167 / 239
第二章 高校二年生(一学期)
へんきゃく(瑠衣)
しおりを挟む
テスト明け、今日からはテストが続々返却される。
一時間目は数Ⅱだ。
「おまたせー。それじゃ、この間のテストお返ししていきますねー。平均点は40.2点でした。では番号順にとりに来てください」
数学の先生は、とてもキビキビと効率よく物事を進めていく。
しかし、もう少し心の準備がほしかった。
自信があるとはいえ、もし下手な点数を取ってしまったらショックで自殺してしまうかもしれない。
さすがの瑠衣もそこまではしないが、何事も心の準備というものは必要だ。
「はい、紫乃さん。もう少し頑張りましょうね」
紫乃は答案用紙を受け取った際、右上に書かれた点数をそーっと確認していた。
先生にそう言われたら、もう嫌でもその先がわかりきってしまう。
しかし、見ずにはいられない。
「うわ、今までにとった最低点を大幅に更新しちゃったぁ~……まじか~……」
「しっかり勉強しないと、これからもどんどん更新しちゃいますからねー」
数学の先生は冷たかった。
紫乃は苦い表情を浮かべながら席へ戻る。
よほど悪かったらしい。
試験直前に、瑠衣がスパルタで教えていたというのに。
(紫乃ちゃん、そんなに悪かったのかにゃ……きっと瑠衣も……)
瑠衣も受け取ったあと、おそるおそる確認してみる。
「あ、結構いいかも……」
「へぇー、いいなぁ~。僕は全然だめだったよ~」
「しのにゃん……瑠衣、せっかく勉強教えたのに……」
こうして、クラス全員に答案が行き渡った。
テスト返却も授業も終わり、先生も教室から出ていった。
紫乃にはあとでしっかりお仕置きしておかないといけない。
「はー、終わった終わった~。ずっと殺気みたいなもの感じてたからどうしようかと思ったよ~」
「……できれば今も感じてほしいにゃ……」
紫乃は実に明るく、満面の笑みを浮かべながらなんでもなさそうに言う。
殺気を感じてくれたのはいいことだが、もう少し危機感を持ってもらいたいものだ。
「まあいいにゃ。しのにゃんは瑠衣がきっちりしごいてやるからにゃ」
瑠衣は笑顔を浮かべた。
――が、その笑顔の奥には色々な感情が詰め込まれている。
紫乃はそれを察せられないほど鈍感ではないだろう。
紫乃の笑顔が引きつったものになっているし。
「うわああ!! 嫌だぁ、僕お家に帰る~!!」
「あっ、待て逃げるにゃぁぁぁ!!」
瑠衣のただならぬ気配を感じてか、紫乃が逃げ惑う。
一時間目が終わっただけだというのに、紫乃はもう帰ろうとしている。
下駄箱へ一直線だ。
「待つにゃぁ、しのにゃぁぁぁん!」
瑠衣と紫乃は、二時間目が始まるギリギリまで追いかけっこをしていたとか……
一時間目は数Ⅱだ。
「おまたせー。それじゃ、この間のテストお返ししていきますねー。平均点は40.2点でした。では番号順にとりに来てください」
数学の先生は、とてもキビキビと効率よく物事を進めていく。
しかし、もう少し心の準備がほしかった。
自信があるとはいえ、もし下手な点数を取ってしまったらショックで自殺してしまうかもしれない。
さすがの瑠衣もそこまではしないが、何事も心の準備というものは必要だ。
「はい、紫乃さん。もう少し頑張りましょうね」
紫乃は答案用紙を受け取った際、右上に書かれた点数をそーっと確認していた。
先生にそう言われたら、もう嫌でもその先がわかりきってしまう。
しかし、見ずにはいられない。
「うわ、今までにとった最低点を大幅に更新しちゃったぁ~……まじか~……」
「しっかり勉強しないと、これからもどんどん更新しちゃいますからねー」
数学の先生は冷たかった。
紫乃は苦い表情を浮かべながら席へ戻る。
よほど悪かったらしい。
試験直前に、瑠衣がスパルタで教えていたというのに。
(紫乃ちゃん、そんなに悪かったのかにゃ……きっと瑠衣も……)
瑠衣も受け取ったあと、おそるおそる確認してみる。
「あ、結構いいかも……」
「へぇー、いいなぁ~。僕は全然だめだったよ~」
「しのにゃん……瑠衣、せっかく勉強教えたのに……」
こうして、クラス全員に答案が行き渡った。
テスト返却も授業も終わり、先生も教室から出ていった。
紫乃にはあとでしっかりお仕置きしておかないといけない。
「はー、終わった終わった~。ずっと殺気みたいなもの感じてたからどうしようかと思ったよ~」
「……できれば今も感じてほしいにゃ……」
紫乃は実に明るく、満面の笑みを浮かべながらなんでもなさそうに言う。
殺気を感じてくれたのはいいことだが、もう少し危機感を持ってもらいたいものだ。
「まあいいにゃ。しのにゃんは瑠衣がきっちりしごいてやるからにゃ」
瑠衣は笑顔を浮かべた。
――が、その笑顔の奥には色々な感情が詰め込まれている。
紫乃はそれを察せられないほど鈍感ではないだろう。
紫乃の笑顔が引きつったものになっているし。
「うわああ!! 嫌だぁ、僕お家に帰る~!!」
「あっ、待て逃げるにゃぁぁぁ!!」
瑠衣のただならぬ気配を感じてか、紫乃が逃げ惑う。
一時間目が終わっただけだというのに、紫乃はもう帰ろうとしている。
下駄箱へ一直線だ。
「待つにゃぁ、しのにゃぁぁぁん!」
瑠衣と紫乃は、二時間目が始まるギリギリまで追いかけっこをしていたとか……
0
お気に入りに追加
13
あなたにおすすめの小説
アンタッチャブル・ツインズ ~転生したら双子の妹に魔力もってかれた~
歩楽 (ホラ)
青春
とってもギャグな、お笑いな、青春学園物語、
料理があって、ちょびっとの恋愛と、ちょびっとのバトルで、ちょびっとのユリで、
エロ?もあったりで・・・とりあえず、合宿編23話まで読め!
そして【お気に入り】登録を、【感想】をお願いします!
してくれたら、作者のモチベーションがあがります
おねがいします~~~~~~~~~
___
科学魔法と呼ばれる魔法が存在する【現代世界】
異世界から転生してきた【双子の兄】と、
兄の魔力を奪い取って生まれた【双子の妹】が、
国立関東天童魔法学園の中等部に通う、
ほのぼの青春学園物語です。
___
【時系列】__
覚醒編(10才誕生日)→入学編(12歳中学入学)→合宿編(中等部2年、5月)→異世界編→きぐるい幼女編
___
タイトル正式名・
【アンタッチャブル・ツインズ(その双子、危険につき、触れるな関わるな!)】
元名(なろう投稿時)・
【転生したら双子の妹に魔力もってかれた】
お嬢様、お仕置の時間です。
moa
恋愛
私は御門 凛(みかど りん)、御門財閥の長女として産まれた。
両親は跡継ぎの息子が欲しかったようで女として産まれた私のことをよく思っていなかった。
私の世話は執事とメイド達がしてくれていた。
私が2歳になったとき、弟の御門 新(みかど あらた)が産まれた。
両親は念願の息子が産まれたことで私を執事とメイド達に渡し、新を連れて家を出ていってしまった。
新しい屋敷を建ててそこで暮らしているそうだが、必要な費用を送ってくれている以外は何も教えてくれてくれなかった。
私が小さい頃から執事としてずっと一緒にいる氷川 海(ひかわ かい)が身の回りの世話や勉強など色々してくれていた。
海は普段は優しくなんでもこなしてしまう完璧な執事。
しかし厳しいときは厳しくて怒らせるとすごく怖い。
海は執事としてずっと一緒にいると思っていたのにある日、私の中で何か特別な感情がある事に気付く。
しかし、愛を知らずに育ってきた私が愛と知るのは、まだ先の話。
BUZZER OF YOUTH
Satoshi
青春
BUZZER OF YOUTH
略してBOY
この物語はバスケットボール、主に高校~大学バスケを扱います。
主人公である北条 涼真は中学で名を馳せたプレイヤー。彼とその仲間とが高校に入学して高校バスケに青春を捧ぐ様を描いていきます。
実は、小説を書くのはこれが初めてで、そして最後になってしまうかもしれませんが
拙いながらも頑張って更新します。
最初は高校バスケを、欲をいえばやがて話の中心にいる彼らが大学、その先まで書けたらいいなと思っております。
長編になると思いますが、最後までお付き合いいただければこれに勝る喜びはありません。
コメントなどもお待ちしておりますが、あくまで自己満足で書いているものなので他の方などが不快になるようなコメントはご遠慮願います。
応援コメント、「こうした方が…」という要望は大歓迎です。
※この作品はフィクションです。実際の人物、団体などには、名前のモデルこそ(遊び心程度では)あれど関係はございません。
[恥辱]りみの強制おむつ生活
rei
大衆娯楽
中学三年生になる主人公倉持りみが集会中にお漏らしをしてしまい、おむつを当てられる。
保健室の先生におむつを当ててもらうようにお願い、クラスメイトの前でおむつ着用宣言、お漏らしで小学一年生へ落第など恥辱にあふれた作品です。
連れ子が中学生に成長して胸が膨らむ・・・1人での快感にも目覚て恥ずかしそうにベッドの上で寝る
マッキーの世界
大衆娯楽
連れ子が成長し、中学生になった。
思春期ということもあり、反抗的な態度をとられる。
だが、そんな反抗的な表情も妙に俺の心を捉えて離さない。
「ああ、抱きたい・・・」
修行のため、女装して高校に通っています
らいち
青春
沢村由紀也の家は大衆演劇を営んでいて、由紀也はそこの看板女形だ。
人気もそこそこあるし、由紀也自身も自分の女形の出来にはある程度自信を持っていたのだが……。
団長である父親は、由紀也の女形の出来がどうしても気に入らなかったらしく、とんでもない要求を由紀也によこす。
それは修行のために、女装して高校に通えという事だった。
女装した美少年が美少女に変身したために起こる、楽しくてちょっぴり迷惑な物語♪(ちゃんと修行もしています)
※以前他サイトに投稿していた作品です。現在は下げており、タイトルも変えています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる