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素直になれない妹
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「おねえー!」
「美奈? ……って、何その格好!?」
明るく朗らかに叫んだのは、長い紫髪を懸命に揺らして走る美奈。
対する短い紫色の髪を靡かせて驚愕した者は、美奈の姉である美久里。
その二人は今、美奈の部屋にいた……のだが。
「えへへ、どうかな?」
照れくさそうに頭を掻きながら問う美奈の格好は、なんというかその……下着だけを纏った変態に見えた。
「いや、え? えーっと……意味がわからないんだけど……?」
混乱して目を回している美久里。
美奈のこんな姿を見たら、“ああ、こういう反応するしかないな”ということが分かるだろう。
「たまにはこういうのもいいかな~と思って!」
「えー……それで? どうしたいの? その格好でどこか出かけるの?」
「違うよっ!」
心外だ。という風に美奈は頬を膨らませて腕を組む。
そして、ビシッと美久里の方へ指をさすと、こう言った。
「私はおねえを誘惑しに来たの!」
「…………はぁ」
「なんでそんな反応薄いの!?」
美奈が今にも泣き出しそうな顔をした。
しかし、美久里は取り合わない。
「うぅ……やっぱりこんなんじゃダメかぁ……」
「……当たり前でしょ。ていうかなんでそれで私を誘惑出来ると思ったの……」
「だって……おねえってこういうの好きそうじゃん……」
「……美奈の中の私像ってどうなってるの?」
美久里が呆れた目で美奈を見る。
しかしそれには気付いていないようで、俯いている。
「ね、ねぇ……もしかして泣いてるの?」
美奈は俯いたまま肩を震わせていた。
美久里が心配そうに顔を覗き込むと――
「んむっ!?」
美奈が美久里に覆いかぶさるようにして突然キスをした。
「えっ、ちょぉっ! んんっ♡」
抗議の声と共に嬌声が漏れる。
だが美奈はお構い無しに美久里へのキスを続ける。
「ちゅ……ん……♡ ちゅっ……♡」
「んっ……♡ あん……♡」
甘い声が室内に響く。そこはもう二人だけの空間だった。
「えへへ、おねえの唾液甘くて美味しい♡」
「美奈ぁ……♡ だめ、激しすぎて蕩けそう……♡」
美久里はつくづく単純だな……と美奈は舌なめずりをする。
さっきまで美奈に興味ない振りしてたのにもう虜になっている。
美奈はもうこれで十分だと思った。
美奈の目的は、最初から美久里を誘惑することだけだったから。
しかし――
「ねぇ……美奈。私の身体……火照って止まらないの……♡ 責任……取って?♡」
美久里がそう上気した顔で美奈の首に腕を回しながらそう言うと、美奈の中の何かが音を立てて崩れていくのが分かった。
☆ ☆ ☆
「レロレロ♡ ちゅ……♡」
「ああん♡ だめぇ♡ 変になっちゃうぅ♡」
美久里の嬌声が激しくなる。それもそのはず。
美奈の攻めが途端に激しくなったからだ。
美奈は美久里の胸の突起を舌で弄んでいた。
発達しきれなかった美久里の小さな胸は、その攻めにとても敏感になっていた。
「あっ♡ ねぇ、美奈……そこばっかり……だめぇ♡」
「えー? なんで? ここがいいんでしょ?♡」
「っ……そ、そうだけどぉ……♡」
美奈の中の何かが崩れ去った今、美奈に“手加減”と言う文字は存在しなかった。
「美奈……ねぇ……そろそろ……」
「えー? もう? おねえってば我慢出来ないの?」
「えへへ、ごめんね……♡」
美久里は上気した顔でいたずらに笑う。
美奈はそれを見て、「しょうがないなー」と口を尖らせた。
「えへ……どうなっても知らないからね♡」
「んんっ♡ はぁん♡ や、だめぇ♡」
「おねえがやれって言ったんでしょお?♡」
「そ、そうだけどぉ……ひゃん♡」
美奈と美久里が今何をしているかと言うと、美奈が美久里の敏感な部分を舐めているのだ。
「やっ……♡ だめぇ♡ 耐えられないいい♡」
「前から思ってたけどおねえって敏感すぎー。……まあそういう所も可愛いんだけど♡」
一層大きな声で喘ぐ美久里と、意味深な笑いを顔に出す美奈。
室内に百合の花が間違って咲いてしまうのではないかと思うほど、甘くて百合百合しい光景だった。
「美奈……私っ、美奈のことっ……あぁん♡」
「え? なに? 聞こえないよ~??」
美奈はわざとらしく嗜虐的な笑みを浮かべながら「聞こえないなー」と、自分の手を耳に当てる。
すると、美久里は「いじわる……」と、顔を膨らませた。
「私……美奈のこと……だ、大好き……なの…………」
美久里がそう恥ずかしそうに顔を真っ赤にしながら言うと、美奈は満足そうに微笑んだ。
「ふふん♡ よく言えました♡」
ニヤニヤと気持ち悪いほどの笑みを可愛らしい顔に浮かべながら言った。
「っ……そ、それで? 美奈はどうなの……?」
「私? 私は……好きっちゃ好きかな~」
「何よその答え……!」
はぐらかすように美奈が言うと美久里は「納得いかない!」と言う顔をしていた。
「むー……こうなったら意地でも大好きって言わせてやるんだから!」
「え、ちょっ……!? ちょっと、おねえ!?」
今度は美久里が美奈に覆いかぶさるような格好になった。
美久里はもう完全に攻めの体勢に入ったが、美奈はまだついていけてないようだった。
「ちょ……や、やめ……んんっ♡」
「やめないよ♡ 美奈が認めるまで……ね?♡」
それからしばらく美久里の美奈への攻めは続いたが、美奈は耐えた。
美奈は崩壊寸前なのだが、攻めたい気持ちが強いため、何とか耐えられたのだ。
「んん~~っ! 何この展開! こっちが納得いかないんだけど??」
「だって美奈が曖昧な返事をするからでしょ? 」
「そ、そんなぁ~……」
美奈は抗おうと試みるが、美久里より幼い美奈では、美久里の押さえる力に適わない。
このままされるがままかと思いきや……
「え? お、おねえ……?」
美久里が美奈から離れた。そして、乱れた服を整える。
それを美奈が呆然と見ているうちに、美久里は美奈を一瞥しながら部屋から出ていってしまった。
「え、な、なんなの……?」
突然のことにそう呟くことしかできない美奈。
そんな時、テレビのリモコンを踏んでしまった。
『結衣様! 魔法少女の力は凄まじいのですよぉ!? わかってますかぁ!?』
『あー、もう! うるさい!』
テレビに映るステッキ――ガーネットが身をくねらせながら興奮している。
だが結衣と呼ばれた少女は、うざそうに顔を顰めている。
『も~、結衣様聞いてください! 魔法少女は願いを魔法に変えられるんですぅ! 凄いでしょう!?』
『うーん……何度も聞かされたよぉ……』
結衣は辟易しながらも、ガーネットの方を見る。
凛とした儚さの瞳がガーネットの姿を捉える。
それに何を思ったのかは分からないが、ガーネットは結衣に伝えた。
『ちゃんと想いを形にしなきゃダメですよ?』
☆ ☆ ☆
「……てわけで、ごめん! おねえ!」
「別にいいけど。そんなに気にしてないし」
美奈が手を合わせて頭を下げる。
しかし、美久里は本当に気にしていないのか、笑いながら言った。
「うぇ!? だってあんなふうに悲しげな雰囲気醸し出してたじゃん!」
「あー、あれは……ノリ? こうすれば美奈が戸惑うかなーって思って♡」
「むー……本当にいじわるなのはおねえの方だよね……」
あはは、まあね。と苦笑いを浮かべながら美久里が言うと、美奈は変な気持ちになった。
(なんだろう……このモヤモヤした感じ……胸焼け?)
「どうしたの、美奈?」
「ふぇ!? べ、べべべ別に何もないよ??」
「思いっきりなにかありそうだけど……まあ、いいわ……」
美奈が両手を振って否定するが、とてもじゃないが騙せそうにない。
美久里はくるっと向きを変えたと思うと、美奈の方に顔だけを向けて――
「さっきの続き――しよ?♡」
――…………
「はい!?!?」
「だからぁ、いいでしょ? 続きしたくなって来ちゃったの♡」
喜々として語る美久里に、美奈はついていけなかった。
「え? え? どういうこと?? だっておねえ――」
「いいの。美奈の気持ちはだいたい分かったし。私は別にそれでもいい」
悲しげな、今にも泣いてしまいそうに美久里は笑う。
美奈は鈍感だが、美久里の表情を読み取れないほど鈍くはなかった。
「だめ」
「え?」
「そんなのだめ! 私っ……まだ何も伝えられていないのに!」
「ど、どういうことなの?」
目を瞑りながら必死で叫ぶ。そして、言い終わると――
「ちょっと待ってて! 着替えてくるから!」
「え? どういうこと!?」
美奈は颯爽と部屋に入った。
ドタバタと忙しない音が聞こえてくる。
「おねえ、お待たせ!」
美久里が小首をかしげるように傾いていると、美奈の着替えが終わったようだ。
美奈は、美久里が大好きなアニメ――『魔法少女になれたなら』の主人公のコスプレをしている。
「は? え、何? 何をする気?」
突然の美奈の着替えに頭がついていかないようで、美久里は思ったことをそのまま口にした。
「アニメの中で、ガーネットが言ってた。魔法は、願いや想いを形にするものだって。だから、この衣装を着ている今なら……素直に、伝えられるかと思って」
「え? 伝えるって……何を?」
美久里がそう言い終わると同時に、美奈は美久里の両手を握ってこう言った。
「私――おねえのこと……大好きだよ!」
美奈が笑顔でそう言うと、美久里は暫くは目をぱちぱちさせていたが、すぐに美奈と同じ笑顔を浮かべたのだった。
☆ ☆ ☆
後日。
「おねえー! 大好き!」
「……ふぇっ!? え、あ、そ、その……わ、私もだよ……」
美奈がお姉ちゃんに勢いよく抱きつくと、美久里は照れながらそう言った。
「な、なんか……ちょっと、あれだね……」
「あれって何!?」
――この二人が素直になれる日は、近くなさそうだ。
「美奈? ……って、何その格好!?」
明るく朗らかに叫んだのは、長い紫髪を懸命に揺らして走る美奈。
対する短い紫色の髪を靡かせて驚愕した者は、美奈の姉である美久里。
その二人は今、美奈の部屋にいた……のだが。
「えへへ、どうかな?」
照れくさそうに頭を掻きながら問う美奈の格好は、なんというかその……下着だけを纏った変態に見えた。
「いや、え? えーっと……意味がわからないんだけど……?」
混乱して目を回している美久里。
美奈のこんな姿を見たら、“ああ、こういう反応するしかないな”ということが分かるだろう。
「たまにはこういうのもいいかな~と思って!」
「えー……それで? どうしたいの? その格好でどこか出かけるの?」
「違うよっ!」
心外だ。という風に美奈は頬を膨らませて腕を組む。
そして、ビシッと美久里の方へ指をさすと、こう言った。
「私はおねえを誘惑しに来たの!」
「…………はぁ」
「なんでそんな反応薄いの!?」
美奈が今にも泣き出しそうな顔をした。
しかし、美久里は取り合わない。
「うぅ……やっぱりこんなんじゃダメかぁ……」
「……当たり前でしょ。ていうかなんでそれで私を誘惑出来ると思ったの……」
「だって……おねえってこういうの好きそうじゃん……」
「……美奈の中の私像ってどうなってるの?」
美久里が呆れた目で美奈を見る。
しかしそれには気付いていないようで、俯いている。
「ね、ねぇ……もしかして泣いてるの?」
美奈は俯いたまま肩を震わせていた。
美久里が心配そうに顔を覗き込むと――
「んむっ!?」
美奈が美久里に覆いかぶさるようにして突然キスをした。
「えっ、ちょぉっ! んんっ♡」
抗議の声と共に嬌声が漏れる。
だが美奈はお構い無しに美久里へのキスを続ける。
「ちゅ……ん……♡ ちゅっ……♡」
「んっ……♡ あん……♡」
甘い声が室内に響く。そこはもう二人だけの空間だった。
「えへへ、おねえの唾液甘くて美味しい♡」
「美奈ぁ……♡ だめ、激しすぎて蕩けそう……♡」
美久里はつくづく単純だな……と美奈は舌なめずりをする。
さっきまで美奈に興味ない振りしてたのにもう虜になっている。
美奈はもうこれで十分だと思った。
美奈の目的は、最初から美久里を誘惑することだけだったから。
しかし――
「ねぇ……美奈。私の身体……火照って止まらないの……♡ 責任……取って?♡」
美久里がそう上気した顔で美奈の首に腕を回しながらそう言うと、美奈の中の何かが音を立てて崩れていくのが分かった。
☆ ☆ ☆
「レロレロ♡ ちゅ……♡」
「ああん♡ だめぇ♡ 変になっちゃうぅ♡」
美久里の嬌声が激しくなる。それもそのはず。
美奈の攻めが途端に激しくなったからだ。
美奈は美久里の胸の突起を舌で弄んでいた。
発達しきれなかった美久里の小さな胸は、その攻めにとても敏感になっていた。
「あっ♡ ねぇ、美奈……そこばっかり……だめぇ♡」
「えー? なんで? ここがいいんでしょ?♡」
「っ……そ、そうだけどぉ……♡」
美奈の中の何かが崩れ去った今、美奈に“手加減”と言う文字は存在しなかった。
「美奈……ねぇ……そろそろ……」
「えー? もう? おねえってば我慢出来ないの?」
「えへへ、ごめんね……♡」
美久里は上気した顔でいたずらに笑う。
美奈はそれを見て、「しょうがないなー」と口を尖らせた。
「えへ……どうなっても知らないからね♡」
「んんっ♡ はぁん♡ や、だめぇ♡」
「おねえがやれって言ったんでしょお?♡」
「そ、そうだけどぉ……ひゃん♡」
美奈と美久里が今何をしているかと言うと、美奈が美久里の敏感な部分を舐めているのだ。
「やっ……♡ だめぇ♡ 耐えられないいい♡」
「前から思ってたけどおねえって敏感すぎー。……まあそういう所も可愛いんだけど♡」
一層大きな声で喘ぐ美久里と、意味深な笑いを顔に出す美奈。
室内に百合の花が間違って咲いてしまうのではないかと思うほど、甘くて百合百合しい光景だった。
「美奈……私っ、美奈のことっ……あぁん♡」
「え? なに? 聞こえないよ~??」
美奈はわざとらしく嗜虐的な笑みを浮かべながら「聞こえないなー」と、自分の手を耳に当てる。
すると、美久里は「いじわる……」と、顔を膨らませた。
「私……美奈のこと……だ、大好き……なの…………」
美久里がそう恥ずかしそうに顔を真っ赤にしながら言うと、美奈は満足そうに微笑んだ。
「ふふん♡ よく言えました♡」
ニヤニヤと気持ち悪いほどの笑みを可愛らしい顔に浮かべながら言った。
「っ……そ、それで? 美奈はどうなの……?」
「私? 私は……好きっちゃ好きかな~」
「何よその答え……!」
はぐらかすように美奈が言うと美久里は「納得いかない!」と言う顔をしていた。
「むー……こうなったら意地でも大好きって言わせてやるんだから!」
「え、ちょっ……!? ちょっと、おねえ!?」
今度は美久里が美奈に覆いかぶさるような格好になった。
美久里はもう完全に攻めの体勢に入ったが、美奈はまだついていけてないようだった。
「ちょ……や、やめ……んんっ♡」
「やめないよ♡ 美奈が認めるまで……ね?♡」
それからしばらく美久里の美奈への攻めは続いたが、美奈は耐えた。
美奈は崩壊寸前なのだが、攻めたい気持ちが強いため、何とか耐えられたのだ。
「んん~~っ! 何この展開! こっちが納得いかないんだけど??」
「だって美奈が曖昧な返事をするからでしょ? 」
「そ、そんなぁ~……」
美奈は抗おうと試みるが、美久里より幼い美奈では、美久里の押さえる力に適わない。
このままされるがままかと思いきや……
「え? お、おねえ……?」
美久里が美奈から離れた。そして、乱れた服を整える。
それを美奈が呆然と見ているうちに、美久里は美奈を一瞥しながら部屋から出ていってしまった。
「え、な、なんなの……?」
突然のことにそう呟くことしかできない美奈。
そんな時、テレビのリモコンを踏んでしまった。
『結衣様! 魔法少女の力は凄まじいのですよぉ!? わかってますかぁ!?』
『あー、もう! うるさい!』
テレビに映るステッキ――ガーネットが身をくねらせながら興奮している。
だが結衣と呼ばれた少女は、うざそうに顔を顰めている。
『も~、結衣様聞いてください! 魔法少女は願いを魔法に変えられるんですぅ! 凄いでしょう!?』
『うーん……何度も聞かされたよぉ……』
結衣は辟易しながらも、ガーネットの方を見る。
凛とした儚さの瞳がガーネットの姿を捉える。
それに何を思ったのかは分からないが、ガーネットは結衣に伝えた。
『ちゃんと想いを形にしなきゃダメですよ?』
☆ ☆ ☆
「……てわけで、ごめん! おねえ!」
「別にいいけど。そんなに気にしてないし」
美奈が手を合わせて頭を下げる。
しかし、美久里は本当に気にしていないのか、笑いながら言った。
「うぇ!? だってあんなふうに悲しげな雰囲気醸し出してたじゃん!」
「あー、あれは……ノリ? こうすれば美奈が戸惑うかなーって思って♡」
「むー……本当にいじわるなのはおねえの方だよね……」
あはは、まあね。と苦笑いを浮かべながら美久里が言うと、美奈は変な気持ちになった。
(なんだろう……このモヤモヤした感じ……胸焼け?)
「どうしたの、美奈?」
「ふぇ!? べ、べべべ別に何もないよ??」
「思いっきりなにかありそうだけど……まあ、いいわ……」
美奈が両手を振って否定するが、とてもじゃないが騙せそうにない。
美久里はくるっと向きを変えたと思うと、美奈の方に顔だけを向けて――
「さっきの続き――しよ?♡」
――…………
「はい!?!?」
「だからぁ、いいでしょ? 続きしたくなって来ちゃったの♡」
喜々として語る美久里に、美奈はついていけなかった。
「え? え? どういうこと?? だっておねえ――」
「いいの。美奈の気持ちはだいたい分かったし。私は別にそれでもいい」
悲しげな、今にも泣いてしまいそうに美久里は笑う。
美奈は鈍感だが、美久里の表情を読み取れないほど鈍くはなかった。
「だめ」
「え?」
「そんなのだめ! 私っ……まだ何も伝えられていないのに!」
「ど、どういうことなの?」
目を瞑りながら必死で叫ぶ。そして、言い終わると――
「ちょっと待ってて! 着替えてくるから!」
「え? どういうこと!?」
美奈は颯爽と部屋に入った。
ドタバタと忙しない音が聞こえてくる。
「おねえ、お待たせ!」
美久里が小首をかしげるように傾いていると、美奈の着替えが終わったようだ。
美奈は、美久里が大好きなアニメ――『魔法少女になれたなら』の主人公のコスプレをしている。
「は? え、何? 何をする気?」
突然の美奈の着替えに頭がついていかないようで、美久里は思ったことをそのまま口にした。
「アニメの中で、ガーネットが言ってた。魔法は、願いや想いを形にするものだって。だから、この衣装を着ている今なら……素直に、伝えられるかと思って」
「え? 伝えるって……何を?」
美久里がそう言い終わると同時に、美奈は美久里の両手を握ってこう言った。
「私――おねえのこと……大好きだよ!」
美奈が笑顔でそう言うと、美久里は暫くは目をぱちぱちさせていたが、すぐに美奈と同じ笑顔を浮かべたのだった。
☆ ☆ ☆
後日。
「おねえー! 大好き!」
「……ふぇっ!? え、あ、そ、その……わ、私もだよ……」
美奈がお姉ちゃんに勢いよく抱きつくと、美久里は照れながらそう言った。
「な、なんか……ちょっと、あれだね……」
「あれって何!?」
――この二人が素直になれる日は、近くなさそうだ。
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