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集う旧友、伝わる真実
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デイヴィスの元を離れようとするウォルターへ攻撃を仕掛けるキング。だが、ウォルターの見えぬ爆弾のせいで、キングの投擲する武器は次々に弾かれてしまう。
「ハハッ!キング!お前もその能力がなけりゃぁ大したことねぇなぁ!?」
「そんな安い挑発、このキング様が買う筈ないのよ~!」
すると突然、二人は打ち上がった信号弾に驚く。それは正しく突然と言うほど、何もないところから急に煙が上がる。これ程戦闘に卓越した二人であっても、信号弾が打ち出されていたことに気づかなかった。
「何ッ!?」
「これは・・・。デイヴィスの信号弾か!?何故だ・・・奴は既に動けないはず・・・!」
デイヴィスが倒れていたはずの場所に視線を送る。そこには確かにデイヴィスが横たわっていた。だが、彼のその姿勢から信号弾など到底撃てる状態ではない。仮に撃てたとしても、それをウォルターが見逃す筈がない。
そしてそれはキングとて同じこと。戦場のちょっとした動きでも見逃さない鋭い洞察力。それが、デイヴィスが身体の向きを変えたことにすら気が付かなかったのだ。
二人はデイヴィス、或いはこの場に起きていること、何か底知れない恐怖のようなものを感じ、大粒の汗を流した。
「信号弾・・・?仲間を呼ぶ気か!?」
「あぁ・・・。どうやって撃ったのかは分からんが、お前の首を狙いに各海賊の船長クラスの奴らがここへやって来る。じゃぁな、キング。できればもう会いたくねぇものだな」
「待てッ!」
キングは煙に消えようとするウォルターを追う。しかし、その進行は何者かの攻撃によって妨げられる。甲板を抉るように突き刺さる大剣。キングの船へと乗り込んできた、シンプソンによるものだ。
彼の登場を皮切りに海面の方で大きな物音が複数聞こえる。水飛沫を上げ浮上して来たのは、数人用の小さな潜水艦だったのだ。しかもそれが複数、キングの船を囲むようにして現れた。
「おぉッと!行かせねぇよ、キングぅ・・・」
「チッ・・・!何も知らねぇで・・・」
ウォルターの追跡を邪魔されたキングは、仕方がなくシンプソンら暗殺計画を実行しようとする者達の相手をせざるを得なかった。そして、その計画の中心人物でもある重要人物がキングの船に到着し、その光景に絶望の表情を浮かべていた。
「デイヴィスッ・・・!デイヴィス、しっかりしてくれ!」
ロバーツだ。彼は一目散に甲板に横たわるデイヴィスの元へ駆け寄り、身体を抱き抱えるように起こし、必死にデイヴィスの意識をこの世に止めようとしていた。
「・・・ロバーツ・・・。よかった、間に合った・・・」
「しゃべるな!すぐに手当をする!」
「違うんだ、ロバーツ・・・。キングは敵じゃなかった・・・」
「・・・!?」
デイヴィスから予想外の事実が伝えられる。与えられた猶予の中で必死に口を動かし、ロバーツに真実を語るデイヴィス。キングは妹のレイチェルら、子供の奴隷を救出し、一人で生きていけるよう様々なことを身につけさせていたこと。
奴隷貿易は彼のカモフラージュであり、キングは一人で人生を歩めぬ者達を、自分の道を自分で歩けるように支援していたのだと。そして、妹を殺しキングやデイヴィスを襲撃した首謀者が他にいることを伝えた。
「そんな・・・。ずっと追い求めていた真実の真相が、まさかこんな結末に・・・。それなら一体誰にやられた、デイヴィス。妹を殺し、お前を始末しようとした奴は一体誰だ・・・?」
ロバーツには検討もつかなかった。それもその筈。その犯人はデイヴィスのキング暗殺殺計画に尽力してくれ、ロバーツの手伝いを誰よりも率先して動いてくれていた人物だったのだから。
「ウォルター・・・。奴は俺と同じ、復讐に駆られる者だった・・・」
「ウォルター!?そんな馬鹿なッ・・・。アイツはお前の計画を誰よりも率先して手伝ってくれていたんだぞ?まさか・・・、初めからお前への復讐を成すために近づいたのか・・・!?」
初めからウォルターにデイヴィスを助ける気などなかった。キング暗殺計画を聞いた時、彼はチャンスだと思った。デイヴィスへの復讐を誓っていた彼にとって、親友への裏切りを報いさせる最大のチャンス。
その為にデイヴィスと最も親しいロバーツに取り入り、彼の計画の準備を支援し、デイヴィスと二人きりの状況になるチャンスを作り出そうとしていた。結果として二人きりにはなれず、キングによってその現場を目撃されてしまったが、ウォルターはずっと心の中に秘めていた憎悪の炎で、怨敵であるデイヴィスへ仕返しすることに成功した。
大事な者を目の前で殺される苦しみ、悲しみ。それを味あわせ地獄に突き落とすことで、見殺しにされた親友への手向けとしたのだ。
だが、ウォルターのその復讐は一歩間違えば、デイヴィスが実行に移そうとしていた未来とも言える。ロバーツら旧友に会い、シン達と出会うことで冷静になることを身につけたデイヴィスは、逸る気持ちを制し、真実に耳を傾けることが出来た。
その結果、シンや旧友達をキングの組織の敵対者にすることを避けることが出来たのだ。そしてレイチェルの恩人を殺すこともなかった。もし感情に任せキングを殺していれば、例えレイチェルを救い出すことが出来ても、和解することは出来なかったであろう。
それが、あの黒コートの男が言っていた、別の結末と言うものの一つなのだろうか。
「ハハッ!キング!お前もその能力がなけりゃぁ大したことねぇなぁ!?」
「そんな安い挑発、このキング様が買う筈ないのよ~!」
すると突然、二人は打ち上がった信号弾に驚く。それは正しく突然と言うほど、何もないところから急に煙が上がる。これ程戦闘に卓越した二人であっても、信号弾が打ち出されていたことに気づかなかった。
「何ッ!?」
「これは・・・。デイヴィスの信号弾か!?何故だ・・・奴は既に動けないはず・・・!」
デイヴィスが倒れていたはずの場所に視線を送る。そこには確かにデイヴィスが横たわっていた。だが、彼のその姿勢から信号弾など到底撃てる状態ではない。仮に撃てたとしても、それをウォルターが見逃す筈がない。
そしてそれはキングとて同じこと。戦場のちょっとした動きでも見逃さない鋭い洞察力。それが、デイヴィスが身体の向きを変えたことにすら気が付かなかったのだ。
二人はデイヴィス、或いはこの場に起きていること、何か底知れない恐怖のようなものを感じ、大粒の汗を流した。
「信号弾・・・?仲間を呼ぶ気か!?」
「あぁ・・・。どうやって撃ったのかは分からんが、お前の首を狙いに各海賊の船長クラスの奴らがここへやって来る。じゃぁな、キング。できればもう会いたくねぇものだな」
「待てッ!」
キングは煙に消えようとするウォルターを追う。しかし、その進行は何者かの攻撃によって妨げられる。甲板を抉るように突き刺さる大剣。キングの船へと乗り込んできた、シンプソンによるものだ。
彼の登場を皮切りに海面の方で大きな物音が複数聞こえる。水飛沫を上げ浮上して来たのは、数人用の小さな潜水艦だったのだ。しかもそれが複数、キングの船を囲むようにして現れた。
「おぉッと!行かせねぇよ、キングぅ・・・」
「チッ・・・!何も知らねぇで・・・」
ウォルターの追跡を邪魔されたキングは、仕方がなくシンプソンら暗殺計画を実行しようとする者達の相手をせざるを得なかった。そして、その計画の中心人物でもある重要人物がキングの船に到着し、その光景に絶望の表情を浮かべていた。
「デイヴィスッ・・・!デイヴィス、しっかりしてくれ!」
ロバーツだ。彼は一目散に甲板に横たわるデイヴィスの元へ駆け寄り、身体を抱き抱えるように起こし、必死にデイヴィスの意識をこの世に止めようとしていた。
「・・・ロバーツ・・・。よかった、間に合った・・・」
「しゃべるな!すぐに手当をする!」
「違うんだ、ロバーツ・・・。キングは敵じゃなかった・・・」
「・・・!?」
デイヴィスから予想外の事実が伝えられる。与えられた猶予の中で必死に口を動かし、ロバーツに真実を語るデイヴィス。キングは妹のレイチェルら、子供の奴隷を救出し、一人で生きていけるよう様々なことを身につけさせていたこと。
奴隷貿易は彼のカモフラージュであり、キングは一人で人生を歩めぬ者達を、自分の道を自分で歩けるように支援していたのだと。そして、妹を殺しキングやデイヴィスを襲撃した首謀者が他にいることを伝えた。
「そんな・・・。ずっと追い求めていた真実の真相が、まさかこんな結末に・・・。それなら一体誰にやられた、デイヴィス。妹を殺し、お前を始末しようとした奴は一体誰だ・・・?」
ロバーツには検討もつかなかった。それもその筈。その犯人はデイヴィスのキング暗殺殺計画に尽力してくれ、ロバーツの手伝いを誰よりも率先して動いてくれていた人物だったのだから。
「ウォルター・・・。奴は俺と同じ、復讐に駆られる者だった・・・」
「ウォルター!?そんな馬鹿なッ・・・。アイツはお前の計画を誰よりも率先して手伝ってくれていたんだぞ?まさか・・・、初めからお前への復讐を成すために近づいたのか・・・!?」
初めからウォルターにデイヴィスを助ける気などなかった。キング暗殺計画を聞いた時、彼はチャンスだと思った。デイヴィスへの復讐を誓っていた彼にとって、親友への裏切りを報いさせる最大のチャンス。
その為にデイヴィスと最も親しいロバーツに取り入り、彼の計画の準備を支援し、デイヴィスと二人きりの状況になるチャンスを作り出そうとしていた。結果として二人きりにはなれず、キングによってその現場を目撃されてしまったが、ウォルターはずっと心の中に秘めていた憎悪の炎で、怨敵であるデイヴィスへ仕返しすることに成功した。
大事な者を目の前で殺される苦しみ、悲しみ。それを味あわせ地獄に突き落とすことで、見殺しにされた親友への手向けとしたのだ。
だが、ウォルターのその復讐は一歩間違えば、デイヴィスが実行に移そうとしていた未来とも言える。ロバーツら旧友に会い、シン達と出会うことで冷静になることを身につけたデイヴィスは、逸る気持ちを制し、真実に耳を傾けることが出来た。
その結果、シンや旧友達をキングの組織の敵対者にすることを避けることが出来たのだ。そしてレイチェルの恩人を殺すこともなかった。もし感情に任せキングを殺していれば、例えレイチェルを救い出すことが出来ても、和解することは出来なかったであろう。
それが、あの黒コートの男が言っていた、別の結末と言うものの一つなのだろうか。
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