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第一章 高校一年生(二学期)

あにめ(紫乃)

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『――だからね、あなたには私がいる。あなたはもう、ひとりじゃない』

 テレビの画面に映る少女がそう言う。
 その少女はあざといぐらいに可愛い衣装を纏い、小さな手には魔法のステッキが握られている。

『――友達になろう!』

 少女がそう言った先には、もう一人の少女が立っていた。
 その少女は涙を流し、嬉しそうに微笑んでいる。
 その二人に、友情が芽生えた瞬間だった。

「おおお! この場面は何度見てもいいよね~!」
「まあ、この場面は『まほなれ』イチオシエピソードと言っても過言じゃないよな」
「結衣ちゃんと緋依ちゃんの友情がたまりませんね……!」
「なんか改めてまじまじ見られると照れるっすね……」
「輝かしく熱い友情……いいにゃあ~……」

 美久里たち一行は、紫乃の家で『魔法少女になれたなら』のアニメを観ている。
 一人で観るのも楽しいが、こういう鑑賞会というのも悪くないと思った。
 その場で感想を言い合えて、想いを共有出来るのだから。

「ところで、紫乃ちゃんはどう思ったっすか? まあ、聞くまでもないっすか」

 葉奈が苦笑しながら感想を催促する。
 それを受けた紫乃は、満面の笑みで言う。

「最高だよ~!」
「ありがとうっす」

 実際、最高すぎて何も言えなかった。
 紫乃はいいものを観るとつい黙ってしまう性格なのだ。
 無理もないだろう。

「てかさ、紫乃ちゃんちのテレビってでかくていいよな」
「たしかににゃあ。ゲームとかする時も大画面で出来るよにゃ?」

 朔良と瑠衣が紫乃の家のテレビを褒める。
 ゲームを大画面で出来るのは魅力的だろう。
 ……と、ここで紫乃は気づく。
 もしかしたら、ゲームもこの画面でやりたいと思っているのではないか、と。

「また今度一緒にゲームやろ~」
「お! いいねぇ! 負けねーぞ」
「やりたいものも色々あるからにゃ~! ワクワクするにゃ!」

 二人はテンションが上がり、心の底から楽しそうに飛び上がっている。
 みんなでアニメが悪くないなら、みんなでゲームも悪くないだろう。
 紫乃はそう思い、静かに小さな笑顔を浮かべた。
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