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異形を追う者
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彼らがアジトへ突入し調査している間に、外では事件が起きた建物の炎上がすっかり鎮火していた。
車両が突っ込んだ辺りには消防車が数台止まっており、放水の為に使うホースや上空からの消化作業を行う作業用ドローンが複数機飛んでいる。
建物内部へは、中に取り残された者がいないか調べるための、救命キットを搭載した四足獣型のアンドロイドと共に、外からでも中の様子が見れるようカメラや生物を探知するスキャナータイプのドローンが、数チームに分かれ捜索をしている。
そんな中、生身で現場へ入ろうとしている者がいた。
「おい君!危ないから下がりなさい」
「どうやって入り込んだんだ・・・。ほら、早く!」
その男は、消防隊の静止を躱しゆっくりと建物の中へと入っていってしまう。急ぎ腕を掴もうとする隊員。だが、後から到着した刑事らしき人物に止められた。
「アイツはいいんだ。行かせてやってくれないかね・・・」
「え・・・?はぁ、まぁあなた方がそう仰るなら・・・。しかし、まだ内部の安全確保は完了していません。それにいつ崩れてくるか・・・」
刑事の男はそっと隊員の肩に手を乗せる。そして目を閉じながらゆっくり首を横に振った。
「アイツはもう死んだも同然なんだ。もし崩れて本当に死んじまったら、こっちで責任を取る。だからそっとしておいてやってはくれ」
「分かりました。ですが、内部調査用アンドロイド達は引き続き中を捜索させます。くれぐれも邪魔はしないようお願いしますよ」
「あぁ、分かってる。悪いねぇ」
トレンチコートを着た如何にもベテラン風の刑事の後ろからは、スーツに身を包んだ若手の警察職員らしき者がついてきていた。
ベテラン刑事とは違い、建物の中へ入っていった男のことを知らない様子の刑事は、一体なぜ彼を中に行かせたのかを問う。
「泉さん、どうしてあの人を中に行かせたんですか?また始末書が増えちゃいますよ」
「お前が気にすることじゃねぇよ。始末書は俺が全部片付けるって言ったろ?」
「しかし・・・」
「それにアイツは、俺らなんかよりよっぽどこの事件に向いてるよ」
「・・・どういう意味ですか?」
少し不服そうな表情を浮かべながら、ベテラン刑事へ問う若手の刑事。彼が何も知らぬということは、事件現場の建物へ入っていった男は警察関係者ではないということだろうか。
すると泉刑事は、分かりやすいようにその若手刑事へ、一人の悲劇に見舞われた男の話を始めた。
内部調査の作業を邪魔しないようその場を立ち退くと、野次馬に集まった民衆の声に妨げられぬように、乗ってきた車の中へ乗り込む。
積もる話にでもなるのか、懐から煙草を取り出す泉刑事。それを見た若手刑事が気を利かせ、ライターで火を起こし近づける。軽く会釈をして、咥えた煙草の先を近づけ火を灯す。
大きく息を吸いながら、開けた窓へ向けて息に煙を吐き出す。一息つくと、泉はどうか悲しげに建物の中へ入っていった男の話を始める。
「お前さんも刑事になったからには、よく知っておくことだ。俺達警察は、独自の部署とは別にサイバー事件を調査するエージェントと手を組んでる。アイツはそのエージェントの中の一人なんだ」
「そうだったんですか・・・。ん?それじゃぁ調査に入るのに問題もないのでは?」
「まぁそれはそうなんだが、ちとやり方がな・・・。そんでアイツは、家族をサイバー事件に巻き込まれて殺されちまったんだ。その時、アイツを励まし元気付けていた先輩も立て続けに亡くなっちまって、事件に対する執着がアイツを動かすようになった・・・。それが“出雲“という男だ」
車両が突っ込んだ辺りには消防車が数台止まっており、放水の為に使うホースや上空からの消化作業を行う作業用ドローンが複数機飛んでいる。
建物内部へは、中に取り残された者がいないか調べるための、救命キットを搭載した四足獣型のアンドロイドと共に、外からでも中の様子が見れるようカメラや生物を探知するスキャナータイプのドローンが、数チームに分かれ捜索をしている。
そんな中、生身で現場へ入ろうとしている者がいた。
「おい君!危ないから下がりなさい」
「どうやって入り込んだんだ・・・。ほら、早く!」
その男は、消防隊の静止を躱しゆっくりと建物の中へと入っていってしまう。急ぎ腕を掴もうとする隊員。だが、後から到着した刑事らしき人物に止められた。
「アイツはいいんだ。行かせてやってくれないかね・・・」
「え・・・?はぁ、まぁあなた方がそう仰るなら・・・。しかし、まだ内部の安全確保は完了していません。それにいつ崩れてくるか・・・」
刑事の男はそっと隊員の肩に手を乗せる。そして目を閉じながらゆっくり首を横に振った。
「アイツはもう死んだも同然なんだ。もし崩れて本当に死んじまったら、こっちで責任を取る。だからそっとしておいてやってはくれ」
「分かりました。ですが、内部調査用アンドロイド達は引き続き中を捜索させます。くれぐれも邪魔はしないようお願いしますよ」
「あぁ、分かってる。悪いねぇ」
トレンチコートを着た如何にもベテラン風の刑事の後ろからは、スーツに身を包んだ若手の警察職員らしき者がついてきていた。
ベテラン刑事とは違い、建物の中へ入っていった男のことを知らない様子の刑事は、一体なぜ彼を中に行かせたのかを問う。
「泉さん、どうしてあの人を中に行かせたんですか?また始末書が増えちゃいますよ」
「お前が気にすることじゃねぇよ。始末書は俺が全部片付けるって言ったろ?」
「しかし・・・」
「それにアイツは、俺らなんかよりよっぽどこの事件に向いてるよ」
「・・・どういう意味ですか?」
少し不服そうな表情を浮かべながら、ベテラン刑事へ問う若手の刑事。彼が何も知らぬということは、事件現場の建物へ入っていった男は警察関係者ではないということだろうか。
すると泉刑事は、分かりやすいようにその若手刑事へ、一人の悲劇に見舞われた男の話を始めた。
内部調査の作業を邪魔しないようその場を立ち退くと、野次馬に集まった民衆の声に妨げられぬように、乗ってきた車の中へ乗り込む。
積もる話にでもなるのか、懐から煙草を取り出す泉刑事。それを見た若手刑事が気を利かせ、ライターで火を起こし近づける。軽く会釈をして、咥えた煙草の先を近づけ火を灯す。
大きく息を吸いながら、開けた窓へ向けて息に煙を吐き出す。一息つくと、泉はどうか悲しげに建物の中へ入っていった男の話を始める。
「お前さんも刑事になったからには、よく知っておくことだ。俺達警察は、独自の部署とは別にサイバー事件を調査するエージェントと手を組んでる。アイツはそのエージェントの中の一人なんだ」
「そうだったんですか・・・。ん?それじゃぁ調査に入るのに問題もないのでは?」
「まぁそれはそうなんだが、ちとやり方がな・・・。そんでアイツは、家族をサイバー事件に巻き込まれて殺されちまったんだ。その時、アイツを励まし元気付けていた先輩も立て続けに亡くなっちまって、事件に対する執着がアイツを動かすようになった・・・。それが“出雲“という男だ」
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