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それぞれの思いを乗せて
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燃え盛る炎の先へと通じる精霊の道。彼は覚悟を決めて、主人らのものである消えぬ炎へと身を投じる。体勢を出来るだけ低くし、炎の熱が皮膚を焼こうかという寸前にボードに掴まりながら、水の中へと飛び込んだ。
身体に引火した炎は消えることはなかったが、少しでも熱を下げようと試みたハオラン。如何に水を受けても消えぬ炎は、彼の全身を包み込む。
しかし幸か不幸か、彼の身体に炎が宿ったことで、周囲の者達にリヴァイアサンの頭部へ向かうハオランの存在を知らせる結果となったのだ。
巨獣の周囲に現れた水の道を、一筋の光が暗闇を照らすように駆け抜ける。エイヴリー海賊団はリヴァイアサンに空いた風穴を燃やす炎から、何かが飛び出すのを確認する。
船長であるエイヴリーや、船内で状況を確認していた幹部のアルマンには、それがチン・シー海賊団の腹心であるハオランだとすぐに気が付いた。
既にレールガンの装填を済ませていた彼らは、ハオランの力があれば聳え立つリヴァイアサンの頭部を海面に下ろすことができることを知っている。
タイミングを彼に任せ、エイヴリー海賊団はいつでも発射できるように最終調整へと入る。
「野朗共ッ!いつでも撃てる準備だけしておけッ!角度はイカれちまって調整する必要はねぇんだ。いつもの半分の時間で完了させろッ!」
エイヴリーの一喝で気合の入るエイヴリー海賊団。装填作業を完了させた船員達は、ハオランが現れるまでの間、小型モンスターの相手やリヴァイアサンへの砲撃をしていた。
準備を担当する船員達は、日頃からレールガンをいつでも起動させられるように訓練を積んでいる者達だ。射線や角度に関しては砲撃手のアドバイスを元に調整していたが、エイヴリーのいう通り今回はそれを気にする必要は一切ない。
思う存分発射の準備に専念できるとなり、彼らの士気も相当に高くなっていた。勝敗を決する重要な一撃。不備は許されない。緊張感に追われながらも、エイヴリー海賊団はハオランがリヴァイアサンの頭部に到着する前に、最終調整を完了させる。
依然、ウンディーネの作り上げた水の道を利用し、海から上空へ駆け上がっていく魔物を狙撃していくダラーヒム達シー・ギャングサイド。シンに向かってすり抜けていく者以外は、数の暴力によりねじ伏せていく。
だがそれでも、ダラーヒムの意識は海上でリヴァイアサンを一人押さえつけているキングの身を案じていた。日頃これ程能力を使うことのないキング。幹部クラスであるダラーヒム達自身も、彼のここまでの奮闘は想像していなかった。
普段や他の組織、海賊団との戦闘の中でも能力を出し惜しみするキング。それは単純に、能力が彼のキャパシティをオーバーしてしまっているからなのだ。
強力な力には、それ相応のリスクが伴う。単純な戦闘能力で言えば、エイヴリーのクラフトや、チン・シーのリンクの力を遥かに凌駕するキングの力。実際、その小さな身体と年齢でよく扱えているものだと、彼らもキング自身の力を認めている。
だが、その能力を全力で使った時、彼が一体何処まで保つのか。それは本人でさえ知る由もない未知の領域だった。
僅かではあるが、徐々にリヴァイアサンの力が戻りつつある。つまり、キングの容態に変化が訪れたということだろう。そんな彼を心配するダラーヒムに、自らを鼓舞する意味でもキングは余計なことを考えるなと檄を飛ばす。
「おいッ・・・!余所見支店じゃねぇぞ!・・・ここが正念場なんだからよぉ~・・・。途中でへばってちゃぁ格好がつかねぇよなぁッ・・・!」
「分かったぜ・・・。どうか無理しねぇでくれよな、ボスッ!」
キングの言葉に不安を振り切ったダラーヒムは、自ら砲弾を手にしては水の道を駆け上がる魔物達へと放り投げる。およそ人が投げたものとは思えぬ速度で投げられた砲弾は、その途中で岩石へと変わる。
そして投げ放たれた岩石に伸ばした手を強く握りしめると、岩石は破裂し拡散する。ダラーヒムの援護射撃を得たシンは、更に上へと昇り防衛ラインを引き上げて行く。
シンの活躍が必要なくなった訳ではない。彼がそこにいては、ダラーヒム率いる砲撃部隊が気を使ってしまい、思うように攻撃できないからだ。対象外のシンが標的から離れることで、ダラーヒムの引き起こした岩石の拡散のように、広範囲での砲撃が可能になる。
そして距離を空けたシンが、猛攻をすり抜けてきた魔物を討伐することで、見事完璧なまでの殿としての務めを果たした。
リヴァイアサンの再生を防ぎ、本来の力を抑制させていたチン・シー海賊団も、彼らの炎の中からオレンジ色の光を灯した何者かが、水の道を進んでいくのを目撃する。
彼らの距離的に肉眼で誰かを特定するのは難しい。それでも、チン・シーのリンク能力で繋がった彼女だけは別だった。常に戦闘の要としてリンクの能力を受けていたハオラン。彼女だけにはその気配や魔力が、ある程度離れていても感じることができる。
「ハオラン・・・。そうか、エイヴリーが兵器の準備をし始めたのは、こういうことだったか。我らが炎は味方を燃やし尽くしたりはしない。行け、ハオラン。思う存分、全力の力を叩き込んでやるがいい!」
チン・シーの言葉の通り、炎はやがてハオランの身体に馴染み始める。それは身を焦がすものではなく、共に戦う力として彼の身体に宿っていた。
身体に引火した炎は消えることはなかったが、少しでも熱を下げようと試みたハオラン。如何に水を受けても消えぬ炎は、彼の全身を包み込む。
しかし幸か不幸か、彼の身体に炎が宿ったことで、周囲の者達にリヴァイアサンの頭部へ向かうハオランの存在を知らせる結果となったのだ。
巨獣の周囲に現れた水の道を、一筋の光が暗闇を照らすように駆け抜ける。エイヴリー海賊団はリヴァイアサンに空いた風穴を燃やす炎から、何かが飛び出すのを確認する。
船長であるエイヴリーや、船内で状況を確認していた幹部のアルマンには、それがチン・シー海賊団の腹心であるハオランだとすぐに気が付いた。
既にレールガンの装填を済ませていた彼らは、ハオランの力があれば聳え立つリヴァイアサンの頭部を海面に下ろすことができることを知っている。
タイミングを彼に任せ、エイヴリー海賊団はいつでも発射できるように最終調整へと入る。
「野朗共ッ!いつでも撃てる準備だけしておけッ!角度はイカれちまって調整する必要はねぇんだ。いつもの半分の時間で完了させろッ!」
エイヴリーの一喝で気合の入るエイヴリー海賊団。装填作業を完了させた船員達は、ハオランが現れるまでの間、小型モンスターの相手やリヴァイアサンへの砲撃をしていた。
準備を担当する船員達は、日頃からレールガンをいつでも起動させられるように訓練を積んでいる者達だ。射線や角度に関しては砲撃手のアドバイスを元に調整していたが、エイヴリーのいう通り今回はそれを気にする必要は一切ない。
思う存分発射の準備に専念できるとなり、彼らの士気も相当に高くなっていた。勝敗を決する重要な一撃。不備は許されない。緊張感に追われながらも、エイヴリー海賊団はハオランがリヴァイアサンの頭部に到着する前に、最終調整を完了させる。
依然、ウンディーネの作り上げた水の道を利用し、海から上空へ駆け上がっていく魔物を狙撃していくダラーヒム達シー・ギャングサイド。シンに向かってすり抜けていく者以外は、数の暴力によりねじ伏せていく。
だがそれでも、ダラーヒムの意識は海上でリヴァイアサンを一人押さえつけているキングの身を案じていた。日頃これ程能力を使うことのないキング。幹部クラスであるダラーヒム達自身も、彼のここまでの奮闘は想像していなかった。
普段や他の組織、海賊団との戦闘の中でも能力を出し惜しみするキング。それは単純に、能力が彼のキャパシティをオーバーしてしまっているからなのだ。
強力な力には、それ相応のリスクが伴う。単純な戦闘能力で言えば、エイヴリーのクラフトや、チン・シーのリンクの力を遥かに凌駕するキングの力。実際、その小さな身体と年齢でよく扱えているものだと、彼らもキング自身の力を認めている。
だが、その能力を全力で使った時、彼が一体何処まで保つのか。それは本人でさえ知る由もない未知の領域だった。
僅かではあるが、徐々にリヴァイアサンの力が戻りつつある。つまり、キングの容態に変化が訪れたということだろう。そんな彼を心配するダラーヒムに、自らを鼓舞する意味でもキングは余計なことを考えるなと檄を飛ばす。
「おいッ・・・!余所見支店じゃねぇぞ!・・・ここが正念場なんだからよぉ~・・・。途中でへばってちゃぁ格好がつかねぇよなぁッ・・・!」
「分かったぜ・・・。どうか無理しねぇでくれよな、ボスッ!」
キングの言葉に不安を振り切ったダラーヒムは、自ら砲弾を手にしては水の道を駆け上がる魔物達へと放り投げる。およそ人が投げたものとは思えぬ速度で投げられた砲弾は、その途中で岩石へと変わる。
そして投げ放たれた岩石に伸ばした手を強く握りしめると、岩石は破裂し拡散する。ダラーヒムの援護射撃を得たシンは、更に上へと昇り防衛ラインを引き上げて行く。
シンの活躍が必要なくなった訳ではない。彼がそこにいては、ダラーヒム率いる砲撃部隊が気を使ってしまい、思うように攻撃できないからだ。対象外のシンが標的から離れることで、ダラーヒムの引き起こした岩石の拡散のように、広範囲での砲撃が可能になる。
そして距離を空けたシンが、猛攻をすり抜けてきた魔物を討伐することで、見事完璧なまでの殿としての務めを果たした。
リヴァイアサンの再生を防ぎ、本来の力を抑制させていたチン・シー海賊団も、彼らの炎の中からオレンジ色の光を灯した何者かが、水の道を進んでいくのを目撃する。
彼らの距離的に肉眼で誰かを特定するのは難しい。それでも、チン・シーのリンク能力で繋がった彼女だけは別だった。常に戦闘の要としてリンクの能力を受けていたハオラン。彼女だけにはその気配や魔力が、ある程度離れていても感じることができる。
「ハオラン・・・。そうか、エイヴリーが兵器の準備をし始めたのは、こういうことだったか。我らが炎は味方を燃やし尽くしたりはしない。行け、ハオラン。思う存分、全力の力を叩き込んでやるがいい!」
チン・シーの言葉の通り、炎はやがてハオランの身体に馴染み始める。それは身を焦がすものではなく、共に戦う力として彼の身体に宿っていた。
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