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最終章 みんなのキズナ

さいやくのはじまり(美久里)

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「今日から三年生なんだ……! みんなに会えるのが楽しみだなぁ……!」

 美久里は心を弾ませ、学校に向かっていく。
 心臓破りの坂――『神の坂』もずいぶん慣れたものだ。
 一年生の頃はヒーヒー言っていたのに。

「でも、あと一年でみんなともお別れなんだよね……」

 そう思うと、このまま時が流れないでと願いたくなる。
 だけど、願いを叶えてくれる神様なんているはずもなく、足を先に進めるしかない。
 それは無情にも思えるが、世の中は諸行無常。
 決して変わらないものなんてないだろう。

 それは、人の心も例外ではない。
 もし、この先進路が別々になって疎遠になってしまったら……
 そんなことも、考えてしまうものだ。

「ふぅ……やっと着いた……ん?」

 一年の頃より楽に感じるようになったとはいえ、『神の坂』はあなどれない。
 スタミナ消耗が激しいことに変わりはない。

「こんにちは。いや、はじめまして……かしら?」
「ふぇ? え、えっと、あなたは……?」

 急に知らない子から話しかけられて、美久里は人見知りとコミュ障モードに入った。
 知らない子とはいえ、同じ制服を着ているからタピ女の生徒だとは思うが。
 その子はおだやかに、優雅に微笑む。

「アタシの名前は愛杏あん。って、別に名乗らなくてもいっか。仲良しこよししようってわけじゃないんだし」
「……え?」
「あんたのこと、一月から三月にかけて調べさせてもらったわ。くふふっ」

 この子の髪は明るいピンク色なのに、邪悪なオーラが滲み出ている。
 なにか、嫌な予感がする。
 美久里のことを調べたといっていたし、少なくともまともな人ではないだろう。

「あー、ごめんなさい。一人で勝手に盛り上がってしまったわ。用件を述べさせてもらうわね」

 少し風が吹く。
 ピンク髪の少女は、その髪を低い位置で一つに縛っているため、靡くことはなかった。
 その代わり、ピンク色の瞳が妖しく揺れる。

「うふふ、あんたの過去は――」

 それを言われた瞬間、忘れてしまいたい記憶がフラッシュバックした。
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