が受け止められる。
しかし、峰闇が唯一攻撃を受け止めていた変異体だけは、ケイルの展開したシールドの内側に入り込んでいる。
連携を仕掛けてきた変異体だが、孤立してしまったモンスターに遅れをとる彼らではなかった。
一発の銃弾が、峰闇と競り合う変異体の身体を貫く。すると、身体に命中した箇所に何かの刻印のようなマークが付く。これはマキナのマーシナリーのクラススキルである、ウィークショットによるものだった。
弾自体には、銃弾としての威力しかないが、対象の命中した箇所に弱点部位を付与するスキルで、変異体に刻まれた刻印はそこが暫くの間、弱点部位に追加されたという可視化された目印となったのだ。
「さっきはビビっちまったがよぉ・・・。下手こいた分はきっちり自分の手で返すぜ!峰闇さん!」
「あぁ、分かってるッ!」
銃弾を受けて蹌踉めく変異体に、素早い踏み込みで急接近すると、紫黒のオーラを放つ剣でマキナの付与した弱点部位へ斬りかかる。
刃が触れる寸前、変異体の身体に異変が起きた。身体からパキパキと、湖に氷が張るような音が聞こえ出す。斬りつけようとしていた峰闇のみが、その変化に気がつく。
変異体は自らの身体を硬質化させようとしていたのだ。一体どこでそんなスキルを身につけたのかは分からないが、峰闇の自傷スキルによる火力と、マキナの弱点部位によるサポートにより、硬質化したところで防ぎ切れるものではなくなっていた。
通常の個体よりも大きなその身体は、剣の切り口から見事に裂け真っ二つになる。変異体の身体は血飛沫を上げながら、退治した通常個体と同じように消滅していった。
「今のは・・・」
峰闇がたった今見たことを他の者達に伝えようとしたところで、苦しそうな声色をしたケイルが口を開く。
「マズイッ・・・!抑えきれなッ・・・」
ケイルのその声と同時に、彼らを囲っていた半球状のシールドが、まるでガラスのように打ち砕かれてしまった。
病み上がりのケイルのスキルでは、パワーアップした変異体の複数による一斉攻撃を受け切れるだけの、耐久力のあるシールドを構成出来なかったようだ。
そして、シールドが破壊されたと同時に、まるでそれまで待機させられていたかのように、様子を見ていた通常個体のモンスター達が襲い掛かる。
それまでの野生生物のように、ただ向かってくるだけの通常個体とは違い、今回はまるで見計らっていたかのような動き。それを見たにぃなは、そこで初めて気がつくことになる。
これらが、シンと共にプレジャーフォレスで戦った時のモンスターと同じ、変異種である個体なのだということを。
「これ!変異種かもッ・・!」
「“変異種“!?何だ、そりゃぁ」
あくまで変異種という名称は、シン達がそう呼んでいるだけで、それを知らないケイルやマキナらには一体何の事を言っているのかが分からない。
しかし、変異体の一体を倒した峰闇には、うっすらと彼女の言う変異種が一体何を指す言葉なのか、気づき始めていた。
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