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最終章 ストーキングは愛の証!
これが沙友理の答え?
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○月○日
さっちゃん先輩……そこまで私を想ってくれたなんて嬉しすぎる!
これはもう結婚するしかないよね。
女の子同士とか学生とか色々問題はあるけど、愛があればなんとかなるに決まってる。
相思相愛で他の人なんて関係なくて、二人だけで一緒にいられたらそれでいいの。
ずーっと一緒だよ、さっちゃん先輩……
――稲津華緒、『さっちゃん先輩観察日記』より。
☆ ☆ ☆
スマホの画面越しに華緒を見る。
華緒は真面目に勉強しているようで、盗撮に不慣れな沙友理にもまったく気づいていないようだった。
これはチャンスとばかりに、シャッターを切っていく。
あまり代わり映えしないが、愛しい華緒を記録に残すことができると思うと、沙友理はゾクゾクした。
「ふ、ふふふ……」
無意識に不気味な笑みを浮かべていた。
自分の中にこんな感情があったなんて、沙友理は今まで知らなかった。
もしかしたら最初からあったのかもしれないし、華緒と出会ってから生まれたのかもしれない。
だが、そんなことはどうでもいい。
悪いものではなく、素晴らしいものなのだから。
「うん、いい感じなのです!」
何枚か同じようなものを撮ってしまったが、それもなかなかいいものだ。
――沙友理だけの華緒。
それが小さな画面の中にたくさん溜まっている。
そのことがなによりも嬉しくて、沙友理はスマホをぎゅっと強く握った。
どうしてこうも華緒は可愛いのだろう。
沙友理の目には、華緒が天使に見えている。
穢れを祓ってくれるような、そんな存在に。
「いっちゃんがたくさん……嬉しいのです……」
そういえば、華緒はもうストーキングをやめてしまったのだろうか。
こんなに素晴らしいものと教えてくれたのは華緒なのに。
それはそれで尾行や盗撮がしやすくなるからいいのだけれども。
でも、いつもだれかと一緒にいた沙友理は、少し寂しさを感じている。
そんな時、ふと華緒と目が合ったような気がした。
気のせいかと思ったが、華緒は血相を変えてどこかへすっ飛んでいった。
「え、いっちゃん……?」
やはり、嫌われてしまっただろうか。
覚悟はしていたが、どうしても嫌われることは怖い。
沙友理のメンタルは、華緒関連では弱くなってしまうようだ。
でも、華緒は――そんな人ではない。
「さっちゃん先輩……っ!」
「え、え……な、なんでこっちに来たのですか!?」
「なんでって……さっちゃん先輩の姿が見えたからですけど……」
沙友理はそういうことを聞きたかったわけではない。
完全に嫌われたかと思っていたから。
「えっと、その、こんなわたしなんて……嫌いになったに決まってるのですよね……」
「えっ! そんなことないです!」
「本当なのですか?」
「本当です! むしろ嬉しいです!」
華緒は嬉々とした表情で、沙友理に詰め寄る。
その表情はヤンデレみたいに恍惚としてとろけていた。
沙友理はそれに驚き、思わず後ずさりしてしまう。
「だって、さっちゃん先輩が私のことそれくらい大好きに想ってくれてるってことだから、嬉しいに決まってるじゃないですか! それにしても、私と同じことをしてくれるなんて嬉しいです。さっちゃん先輩も私色に染まってくれたってことですよね。ふふっ」
かつてないほど饒舌ぶりを見せる華緒。
それだけ感情が高ぶっているという証だろう。
沙友理も感化され、無意識に華緒の手を握っていた。
「う、嬉しいのです。わたし、いっちゃんに嫌われるんじゃないかって思ったので……いっちゃんのことほんとに大好きで毎日ずっと一緒にいて、ずっといっちゃんのことだけ見ていたいのです。こういうのって異常、なのですかね……?」
「それ私も当てはまるんですが……遠回しに私のこと異常って言ってます?」
「そ、そんなわけないのです! これはわたしだけの問題で……!」
「冗談ですよ。それに、私にとってさっちゃん先輩は異常じゃないです。なにせ同類なんですから」
それもそうだ。
華緒にストーキングのよさを教えてもらったと言ったのは沙友理自身なのに。
なぜそのことを忘れて、一人で悩んでいたのか。
沙友理は色々とバカらしくなった。
華緒は笑って受け入れてくれている。
いや、むしろ歓迎してくれている。
どこに恐れる必要があるのか。
沙友理と華緒は似たもの同士で相思相愛なのだ。
それならばなにも問題ないだろう。
今度は華緒の手をより強く握って、真剣な眼差しでまっすぐ相手の目を見る。
「――結婚しましょう、いっちゃん」
「ど、どうしたんですか……急に……」
華緒は沙友理と目を合わせられないのか、しきりに目を泳がせている。
顔は程よく熟したトマトのようで、実に可愛らしかった。
これは手応えがありそうだ。
「いっちゃんとこれからもずっと一緒にいたいのです。お互いおばあちゃんになっても、家族に反対されても、いっちゃんだけと一緒にいたいのです!」
「……私だけ……」
「あ、えっと、だめだったらいいのですが……」
「だ、だめなわけないです! むしろこっちからお願いしたいですよ!」
やはり、華緒は快諾してくれた。
沙友理は嬉しくなって、抱きしめたあと優しく口付けした。
華緒は最初戸惑っていたが、徐々に目を閉じていく。
ちゅちゅというリップ音が小さく響く。
それだけで幸福感が跳ね上がる。
しかし、沙友理はすぐにキスを終わらせた。
「さっちゃん先輩……」
「うふふ、いっちゃん可愛いのです」
「もう……っ!」
この時、沙友理は思った。
お互いがストーカーで、ストーキングづくしの恋もいいなと。
ストーキングこそ、二人の仲を深めるものである。
「ストーキングは愛の証、なのですっ!」
さっちゃん先輩……そこまで私を想ってくれたなんて嬉しすぎる!
これはもう結婚するしかないよね。
女の子同士とか学生とか色々問題はあるけど、愛があればなんとかなるに決まってる。
相思相愛で他の人なんて関係なくて、二人だけで一緒にいられたらそれでいいの。
ずーっと一緒だよ、さっちゃん先輩……
――稲津華緒、『さっちゃん先輩観察日記』より。
☆ ☆ ☆
スマホの画面越しに華緒を見る。
華緒は真面目に勉強しているようで、盗撮に不慣れな沙友理にもまったく気づいていないようだった。
これはチャンスとばかりに、シャッターを切っていく。
あまり代わり映えしないが、愛しい華緒を記録に残すことができると思うと、沙友理はゾクゾクした。
「ふ、ふふふ……」
無意識に不気味な笑みを浮かべていた。
自分の中にこんな感情があったなんて、沙友理は今まで知らなかった。
もしかしたら最初からあったのかもしれないし、華緒と出会ってから生まれたのかもしれない。
だが、そんなことはどうでもいい。
悪いものではなく、素晴らしいものなのだから。
「うん、いい感じなのです!」
何枚か同じようなものを撮ってしまったが、それもなかなかいいものだ。
――沙友理だけの華緒。
それが小さな画面の中にたくさん溜まっている。
そのことがなによりも嬉しくて、沙友理はスマホをぎゅっと強く握った。
どうしてこうも華緒は可愛いのだろう。
沙友理の目には、華緒が天使に見えている。
穢れを祓ってくれるような、そんな存在に。
「いっちゃんがたくさん……嬉しいのです……」
そういえば、華緒はもうストーキングをやめてしまったのだろうか。
こんなに素晴らしいものと教えてくれたのは華緒なのに。
それはそれで尾行や盗撮がしやすくなるからいいのだけれども。
でも、いつもだれかと一緒にいた沙友理は、少し寂しさを感じている。
そんな時、ふと華緒と目が合ったような気がした。
気のせいかと思ったが、華緒は血相を変えてどこかへすっ飛んでいった。
「え、いっちゃん……?」
やはり、嫌われてしまっただろうか。
覚悟はしていたが、どうしても嫌われることは怖い。
沙友理のメンタルは、華緒関連では弱くなってしまうようだ。
でも、華緒は――そんな人ではない。
「さっちゃん先輩……っ!」
「え、え……な、なんでこっちに来たのですか!?」
「なんでって……さっちゃん先輩の姿が見えたからですけど……」
沙友理はそういうことを聞きたかったわけではない。
完全に嫌われたかと思っていたから。
「えっと、その、こんなわたしなんて……嫌いになったに決まってるのですよね……」
「えっ! そんなことないです!」
「本当なのですか?」
「本当です! むしろ嬉しいです!」
華緒は嬉々とした表情で、沙友理に詰め寄る。
その表情はヤンデレみたいに恍惚としてとろけていた。
沙友理はそれに驚き、思わず後ずさりしてしまう。
「だって、さっちゃん先輩が私のことそれくらい大好きに想ってくれてるってことだから、嬉しいに決まってるじゃないですか! それにしても、私と同じことをしてくれるなんて嬉しいです。さっちゃん先輩も私色に染まってくれたってことですよね。ふふっ」
かつてないほど饒舌ぶりを見せる華緒。
それだけ感情が高ぶっているという証だろう。
沙友理も感化され、無意識に華緒の手を握っていた。
「う、嬉しいのです。わたし、いっちゃんに嫌われるんじゃないかって思ったので……いっちゃんのことほんとに大好きで毎日ずっと一緒にいて、ずっといっちゃんのことだけ見ていたいのです。こういうのって異常、なのですかね……?」
「それ私も当てはまるんですが……遠回しに私のこと異常って言ってます?」
「そ、そんなわけないのです! これはわたしだけの問題で……!」
「冗談ですよ。それに、私にとってさっちゃん先輩は異常じゃないです。なにせ同類なんですから」
それもそうだ。
華緒にストーキングのよさを教えてもらったと言ったのは沙友理自身なのに。
なぜそのことを忘れて、一人で悩んでいたのか。
沙友理は色々とバカらしくなった。
華緒は笑って受け入れてくれている。
いや、むしろ歓迎してくれている。
どこに恐れる必要があるのか。
沙友理と華緒は似たもの同士で相思相愛なのだ。
それならばなにも問題ないだろう。
今度は華緒の手をより強く握って、真剣な眼差しでまっすぐ相手の目を見る。
「――結婚しましょう、いっちゃん」
「ど、どうしたんですか……急に……」
華緒は沙友理と目を合わせられないのか、しきりに目を泳がせている。
顔は程よく熟したトマトのようで、実に可愛らしかった。
これは手応えがありそうだ。
「いっちゃんとこれからもずっと一緒にいたいのです。お互いおばあちゃんになっても、家族に反対されても、いっちゃんだけと一緒にいたいのです!」
「……私だけ……」
「あ、えっと、だめだったらいいのですが……」
「だ、だめなわけないです! むしろこっちからお願いしたいですよ!」
やはり、華緒は快諾してくれた。
沙友理は嬉しくなって、抱きしめたあと優しく口付けした。
華緒は最初戸惑っていたが、徐々に目を閉じていく。
ちゅちゅというリップ音が小さく響く。
それだけで幸福感が跳ね上がる。
しかし、沙友理はすぐにキスを終わらせた。
「さっちゃん先輩……」
「うふふ、いっちゃん可愛いのです」
「もう……っ!」
この時、沙友理は思った。
お互いがストーカーで、ストーキングづくしの恋もいいなと。
ストーキングこそ、二人の仲を深めるものである。
「ストーキングは愛の証、なのですっ!」
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