34 / 1,646
日本
しおりを挟む
「あぁ・・・、また暗い話になっちまった。 国の話だとか信念の話になると、どうも辛気臭くなっちまうな」
アーテムは頭を掻きながら、話を変えた。
彼自身、悩んでいるのかもしれない。組織のリーダーという立場になって、他の者の今後をも左右しかねないのだから。
「そうこうしてる内に、もうすぐ着くぜ。 ここの階段を登って表に出れば直ぐだからよ!」
地下通路はそれぞれ、地上への階段がある場所に広場が設けられており、そこに物資や多少の備蓄が準備されているようだった。
「この物資や食料は・・・?」
「こいつは昔の名残だな。 地上で何かあった時は、通信機を使って各広場の連中に連絡を取って対応してる。 まぁ、今は騎士達に裁かれそうになってる人達の保護だな。そして、保護された連中の中から、徐々に同士を募るって寸法よ!」
アーテムは誇らしげに言い放つ。
シュトラールの政策により、全ての悪が淘汰されているユスティーチだが、いざ我が身となると裁きを受け入れるのが怖くなる者も、決して少なくはない。
そういった者達にとってアーテム率いるルーフェン・ヴォルフは、良き支えとなっている事だろう。
「・・・けどよぉ、シュトラールの“裁き”による統治っつぅのは、国の治安を守るのには効果絶大でよ・・・。俺たちの活動に関心を持ってくれる人が増える反面、ここ市街地南部は、聖都ユスティーチの中でも一番治安が悪くなっちまってる・・・。それでも他の国に比べれば大分マシだがよ。 なんか複雑な気分だぜ・・・」
シュトラールの行なっている政策は謂わば、恐怖による統治。 しかしそれを上手く正義だ平和だと言葉を並べ誤魔化している。
一方で、市街地南部のルーフェン・ヴォルフの保護下にある街は、小さな悪ならまかり通ると思われている節もあるのだという。
勿論アーテム達は、そんな事を容認させる為に国民達を騎士達から保護しているのではない。
それでも人は、どうしても“甘さ”があれば緩みが出てしまうもの。無意識に他人に迷惑をかけてしまっても、アーテム達が守ってくれると甘えが生まれる。
二人は階段を上がると、別の入り口から入ってきたときのような仕掛けがあり、民家の床下から外へと出た。
民家を出ると、シンとミアが食べ歩いた屋台や店が並ぶ街並みをのぞかせる。
繁華街を歩いてしばらくすると、徐々に建物の数が減り始め、街の景色は少し貧しい印象を受けるものへと変わっていく。
「なんか・・・、街の様子が変わってきたな・・・」
「まぁ、そりゃぁ都市の全体が隅々まで栄えてる訳じゃねぇからな。 一番外側となりゃ、貧しいもんも出てくるわな・・・」
彼の口調は至って落ち着いていた。幼少期を貧しく過ごしていたと話してくれたアーテムにとってこういう所は、何か思うところがあるのかもしれない。
「さぁ着いた。 ここが俺が通ってた剣術道場だ!」
アーテムが立ち止まり、その先を下からゆっくり眺めてみると、そこにはシンにとっと馴染みのある装いをした建物があった。
「こ・・・これが!?」
「ふん! 驚いたか? 想像してた道場とは違ったかよ」
彼はシンのリアクションを楽しんでいるようであったが、シンにとっては、彼のそんな態度よりも目の前の建物への驚きの方が大きかった。
「なんで・・・。 これは、日本建築じゃないか・・・?」
アーテムは、シンの意外な反応と、シンの口走った言葉に疑問を持った。
「ニホン・・・? お前、この建物のこと知ってんのか?」
「俺の住んでた国にある建築だよ・・・。アーテム、これは一体?」
WoF自体は、ファンタジー空間のような世界観を持っているが、定期的に行われているイベントなんかでは、世界各国を舞台にしたステージや街、アイテムや武器などが登場することがある。
これは単に、シンが日本のサーバーで遊んでいたからなのか、またはシンがそのイベントを遊んでいなかっただけなのか、WoFの世界で日本を舞台にしたイベントをシンは知らなかった。
恐らくアーテムのいう、驚いたかとは珍しい建物であることや、想像よりもこじんまりしているのだとかのことを言っているのだろうが、シンの驚きはそれとはベクトルが全く違う方を向いていた。
「どういうことだ・・・? 何で日本の建物がここにある・・・」
それもそのはず。
いくら周りの建物の装いが変わったとはいえ、流石に周りから浮いた光景に、シンには見えていた。
「こいつは、先生が建築士に依頼して建ててもらったもんらしいぜ? 俺がここにきた時には既に建ってたしな」
アーテムの何気ない言動にシンは、更に衝撃を受けた。
「そんな前からここに!?」
「お・・・おう。 なんだってんださっきから。 そんなに珍しいことか? 他国との交流がありゃ、自ずとその国の文化が流れてくるもんだろ? 何もそんな珍しいことじゃ・・・」
確かに現実であればそうなのかもしれないが、どうもシンの頭の中はゲームの時の印象が離れない。WoFに現実の風景や建物などを取り入れていたのは、イベントの期間だけだった。それがこうして残っている。
「これは、イベントの一部なのか・・・? だとしたらどこから? ユスティーチに入った時か? それとも・・・」
難しく考え、ブツブツと独り言を言い始めたシンを、アーテムが強引に中へと進める。
「だぁぁぁッ! なら、直接聞いてみりゃいいだろ!? 先生に!」
彼の言うことは最もだ。
何も知らない自分が考えるよりも、それよりもいくらか知っているであろう人物がいるのなら、直接聞いてしまった方が早い。
だが、シンは一つ疑問に思った。
もしこの建物に入ることが、イベント開始のスイッチになっているとしたら、どうなってしまうのだろう。ミアとも離れることになってしまうのだろうか。
「うッ・・・! ア、アーテム! ちょっとッ・・・」
彼はシンの悩みを知る由もなく、グイグイと建物の中へと押し込んで行った。
小さな門を潜ると、馴染みのある引き戸を開ける。
「あ! あてむだ!」
「ぼるふのあてむ!」
中では道場の教え子だろうか、子供達が数人剣術の稽古をしていた。
「アテムじゃねぇ! アーテムだッ!」
彼が子供達の間違いを指摘すると、子供達は嬉しそうにはしゃぎ出した。
「おう、先生はどうした?」
「中にいるよ。 もうすぐ来るんじゃない?」
辺りを見渡すと、それは正しく剣道の稽古場のような造りで、シンはあっけに取られる。まさか仮想世界で現実世界を体験する羽目になろうとは、思ってもみなかった。
「オレ、アーテムみたいになりたい! 教えてよ!剣術!」
「ばーかッ! まずは基本だろ。 それに俺のは我流だから、教えられる程のもんじゃねぇんだよ」
彼はたまにこの道場にくるのだろうか、やけに子供達に慕われているなとシンは思う。これは地下のアジトで見た光景に似ている。
「アーテム、まだそんな言葉遣いをしているのですか・・・。 子供達が真似をするから道場ではちゃんとして欲しいとあれ程・・・」
建物の廊下の奥から、ギシギシと木造建築特有の軋む足音を立てながら、大人びた感じの声が聞こえてきた。
「せんせー!」
「久しぶりだな! 先生。 元気にしてたかよ」
今言ったばかりなのにという風に、ため息をつくその人は、女性と見紛うほどの綺麗な黒く長い髪を後ろで束ね、服装も建物と同じく、日本の袴姿で現れた。
「おや? お客人ですか? これはお見苦しいものをお見せしました・・・」
その男性は丁寧にシンへ謝罪をする。これもどこか馴染みのある作法。
間違いない。
この人は、日本というものを知っている。
それか、若しくは日本人であるのかも知れないとシンは思った。
アーテムは頭を掻きながら、話を変えた。
彼自身、悩んでいるのかもしれない。組織のリーダーという立場になって、他の者の今後をも左右しかねないのだから。
「そうこうしてる内に、もうすぐ着くぜ。 ここの階段を登って表に出れば直ぐだからよ!」
地下通路はそれぞれ、地上への階段がある場所に広場が設けられており、そこに物資や多少の備蓄が準備されているようだった。
「この物資や食料は・・・?」
「こいつは昔の名残だな。 地上で何かあった時は、通信機を使って各広場の連中に連絡を取って対応してる。 まぁ、今は騎士達に裁かれそうになってる人達の保護だな。そして、保護された連中の中から、徐々に同士を募るって寸法よ!」
アーテムは誇らしげに言い放つ。
シュトラールの政策により、全ての悪が淘汰されているユスティーチだが、いざ我が身となると裁きを受け入れるのが怖くなる者も、決して少なくはない。
そういった者達にとってアーテム率いるルーフェン・ヴォルフは、良き支えとなっている事だろう。
「・・・けどよぉ、シュトラールの“裁き”による統治っつぅのは、国の治安を守るのには効果絶大でよ・・・。俺たちの活動に関心を持ってくれる人が増える反面、ここ市街地南部は、聖都ユスティーチの中でも一番治安が悪くなっちまってる・・・。それでも他の国に比べれば大分マシだがよ。 なんか複雑な気分だぜ・・・」
シュトラールの行なっている政策は謂わば、恐怖による統治。 しかしそれを上手く正義だ平和だと言葉を並べ誤魔化している。
一方で、市街地南部のルーフェン・ヴォルフの保護下にある街は、小さな悪ならまかり通ると思われている節もあるのだという。
勿論アーテム達は、そんな事を容認させる為に国民達を騎士達から保護しているのではない。
それでも人は、どうしても“甘さ”があれば緩みが出てしまうもの。無意識に他人に迷惑をかけてしまっても、アーテム達が守ってくれると甘えが生まれる。
二人は階段を上がると、別の入り口から入ってきたときのような仕掛けがあり、民家の床下から外へと出た。
民家を出ると、シンとミアが食べ歩いた屋台や店が並ぶ街並みをのぞかせる。
繁華街を歩いてしばらくすると、徐々に建物の数が減り始め、街の景色は少し貧しい印象を受けるものへと変わっていく。
「なんか・・・、街の様子が変わってきたな・・・」
「まぁ、そりゃぁ都市の全体が隅々まで栄えてる訳じゃねぇからな。 一番外側となりゃ、貧しいもんも出てくるわな・・・」
彼の口調は至って落ち着いていた。幼少期を貧しく過ごしていたと話してくれたアーテムにとってこういう所は、何か思うところがあるのかもしれない。
「さぁ着いた。 ここが俺が通ってた剣術道場だ!」
アーテムが立ち止まり、その先を下からゆっくり眺めてみると、そこにはシンにとっと馴染みのある装いをした建物があった。
「こ・・・これが!?」
「ふん! 驚いたか? 想像してた道場とは違ったかよ」
彼はシンのリアクションを楽しんでいるようであったが、シンにとっては、彼のそんな態度よりも目の前の建物への驚きの方が大きかった。
「なんで・・・。 これは、日本建築じゃないか・・・?」
アーテムは、シンの意外な反応と、シンの口走った言葉に疑問を持った。
「ニホン・・・? お前、この建物のこと知ってんのか?」
「俺の住んでた国にある建築だよ・・・。アーテム、これは一体?」
WoF自体は、ファンタジー空間のような世界観を持っているが、定期的に行われているイベントなんかでは、世界各国を舞台にしたステージや街、アイテムや武器などが登場することがある。
これは単に、シンが日本のサーバーで遊んでいたからなのか、またはシンがそのイベントを遊んでいなかっただけなのか、WoFの世界で日本を舞台にしたイベントをシンは知らなかった。
恐らくアーテムのいう、驚いたかとは珍しい建物であることや、想像よりもこじんまりしているのだとかのことを言っているのだろうが、シンの驚きはそれとはベクトルが全く違う方を向いていた。
「どういうことだ・・・? 何で日本の建物がここにある・・・」
それもそのはず。
いくら周りの建物の装いが変わったとはいえ、流石に周りから浮いた光景に、シンには見えていた。
「こいつは、先生が建築士に依頼して建ててもらったもんらしいぜ? 俺がここにきた時には既に建ってたしな」
アーテムの何気ない言動にシンは、更に衝撃を受けた。
「そんな前からここに!?」
「お・・・おう。 なんだってんださっきから。 そんなに珍しいことか? 他国との交流がありゃ、自ずとその国の文化が流れてくるもんだろ? 何もそんな珍しいことじゃ・・・」
確かに現実であればそうなのかもしれないが、どうもシンの頭の中はゲームの時の印象が離れない。WoFに現実の風景や建物などを取り入れていたのは、イベントの期間だけだった。それがこうして残っている。
「これは、イベントの一部なのか・・・? だとしたらどこから? ユスティーチに入った時か? それとも・・・」
難しく考え、ブツブツと独り言を言い始めたシンを、アーテムが強引に中へと進める。
「だぁぁぁッ! なら、直接聞いてみりゃいいだろ!? 先生に!」
彼の言うことは最もだ。
何も知らない自分が考えるよりも、それよりもいくらか知っているであろう人物がいるのなら、直接聞いてしまった方が早い。
だが、シンは一つ疑問に思った。
もしこの建物に入ることが、イベント開始のスイッチになっているとしたら、どうなってしまうのだろう。ミアとも離れることになってしまうのだろうか。
「うッ・・・! ア、アーテム! ちょっとッ・・・」
彼はシンの悩みを知る由もなく、グイグイと建物の中へと押し込んで行った。
小さな門を潜ると、馴染みのある引き戸を開ける。
「あ! あてむだ!」
「ぼるふのあてむ!」
中では道場の教え子だろうか、子供達が数人剣術の稽古をしていた。
「アテムじゃねぇ! アーテムだッ!」
彼が子供達の間違いを指摘すると、子供達は嬉しそうにはしゃぎ出した。
「おう、先生はどうした?」
「中にいるよ。 もうすぐ来るんじゃない?」
辺りを見渡すと、それは正しく剣道の稽古場のような造りで、シンはあっけに取られる。まさか仮想世界で現実世界を体験する羽目になろうとは、思ってもみなかった。
「オレ、アーテムみたいになりたい! 教えてよ!剣術!」
「ばーかッ! まずは基本だろ。 それに俺のは我流だから、教えられる程のもんじゃねぇんだよ」
彼はたまにこの道場にくるのだろうか、やけに子供達に慕われているなとシンは思う。これは地下のアジトで見た光景に似ている。
「アーテム、まだそんな言葉遣いをしているのですか・・・。 子供達が真似をするから道場ではちゃんとして欲しいとあれ程・・・」
建物の廊下の奥から、ギシギシと木造建築特有の軋む足音を立てながら、大人びた感じの声が聞こえてきた。
「せんせー!」
「久しぶりだな! 先生。 元気にしてたかよ」
今言ったばかりなのにという風に、ため息をつくその人は、女性と見紛うほどの綺麗な黒く長い髪を後ろで束ね、服装も建物と同じく、日本の袴姿で現れた。
「おや? お客人ですか? これはお見苦しいものをお見せしました・・・」
その男性は丁寧にシンへ謝罪をする。これもどこか馴染みのある作法。
間違いない。
この人は、日本というものを知っている。
それか、若しくは日本人であるのかも知れないとシンは思った。
0
お気に入りに追加
295
あなたにおすすめの小説
トラップって強いよねぇ?
TURE 8
ファンタジー
主人公の加藤浩二は最新ゲームであるVR MMO『Imagine world』の世界に『カジ』として飛び込む。そこで彼はスキル『罠生成』『罠設置』のスキルを使い、冒険者となって未開拓の大陸を冒険していく。だが、何やら遊んでいくうちにゲーム内には不穏な空気が流れ始める。そんな中でカジは生きているかのようなNPC達に自分とを照らし合わせていった……。
NPCの関わりは彼に何を与え、そしてこのゲームの隠された真実を知るときは来るのだろうか?
月が導く異世界道中extra
あずみ 圭
ファンタジー
月読尊とある女神の手によって癖のある異世界に送られた高校生、深澄真。
真は商売をしながら少しずつ世界を見聞していく。
彼の他に召喚された二人の勇者、竜や亜人、そしてヒューマンと魔族の戦争、次々に真は事件に関わっていく。
これはそんな真と、彼を慕う(基本人外の)者達の異世界道中物語。
こちらは月が導く異世界道中番外編になります。
生産職から始まる初めてのVRMMO
結城楓
ファンタジー
最近流行りのVRMMO、興味がないわけではないが自分から手を出そうと思ってはいなかったふう。
そんな時、新しく発売された《アイディアル・オンライン》。
そしてその発売日、なぜかゲームに必要なハードとソフトを2つ抱えた高校の友達、彩華が家にいた。
そんなふうが彩華と半ば強制的にやることになったふうにとっては初めてのVRMMO。
最初のプレイヤー設定では『モンスターと戦うのが怖い』という理由から生産職などの能力を選択したところから物語は始まる。
最初はやらざるを得ない状況だったフウが、いつしか面白いと思うようになり自ら率先してゲームをするようになる。
そんなフウが贈るのんびりほのぼのと周りを巻き込み成長していく生産職から始まる初めてのVRMMOの物語。
異世界召喚でクラスの勇者達よりも強い俺は無能として追放処刑されたので自由に旅をします
Dakurai
ファンタジー
クラスで授業していた不動無限は突如と教室が光に包み込まれ気がつくと異世界に召喚されてしまった。神による儀式でとある神によってのスキルを得たがスキルが強すぎてスキル無しと勘違いされ更にはクラスメイトと王女による思惑で追放処刑に会ってしまうしかし最強スキルと聖獣のカワウソによって難を逃れと思ったらクラスの女子中野蒼花がついてきた。
相棒のカワウソとクラスの中野蒼花そして異世界の仲間と共にこの世界を自由に旅をします。
現在、第二章シャーカ王国編
【全話挿絵】発情✕転生 〜何あれ……誘ってるのかしら?〜【毎日更新】
墨笑
ファンタジー
『エロ×ギャグ×バトル+雑学』をテーマにした異世界ファンタジー小説です。
主人公はごく普通(?)の『むっつりすけべ』な女の子。
異世界転生に伴って召喚士としての才能を強化されたまでは良かったのですが、なぜか発情体質まで付与されていて……?
召喚士として様々な依頼をこなしながら、無駄にドキドキムラムラハァハァしてしまう日々を描きます。
明るく、楽しく読んでいただけることを目指して書きました。
追放された8歳児の魔王討伐
新緑あらた
ファンタジー
異世界に転生した僕――アルフィ・ホープスは、孤児院で育つことになった。
この異世界の住民の多くが持つ天与と呼ばれる神から授かる特別な力。僕には最低ランクの〈解読〉と〈複写〉しかなかった。
だけど、前世で家族を失った僕は、自分のことを本当の弟以上に可愛がってくれるルヴィアとティエラという2人の姉のような存在のおかげで幸福だった。
しかし幸福は長くは続かない。勇者の天与を持つルヴィアと聖女の天与を持つティエラは、魔王を倒すため戦争の最前線に赴かなくてはならなくなったのだ。
僕は無能者として孤児院を追放されたのを機に、ルヴィアとティエラを助けるために魔王討伐への道を歩み出す。
勇者一行から追放された二刀流使い~仲間から捜索願いを出されるが、もう遅い!~新たな仲間と共に魔王を討伐ス
R666
ファンタジー
アマチュアニートの【二龍隆史】こと36歳のおっさんは、ある日を境に実の両親達の手によって包丁で腹部を何度も刺されて地獄のような痛みを味わい死亡。
そして彼の魂はそのまま天界へ向かう筈であったが女神を自称する危ない女に呼び止められると、ギフトと呼ばれる最強の特典を一つだけ選んで、異世界で勇者達が魔王を討伐できるように手助けをして欲しいと頼み込まれた。
最初こそ余り乗り気ではない隆史ではあったが第二の人生を始めるのも悪くないとして、ギフトを一つ選び女神に言われた通りに勇者一行の手助けをするべく異世界へと乗り込む。
そして異世界にて真面目に勇者達の手助けをしていたらチキン野郎の役立たずという烙印を押されてしまい隆史は勇者一行から追放されてしまう。
※これは勇者一行から追放された最凶の二刀流使いの隆史が新たな仲間を自ら探して、自分達が新たな勇者一行となり魔王を討伐するまでの物語である※
無名の三流テイマーは王都のはずれでのんびり暮らす~でも、国家の要職に就く弟子たちがなぜか頼ってきます~
鈴木竜一
ファンタジー
※本作の書籍化が決定いたしました!
詳細は近況ボードに載せていきます!
「もうおまえたちに教えることは何もない――いや、マジで!」
特にこれといった功績を挙げず、ダラダラと冒険者生活を続けてきた無名冒険者兼テイマーのバーツ。今日も危険とは無縁の安全な採集クエストをこなして飯代を稼げたことを喜ぶ彼の前に、自分を「師匠」と呼ぶ若い女性・ノエリ―が現れる。弟子をとった記憶のないバーツだったが、十年ほど前に当時惚れていた女性にいいところを見せようと、彼女が運営する施設の子どもたちにテイマーとしての心得を説いたことを思い出す。ノエリ―はその時にいた子どものひとりだったのだ。彼女曰く、師匠であるバーツの教えを守って修行を続けた結果、あの時の弟子たちはみんな国にとって欠かせない重要な役職に就いて繁栄に貢献しているという。すべては師匠であるバーツのおかげだと信じるノエリ―は、彼に王都へと移り住んでもらい、その教えを広めてほしいとお願いに来たのだ。
しかし、自身をただのしがない無名の三流冒険者だと思っているバーツは、そんな指導力はないと語る――が、そう思っているのは本人のみで、実はバーツはテイマーとしてだけでなく、【育成者】としてもとんでもない資質を持っていた。
バーツはノエリ―に押し切られる形で王都へと出向くことになるのだが、そこで立派に成長した弟子たちと再会。さらに、かつてテイムしていたが、諸事情で契約を解除した魔獣たちも、いつかバーツに再会することを夢見て自主的に鍛錬を続けており、気がつけばSランクを越える神獣へと進化していて――
こうして、無名のテイマー・バーツは慕ってくれる可愛い弟子や懐いている神獣たちとともにさまざまな国家絡みのトラブルを解決していき、気づけば国家の重要ポストの候補にまで名を連ねるが、当人は「勘弁してくれ」と困惑気味。そんなバーツは今日も王都のはずれにある運河のほとりに建てられた小屋を拠点に畑をしたり釣りをしたり、今日ものんびり暮らしつつ、弟子たちからの依頼をこなすのだった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる